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7.燃えてもいいでしょうか?
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「…愛しているわ」
ねっとりとした女の声で私は目を覚ました。重い瞼をゆっくりと開けると、冷たい床に倒れた私の目の前で、男女が抱き合い、濃厚なキスをしている。
長い青髪に紺色のドレスを着た派手な美人は義姉のルーナだ。義姉と抱き合っている茶髪のぽっちゃりとした男性は、初めて見る人物だった。
私は、ゆっくりと腕に力を入れて起き上がった。
二人は、私に気が付かずディープキスを続けている。
正直、美男美女のカップルのキスは美しいと思う。お金を払ってでも見る価値がある。
義姉のルーナは美人だが不摂生がたたりよく見ると肌がボロボロで、化粧でなんとか保っている。相手の男性も、ふくよかな体に目の下の隈、たるんだ体。
正直好みじゃない。
美しくない。
観覧料なんて払えない。むしろ迷惑料を取りたい。
公共猥褻罪で捕まってほしい。
私は、縛られた両手を動かして、スカパン下のガーターベルトのナイフを出した。
存在が公害の二人がイチャイチャしている間に、両手の縄をナイフで切る。
なぜか、あらわになっていた胸元の星形のペンダントを服に仕舞い、周囲を見渡した。
どうやら、ここは古い倉庫の中らしい。地面には無数の足跡が残されており、沢山の人間が出入りした事がわかる。
キスがいつまでも終わりそうにない。時々唇を離して見つめ合いまたキスを再開する。
しつこい。もうお腹いっぱい。止めてくれ。
(もう勝手に出て行っていいかな)
私は、立ち上がり、そろそろと、倉庫の出口へ向かって移動し始めた。
キスをする二人の横を通り過ぎようとした時、義姉と目が合ってしまった。
姉は、私に向かって言った。
「ミーナ!どうして!縛っていた縄はどうしたの?」
私は、ゆっくりと出口へ後ずさりしながら言う。
「あの?お義姉様。お久しぶりです。縄はお返ししますね。直ぐに切れたので、ちょっと耐久性が低いかと。つぎはもっと頑丈な物を用意した方がいいですよ」
「ミーナ!こっちへ来なさい。貴方は、ここに残るの。タリム様捕まえて」
「え?嫌ですよ。薄暗いし、汚いし、お義姉様に譲ります」
「おい。お前、逃げるな!」
タリムと呼ばれた茶髪の白い豚が追いかけてくる。
私は、慌てて逃げ出した。
「待ちなさい!ミーナ」
義姉のルーナはぶっ飛んでいると思っていたけど、男の好みがかなり特殊だと思う。あれだけ美形の婚約者に手を出さずに、茶髪の白豚と愛し合うなんて。
だめだ、恋バナを一緒にしても盛り上がれそうにない。
ミーナは、鬼気迫る様相で追いかけてくる二人を置いて、倉庫のドアを開き外へ飛び出した。
柵を飛び越え、目の前の古い屋敷に入りドアを閉めて閂をかける。
外から、怒鳴り声が聞こえてくる。
「ミーナ!開けなさい。」
「おい!出てこい。娘」
ザワザワ、ザワザワ
どうやら中までで入ってこられないようだ。
ミーナは、古い屋敷の奥へ進んだ。屋敷の中は埃だらけで、数十年誰も住んでいなかったようだ。大きな肖像画はすべて刃物で切り刻まれ、描かれていた人物が分からなくなっている。何度か強盗が入ったのかもしれない。部屋の中は荒らされ、カーテンや絨毯まで切り刻まれていた。
2階に上り、玄関を見た。ルーナとタリム以外にも数人の人物が集まってきている。
「この屋敷に凶悪犯が逃げ込んだ」
「国宝を盗んだ重罪人だ」
「燃やせ!殺せ」
あまりにも過激な発言に私は驚く。
悪い予感に震えていると、火矢が飛んできて窓の近くの壁に刺さった。すぐにカーテンに燃え移り、屋敷の中に火が侵入してくる。
私は、急いで階段へ向かった。
階段を降りると、1階は既に火の海になっていた。移動できない。
振り返ると階段にも火が燃え広がっている
左にキッチンが見える。そっちはまだ歩いて移動できそうだ。
私は、口元に布を当て、キッチンへ体を低く屈みながら移動した。
焦げ臭く、息苦しい。
キッチンにたどり着いた瞬間。
バキバキバキ
上から大きな燃え盛る梁が落ちてきた。
(もうだめだ!)
私は両手で頭を抱え目を閉じてしゃがみ込んだ。
パキパキ、ガシャーン、ゴーゴー
音が聞こえる。だけど熱くない。いつの間にか呼吸も楽になっている。臭くない。
もしかしてもう死んでしまったのか?
私はゆっくりと目を開けた。
私の周りにドーム型の空間がある。光の膜のようなものが私を守っている。
膜の向こうは、轟轟とした炎が全てを焼き付くし、なにもかも壊していっている。
激しい炎の音は聞こえるのに、全然熱くも痛くもない。
「なにこれ?」
ふと、母の形見のペンダントが温かい気がして、胸から出して確認した。
星形のペンダントは熱を持ちながら光り輝いていた。
もうどのくらい時間がたったのだろう。
ドームの中は心地よくて安全だ。上から降ってくる火の粉も、がれきもドームを避けるように逸れて中に入ってこない。轟轟と燃えるがれきに囲まれた安全なドーム。つまり移動が出来そうにない。
私は、横になって睡眠をとる事にした。
マクスフェア侯爵家に嫁いでから、本当に寝不足だ。そもそもルーナが婚約者に手を出していない事を知っていたら、こんなにサービスする必要なんてなかったのに、ただでいろいろする事になって損をした気分だ。
相変わらず馬鹿なルーナが何を考えているか分からないが、もう本人が見つかった事だし、彼女がマクスフェア侯爵家へ行くだろう。今日はマクスフェア夫妻に会えなかったが、義理とはいえ息子が結婚するのだ。しばらく王都に滞在するだろう。幾らでもチャンスがある。
降り注ぐ火がドーム状の膜に当たり流れ落ちる様子を見ながら、私は眠りについた。
どのくらい寝ていただろう。
暗闇の中、光が差してくる。光に誘われ私は、目を開いた。
瓦礫を、取り除く音がする。助けが来たみたいだ。大きなスコップで、がれきが撤去される。
そこにはローガンがいた。光を背に負い私に手を伸ばしてくる。
「ミーナ?無事でよかった」
私は、ローガンの方へ手を伸ばした。私の手が膜をすり抜けた瞬間、パリンと小さく音がして何かが消えた。ローガンは私の手を取り、思いっきり引き出した。
ガラガラグシャ。
私のいた場所はすぐに瓦礫の中に埋もれた。
「ミーナ。ギブソンを問い詰めたら君の事を教えてくれた。火事に巻き込まれるなんて、良かった無事で」
「ローガン。助けてくれてありがとう」
「でも、どうしてここに?なにがあった」
「それが、ルーナ義姉様と、タリム白豚が追いかけてきて」
「白豚?」
「ええ、二人が濃厚なキスをしている所を見たの。気持ち悪かったわ」
「それってタリム王子の事?」
「え?王子って白豚なの?さすがにそれは違うと思うけど」
「…一緒に帰ろう。ミーナ」
「うーん。マクスフェア家には、ルーナ義姉様がいるでしょう。貴方の本当の婚約者が戻ったのなら、私はマクスフェア家には行けないわ」
「俺の婚約者は君だけだよ。マクスフェア侯爵家が嫌なら別の場所に連れて行くよ。」
「そうね。じゃあ、一緒に行こうかな」
(さすがに、疲れたわ。今度こそマクスフェア前侯爵夫妻に会えるよね)
私は、ローガンの逞しい胸板に縋りついた。
ねっとりとした女の声で私は目を覚ました。重い瞼をゆっくりと開けると、冷たい床に倒れた私の目の前で、男女が抱き合い、濃厚なキスをしている。
長い青髪に紺色のドレスを着た派手な美人は義姉のルーナだ。義姉と抱き合っている茶髪のぽっちゃりとした男性は、初めて見る人物だった。
私は、ゆっくりと腕に力を入れて起き上がった。
二人は、私に気が付かずディープキスを続けている。
正直、美男美女のカップルのキスは美しいと思う。お金を払ってでも見る価値がある。
義姉のルーナは美人だが不摂生がたたりよく見ると肌がボロボロで、化粧でなんとか保っている。相手の男性も、ふくよかな体に目の下の隈、たるんだ体。
正直好みじゃない。
美しくない。
観覧料なんて払えない。むしろ迷惑料を取りたい。
公共猥褻罪で捕まってほしい。
私は、縛られた両手を動かして、スカパン下のガーターベルトのナイフを出した。
存在が公害の二人がイチャイチャしている間に、両手の縄をナイフで切る。
なぜか、あらわになっていた胸元の星形のペンダントを服に仕舞い、周囲を見渡した。
どうやら、ここは古い倉庫の中らしい。地面には無数の足跡が残されており、沢山の人間が出入りした事がわかる。
キスがいつまでも終わりそうにない。時々唇を離して見つめ合いまたキスを再開する。
しつこい。もうお腹いっぱい。止めてくれ。
(もう勝手に出て行っていいかな)
私は、立ち上がり、そろそろと、倉庫の出口へ向かって移動し始めた。
キスをする二人の横を通り過ぎようとした時、義姉と目が合ってしまった。
姉は、私に向かって言った。
「ミーナ!どうして!縛っていた縄はどうしたの?」
私は、ゆっくりと出口へ後ずさりしながら言う。
「あの?お義姉様。お久しぶりです。縄はお返ししますね。直ぐに切れたので、ちょっと耐久性が低いかと。つぎはもっと頑丈な物を用意した方がいいですよ」
「ミーナ!こっちへ来なさい。貴方は、ここに残るの。タリム様捕まえて」
「え?嫌ですよ。薄暗いし、汚いし、お義姉様に譲ります」
「おい。お前、逃げるな!」
タリムと呼ばれた茶髪の白い豚が追いかけてくる。
私は、慌てて逃げ出した。
「待ちなさい!ミーナ」
義姉のルーナはぶっ飛んでいると思っていたけど、男の好みがかなり特殊だと思う。あれだけ美形の婚約者に手を出さずに、茶髪の白豚と愛し合うなんて。
だめだ、恋バナを一緒にしても盛り上がれそうにない。
ミーナは、鬼気迫る様相で追いかけてくる二人を置いて、倉庫のドアを開き外へ飛び出した。
柵を飛び越え、目の前の古い屋敷に入りドアを閉めて閂をかける。
外から、怒鳴り声が聞こえてくる。
「ミーナ!開けなさい。」
「おい!出てこい。娘」
ザワザワ、ザワザワ
どうやら中までで入ってこられないようだ。
ミーナは、古い屋敷の奥へ進んだ。屋敷の中は埃だらけで、数十年誰も住んでいなかったようだ。大きな肖像画はすべて刃物で切り刻まれ、描かれていた人物が分からなくなっている。何度か強盗が入ったのかもしれない。部屋の中は荒らされ、カーテンや絨毯まで切り刻まれていた。
2階に上り、玄関を見た。ルーナとタリム以外にも数人の人物が集まってきている。
「この屋敷に凶悪犯が逃げ込んだ」
「国宝を盗んだ重罪人だ」
「燃やせ!殺せ」
あまりにも過激な発言に私は驚く。
悪い予感に震えていると、火矢が飛んできて窓の近くの壁に刺さった。すぐにカーテンに燃え移り、屋敷の中に火が侵入してくる。
私は、急いで階段へ向かった。
階段を降りると、1階は既に火の海になっていた。移動できない。
振り返ると階段にも火が燃え広がっている
左にキッチンが見える。そっちはまだ歩いて移動できそうだ。
私は、口元に布を当て、キッチンへ体を低く屈みながら移動した。
焦げ臭く、息苦しい。
キッチンにたどり着いた瞬間。
バキバキバキ
上から大きな燃え盛る梁が落ちてきた。
(もうだめだ!)
私は両手で頭を抱え目を閉じてしゃがみ込んだ。
パキパキ、ガシャーン、ゴーゴー
音が聞こえる。だけど熱くない。いつの間にか呼吸も楽になっている。臭くない。
もしかしてもう死んでしまったのか?
私はゆっくりと目を開けた。
私の周りにドーム型の空間がある。光の膜のようなものが私を守っている。
膜の向こうは、轟轟とした炎が全てを焼き付くし、なにもかも壊していっている。
激しい炎の音は聞こえるのに、全然熱くも痛くもない。
「なにこれ?」
ふと、母の形見のペンダントが温かい気がして、胸から出して確認した。
星形のペンダントは熱を持ちながら光り輝いていた。
もうどのくらい時間がたったのだろう。
ドームの中は心地よくて安全だ。上から降ってくる火の粉も、がれきもドームを避けるように逸れて中に入ってこない。轟轟と燃えるがれきに囲まれた安全なドーム。つまり移動が出来そうにない。
私は、横になって睡眠をとる事にした。
マクスフェア侯爵家に嫁いでから、本当に寝不足だ。そもそもルーナが婚約者に手を出していない事を知っていたら、こんなにサービスする必要なんてなかったのに、ただでいろいろする事になって損をした気分だ。
相変わらず馬鹿なルーナが何を考えているか分からないが、もう本人が見つかった事だし、彼女がマクスフェア侯爵家へ行くだろう。今日はマクスフェア夫妻に会えなかったが、義理とはいえ息子が結婚するのだ。しばらく王都に滞在するだろう。幾らでもチャンスがある。
降り注ぐ火がドーム状の膜に当たり流れ落ちる様子を見ながら、私は眠りについた。
どのくらい寝ていただろう。
暗闇の中、光が差してくる。光に誘われ私は、目を開いた。
瓦礫を、取り除く音がする。助けが来たみたいだ。大きなスコップで、がれきが撤去される。
そこにはローガンがいた。光を背に負い私に手を伸ばしてくる。
「ミーナ?無事でよかった」
私は、ローガンの方へ手を伸ばした。私の手が膜をすり抜けた瞬間、パリンと小さく音がして何かが消えた。ローガンは私の手を取り、思いっきり引き出した。
ガラガラグシャ。
私のいた場所はすぐに瓦礫の中に埋もれた。
「ミーナ。ギブソンを問い詰めたら君の事を教えてくれた。火事に巻き込まれるなんて、良かった無事で」
「ローガン。助けてくれてありがとう」
「でも、どうしてここに?なにがあった」
「それが、ルーナ義姉様と、タリム白豚が追いかけてきて」
「白豚?」
「ええ、二人が濃厚なキスをしている所を見たの。気持ち悪かったわ」
「それってタリム王子の事?」
「え?王子って白豚なの?さすがにそれは違うと思うけど」
「…一緒に帰ろう。ミーナ」
「うーん。マクスフェア家には、ルーナ義姉様がいるでしょう。貴方の本当の婚約者が戻ったのなら、私はマクスフェア家には行けないわ」
「俺の婚約者は君だけだよ。マクスフェア侯爵家が嫌なら別の場所に連れて行くよ。」
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