62 / 83
カエデ
6.偶縁
しおりを挟む
ワタは、黒ファイルをカエデに渡して言った。
「アヤメ様の関与が疑われている強盗傷害事件の被害者は土家アケビという名の女性になります。土家家は、代々地主をしている名家で、土地や不動産賃貸収入でかなりの額を稼いできました。ですが、10年前にアケビの夫である土家キリトが亡くなってすぐに、跡取り息子一家が交通事故で死亡しました。その後土家アケビは、疎遠になった娘のルリと彼女が産んだ孫を探し続けてきたそうです」
「土家アケビは、まだ目覚めていないのだろう。だったらその娘と孫に連絡をとって、示談について相談を」
「それが、土家家が探し続けている娘も孫も、まだ見つかっていないそうです。土家ルリは、田中アキラという男性と結婚したそうですが、その時、当主の土家キリトが激怒して娘と断絶したそうです。それ以降土家ルリも田中アキラも行方不明になっています。当主と跡取り一家が亡くなった後、土家アケビは娘を必死に探し続けました。戸籍を辿り、ルリがサカキという名の男児を産んだ事は分かっているみたいですが、彼らは何度も転居を繰り返しているらしく、何年も経ちますが居場所が分かっていません」
黒ファイルの資料には、一枚の写真が挟まれていた。
西洋風の屋敷の前で、男女二人が写真に写っている。白のワンピースを着た女性は幸せそうに微笑み、隣の背が高い整った顔立ちの男性に寄り添っている。
「この写真が、土家ユリと、田中アキラが映った唯一残された物らしいです」
ふとカエデは、義妹のダリアの婚約者田中サカキを思い浮かべた。彼は、この写真の男性とよく似ている。サカキは、土屋家の行方不明の孫と同じ名前になる。
「ルリが結婚したのなら土屋アケビの孫は、田中サカキなはずだ。昨晩ダリアが事故で救急搬送された後、彼女の婚約者に初めて会った。彼も田中サカキという名前だった」
「ええ、そうです。土屋アケビの孫は田中サカキです。ですが、そんな偶然が?同一人物でしょうか?」
カエデは、スマホを取り出しSNSを開く。
Xという真新しいアイコンのトークルームをタップした。
「生まれる前から、土屋家と疎遠なら祖母にも会った事がないのだろう。でも両親については知っているはずだ」
カエデは、メッセージを打ち込み送信した。
シュコン
『ダリアがお世話になっています。少しお尋ねしたい事があります。土屋さんのご両親の名前は、田中アキラ、ルリさんでしょうか?』
すぐに既読になり、返事が返ってくる。
シュコン
『ええ、両親は既に他界していますが、確かに父はアキラ、母はルリになります』
カエデは、返事を見て安堵して言った。
「どうやら、ダリアの婚約者が土家アケビの孫らしい。彼と会ってくる。事情を説明して、アヤメが解放されるように交渉しないと」
ワタは眉間に皺を寄せて、驚きながら言った。
「まさか、そんな。土家家は、何年も探し続けていました。こんなにすぐに見つかるなんて信じられません」
カエデは、Xにメッセージを送った。
『早急にご相談したい事があります。どこかでお会いできないでしょうか?』
シュコン
『わかりました。本日16時にお会いしましょう』
メッセージと共に、マークがついた地図写真が送られてくる。
郊外の一軒家を示しているみたいだ。
まだ、時間がある。車で向かえば、間に合いそうだ。
シュコン
『ありがとうございます。時間通り伺います』
カエデはメッセージを送った。
「アヤメ様の関与が疑われている強盗傷害事件の被害者は土家アケビという名の女性になります。土家家は、代々地主をしている名家で、土地や不動産賃貸収入でかなりの額を稼いできました。ですが、10年前にアケビの夫である土家キリトが亡くなってすぐに、跡取り息子一家が交通事故で死亡しました。その後土家アケビは、疎遠になった娘のルリと彼女が産んだ孫を探し続けてきたそうです」
「土家アケビは、まだ目覚めていないのだろう。だったらその娘と孫に連絡をとって、示談について相談を」
「それが、土家家が探し続けている娘も孫も、まだ見つかっていないそうです。土家ルリは、田中アキラという男性と結婚したそうですが、その時、当主の土家キリトが激怒して娘と断絶したそうです。それ以降土家ルリも田中アキラも行方不明になっています。当主と跡取り一家が亡くなった後、土家アケビは娘を必死に探し続けました。戸籍を辿り、ルリがサカキという名の男児を産んだ事は分かっているみたいですが、彼らは何度も転居を繰り返しているらしく、何年も経ちますが居場所が分かっていません」
黒ファイルの資料には、一枚の写真が挟まれていた。
西洋風の屋敷の前で、男女二人が写真に写っている。白のワンピースを着た女性は幸せそうに微笑み、隣の背が高い整った顔立ちの男性に寄り添っている。
「この写真が、土家ユリと、田中アキラが映った唯一残された物らしいです」
ふとカエデは、義妹のダリアの婚約者田中サカキを思い浮かべた。彼は、この写真の男性とよく似ている。サカキは、土屋家の行方不明の孫と同じ名前になる。
「ルリが結婚したのなら土屋アケビの孫は、田中サカキなはずだ。昨晩ダリアが事故で救急搬送された後、彼女の婚約者に初めて会った。彼も田中サカキという名前だった」
「ええ、そうです。土屋アケビの孫は田中サカキです。ですが、そんな偶然が?同一人物でしょうか?」
カエデは、スマホを取り出しSNSを開く。
Xという真新しいアイコンのトークルームをタップした。
「生まれる前から、土屋家と疎遠なら祖母にも会った事がないのだろう。でも両親については知っているはずだ」
カエデは、メッセージを打ち込み送信した。
シュコン
『ダリアがお世話になっています。少しお尋ねしたい事があります。土屋さんのご両親の名前は、田中アキラ、ルリさんでしょうか?』
すぐに既読になり、返事が返ってくる。
シュコン
『ええ、両親は既に他界していますが、確かに父はアキラ、母はルリになります』
カエデは、返事を見て安堵して言った。
「どうやら、ダリアの婚約者が土家アケビの孫らしい。彼と会ってくる。事情を説明して、アヤメが解放されるように交渉しないと」
ワタは眉間に皺を寄せて、驚きながら言った。
「まさか、そんな。土家家は、何年も探し続けていました。こんなにすぐに見つかるなんて信じられません」
カエデは、Xにメッセージを送った。
『早急にご相談したい事があります。どこかでお会いできないでしょうか?』
シュコン
『わかりました。本日16時にお会いしましょう』
メッセージと共に、マークがついた地図写真が送られてくる。
郊外の一軒家を示しているみたいだ。
まだ、時間がある。車で向かえば、間に合いそうだ。
シュコン
『ありがとうございます。時間通り伺います』
カエデはメッセージを送った。
14
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
裏切ったのはあなたですよね?─湖に沈められ記憶を失った私は、大公女として返り咲き幸せを掴みます
nanahi
恋愛
婚約者ウィルとその幼馴染ベティに罠にはめられ、湖へ沈められた伯爵令嬢アミアン。一命を取り留め、公女として生まれ変わった彼女が見たのは、裏切り者の幸せな家庭だった。
アミアンは絶望を乗り越え、第二の人生を歩む決意をする。いまだ国に影響力を持つ先の王弟の大公女として、輝くほど磨き上げられていったアミアンに再会したウィルは激しく後悔するが、今更遅かった。
全ての記憶を取り戻したアミアンは、ついに二人の悪事を断罪する。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる