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第一章
入宮
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蘇我の一族が用意してくれた豪華な衣装と嫁入り道具と一緒に私は入宮した。雪のように真っ白な着物を身に着け、ゆっくりと本宮へ進んでいく。前方を歩く蘇我の叔父や母は誇らしそうにしている。本来なら妃である私は、結婚後も蘇我の屋敷で夫の訪れを待つはずだった。蘇我一族は皇后と変わらない扱いを受ける私に気をよくしている。
「本当に美しい姫様だ。」
「皇太子もうれしい事だろう。」
「本宮に迎え入れられるとは、蘇我の勢力が強まるな。」
「あの姿を見ろ。しぐさも神々しい。」
胸を張り、私は本宮の中に踏み込んだ。
本宮の東奥宮を私の居室として与えられた。広間で蘇我の一族代表と皇太子と私で祝宴を上げる。蘇我からは兄の大兄皇子、母、叔父の蘇我馬子が参加している。従弟の穴穂部皇子は来ておらず私はほっとしていた。
鯛や山菜、海藻や魚介の豪華な婚礼料理が並ぶ。澄み渡ったお酒を口につけて婚礼は進んでいった。
夜が更け、蘇我の一族は屋敷へ帰っていった。私は、用意された居室に座っていた。豪華でにぎやかな宴を終え、まだ夢の中にいるように感じる。
夫となった他田大王が部屋へ入ってきた。
私と結婚する直前に、大王が亡くなった。新たに大王に選ばれたのは他田皇子であった。
「額田部姫。疲れていないか?」
「はい。大王様。」
「ははは、姫は相変わらず美しい。いや、もう私の妃だな。私は幸せだよ。こんなに美しい姫を娶れたのだから。」
「私も幸せです。初めてお会いした時から、お慕い申していました。」
「ああ、大事にするよ。額田部。」
その日、私は他田大王と結ばれた。婚礼の日から、毎晩大王は私の居室に訪れる。
私は幸せだった。憧れだった本宮には苦手な従弟もおらず、私を守ってくれる大王の側にいられる。
「姫様。起きてくださいませ。」
「なに?」
蘇我の屋敷から付いてきてくれた召使の花が私に声をかけてきた。
大王はすでに公務へ出かけられており、私は昼頃まで休んでいる事が多い。午前中に起こされるのは本宮に来てから初めてだった。
「大変です。南奥宮の広姫様の使いの者が来られています。東の妃様が来られないと茶会が始められないとお怒りとの事です。」
「茶会?そんな事言われていたかしら?」
「いいえ、私も初めて聞きました。ですが、姫様が出てこられるまで部屋の前で待つと、、、」
そう花と話をしていると、私の居室にドタドタと数人が入ってくる音が聞こえてきた。
「本当に美しい姫様だ。」
「皇太子もうれしい事だろう。」
「本宮に迎え入れられるとは、蘇我の勢力が強まるな。」
「あの姿を見ろ。しぐさも神々しい。」
胸を張り、私は本宮の中に踏み込んだ。
本宮の東奥宮を私の居室として与えられた。広間で蘇我の一族代表と皇太子と私で祝宴を上げる。蘇我からは兄の大兄皇子、母、叔父の蘇我馬子が参加している。従弟の穴穂部皇子は来ておらず私はほっとしていた。
鯛や山菜、海藻や魚介の豪華な婚礼料理が並ぶ。澄み渡ったお酒を口につけて婚礼は進んでいった。
夜が更け、蘇我の一族は屋敷へ帰っていった。私は、用意された居室に座っていた。豪華でにぎやかな宴を終え、まだ夢の中にいるように感じる。
夫となった他田大王が部屋へ入ってきた。
私と結婚する直前に、大王が亡くなった。新たに大王に選ばれたのは他田皇子であった。
「額田部姫。疲れていないか?」
「はい。大王様。」
「ははは、姫は相変わらず美しい。いや、もう私の妃だな。私は幸せだよ。こんなに美しい姫を娶れたのだから。」
「私も幸せです。初めてお会いした時から、お慕い申していました。」
「ああ、大事にするよ。額田部。」
その日、私は他田大王と結ばれた。婚礼の日から、毎晩大王は私の居室に訪れる。
私は幸せだった。憧れだった本宮には苦手な従弟もおらず、私を守ってくれる大王の側にいられる。
「姫様。起きてくださいませ。」
「なに?」
蘇我の屋敷から付いてきてくれた召使の花が私に声をかけてきた。
大王はすでに公務へ出かけられており、私は昼頃まで休んでいる事が多い。午前中に起こされるのは本宮に来てから初めてだった。
「大変です。南奥宮の広姫様の使いの者が来られています。東の妃様が来られないと茶会が始められないとお怒りとの事です。」
「茶会?そんな事言われていたかしら?」
「いいえ、私も初めて聞きました。ですが、姫様が出てこられるまで部屋の前で待つと、、、」
そう花と話をしていると、私の居室にドタドタと数人が入ってくる音が聞こえてきた。
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