[完結]嘆いてもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

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1.プロローグ

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モナリーンは、牢の中で絶望し震えながら涙を流した。



ライア神聖王国の王女として生を受けたモナリーンは、20歳の時にガイグロア王国へ嫁いできた。婚約者のクロア・ガイグロアは当時15歳でガイグロア王に即位した。若すぎる即位に、王妃となるモナリーンの苦労は目に見えていた。周囲からの反発はあったが、モナリーンはクロアを愛していた。数年前に婚約が決まってすぐ、幼いクロアがモナリーンを一生守ると約束してくれた。一緒に過ごしたのは短い期間だったが、モナリーンは、愛するクロアを、生涯をかけて支えると心に決めていた。

かりそめの結婚式は王が結婚するとは思えないほど質素だった。
モナリーンとクロアは夫婦になった。婚姻は模擬的な物で、若すぎる王が成人してから正式に結婚する事が決まっていた。

結婚式の日、モナリーンは15歳のクロアを見て、僅かな違和感を覚えた。酷く緊張しているのか、クロアの表情は硬く険しい。モナリーンも異国に嫁ぎ緊張していた。これから、一生を共にするのだ。時間は幾らでもあると思っていた。

ガイグロア国へ嫁いでから、モナリーンの忙しい日々が始まった。モナリーンは俊才で飛び級を繰り返し15歳で大学を卒業していた。15歳の夫の代わりにモナリーンが政務をこなす日々が始まる。夫は学院に通い、城の部屋も別でほとんど会う機会がない。

ガイグロア国は小国だが、王と王妃の政務をこなさないといけないモナリーンは日々疲れ果てていた。

徐々に可笑しいと思い出したのはいつだっただろう。

クロアの事を愛している。幼い時の約束を今でも覚えている。
逢う機会が少なくても、正式に結婚したら変わるはずだと、そう思っていた。

でも、クロアはそうではなかった。

成人を迎える年の舞踏会で夫のクロアは、美しい娘と共に来場した。
妻であるモナリーンではない娘と。

モナリーンはその場で酷く断罪され、あらぬ罪をきせられ牢へ入れられた。

何日も何晩も待っても夫は来ない。




暗くすえた匂いのする冷たい牢で鎖に繋がれたままモナリーンは思う。

どうしても信じられない。

夢ならいいのに。

この現実が夢ならいいのに。

何度も何度もそう思う。

どう足掻けば、この現実から抜け出せるのか。

どう羽ばたけば、この現実から離れられるのか。


どう、、、、


夢じゃない。


私はあの人を失った。

あの人は、もう私の事を愛していない。

あの人は、もう私の元へ戻らない。

夢のような過去を忘れる事がどうしても出来ない。

目を閉じれば、

幸せだったあの時を、

未来を信じていたあの時を、

今もまだ歩き続けているかのように思い出す事ができるのに。




どうして、

どうしてなの、

悲しくて辛くて仕方がない。

ああ、まだ私は貴方を愛している。

でも貴方は、、、




怒りと恨みが混ざった愛を貴方にどうしても伝えたい。

私の辛さと苦しみを貴方とどうしても分かち合いたい。

でももう貴方は私の元から去ってしまった。

伝えられない。伝わらない。

だから、、、







嘆いてもいいでしょうか?




モナリーンは、項垂れながら牢の向こうを睨みつけた。

愛するクロア王に心を込めて。

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