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第16話 星宙
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リアナの目の前にいたのは、ジョージだった。
黒のスーツを着こなし、光沢のある革靴で河川敷を歩いてくる。汚れるのを気にせず、砂利や雑草を踏み締めてリアナへ近づいて来た。
「ジョージ。父さんが・・・・・・私は、殺していないのに」
リアナは、自分の服を見下ろした。
服は父の血で赤く染まっていた。
手を洗ったが、この姿だと説得力が無い。
「分かってる。一緒に帰ろう。リアナ」
ジョージは、着ていたスーツを脱ぎ、リアナにそっと掛けてきた。
リアナは、ジョージに支えられながら、龍祈川を後にした。堤防を越えると、車が待機しており、その中に乗り込んだ。
「ジョージ様。どうなさるおつもりですか?雨鳥エンジ様が殺されたのは確かな情報らしいです。警察には?」
「可哀想に。震えている。警察には連れて行かない。マンションへ向かってくれ」
「・・・・・・わかりました。」
辺りはいつの間にか暗闇に包まれていた。
フロントガラスに、ポツポツと丸い雫が落ち、流れ去っていく。
対向車のライトや、建物の光がキラキラと輝き、尾を引きながら去っていく。
リアナは震えていた。
そんなリアナの肩に手を回し、ジョージは包み込むように支え続けた。
林原が運転する車は、高層マンションの広い地下駐車場に入り、進んでいった。
数台のエレベーターは、居住階で分かれている様子だった。人通りが無い最奥の駐車場に車は停められた。
「林原。情報を集めてくれ。雨鳥家で何が起こっているのか」
「分かりました。本当にリアナ様を連れて上られるのですか?」
「ああ、この状態で一人にさせれないだろう」
「まだ、婚約されていません。くれぐれも慎重に」
「分かっている」
「リアナ。行こう。歩けるか?」
リアナは頷き、ジョージに支えながら車から降りた。
上層階に止まる高速エレベーターに乗り込む。エレベーターは、センサーキーに反応し、居住階まで、高速で登っていった。小さな画面の数字が瞬く間に増えていく。
50の数字になるとエレベーターは止まりドアが開いた。
ドアの向こうには、広いロビーが広がっていた。大理石の床が輝きを放ち、黒光りするする大きなドアが待ち構えている。
「リアナ。おいで」
リアナは、ジョージに手を引かれ、ドアの中へ入っていった。
「ここは?ジョージの家なの?」
ショールームのように整えられた室内は、冷たさを感じさせる。リビングは大きなガラス張りの窓に取り囲まれ、上空の星達と、下に広がる光粒に取り囲まれ、宙に浮かんでいるかのようだ。
「そうだ。所有している物件の一つだ。落ち着くまで、ここにいればいい。最高級のセキュリティシステムが採用されているから、安心してくれ」
ジョージの言葉を聞きながら、リアナは首を左右に振った。
「ジョージ。お姉さんがいたの」
「カオリが帰って来たのか?」
「ええ。だから、ジョージはお姉さんの所へ行って。もう、私を同情しなくても、お姉さんは帰ってきているから」
「リアナ!何を言っている?約束しただろ。君を殺そうとした犯人が分かれば、僕と婚約するって」
「でも、お姉さんが・・・・・・」
ジョージは、リアナを抱きしめてきた。
「ジョージ。貴方が汚れるわ」
「いいんだよ。辛い事があったなら、泣けばいい。リアナ。僕は君の側にいるから」
ジョージの言葉を聞き、リアナの瞳から涙が零れ落ちた。
何もかもうまくいかない。
失ったばかりが、父殺しの犯人のように扱われた。
帰りたくても帰れない。
もう、大丈夫だと思っていたのに。
どうして、こんな目に遭うのだろう。
リアナは、ジョージの胸に、顔を押し付けて、声を殺して泣き続けた。
黒のスーツを着こなし、光沢のある革靴で河川敷を歩いてくる。汚れるのを気にせず、砂利や雑草を踏み締めてリアナへ近づいて来た。
「ジョージ。父さんが・・・・・・私は、殺していないのに」
リアナは、自分の服を見下ろした。
服は父の血で赤く染まっていた。
手を洗ったが、この姿だと説得力が無い。
「分かってる。一緒に帰ろう。リアナ」
ジョージは、着ていたスーツを脱ぎ、リアナにそっと掛けてきた。
リアナは、ジョージに支えられながら、龍祈川を後にした。堤防を越えると、車が待機しており、その中に乗り込んだ。
「ジョージ様。どうなさるおつもりですか?雨鳥エンジ様が殺されたのは確かな情報らしいです。警察には?」
「可哀想に。震えている。警察には連れて行かない。マンションへ向かってくれ」
「・・・・・・わかりました。」
辺りはいつの間にか暗闇に包まれていた。
フロントガラスに、ポツポツと丸い雫が落ち、流れ去っていく。
対向車のライトや、建物の光がキラキラと輝き、尾を引きながら去っていく。
リアナは震えていた。
そんなリアナの肩に手を回し、ジョージは包み込むように支え続けた。
林原が運転する車は、高層マンションの広い地下駐車場に入り、進んでいった。
数台のエレベーターは、居住階で分かれている様子だった。人通りが無い最奥の駐車場に車は停められた。
「林原。情報を集めてくれ。雨鳥家で何が起こっているのか」
「分かりました。本当にリアナ様を連れて上られるのですか?」
「ああ、この状態で一人にさせれないだろう」
「まだ、婚約されていません。くれぐれも慎重に」
「分かっている」
「リアナ。行こう。歩けるか?」
リアナは頷き、ジョージに支えながら車から降りた。
上層階に止まる高速エレベーターに乗り込む。エレベーターは、センサーキーに反応し、居住階まで、高速で登っていった。小さな画面の数字が瞬く間に増えていく。
50の数字になるとエレベーターは止まりドアが開いた。
ドアの向こうには、広いロビーが広がっていた。大理石の床が輝きを放ち、黒光りするする大きなドアが待ち構えている。
「リアナ。おいで」
リアナは、ジョージに手を引かれ、ドアの中へ入っていった。
「ここは?ジョージの家なの?」
ショールームのように整えられた室内は、冷たさを感じさせる。リビングは大きなガラス張りの窓に取り囲まれ、上空の星達と、下に広がる光粒に取り囲まれ、宙に浮かんでいるかのようだ。
「そうだ。所有している物件の一つだ。落ち着くまで、ここにいればいい。最高級のセキュリティシステムが採用されているから、安心してくれ」
ジョージの言葉を聞きながら、リアナは首を左右に振った。
「ジョージ。お姉さんがいたの」
「カオリが帰って来たのか?」
「ええ。だから、ジョージはお姉さんの所へ行って。もう、私を同情しなくても、お姉さんは帰ってきているから」
「リアナ!何を言っている?約束しただろ。君を殺そうとした犯人が分かれば、僕と婚約するって」
「でも、お姉さんが・・・・・・」
ジョージは、リアナを抱きしめてきた。
「ジョージ。貴方が汚れるわ」
「いいんだよ。辛い事があったなら、泣けばいい。リアナ。僕は君の側にいるから」
ジョージの言葉を聞き、リアナの瞳から涙が零れ落ちた。
何もかもうまくいかない。
失ったばかりが、父殺しの犯人のように扱われた。
帰りたくても帰れない。
もう、大丈夫だと思っていたのに。
どうして、こんな目に遭うのだろう。
リアナは、ジョージの胸に、顔を押し付けて、声を殺して泣き続けた。
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