23 / 41
第23話 宰相
しおりを挟む
ミライザはグランにエスコートされながら、控え室から出て行った。扉の前に立つ衛兵をよく見ると、帝国近衛兵の制服を着ている。
(凄く動揺していたけど、グランの身分に気づかないなんて信じられない。もっと研究以外の事にも興味を持てば良かった。)
グランの手は大きくて暖かく、安心感がある。グランは、ミライザの手を包み込むように握り、腕を絡めている。
しばらく進むと裏口が見えてきた。皇族専用出入り口まで用意されているみたいだ。
「グラン。そちらが君が選んだ婚約者か?」
裏口には、白髪が混じった50代の男性が佇んでいた。深い皺を眉間に寄せて、ミライザを値踏みするように見てくる。
「叔父上。お久しぶりです。どうしてこちらに?」
グランから叔父上と呼ばれた目の前の男性は、宰相の地位についている皇弟かもしれない。
「ああ、少し用事があってね。パーティでの騒動は聞いたよ。お前が婚約者を本当に見つけてくるとは意外だったな。しかもこんな美人を」
ミライザは、急にゾクリと寒気を感じ、後ろを振り返った。
廊下の向こうで黒い人影が横切った気がする。
気になり目を凝らすが、何も見えなかった。
「叔父上こそ、結婚はされないのですか?隣国の女性と付き合っているとお聞きしましたが?」
「ははは、私は妻をもう娶る予定はない。この世に美しい女性は沢山いる。妻に縛られるのは二度とごめんだな。グランは、上手く逃げ回って遊んでばかりいると思っていたがな。その様子では私の気のせいだったのかな。」
宰相は、急にミライザに身を寄せてきて言った。
「グランに愛想が尽きたらいつでも私の所へおいで。美しいお嬢さん」
「叔父上!」
「ははは、冗談だよ」
「いい加減にしてください。失礼します」
グランは、宰相を強く睨み、ミライザを引き寄せて歩き出した。
「叔父は仕事がとてもできる人なんだけど女遊びも激しくて、何度も問題を起こしているんだ。以前隣国の王女に手を出してしまって、それから国外外交は僕が任される事になった。ミライザも気をつけてね」
「ええ、でも私が宰相殿と関わる事なんてないでしょう?」
「勿論。僕がついているから大丈夫だよ」
(凄く動揺していたけど、グランの身分に気づかないなんて信じられない。もっと研究以外の事にも興味を持てば良かった。)
グランの手は大きくて暖かく、安心感がある。グランは、ミライザの手を包み込むように握り、腕を絡めている。
しばらく進むと裏口が見えてきた。皇族専用出入り口まで用意されているみたいだ。
「グラン。そちらが君が選んだ婚約者か?」
裏口には、白髪が混じった50代の男性が佇んでいた。深い皺を眉間に寄せて、ミライザを値踏みするように見てくる。
「叔父上。お久しぶりです。どうしてこちらに?」
グランから叔父上と呼ばれた目の前の男性は、宰相の地位についている皇弟かもしれない。
「ああ、少し用事があってね。パーティでの騒動は聞いたよ。お前が婚約者を本当に見つけてくるとは意外だったな。しかもこんな美人を」
ミライザは、急にゾクリと寒気を感じ、後ろを振り返った。
廊下の向こうで黒い人影が横切った気がする。
気になり目を凝らすが、何も見えなかった。
「叔父上こそ、結婚はされないのですか?隣国の女性と付き合っているとお聞きしましたが?」
「ははは、私は妻をもう娶る予定はない。この世に美しい女性は沢山いる。妻に縛られるのは二度とごめんだな。グランは、上手く逃げ回って遊んでばかりいると思っていたがな。その様子では私の気のせいだったのかな。」
宰相は、急にミライザに身を寄せてきて言った。
「グランに愛想が尽きたらいつでも私の所へおいで。美しいお嬢さん」
「叔父上!」
「ははは、冗談だよ」
「いい加減にしてください。失礼します」
グランは、宰相を強く睨み、ミライザを引き寄せて歩き出した。
「叔父は仕事がとてもできる人なんだけど女遊びも激しくて、何度も問題を起こしているんだ。以前隣国の王女に手を出してしまって、それから国外外交は僕が任される事になった。ミライザも気をつけてね」
「ええ、でも私が宰相殿と関わる事なんてないでしょう?」
「勿論。僕がついているから大丈夫だよ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
42
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる