とあるΩ達の試練

如月圭

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 クレハはお弁当を開くと、隣にいた司がそれを見て、

 「吉住、昼、それだけで足りるのか?」

 クレハのお弁当箱の中身を見て、心配そうに言う。クレハは明るく笑い、

 「はい、僕は運動部ではないので、これで十分なんです」

 鮭と卵焼き、ブロッコリーにトマト、ウィンナーに中くらいのおにぎりが二個入ったお弁当を見て言った。

 司はそれを聞いて、

 「そうか、だが、成長期に入るんだ、もっと、ガッツリ食べなくて良いのか?背が伸びねぇぞ」

 クレハの頭をぽんぽんと叩いて、ニヤリッと笑う。クレハは、

 「良いんです。オメガなので、身長はもう伸びそうにもないので、後五センチ伸びたら百七十センチに届くんですけど、多分、望めそうにありません」

 ハァッとため息をつく、司はカフェのメニュー表を見ながら、

 「もっと肉をとれ」

 ローストビーフとAランチセット、紅茶を二つ頼んだ。ウェイターが、注文した料理を持ってくると、司が、

 「ほら、ローストビーフと紅茶だ、冷めないうちに食べろよ」

 ローストビーフの乗った皿をクレハに渡した。貰ったクレハは、

 「あのっ!黒崎君、僕はこんなに食べられません」

 遠慮するが、司は、

 「食べろよ。吉住、少しは肉をつけろ!俺のおごりだ遠慮せずに食べろ」

 ローストビーフをフォークでさし、クレハの口元に持って来て、

 「ほら、あ~ん」

 司が食べさせようとした。困ったクレハは、

 (ええい!)

 と思いながら口を開く、司はローストビーフをクレハの口の中に入れた。

 「どうだ?美味いか?」

 モグモグ食べているクレハに聞いた。口を押さえながら、

 「はい、美味しいです」

 と言って幸せそうに食べていた。満足そうにしている司は、Aランチを食べながら、クレハに、

 「吉住、紅茶もちゃんと飲めよ」

 そう言い、自分の紅茶を一口飲んだ。クレハは、

 「黒崎君、ありがとうございます。美味しいです」

 ニッコリと笑いかけた。すると、司が動きを止める。それに気がついたクレハが、

 「どうかしたんですか?黒崎君」

 不思議そうに司を見つめた。司はクレハに名前を呼ばれて、ハッとすると、ゴホンッと咳を一つして、おにぎりを食べているクレハに、

 「吉住、吉住のことを名前で呼んでもいいか?」

 と聞いた。今度はクレハが動きを止める。

 「僕の名前ですか?どうして今更?」

 クレハは少し身構えたように司を見つめた。司はクレハの頰に手を当てながら、

 「吉住のことをもっと良く知りたいんだ。駄目か?」

 真剣な目でクレハを見つめて口説いた。司の手で頬を触られているので、逃げ場がないクレハは、顔を真っ赤にしながら、

 「あのっ!わかりましたから、もう手を離してください!」

 司は目を細めて笑い、

 「わかった、クレハ」

 そう言って、クレハの頬から、手を離した。アタフタして、おにぎりを一口食べて、心を落ち着けているクレハに、司はそれを見て、満足そうに微笑み、Aランチを食べていた。

 お弁当を食べ終わり、紅茶を飲んでいると、また、司が、クレハの頰に手を当てて、

 「クレハ、俺の事は、司と呼べ、良いな!?」

 「!!っっ……はっはい」

 カチコチに固まったクレハは、顔に笑顔を貼り付けて、やっと答えた。表情筋が死にそうになっているクレハに、司は、

 「ほら、呼んでみろ!クレハ」

 と言われてしまい、目を瞑って、

 「つっ……司君」

 周囲は面白くなさそうに二人の会話を聞いていた。

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