【完結】リアナの婚約条件

第10話 利用

「結婚？本気なの？」

リアナはジョージを見つめた。
元々リアナはジョージの義妹になる予定だった。ジョージはリアナの事を本当の妹のように可愛がってくれていた。そのジョージと結婚だなんて考えられなかった。

「もちろんだよ。リアナ。まずは婚約からでもいい。婚約も早すぎるなら付き合うだけでもいい。ただリアナと一緒にいたいだけだ。」

ジョージは、徐々に自信がなさそうに肩を落とす。


(まだ姉さんの事が好きなのかしら。もう8年も前の事なのに)

ジョージはあんなに愛していた姉の面影をリアナの中に探しているのかもしれない。

リアナと姉はほとんど似ていない。

それでもジョージはリアナと一緒にいたいと言う。ジョージは姉が失踪した後も度々父を訪ねてきた。姉がいないにも関わらず、婚約破棄を回避しようとしていたらしい。

(私は、姉さんの身代わりになんてなるつもりは無いわ。)

リアナはジョージに尋ねた。


「お義兄さん？どうして私と結婚したいの？」

「それは、リアナの事が、かわい・・・」

なぜかジョージは顔を赤らめて、恥ずかしそうに横を向いた。

(かわいそうって事？確かに義妹になる予定だった私が、使用人をしているのだもの。同情してくれたのかしら。でも、結婚はやり過ぎだと思う。)

「お義兄さん」

「リアナ。ジョージだよ」

なぜか真剣な表情で、ジョージはリアナに言ってくる。

(もう、姉と結婚する予定がない人をお義兄さんと呼ぶのはおかしいわよね。)

「ジョージ？」

ジョージはまた、横を向いて顔に手を当てた。

ジョージはリアナの前では、とても寡黙になる。姉と婚約していた時のジョージは、　プレゼントを会う度に渡してくるし、とても気が利いて優しい人だと思うが、以前から会話にならない時があった。

(やっぱり私は姉とは違うわ。)

姉とジョージは会う度に沢山話し合っていた。あの頃リアナは密かに落ち込んでいた。義兄とも上手く話が出来ない自分が不甲斐なくて。

ジョージには幸せになって欲しい。

同情でもいい。ジョージの側だとリアナは安全だと感じる。ジョージと一緒ならリアナを殺そうとした人物を探せるかもしれない。父と元婚約者に会いに行こう。ジョージは一緒なら大丈夫な気がする。そして確かめるのだ。あの日の事を。

(ジョージに利用されてもいい。私だって帰りたい。怯えて隠れて生きていくのは嫌だ。)

「もし犯人が分かれば貴方と婚約する。貴方の頼みを出来るだけ聞くから。だから、お願いジョージ。私を手伝って。」

ジョージは、嬉しそうに頷いた。