82 / 83
アヤメ
2.残手
しおりを挟む
追い詰められたように見えた鬼柳マサキが、漆黒のマントを大きく広げ、右大腿部に付けられていた細長い器具を掲げ上げ、上空へ発射した。
紅黄に光る何かが天井へ辿りついた瞬間、爆発し、周囲は濃霧に包み込まれた。
スプリンクラーが作動し、無数の雫が降り注ぐ。霧の中で所々、電気が走り火花を散らす。
ガシャ、ガシャ、
機械が地面に落ちる音が連続で鳴り響いた。
防弾ガラスの隙間から、濃霧が漂ってくる。
アヤメは、夫に縋り付いたまま言った。
「何があったの?」
ヨツバ博士が言う。
「どうやら相手も対策をしてきたようです。捕縛用ドローンが機能不全に陥った可能性があります」
防弾ガラスの向こうは霧に包まれ、何も見えない。
アヤメは、今にも防弾ガラスが突破される恐怖を感じた。
「貴方、逃げましょう」
「待って、霧が晴れる」
白濁していた空間は、徐々にクリアになり、広いホールには、落ちて煙を上げている複数のドローンと、目標を失い、混乱したように小刻みに動き続けるロボット犬が現れた。
鬼柳マサキの姿は、そこには無かった。
茶髪で長身の女性が告げてくる。
「襲撃者は逃走したみたいですね。」
カエデが言う。
「スミレさん。監視カメラ映像を出せますか?」
スミレと呼ぼれた女性がタブレットを操作しながら返答した。
「今、Airiに確認しています。映像が出ました。ここですね。会場から出て、廊下の窓から脱出しています」
ヨツバ博士が告げる。
「社長。捕縛用システムを作動させますか?予備セットは残っています。ですが、それらを使うと、この後のAiri説明会での展示ロボットが不足します」
カエデが言った。
「分かりました。鬼柳マサキについては、警察へ通報しましょう。Airiシステム実装はまだ公表されていません。会場内だけならともかく、公道で使用できる段階ではない」
アヤメは、心配になり、告げる。
「貴方、それでいいの?彼は本気でお義母さんの事を……」
義母のウメが、近づいてきてアヤメに告げた。
「いいのよ。会社の事を優先しましょう。なるようにしかならないわ」
義母は、銃弾で壁が抉られ、壊れたテーブルや椅子が散乱し、水浸しになった会場を見ていた。
会場の中央に、マサキがつけていた金属製の手首が、不気味に残されていた。
紅黄に光る何かが天井へ辿りついた瞬間、爆発し、周囲は濃霧に包み込まれた。
スプリンクラーが作動し、無数の雫が降り注ぐ。霧の中で所々、電気が走り火花を散らす。
ガシャ、ガシャ、
機械が地面に落ちる音が連続で鳴り響いた。
防弾ガラスの隙間から、濃霧が漂ってくる。
アヤメは、夫に縋り付いたまま言った。
「何があったの?」
ヨツバ博士が言う。
「どうやら相手も対策をしてきたようです。捕縛用ドローンが機能不全に陥った可能性があります」
防弾ガラスの向こうは霧に包まれ、何も見えない。
アヤメは、今にも防弾ガラスが突破される恐怖を感じた。
「貴方、逃げましょう」
「待って、霧が晴れる」
白濁していた空間は、徐々にクリアになり、広いホールには、落ちて煙を上げている複数のドローンと、目標を失い、混乱したように小刻みに動き続けるロボット犬が現れた。
鬼柳マサキの姿は、そこには無かった。
茶髪で長身の女性が告げてくる。
「襲撃者は逃走したみたいですね。」
カエデが言う。
「スミレさん。監視カメラ映像を出せますか?」
スミレと呼ぼれた女性がタブレットを操作しながら返答した。
「今、Airiに確認しています。映像が出ました。ここですね。会場から出て、廊下の窓から脱出しています」
ヨツバ博士が告げる。
「社長。捕縛用システムを作動させますか?予備セットは残っています。ですが、それらを使うと、この後のAiri説明会での展示ロボットが不足します」
カエデが言った。
「分かりました。鬼柳マサキについては、警察へ通報しましょう。Airiシステム実装はまだ公表されていません。会場内だけならともかく、公道で使用できる段階ではない」
アヤメは、心配になり、告げる。
「貴方、それでいいの?彼は本気でお義母さんの事を……」
義母のウメが、近づいてきてアヤメに告げた。
「いいのよ。会社の事を優先しましょう。なるようにしかならないわ」
義母は、銃弾で壁が抉られ、壊れたテーブルや椅子が散乱し、水浸しになった会場を見ていた。
会場の中央に、マサキがつけていた金属製の手首が、不気味に残されていた。
10
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
裏切ったのはあなたですよね?─湖に沈められ記憶を失った私は、大公女として返り咲き幸せを掴みます
nanahi
恋愛
婚約者ウィルとその幼馴染ベティに罠にはめられ、湖へ沈められた伯爵令嬢アミアン。一命を取り留め、公女として生まれ変わった彼女が見たのは、裏切り者の幸せな家庭だった。
アミアンは絶望を乗り越え、第二の人生を歩む決意をする。いまだ国に影響力を持つ先の王弟の大公女として、輝くほど磨き上げられていったアミアンに再会したウィルは激しく後悔するが、今更遅かった。
全ての記憶を取り戻したアミアンは、ついに二人の悪事を断罪する。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる