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試験期間
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お茶会の後、ルーガスにひたすら責められて、私は婚約すると口約束をしてしまった。
そもそも、私は今リアムとして生活をしている。ルーガスが何を考えているか分からないが、架空恋人リリーと婚約するはずも無いのに、どうするのだろうか。
お茶会の出来事は、すぐに帝国中に広まった。
『皇太子が町で出会った運命の女性と再会し、婚約する』
相手は誰だと、今皇都は大騒ぎらしい。噂が噂を呼び、相手は平民、貴族、隣国の王女など様々な噂が飛び回っている。
(まさか、男の格好をしている私が相手だとは思わないよね。)
あの時出席していた令嬢達が、至る所で話を広めた為、相手は金髪の美しい娘だと皆が囁いている。
生徒会室に行くとロイが
「お前たち、男同士でどうやって婚約するんだ。流石に女装したままだとリアムが可哀想だろ。」
と本当に同情した顔で私を見て、ルーガスに声をかけていた。
「まあ、大丈夫だよ。この前、リアムにも婚約を了承して貰ったし、後は侯爵家の許可さえ取れればなんとかなるさ。」
と私をみて微笑んでくる。
「まあ、おめでとう。ルーガス。貴方の事だから、もう手は考えているんでしょう。私もやっと婚約者筆頭候補から解放されて嬉しいわ。さっそくお父様にザイルとの事を伝えないと。」
ザイルは嬉しそうに頷いている。
ルーガスはクロエに伝えた。
「ああ、それだけど、ちょっと待ってくれないかな。最近側妃の動きが怪しくてね。来年には、婚約についても側妃についてもなんとかなるはずだから。」
ロイが言う。
「ああ、ルーガスの暗殺未遂の?」
「そう。屋敷で人を集めているらしい。クロエも婚約者候補のままの方が安全だと思うよ。」
クロエは私を見る。
「まあ、それにしても本番は婚約してからなんでしょ?ルーガスも大変ですわね。」
ルーガスは答える。
「まあ、一応手順は守らないとね。」
ロイが言う。
「いや、そもそも男と婚約で手順とか無いだろう。」
私は恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして俯いた。
冬季休業前の試験期間に入った。
毎日のように生徒会室へ行きルーガスと触れ合っていたが、試験中は生徒会室も使えなくなるためルーガスに会えていない。少し寂しさを感じながら試験をこなした。
試験結果が発表される。
上位100名までは名前が張り出される。
私は今まで、試験中のみリアムと入れ替わっていたので、リアムの姿で自分がした試験の結果を見るのは初めてだった。
順位を見に行くと、一位にリアムの名前が張り出されていた。二位はクラスメイトのマーカスだった。
確認したので、すぐに踵を返して帰ろうとする。
しばらく歩くと、人通りがない廊下でマーカスが声をかけてきた。
「おい。どうやって一位を取った?」
マーカスを見ると酷く睨みつけてくる。
目の下に隈ができ、顔色も良くない。
(あれ?マーカスってこんな奴だったっけ?)
「普通に試験を受けただけだよ。マーカスも二位おめでとう。」
「ふざけるな。リアムどこかおかしいんじゃないか?前のテストの時は、威張り散らしていただろ!」
(おかしいのはマーカスの顔色だろ。リアムの態度もおかしいけど。)
「いいかげん一位を取るカラクリを言え!俺は一位を取らないといけないんだ。何をしても!」
少し怖くなり後退る。
なんとなくローズを思い出してしまう。
ローズもあの時、こんな感じだったような。
そこへ他のクラスメイトが数人やってきた。
マーカスは舌打ちをすると、もう一度私を睨みつけて去っていった。
(なんなんだろう。やけに一位に執着しているみたいだけど。)
もうすぐで冬季休業だ。
リアムがいない初めての冬季休業。
私は屋敷に帰ってもリアムとして生活しないといけないんだろうか?
(たぶん、リアムじゃなくてマリーが帰って来ても誰も喜ばないよね。)
冬を訪れをつげる風が、寂しさと孤独を運んでくる気がして、帰宅を憂鬱に思った。
そもそも、私は今リアムとして生活をしている。ルーガスが何を考えているか分からないが、架空恋人リリーと婚約するはずも無いのに、どうするのだろうか。
お茶会の出来事は、すぐに帝国中に広まった。
『皇太子が町で出会った運命の女性と再会し、婚約する』
相手は誰だと、今皇都は大騒ぎらしい。噂が噂を呼び、相手は平民、貴族、隣国の王女など様々な噂が飛び回っている。
(まさか、男の格好をしている私が相手だとは思わないよね。)
あの時出席していた令嬢達が、至る所で話を広めた為、相手は金髪の美しい娘だと皆が囁いている。
生徒会室に行くとロイが
「お前たち、男同士でどうやって婚約するんだ。流石に女装したままだとリアムが可哀想だろ。」
と本当に同情した顔で私を見て、ルーガスに声をかけていた。
「まあ、大丈夫だよ。この前、リアムにも婚約を了承して貰ったし、後は侯爵家の許可さえ取れればなんとかなるさ。」
と私をみて微笑んでくる。
「まあ、おめでとう。ルーガス。貴方の事だから、もう手は考えているんでしょう。私もやっと婚約者筆頭候補から解放されて嬉しいわ。さっそくお父様にザイルとの事を伝えないと。」
ザイルは嬉しそうに頷いている。
ルーガスはクロエに伝えた。
「ああ、それだけど、ちょっと待ってくれないかな。最近側妃の動きが怪しくてね。来年には、婚約についても側妃についてもなんとかなるはずだから。」
ロイが言う。
「ああ、ルーガスの暗殺未遂の?」
「そう。屋敷で人を集めているらしい。クロエも婚約者候補のままの方が安全だと思うよ。」
クロエは私を見る。
「まあ、それにしても本番は婚約してからなんでしょ?ルーガスも大変ですわね。」
ルーガスは答える。
「まあ、一応手順は守らないとね。」
ロイが言う。
「いや、そもそも男と婚約で手順とか無いだろう。」
私は恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして俯いた。
冬季休業前の試験期間に入った。
毎日のように生徒会室へ行きルーガスと触れ合っていたが、試験中は生徒会室も使えなくなるためルーガスに会えていない。少し寂しさを感じながら試験をこなした。
試験結果が発表される。
上位100名までは名前が張り出される。
私は今まで、試験中のみリアムと入れ替わっていたので、リアムの姿で自分がした試験の結果を見るのは初めてだった。
順位を見に行くと、一位にリアムの名前が張り出されていた。二位はクラスメイトのマーカスだった。
確認したので、すぐに踵を返して帰ろうとする。
しばらく歩くと、人通りがない廊下でマーカスが声をかけてきた。
「おい。どうやって一位を取った?」
マーカスを見ると酷く睨みつけてくる。
目の下に隈ができ、顔色も良くない。
(あれ?マーカスってこんな奴だったっけ?)
「普通に試験を受けただけだよ。マーカスも二位おめでとう。」
「ふざけるな。リアムどこかおかしいんじゃないか?前のテストの時は、威張り散らしていただろ!」
(おかしいのはマーカスの顔色だろ。リアムの態度もおかしいけど。)
「いいかげん一位を取るカラクリを言え!俺は一位を取らないといけないんだ。何をしても!」
少し怖くなり後退る。
なんとなくローズを思い出してしまう。
ローズもあの時、こんな感じだったような。
そこへ他のクラスメイトが数人やってきた。
マーカスは舌打ちをすると、もう一度私を睨みつけて去っていった。
(なんなんだろう。やけに一位に執着しているみたいだけど。)
もうすぐで冬季休業だ。
リアムがいない初めての冬季休業。
私は屋敷に帰ってもリアムとして生活しないといけないんだろうか?
(たぶん、リアムじゃなくてマリーが帰って来ても誰も喜ばないよね。)
冬を訪れをつげる風が、寂しさと孤独を運んでくる気がして、帰宅を憂鬱に思った。
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