殺めてもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

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カエデ

6.偶縁

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ワタは、黒ファイルをカエデに渡して言った。

「アヤメ様の関与が疑われている強盗傷害事件の被害者は土家アケビという名の女性になります。土家家は、代々地主をしている名家で、土地や不動産賃貸収入でかなりの額を稼いできました。ですが、10年前にアケビの夫である土家キリトが亡くなってすぐに、跡取り息子一家が交通事故で死亡しました。その後土家アケビは、疎遠になった娘のルリと彼女が産んだ孫を探し続けてきたそうです」

「土家アケビは、まだ目覚めていないのだろう。だったらその娘と孫に連絡をとって、示談について相談を」

「それが、土家家が探し続けている娘も孫も、まだ見つかっていないそうです。土家ルリは、田中アキラという男性と結婚したそうですが、その時、当主の土家キリトが激怒して娘と断絶したそうです。それ以降土家ルリも田中アキラも行方不明になっています。当主と跡取り一家が亡くなった後、土家アケビは娘を必死に探し続けました。戸籍を辿り、ルリがサカキという名の男児を産んだ事は分かっているみたいですが、彼らは何度も転居を繰り返しているらしく、何年も経ちますが居場所が分かっていません」

黒ファイルの資料には、一枚の写真が挟まれていた。
西洋風の屋敷の前で、男女二人が写真に写っている。白のワンピースを着た女性は幸せそうに微笑み、隣の背が高い整った顔立ちの男性に寄り添っている。
「この写真が、土家ユリと、田中アキラが映った唯一残された物らしいです」

ふとカエデは、義妹のダリアの婚約者田中サカキを思い浮かべた。彼は、この写真の男性とよく似ている。サカキは、土屋家の行方不明の孫と同じ名前になる。

「ルリが結婚したのなら土屋アケビの孫は、田中サカキなはずだ。昨晩ダリアが事故で救急搬送された後、彼女の婚約者に初めて会った。彼も田中サカキという名前だった」

「ええ、そうです。土屋アケビの孫は田中サカキです。ですが、そんな偶然が?同一人物でしょうか?」

カエデは、スマホを取り出しSNSを開く。
Xという真新しいアイコンのトークルームをタップした。

「生まれる前から、土屋家と疎遠なら祖母にも会った事がないのだろう。でも両親については知っているはずだ」

カエデは、メッセージを打ち込み送信した。

シュコン
『ダリアがお世話になっています。少しお尋ねしたい事があります。土屋さんのご両親の名前は、田中アキラ、ルリさんでしょうか?』



すぐに既読になり、返事が返ってくる。


シュコン
『ええ、両親は既に他界していますが、確かに父はアキラ、母はルリになります』


カエデは、返事を見て安堵して言った。
「どうやら、ダリアの婚約者が土家アケビの孫らしい。彼と会ってくる。事情を説明して、アヤメが解放されるように交渉しないと」

ワタは眉間に皺を寄せて、驚きながら言った。
「まさか、そんな。土家家は、何年も探し続けていました。こんなにすぐに見つかるなんて信じられません」


カエデは、Xにメッセージを送った。
『早急にご相談したい事があります。どこかでお会いできないでしょうか?』



シュコン
『わかりました。本日16時にお会いしましょう』
メッセージと共に、マークがついた地図写真が送られてくる。
郊外の一軒家を示しているみたいだ。



まだ、時間がある。車で向かえば、間に合いそうだ。



シュコン
『ありがとうございます。時間通り伺います』


カエデはメッセージを送った。
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