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5.レインとヒュー
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レインは言われた通りボクシングジムでサンドバッグを気の済むまで殴り、それからシャワーを浴びて、雑貨屋で安いウイスキーの小瓶を買った。店を出て勢いよくそれを煽る。
週末だ。金曜の夜の街は賑やかだった。まだ早い時間だというのに、すでにほろ酔い気分の人々でざわめいている。限られた自由時間を存分に楽しもうという兵隊たちが徒党を組んで、のし歩いている。
ずっとリーフェルトのことを考えている。
あの人が欲しい。その気持ちは間違いない。でも欲しい、というのが単にセックスなら、もう済ませた。でも、それでいいというわけではない。欲しいのはもっと、本質的なものだ。でも、本質的なものって?
ウイスキーを煽って、レインは首を振った。リーフェルトの顔が見たかった。ドレイク少尉としてでなく、レイン・ドレイク個人として。
家を訪ねてみようか、と思った。……図々しいだろうか。たった一度の情事で恋人気取りと思われるのも嫌だ。
ふらふらと陸軍団地に戻ってくる。リーフェルトの官舎は通りから入って2本目の小路にはいって、二軒通り過ぎ、一番奥だ。面白くもおかしくもない、長方形の家で、屋根は陸軍色に塗られている。
小路の入口でぼんやりと佇んだ。……いや、仕事の詫びなら明日、顔を合わせた時に言えばいい。
逡巡して、踵を返そうとしたところで、声をかけられた。
「私に用ですか?」
リーフェルトだった。今帰ってきたところなのだろう、制服をきっちり着込んでいる。
レインは驚きと焦りで思わず、息を呑んでしまい声が出なかった。
「背中ががら空きですよ、兵士失格です」
そう言ったリーフェルトの声は、少しおかしみをたたえていて、職場で見せた静まり返った冷たさはなりを潜めていた。少し柔らかな表情のリーフェルトを見て、レインの胸が少し安堵する。
「その、もうお帰りかと思って」
何を言っていいかわからず、そんなことを口走り、レインが自己嫌悪に陥りかけたところで、リーフェルトが口を開いた。
「ボクシングジムに行ってきたんですか?」
「ご命令なので」
「律儀ですね」
ふっとリーフェルトは笑った。
「食事は?昨日、クレヴォー少佐の奥さんが、差し入れしてくれたシチューがありますよ。よければいらっしゃい」
そう言い置くとリーフェルトはさっさと家に向かっていった。レインは一瞬、ぼーっとした後、慌ててその背中を追いかけた。
リーフェルトは家に上げる前、レインを振り返り、釘を刺した。
「今日は“なし“ですよ」
それを聞いてガッカリしなかったと言えば嘘になる。だが嘘でもない気分を告白した。
「構いません。個人的に話したかったので」
リーフェルトは首を傾げるようにしてうなずいた。
☆
リビングに足を踏み入れたレインは、リーフェルトらしい部屋だ、と思った。家具類はもともと官舎に備え付けのものだろうが、部屋はきちんと片付いていて、主と同じように一分の隙もない。
ただ、なにか味気ない部屋だった。家族の写真や、趣味のものや記念の品などが飾られていておかしくないが、そういったものは一切なかった。せいぜい、テーブルの上に置いてあるたたまれた何日分かの新聞が生活感と言えばそうだった。
リーフェルトは奥の部屋に行って着替えてくると、台所でお裾分けのシチューをあたためはじめた。
レインはキッチンの入口に立って言った。
「今日のこと、反省してます。俺のせいでエズル大佐に頭を下げさせてしまいました」
ああ、とリーフェルトは職場で見せた態度とは違って、笑みを浮かべた。
「あの人、頭はいいんですが、プライドが高くて鼻持ちならなくて。私の士官学校時代の先輩だったんですが、その頃からあんな感じです」
「面倒な相手に頭を下げさせてしまって、申し訳ないです」
自分の立場に置き替えて考えると、身がすくむ思いがする。だが、リーフェルトはニヤリと笑った。
「個人的にはせいせいしましたよ。私が君の上官じゃなかったら、やってくれたぜ、と言ってやるところだったんですが」
職場ではそんなそぶりは一つも見せず、「上官」の顔をしていたリーフェルトのタヌキっぷりに、レインは内心で舌を巻いた。
さて、食事にしますか?とリーフェルトは手際よくシチューを器に盛った。
「君はイズワルドの生まれでしたね」
不意にリーフェルトが言った。
「ええ。下町のアレム区の生まれ育ちです」
アレム区は治安の良くないガラの悪い地域、という印象を与える地区だった。昼間から麻薬密売人がうろうろしているような通りもある。レインはその中でも比較的マシなパンシーという地区で育った。
「君を見ていると、時々クラウンの貴公子みたいに見える時があったので、どこで育ったのかと」
レインは危うく吹き出しそうになった。
「貴公子……俺のどこがですか。大佐に喧嘩を売るような男なのに」
リーフェルトは苦笑して言った。
「いえ、この間のエヴァレット家のパーティでも、あちこちから聞かれたのですよ。少佐のお連れになっている少尉はどちらのお家の方なのかと。君は見た目で得をしてますね」
レインは自分の容姿に関しては自惚れたことはない。ラミナはハンサムだと言ってくれてたが、惚れた欲目もあるだろう。
リーフェルトは言った。
「君は立ち方と歩き方がいいんですよ。背筋がまっすぐ伸びていて、歩くときに身体がぶれない。まあ、姿勢は士官学校で叩きこまれますが、任官後何年かすると、また自分のクセが出てきますからね」
「そういえば、姿勢がいいとは昔から言われました……なのに根性は曲がっていると続くのがいつものパターンだったのですが」
リーフェルトは笑った。そして慈しむような笑みを含んだ視線をレインに向けた。
「そんなことないですよ。今日だって私のために怒ってくれたんでしょう」
「あ……まあ……あれは腹立ちますよ、それは」
そんなことより、レインはリーフェルトの表情の甘さに頭の中が滲むような感覚を味わった。この前、アヴァンで会った時もそうだったが、プライベートで二人きりの時に、リーフェルトの纏う空気には独特の艶がある。魅入られると吸い寄せられてしまう。花芯に誘われる蜜蜂のような気分だった。
リーフェルトはまるで子供にやるように、手を伸ばしレインの頭を撫でた。レインは顔が熱くなり、身体が火照るのを感じる。
今日は“なし”だと言っていてこれは……。
レインはリーフェルトのその手を掴んで、握った。ひんやりと冷たく、石膏で型取ったような整った手。レインはその手に口づけしたまま、口を開いた。
「少佐は本当にずるい……こうやって俺を誘惑して、それに耐えろと言う」
「誘惑してるつもりはないんですが」
「そう言えば済むと思っている、少佐の根性が気に入りません」
そう言って上目遣いで睨みつけたレインだったが、リーフェルトは声を上げて笑って、ごく自然な仕草でレインの手から手を引き抜いて囁いた。
「情事ってのはね……たまにあるのが妙味なんですよ」
紅茶でも入れましょう、とリーフェルトは立って行った。レインはしばらくその背中に恨みがましい視線を向けていたが、やがて全身の力が抜けた。
年季が違いすぎる。年の差は十二歳だが、色恋にかけてはその倍以上の開きを感じた。リーフェルトの前では自分はほんの子供のようだ、と思う。
相手に振り回されるにしても、今までのガールフレンドたちとは全く質が違う。ラミナのような女の子のわがままは純粋な苛立ちを感じたが、リーフェルトからは焦燥感と奇妙な悦びのようなものを与えられる。今は目の前にある宝石に手が届きそうで届かない、だけどいずれ手が届くという事はわかっているような、そんな感じだ。
加えて落差だ。職場では冷酷なまでに情事の存在を無視しているのに、こうしてプライベートな場所では嘘のように甘い表情を見せる。感情が揺さぶられる。
やがてリーフェルトがマグカップを二つ持って戻って来た。紅茶のいい香りがする。ふと思う。リーフェルトはこの生活感のない、まるでただの箱のような家で、毎日一人でお茶を飲んでいるのだろうかと。
「砂糖もミルクもありませんよ、私が使わないのでね」
「それは結構ですが……少佐の家はうつろすぎます……何かお好きなものとか、ないんですか」
紅茶に口をつけてレインが問う。さあて、とリーフェルトが考え込むような表情を浮かべた。
「あまり物を置くのが好きではないんですよ……軍人なんていつ死ぬかわかりません。その時にリーフェルトの野郎、山のように荷物を残しやがって、なんて言われるの、嫌じゃありませんか」
薄笑いを浮かべてそんなことを言う。レインはその顔に目が吸い付いて離れない。
しかしリーフェルトはそれに気が付いていながら、無視するように言った。
「来週から作戦のシミュレーションが始まります……場所はブルムバークの訓練場。作戦は極秘なので表向きは定期訓練となっていますが」
レインはすっと現実に引き戻された。
「Xデイは再来週の火曜、六月七日」
レインは頭の中でカレンダーを確認した。リーフェルトが口にしたように、軍人はいつ死ぬかわからない。少なくとも、命が補償されているのは再来週の火曜までということになる。かと言ってレインは、不思議と自分が死ぬとは思っていないのだが。
「君に帰る実家があれば、今週の週末にでも帰ったらいいですよ」
「残念ながら……親ももういないですし、きょうだいもいません」
それを聞いてリーフェルトは軽くうなずいた。
「カルダ海岸に貸バンガローがあって、私は週末、そこで過ごそうと思ってるんですが、君、一緒に行きませんか」
えっ、とレインはリーフェルトの顔を見返した。リーフェルトは唇に色香を乗せて微笑んだ。
「車を借りてきますから、どうです」
レインに否やはなかった。
週末だ。金曜の夜の街は賑やかだった。まだ早い時間だというのに、すでにほろ酔い気分の人々でざわめいている。限られた自由時間を存分に楽しもうという兵隊たちが徒党を組んで、のし歩いている。
ずっとリーフェルトのことを考えている。
あの人が欲しい。その気持ちは間違いない。でも欲しい、というのが単にセックスなら、もう済ませた。でも、それでいいというわけではない。欲しいのはもっと、本質的なものだ。でも、本質的なものって?
ウイスキーを煽って、レインは首を振った。リーフェルトの顔が見たかった。ドレイク少尉としてでなく、レイン・ドレイク個人として。
家を訪ねてみようか、と思った。……図々しいだろうか。たった一度の情事で恋人気取りと思われるのも嫌だ。
ふらふらと陸軍団地に戻ってくる。リーフェルトの官舎は通りから入って2本目の小路にはいって、二軒通り過ぎ、一番奥だ。面白くもおかしくもない、長方形の家で、屋根は陸軍色に塗られている。
小路の入口でぼんやりと佇んだ。……いや、仕事の詫びなら明日、顔を合わせた時に言えばいい。
逡巡して、踵を返そうとしたところで、声をかけられた。
「私に用ですか?」
リーフェルトだった。今帰ってきたところなのだろう、制服をきっちり着込んでいる。
レインは驚きと焦りで思わず、息を呑んでしまい声が出なかった。
「背中ががら空きですよ、兵士失格です」
そう言ったリーフェルトの声は、少しおかしみをたたえていて、職場で見せた静まり返った冷たさはなりを潜めていた。少し柔らかな表情のリーフェルトを見て、レインの胸が少し安堵する。
「その、もうお帰りかと思って」
何を言っていいかわからず、そんなことを口走り、レインが自己嫌悪に陥りかけたところで、リーフェルトが口を開いた。
「ボクシングジムに行ってきたんですか?」
「ご命令なので」
「律儀ですね」
ふっとリーフェルトは笑った。
「食事は?昨日、クレヴォー少佐の奥さんが、差し入れしてくれたシチューがありますよ。よければいらっしゃい」
そう言い置くとリーフェルトはさっさと家に向かっていった。レインは一瞬、ぼーっとした後、慌ててその背中を追いかけた。
リーフェルトは家に上げる前、レインを振り返り、釘を刺した。
「今日は“なし“ですよ」
それを聞いてガッカリしなかったと言えば嘘になる。だが嘘でもない気分を告白した。
「構いません。個人的に話したかったので」
リーフェルトは首を傾げるようにしてうなずいた。
☆
リビングに足を踏み入れたレインは、リーフェルトらしい部屋だ、と思った。家具類はもともと官舎に備え付けのものだろうが、部屋はきちんと片付いていて、主と同じように一分の隙もない。
ただ、なにか味気ない部屋だった。家族の写真や、趣味のものや記念の品などが飾られていておかしくないが、そういったものは一切なかった。せいぜい、テーブルの上に置いてあるたたまれた何日分かの新聞が生活感と言えばそうだった。
リーフェルトは奥の部屋に行って着替えてくると、台所でお裾分けのシチューをあたためはじめた。
レインはキッチンの入口に立って言った。
「今日のこと、反省してます。俺のせいでエズル大佐に頭を下げさせてしまいました」
ああ、とリーフェルトは職場で見せた態度とは違って、笑みを浮かべた。
「あの人、頭はいいんですが、プライドが高くて鼻持ちならなくて。私の士官学校時代の先輩だったんですが、その頃からあんな感じです」
「面倒な相手に頭を下げさせてしまって、申し訳ないです」
自分の立場に置き替えて考えると、身がすくむ思いがする。だが、リーフェルトはニヤリと笑った。
「個人的にはせいせいしましたよ。私が君の上官じゃなかったら、やってくれたぜ、と言ってやるところだったんですが」
職場ではそんなそぶりは一つも見せず、「上官」の顔をしていたリーフェルトのタヌキっぷりに、レインは内心で舌を巻いた。
さて、食事にしますか?とリーフェルトは手際よくシチューを器に盛った。
「君はイズワルドの生まれでしたね」
不意にリーフェルトが言った。
「ええ。下町のアレム区の生まれ育ちです」
アレム区は治安の良くないガラの悪い地域、という印象を与える地区だった。昼間から麻薬密売人がうろうろしているような通りもある。レインはその中でも比較的マシなパンシーという地区で育った。
「君を見ていると、時々クラウンの貴公子みたいに見える時があったので、どこで育ったのかと」
レインは危うく吹き出しそうになった。
「貴公子……俺のどこがですか。大佐に喧嘩を売るような男なのに」
リーフェルトは苦笑して言った。
「いえ、この間のエヴァレット家のパーティでも、あちこちから聞かれたのですよ。少佐のお連れになっている少尉はどちらのお家の方なのかと。君は見た目で得をしてますね」
レインは自分の容姿に関しては自惚れたことはない。ラミナはハンサムだと言ってくれてたが、惚れた欲目もあるだろう。
リーフェルトは言った。
「君は立ち方と歩き方がいいんですよ。背筋がまっすぐ伸びていて、歩くときに身体がぶれない。まあ、姿勢は士官学校で叩きこまれますが、任官後何年かすると、また自分のクセが出てきますからね」
「そういえば、姿勢がいいとは昔から言われました……なのに根性は曲がっていると続くのがいつものパターンだったのですが」
リーフェルトは笑った。そして慈しむような笑みを含んだ視線をレインに向けた。
「そんなことないですよ。今日だって私のために怒ってくれたんでしょう」
「あ……まあ……あれは腹立ちますよ、それは」
そんなことより、レインはリーフェルトの表情の甘さに頭の中が滲むような感覚を味わった。この前、アヴァンで会った時もそうだったが、プライベートで二人きりの時に、リーフェルトの纏う空気には独特の艶がある。魅入られると吸い寄せられてしまう。花芯に誘われる蜜蜂のような気分だった。
リーフェルトはまるで子供にやるように、手を伸ばしレインの頭を撫でた。レインは顔が熱くなり、身体が火照るのを感じる。
今日は“なし”だと言っていてこれは……。
レインはリーフェルトのその手を掴んで、握った。ひんやりと冷たく、石膏で型取ったような整った手。レインはその手に口づけしたまま、口を開いた。
「少佐は本当にずるい……こうやって俺を誘惑して、それに耐えろと言う」
「誘惑してるつもりはないんですが」
「そう言えば済むと思っている、少佐の根性が気に入りません」
そう言って上目遣いで睨みつけたレインだったが、リーフェルトは声を上げて笑って、ごく自然な仕草でレインの手から手を引き抜いて囁いた。
「情事ってのはね……たまにあるのが妙味なんですよ」
紅茶でも入れましょう、とリーフェルトは立って行った。レインはしばらくその背中に恨みがましい視線を向けていたが、やがて全身の力が抜けた。
年季が違いすぎる。年の差は十二歳だが、色恋にかけてはその倍以上の開きを感じた。リーフェルトの前では自分はほんの子供のようだ、と思う。
相手に振り回されるにしても、今までのガールフレンドたちとは全く質が違う。ラミナのような女の子のわがままは純粋な苛立ちを感じたが、リーフェルトからは焦燥感と奇妙な悦びのようなものを与えられる。今は目の前にある宝石に手が届きそうで届かない、だけどいずれ手が届くという事はわかっているような、そんな感じだ。
加えて落差だ。職場では冷酷なまでに情事の存在を無視しているのに、こうしてプライベートな場所では嘘のように甘い表情を見せる。感情が揺さぶられる。
やがてリーフェルトがマグカップを二つ持って戻って来た。紅茶のいい香りがする。ふと思う。リーフェルトはこの生活感のない、まるでただの箱のような家で、毎日一人でお茶を飲んでいるのだろうかと。
「砂糖もミルクもありませんよ、私が使わないのでね」
「それは結構ですが……少佐の家はうつろすぎます……何かお好きなものとか、ないんですか」
紅茶に口をつけてレインが問う。さあて、とリーフェルトが考え込むような表情を浮かべた。
「あまり物を置くのが好きではないんですよ……軍人なんていつ死ぬかわかりません。その時にリーフェルトの野郎、山のように荷物を残しやがって、なんて言われるの、嫌じゃありませんか」
薄笑いを浮かべてそんなことを言う。レインはその顔に目が吸い付いて離れない。
しかしリーフェルトはそれに気が付いていながら、無視するように言った。
「来週から作戦のシミュレーションが始まります……場所はブルムバークの訓練場。作戦は極秘なので表向きは定期訓練となっていますが」
レインはすっと現実に引き戻された。
「Xデイは再来週の火曜、六月七日」
レインは頭の中でカレンダーを確認した。リーフェルトが口にしたように、軍人はいつ死ぬかわからない。少なくとも、命が補償されているのは再来週の火曜までということになる。かと言ってレインは、不思議と自分が死ぬとは思っていないのだが。
「君に帰る実家があれば、今週の週末にでも帰ったらいいですよ」
「残念ながら……親ももういないですし、きょうだいもいません」
それを聞いてリーフェルトは軽くうなずいた。
「カルダ海岸に貸バンガローがあって、私は週末、そこで過ごそうと思ってるんですが、君、一緒に行きませんか」
えっ、とレインはリーフェルトの顔を見返した。リーフェルトは唇に色香を乗せて微笑んだ。
「車を借りてきますから、どうです」
レインに否やはなかった。
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