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元クラスメイト達
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今日は、一般科3学年の委員長から連絡があり、私は約束した場所へ向かっていた。
学術院の貴族科と一般科の境は広場になっており、中央には噴水がある。
今日はそこで待ち合わせをしており、時間通りに向かう。
噴水の場所には、二人の女性が待っていた。
一人は以前話を聞いた委員長で、もう一人友達だろうか。
「待たせたかな?」
「いいえ。リアム様。私達も、今来た所です。」
前回と同様に委員長は私をウットリと見ながら話しかけてくる。
「あの、この子はこの前伝えていた友人のレイナです。リアム様のファンらしくて、いろんな事を教えてくれたんです。
なんだか今日は緊張しているみたいで、、」
レイナと言われた子は、私を見ずに俯いていた。金がかかった赤髪で、スラリとした女性だった。
「そうなんだ。はじめまして、レイナ。よろしくね。」
そう声をかけると驚いたように身体を震わせた。
「もう、レイナ。貴方が何度も素敵って言っていたリアム様じゃない。」
「いいよ。さっそくだけど、マリーについて何かわかった事があった?」
「ええ、はい。実際にマリーが誰かと居た所を見た子がいたわけじゃ無いんですけど、一人気になる事を言っていた隣のクラスの子がいました。
その子はあの日、講義に遅刻して、時間を潰そうと屋上に行ったらしいんです。
すると屋上のドアの向こうで話す声が聞こえたから、屋上には入らずに移動したって言ってました。
マリーが死んだ日から数日たって、あの直後に人が屋上から飛び降りたと気がついたらしくて教えてくれたんです。
男女が話し合う声がしたって言ってました。」
「そうなんだ。ありがとう。」
リアムが誰かと屋上にいたという事は、自殺じゃないかもしれない。
後は誰と一緒にいたのか?
「あの、、リアム様。」
考えているとレイナから急に話しかけられた。
「あの、私もリアム様のお役に立ちたいので、一緒に調べてもいいですか?」
「ああ、構わないけど。いいの?」
「はい。よろしくお願いします。リアム様。」
レイナに言われ、私はにっこりと笑い返答した。
「こちらこそよろしく。レイナ。」
学術祭が終わり、後一ヶ月程するとテストが始まる。その後は冬季休業の為、学術院は休みに入る。
肌寒い風邪を感じながら、生徒会室へ私は向かった。
生徒会補佐を続ける事になった後、生徒会室へは毎日のように行っている。
一度、約束の時間に生徒会室へ行かなかったら、生徒会長のルーガス自らが迎えに来てしまい、クラスが騒然となった。ルーガスは4学年の為、来年には卒業となる。
皇太子教育も終わり、婚約者を決めれば卒業後すぐにでも即位するとも言われている。
(でもクロエ様が筆頭婚約者候補なはずだけど、そんな感じじゃ無いんだよね。)
クロエはザイルと一緒にどこかへ行く事が時々ある。その時はだいたいリアムがルーガスの相手をする事になる。
生徒会副会長のロイから聞いた話だと、皇太子は帝都へ出て金髪の娘や男と定期的に楽しんでいたらしい。
最近はリアムが相手をしているので、帝都へ皇太子が行く事が減り助かっていると言われた。
(皇太子にはなんだかバレてる気がするんだよね。)
ルーガスはよくリアムを触ってくる。リアムはコルセットを巻いているし、股間も保護している。だから大丈夫だと思うが、何度もズボンの中に手を入れられ揉まれている。
どんどん接触が増えており、リアムも翻弄され、気持ちがよくて、触れ合っている最中には何がダメなのかよく分からなくなってしまう。
(冬季休暇になったら家に帰らないと。)
運良くお咎めがなしだった興奮剤についてはまだ両親に伝えていない。溺愛していたリアムが犯罪に手を染めていた可能性があると両親が知ったどうなるか心配だった。
私が生徒会室へ着き、中に入ると今日は全員揃っていた。
私に気づいたルーガスが手招きしてくる。ルーガスの元に行くと、抱きしめられ、いつものように膝に乗せられる。
ローズが居なくなってから、リアムの机や椅子も片付けられ、ルーガスの近くに座らされるようになった。
ルーガスは周りに見られている事が気にならないらしく、いつも私だけが赤くなってしまう。
「本当にリアムがいて助かるわ。ルーガスも、もっと早く手を出してくれたら良かったのに。どれだけ私達が苦労した事か。 」
「酷いな。クロエ。ザイルを俺が護衛で連れて行くから、怒っているだけだろ。」
そう言いながら、ルーガスが私の腰を触ってくる。最近はルーガスを止めようとすると、更に酷い状況になる事が多く、私もされるがままになっている。
ザイルも言う。
「まあ、あれだけ金髪にこだわっていましたからね。」
「リアムほど見事な金髪はなかなかいなくてね。いつも皇都で相手を探すのが大変だったよ。」
そう言いながら、私の髪を撫でてくる。
私は恥ずかしくて俯いていると、副生徒会長のロイが思い出したように言ってきた。
「今度の婚約者候補とのお茶会は、どうする?またクロエと行くのか?」
「それも早くなんとかしていただきたいわ。ルーガスの婚約者が決まらないと私も婚約できないのよ。」
「俺もクロエはタイプじゃないし結婚するつもりは無いよ。でも、そうだな。リアムを連れて行こうかな。リアムがいれば退屈しないだろうし。」
「「えっ」」
驚いた私の声と、何人かの声が被った。
「まあ、名案だわ。リアムならカツラをして、着飾ればかなり美しくなりそうだわ。」
乗り気のクロエが興奮したように言う。
「あの、僕、無理です。婚約者候補のお茶会なんて。」
慌ててルーガスに伝える。
「ああ、大丈夫だよ。ドレスも宝石も今度一緒に買いに行こう。金髪のカツラも作っておくから心配しないで」
私は頭をフリフリと振る。
「私もできるだけ準備を協力いたしますわ。安心なさって。最高ですわ。お茶会の間中、ザイルと一緒にいられるなんて。」
クロエの発言を聞きザイルも嬉しそうに頷いている。
(何で、もう決定したようになっているの?)
「まあ、女装してお茶を飲めば終わるから、ルーガスの相手をよろしくな。リアム。」
ロイだけが、同情したような目で私に話しかけてきた。
学術院の貴族科と一般科の境は広場になっており、中央には噴水がある。
今日はそこで待ち合わせをしており、時間通りに向かう。
噴水の場所には、二人の女性が待っていた。
一人は以前話を聞いた委員長で、もう一人友達だろうか。
「待たせたかな?」
「いいえ。リアム様。私達も、今来た所です。」
前回と同様に委員長は私をウットリと見ながら話しかけてくる。
「あの、この子はこの前伝えていた友人のレイナです。リアム様のファンらしくて、いろんな事を教えてくれたんです。
なんだか今日は緊張しているみたいで、、」
レイナと言われた子は、私を見ずに俯いていた。金がかかった赤髪で、スラリとした女性だった。
「そうなんだ。はじめまして、レイナ。よろしくね。」
そう声をかけると驚いたように身体を震わせた。
「もう、レイナ。貴方が何度も素敵って言っていたリアム様じゃない。」
「いいよ。さっそくだけど、マリーについて何かわかった事があった?」
「ええ、はい。実際にマリーが誰かと居た所を見た子がいたわけじゃ無いんですけど、一人気になる事を言っていた隣のクラスの子がいました。
その子はあの日、講義に遅刻して、時間を潰そうと屋上に行ったらしいんです。
すると屋上のドアの向こうで話す声が聞こえたから、屋上には入らずに移動したって言ってました。
マリーが死んだ日から数日たって、あの直後に人が屋上から飛び降りたと気がついたらしくて教えてくれたんです。
男女が話し合う声がしたって言ってました。」
「そうなんだ。ありがとう。」
リアムが誰かと屋上にいたという事は、自殺じゃないかもしれない。
後は誰と一緒にいたのか?
「あの、、リアム様。」
考えているとレイナから急に話しかけられた。
「あの、私もリアム様のお役に立ちたいので、一緒に調べてもいいですか?」
「ああ、構わないけど。いいの?」
「はい。よろしくお願いします。リアム様。」
レイナに言われ、私はにっこりと笑い返答した。
「こちらこそよろしく。レイナ。」
学術祭が終わり、後一ヶ月程するとテストが始まる。その後は冬季休業の為、学術院は休みに入る。
肌寒い風邪を感じながら、生徒会室へ私は向かった。
生徒会補佐を続ける事になった後、生徒会室へは毎日のように行っている。
一度、約束の時間に生徒会室へ行かなかったら、生徒会長のルーガス自らが迎えに来てしまい、クラスが騒然となった。ルーガスは4学年の為、来年には卒業となる。
皇太子教育も終わり、婚約者を決めれば卒業後すぐにでも即位するとも言われている。
(でもクロエ様が筆頭婚約者候補なはずだけど、そんな感じじゃ無いんだよね。)
クロエはザイルと一緒にどこかへ行く事が時々ある。その時はだいたいリアムがルーガスの相手をする事になる。
生徒会副会長のロイから聞いた話だと、皇太子は帝都へ出て金髪の娘や男と定期的に楽しんでいたらしい。
最近はリアムが相手をしているので、帝都へ皇太子が行く事が減り助かっていると言われた。
(皇太子にはなんだかバレてる気がするんだよね。)
ルーガスはよくリアムを触ってくる。リアムはコルセットを巻いているし、股間も保護している。だから大丈夫だと思うが、何度もズボンの中に手を入れられ揉まれている。
どんどん接触が増えており、リアムも翻弄され、気持ちがよくて、触れ合っている最中には何がダメなのかよく分からなくなってしまう。
(冬季休暇になったら家に帰らないと。)
運良くお咎めがなしだった興奮剤についてはまだ両親に伝えていない。溺愛していたリアムが犯罪に手を染めていた可能性があると両親が知ったどうなるか心配だった。
私が生徒会室へ着き、中に入ると今日は全員揃っていた。
私に気づいたルーガスが手招きしてくる。ルーガスの元に行くと、抱きしめられ、いつものように膝に乗せられる。
ローズが居なくなってから、リアムの机や椅子も片付けられ、ルーガスの近くに座らされるようになった。
ルーガスは周りに見られている事が気にならないらしく、いつも私だけが赤くなってしまう。
「本当にリアムがいて助かるわ。ルーガスも、もっと早く手を出してくれたら良かったのに。どれだけ私達が苦労した事か。 」
「酷いな。クロエ。ザイルを俺が護衛で連れて行くから、怒っているだけだろ。」
そう言いながら、ルーガスが私の腰を触ってくる。最近はルーガスを止めようとすると、更に酷い状況になる事が多く、私もされるがままになっている。
ザイルも言う。
「まあ、あれだけ金髪にこだわっていましたからね。」
「リアムほど見事な金髪はなかなかいなくてね。いつも皇都で相手を探すのが大変だったよ。」
そう言いながら、私の髪を撫でてくる。
私は恥ずかしくて俯いていると、副生徒会長のロイが思い出したように言ってきた。
「今度の婚約者候補とのお茶会は、どうする?またクロエと行くのか?」
「それも早くなんとかしていただきたいわ。ルーガスの婚約者が決まらないと私も婚約できないのよ。」
「俺もクロエはタイプじゃないし結婚するつもりは無いよ。でも、そうだな。リアムを連れて行こうかな。リアムがいれば退屈しないだろうし。」
「「えっ」」
驚いた私の声と、何人かの声が被った。
「まあ、名案だわ。リアムならカツラをして、着飾ればかなり美しくなりそうだわ。」
乗り気のクロエが興奮したように言う。
「あの、僕、無理です。婚約者候補のお茶会なんて。」
慌ててルーガスに伝える。
「ああ、大丈夫だよ。ドレスも宝石も今度一緒に買いに行こう。金髪のカツラも作っておくから心配しないで」
私は頭をフリフリと振る。
「私もできるだけ準備を協力いたしますわ。安心なさって。最高ですわ。お茶会の間中、ザイルと一緒にいられるなんて。」
クロエの発言を聞きザイルも嬉しそうに頷いている。
(何で、もう決定したようになっているの?)
「まあ、女装してお茶を飲めば終わるから、ルーガスの相手をよろしくな。リアム。」
ロイだけが、同情したような目で私に話しかけてきた。
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