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弟さんをください。
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まだ夢を見ているようだ。
『…宋平。聞いてるか?』
どうしようっ! もう夢でも最高かもしれないな!!
『ダメだね! 宋ちゃんもう意識が向こうの方に行ってるわ』
いやいや! こんな奇跡を夢でなんてっ…、だってボスと!
…ぐへへ、両想い…ぐふふ。
『宋平ってば嬉しそうだね』
不意に鼻を摘まれて驚くと目の前に座っていた兄ちゃんが呆れたような顔を浮かべながら手を引っ込める。そうだ、と思い出して隣を見ればボスが我が家のリビングで椅子に座っていた。
俺の方を見て仕方なさそうに笑うボスに、思わず応えるように一緒に笑う。
『…で?
アンタとは何度か会ったな。ったく、こんな形でもう一度会うことになるとは』
あれからすぐに兄弟へ婚約についての許しを貰う為に常春家へと来ている。久しぶりの自宅だったが、掃除などは定期的にしてもらって報道機関も政府によってキッパリ断り制限を付けていたからご近所もすぐに心配をして声を掛けてくれたらしい。
誤解だと兄たちからも口添えをすると、彼らは皆…報道機関に対して怒りを表していたと。少し心苦しいが兄ちゃんは何とか乗り切ったそうだ。
『…刃斬だ。当時のことを謝罪するつもりはねぇ。胸糞悪けりゃ俺は退席する』
兄ちゃんとバチバチに視線だけで戦っているのは刃斬だ。何を隠そうこの二人、殴った側と殴られた側である。刃斬は強気で言い返しているが、内心ではかなり焦っているのだろう。
だって車でめちゃくちゃ心配してたもんな、自分のせいで破談になったらどうしようって…。
『アンタが退席しようがしまいが、俺からの心象は大して変わらない。
俺にとって大切なのはアンタらが宋平を大切にして、これからも必ず護ってくれるかどうか。弟が幸せなら…まぁこの際、ヤクザだろうが目を瞑る。
…弟には敵が多過ぎた』
『兄ちゃん…』
自分たちではどうにもならない。頼りの政府だって、問題が起きなければ動けないし…内容によっては動いてすらくれないかもしれない。
だが、弐条会は違う。
『それに、運命の番なら流石に大切にしてくれるとも思う』
…ん?
運命の、番?
誰が?
『…おい。宋平に伝えてないのか? どう考えても当事者じゃありませんって顔だが』
『そういや言ってねェな』
誰と誰が? と視線だけでボスに問いかけると、先ず人差し指で俺。そこからその指がクルッと半回転して…ボス自身を指差した。
…はぁ!?
『運命?! えっ、俺とボスが?! なん、なんでそんっ、…は?!』
『オメガのお前とアルファの俺でな。目出度く番だ。長らく探してた運命が、まさか見つかるとはなァ』
聞いてない…。
唖然としているとふと左手を取られる。それを握ったボスは、とても幸せそうな顔で微笑みながらずっと手を繋いでくれる。
…そっ、か。俺じゃわからないからボスだけがわかるんだ。
運命…。俺と、ボスが…。
『まぁ、運命だとわかったのは最高に嬉しいが、俺としてはお前がなんであっても手を伸ばすと決めた。手放す度に後悔しかねェ。
…だからこそ、弟さんを迎え入れさせてほしい。必ず弐条が護ると誓う。家にも…家族にも、会いたいと言えば必ず顔を見せに来る。
成人まで手出しはしねェ。結婚も、それからで良い。今は婚約者としてどうか、認めてもらえないだろうか』
しっかりと頭を下げて乞うボスと同様に、背後で控えていた刃斬も深く頭を下げる。
眉間に皺を寄せた兄ちゃんが不意に俺の方を見るものだから、笑顔で頷く。
『…わかった。弟本人がそれを強く望むんだ。以前の…弐条さん、貴方の弟に対する姿勢はちゃんと見ていたつもりだ。
大切に育ててきた弟だ。…宜しくお願いします』
そっと兄ちゃんの後ろから現れる双子が、手にしていたクラッカーを鳴らす。煙臭い室内で咳込むとスマホからバースデーソングが流れ出す。
が、椅子に座った兄ちゃんが険しい顔を浮かべながら腕を組む。
『…てことで。弟は今日で十六歳だ。オメガであれば結婚も許される年齢だが…だがな! 弟には成人まで一切手を出すなよ!! わかったな?! キスまでだからなっ、それ以降はダメ絶対!』
『ケチーっ』
『そっ宋平!! ダメです、大人としてこれだけは譲れないっ! 成人ってもほら、十八! 十八だからっ、これはケジメなの!』
…後二年か。ちぇっ、長いなぁ。
『…ゴホン。てことで、まぁ…住居についても半々ってくらいにしてくれ。そっちで寝泊まりするのは構わないから、連絡だけはするように。
今まで通り、な?』
最後の台詞は言いながら笑顔だったが、物凄く含みのある笑顔だった。嘘はもう許さないと顔に書いてある。
『それにしても。まさかヤクザの親玉を婚約者に連れて来るとは…ったく…』
『まぁまぁ。あんなこともあったし、宋ちゃんにはそれくらいヤバい人たちに一緒にいてもらうってことで』
『宋平。これ、誕生日プレゼントだよ。おめでたいことばかりだけど、近々そっちに視察に行きたいな』
プレゼントを渡すまではニコニコしていたのに、最後の台詞はきっちりとボスの方を見てから言った蒼士。それに対しボスはしっかりと頷いて許可を出していた。
『弐条さん。ちょっと良いか。春から宋平が新学期に合わせて復学予定で、送り迎えについて相談したい』
『ああ。そっちが構わねェようなら、ウチで送迎は引き受けるぜ』
用意しておいで、と言う蒼二の言葉に頷いて部屋まで荷物を取りに行く。半々と言っていたなら衣類などはどうしようかと悩んでいたら、開けっぱなしの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
『入っても大丈夫か? 荷物があるなら持つが』
『あ! 兄貴ってば、お客様なんだからそんなことしなくても…』
ゆっくりお茶でも飲んでれば良いのに、と呟くと刃斬は懐かしむように出会った頃のことを語る。
『ふ、…お前の兄貴は緑茶だったな。あれを見た瞬間、懐かしくて声が出そうだった』
刃斬とボスに出されたお客さん用のカップと、高級な緑茶。以前俺が刃斬に出したのは麦茶とペットボトルだった。思えばあの日から全ては始まったのだ。
『だって兄貴が来た時は気が動転してカップが見つけられなくて。あの時は飲んだのに今日は遠慮したじゃないですか』
『この家には一応政府の連中が入ってるからな。…ボスが飲んだのは、誠意を見せたかったからだ。二人して万が一何かあったらな』
なるほど、そういう…。お茶を飲むことにそんな意味があるんだ。
鞄に衣類を入れようとして、どれくらい入れたら良いか聞くと気に入ってる物だけで良いと言われる。
『必要な分は買いに行くから平気だろ。城はまだ内部の家具なんかは揃えてねぇが、ビルの方にはお前の部屋もあるしな。服なんざ幾らでも入る』
『部屋? 部屋なんてありました?』
グッと鞄にお気に入りの服やらタオル、ボスから貰った服も詰めるとそれを受け取った刃斬がやれやれ、と言わんばかりの顔で教えてくれる。
『…あるだろ? ずっと空き部屋だった、ボスの私室のあるフロアに。ちゃんと掃除もしておいたし…後、ボスからのプレゼントも運んだから多分気にいるはずだ』
『私室…。
あのオメガの部屋、俺の部屋なんですか!?』
『そらそぉだろ。お前が正真正銘、ボスの運命であり番になるんだから』
え? …じゃあ、あの部屋って用意するだけ用意した空き部屋? 最初からボスには番もいなかったってことか?
『…あの部屋が全部俺の?』
『当たり前だろ。城の方に本格的な引越しが決まるまではな。安心しろ、中身も全部移す。
…気に入らなかったか? それならボスに言って新しく作り直すから、遠慮せず言えよ』
そんなことはない。あの部屋は確かにボス自身の匂いは薄かったけど、それだけが不満だった。少し可愛らしい装飾も、家具も…全部が自分には勿体ない。
早く行きたい。あの部屋に、もっと自分の荷物を増やして…そして、ボスに入ってもらうんだ。
『っ夢みたいだ。本当は、ずっと羨ましくて…憧れてたから。全部ボスが集めてくれたなんて、嬉し過ぎる…荷下ろしが楽しみです! 兄貴も手伝ってね!』
確かあのキャビネットは殆ど中身は空だったし、机の引き出しにはアレを入れたい!
色々と考えてもう一つの手提げ鞄に大切な荷物を詰めていると、そんな俺の後ろ姿を見て刃斬が心底嬉しそうに笑っていたとは…まるで気付かない。
『やっとあの部屋に一番大切で、必要だったモンが入れられるな。
宋平。あんまり一度に持つなよ。また取りに来れば良い。ボスの所に行くぞ』
『はい! ありがとう、兄貴。早く行きましょう!』
…そういえば、プレゼントもあるって。
プレゼントってなんだろうなぁ…楽しみだ!
.
『…宋平。聞いてるか?』
どうしようっ! もう夢でも最高かもしれないな!!
『ダメだね! 宋ちゃんもう意識が向こうの方に行ってるわ』
いやいや! こんな奇跡を夢でなんてっ…、だってボスと!
…ぐへへ、両想い…ぐふふ。
『宋平ってば嬉しそうだね』
不意に鼻を摘まれて驚くと目の前に座っていた兄ちゃんが呆れたような顔を浮かべながら手を引っ込める。そうだ、と思い出して隣を見ればボスが我が家のリビングで椅子に座っていた。
俺の方を見て仕方なさそうに笑うボスに、思わず応えるように一緒に笑う。
『…で?
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誤解だと兄たちからも口添えをすると、彼らは皆…報道機関に対して怒りを表していたと。少し心苦しいが兄ちゃんは何とか乗り切ったそうだ。
『…刃斬だ。当時のことを謝罪するつもりはねぇ。胸糞悪けりゃ俺は退席する』
兄ちゃんとバチバチに視線だけで戦っているのは刃斬だ。何を隠そうこの二人、殴った側と殴られた側である。刃斬は強気で言い返しているが、内心ではかなり焦っているのだろう。
だって車でめちゃくちゃ心配してたもんな、自分のせいで破談になったらどうしようって…。
『アンタが退席しようがしまいが、俺からの心象は大して変わらない。
俺にとって大切なのはアンタらが宋平を大切にして、これからも必ず護ってくれるかどうか。弟が幸せなら…まぁこの際、ヤクザだろうが目を瞑る。
…弟には敵が多過ぎた』
『兄ちゃん…』
自分たちではどうにもならない。頼りの政府だって、問題が起きなければ動けないし…内容によっては動いてすらくれないかもしれない。
だが、弐条会は違う。
『それに、運命の番なら流石に大切にしてくれるとも思う』
…ん?
運命の、番?
誰が?
『…おい。宋平に伝えてないのか? どう考えても当事者じゃありませんって顔だが』
『そういや言ってねェな』
誰と誰が? と視線だけでボスに問いかけると、先ず人差し指で俺。そこからその指がクルッと半回転して…ボス自身を指差した。
…はぁ!?
『運命?! えっ、俺とボスが?! なん、なんでそんっ、…は?!』
『オメガのお前とアルファの俺でな。目出度く番だ。長らく探してた運命が、まさか見つかるとはなァ』
聞いてない…。
唖然としているとふと左手を取られる。それを握ったボスは、とても幸せそうな顔で微笑みながらずっと手を繋いでくれる。
…そっ、か。俺じゃわからないからボスだけがわかるんだ。
運命…。俺と、ボスが…。
『まぁ、運命だとわかったのは最高に嬉しいが、俺としてはお前がなんであっても手を伸ばすと決めた。手放す度に後悔しかねェ。
…だからこそ、弟さんを迎え入れさせてほしい。必ず弐条が護ると誓う。家にも…家族にも、会いたいと言えば必ず顔を見せに来る。
成人まで手出しはしねェ。結婚も、それからで良い。今は婚約者としてどうか、認めてもらえないだろうか』
しっかりと頭を下げて乞うボスと同様に、背後で控えていた刃斬も深く頭を下げる。
眉間に皺を寄せた兄ちゃんが不意に俺の方を見るものだから、笑顔で頷く。
『…わかった。弟本人がそれを強く望むんだ。以前の…弐条さん、貴方の弟に対する姿勢はちゃんと見ていたつもりだ。
大切に育ててきた弟だ。…宜しくお願いします』
そっと兄ちゃんの後ろから現れる双子が、手にしていたクラッカーを鳴らす。煙臭い室内で咳込むとスマホからバースデーソングが流れ出す。
が、椅子に座った兄ちゃんが険しい顔を浮かべながら腕を組む。
『…てことで。弟は今日で十六歳だ。オメガであれば結婚も許される年齢だが…だがな! 弟には成人まで一切手を出すなよ!! わかったな?! キスまでだからなっ、それ以降はダメ絶対!』
『ケチーっ』
『そっ宋平!! ダメです、大人としてこれだけは譲れないっ! 成人ってもほら、十八! 十八だからっ、これはケジメなの!』
…後二年か。ちぇっ、長いなぁ。
『…ゴホン。てことで、まぁ…住居についても半々ってくらいにしてくれ。そっちで寝泊まりするのは構わないから、連絡だけはするように。
今まで通り、な?』
最後の台詞は言いながら笑顔だったが、物凄く含みのある笑顔だった。嘘はもう許さないと顔に書いてある。
『それにしても。まさかヤクザの親玉を婚約者に連れて来るとは…ったく…』
『まぁまぁ。あんなこともあったし、宋ちゃんにはそれくらいヤバい人たちに一緒にいてもらうってことで』
『宋平。これ、誕生日プレゼントだよ。おめでたいことばかりだけど、近々そっちに視察に行きたいな』
プレゼントを渡すまではニコニコしていたのに、最後の台詞はきっちりとボスの方を見てから言った蒼士。それに対しボスはしっかりと頷いて許可を出していた。
『弐条さん。ちょっと良いか。春から宋平が新学期に合わせて復学予定で、送り迎えについて相談したい』
『ああ。そっちが構わねェようなら、ウチで送迎は引き受けるぜ』
用意しておいで、と言う蒼二の言葉に頷いて部屋まで荷物を取りに行く。半々と言っていたなら衣類などはどうしようかと悩んでいたら、開けっぱなしの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
『入っても大丈夫か? 荷物があるなら持つが』
『あ! 兄貴ってば、お客様なんだからそんなことしなくても…』
ゆっくりお茶でも飲んでれば良いのに、と呟くと刃斬は懐かしむように出会った頃のことを語る。
『ふ、…お前の兄貴は緑茶だったな。あれを見た瞬間、懐かしくて声が出そうだった』
刃斬とボスに出されたお客さん用のカップと、高級な緑茶。以前俺が刃斬に出したのは麦茶とペットボトルだった。思えばあの日から全ては始まったのだ。
『だって兄貴が来た時は気が動転してカップが見つけられなくて。あの時は飲んだのに今日は遠慮したじゃないですか』
『この家には一応政府の連中が入ってるからな。…ボスが飲んだのは、誠意を見せたかったからだ。二人して万が一何かあったらな』
なるほど、そういう…。お茶を飲むことにそんな意味があるんだ。
鞄に衣類を入れようとして、どれくらい入れたら良いか聞くと気に入ってる物だけで良いと言われる。
『必要な分は買いに行くから平気だろ。城はまだ内部の家具なんかは揃えてねぇが、ビルの方にはお前の部屋もあるしな。服なんざ幾らでも入る』
『部屋? 部屋なんてありました?』
グッと鞄にお気に入りの服やらタオル、ボスから貰った服も詰めるとそれを受け取った刃斬がやれやれ、と言わんばかりの顔で教えてくれる。
『…あるだろ? ずっと空き部屋だった、ボスの私室のあるフロアに。ちゃんと掃除もしておいたし…後、ボスからのプレゼントも運んだから多分気にいるはずだ』
『私室…。
あのオメガの部屋、俺の部屋なんですか!?』
『そらそぉだろ。お前が正真正銘、ボスの運命であり番になるんだから』
え? …じゃあ、あの部屋って用意するだけ用意した空き部屋? 最初からボスには番もいなかったってことか?
『…あの部屋が全部俺の?』
『当たり前だろ。城の方に本格的な引越しが決まるまではな。安心しろ、中身も全部移す。
…気に入らなかったか? それならボスに言って新しく作り直すから、遠慮せず言えよ』
そんなことはない。あの部屋は確かにボス自身の匂いは薄かったけど、それだけが不満だった。少し可愛らしい装飾も、家具も…全部が自分には勿体ない。
早く行きたい。あの部屋に、もっと自分の荷物を増やして…そして、ボスに入ってもらうんだ。
『っ夢みたいだ。本当は、ずっと羨ましくて…憧れてたから。全部ボスが集めてくれたなんて、嬉し過ぎる…荷下ろしが楽しみです! 兄貴も手伝ってね!』
確かあのキャビネットは殆ど中身は空だったし、机の引き出しにはアレを入れたい!
色々と考えてもう一つの手提げ鞄に大切な荷物を詰めていると、そんな俺の後ろ姿を見て刃斬が心底嬉しそうに笑っていたとは…まるで気付かない。
『やっとあの部屋に一番大切で、必要だったモンが入れられるな。
宋平。あんまり一度に持つなよ。また取りに来れば良い。ボスの所に行くぞ』
『はい! ありがとう、兄貴。早く行きましょう!』
…そういえば、プレゼントもあるって。
プレゼントってなんだろうなぁ…楽しみだ!
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