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攻略していたのは、僕
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…大丈夫…なのかな…?
あんな優しい…解りにくいけど…優しい顔で笑ってくれた…今の生徒会長はケタロウ様に敵意は持っていない、と思う。
…それで、裏切られた事もあったけれど…。
でも、それは女の生徒会長の時で。今の生徒会長は男の人だし。
…あ、れ?
そうだ。
僕の情が欲しいって。
僕の情が欲しいから、ケタロウ様を…。
そうか。
そうだよ。
これまでの皆は、僕を好きになって、僕に振り向いて欲しくて、僕を独り占めしたくて…。皆、皆、ケタロウ様を追い詰めたのは、女の人…。
それなら。
同じ男の生徒会長が、そうなる可能性は無いんじゃない?
…まあ…同じ男でも、僕はケタロウ様が好きだけど。でも、生徒会長もそうだとは限らない。
うん。
好きな言葉じゃないけれど、僕とケタロウ様は『運命』なんだし。
うん、きっと大丈夫だ。今回は、きっと。
でも、ケタロウ様にあんな事を言うなんて、許せない。あれは、ケタロウ様を侮辱してる。
僕の事はどうでも良いけど、あれは許せない。
なんだかんだで結局、ケタロウ様に謝っていないし。
「…あ、の、すみません…」
「何故、君が謝るんだい? 君は何か悪い事をしたのかい?」
隣で仰向けで居るケタロウ様の寝間着を…腕を掴んで小さく謝れば、ケタロウ様が僕の方へと顔を向けて、優しく笑ってくれる。
「…梅の僕が…何かをしたいって言ったから…ケタロウ様に嫌な思いをさせてしまいました…」
これまでの時間では、あんな事言われた事が無かったから、知らなかった。
どうして、あんな事を言ったんだろう?
ケタロウ様が居たから?
うん、きっとそうだ。
…でも…ハラハラしたけど、本当は嬉しかったんだ。
ケタロウ様が僕の為に怒ってくれて。
こんな事言ったら怒られるかな?
「違うよ。私じゃ、ない。あの場で一番嫌な思いをしたのは、君だよ、メゴロウ君。君だけであの場に行ったら、話どころか、会う事も出来なかっただろう。あの人は、そう云う人だ。すまなかったね。けど、君の役に立つ事が出来て良かったよ」
しょぼんとしたら、ケタロウ様が横向きになって、僕の背中に腕を回してゆっくりと撫で始めた。
な、なに、これえぇっ!?
ケタロウ様、僕を殺す気!?
って、生徒会長って、そうだったの?
何時も快く許可をくれたのは、やっぱり情のせいだったって事?
「…ケタロウ様…」
今は…その情を求めていないから、あの生徒会長って事?
他の皆が居ないのも、そのせい?
それなら…。
それなら、本当に今の時間は…僕と…ケタロウ様の為の時間?
「ほら、戻っているよ? 次にそう呼ばれたら、私は悲しくなってしまう」
「…アニキ…」
そう思えば、本当にそんな気がして来て、不安も消えて行く。
ケタロウ様が僕を優しく抱き締めて、頭や背中を撫でてくれるのが嬉しくて擽ったくて、顔が緩んじゃう。
「うん、良い子だね。ほら、もう眠ろう。明日は朝から忙しいから」
ん?
「え? 何かありましたか?」
「園芸部の朝活だよ。まずは雑草を抜く処からかな?」
首を傾げる僕に、ケタロウ様はまるで悪戯が成功したかのような、ちょっと意地の悪い顔で笑った。
「は? え?」
そんな表情も素敵って思ったトコで、え、待って? って、なった。
それって、何か。まるで、その、何か。
「私が園芸部員第一号だ。御手柔らかに頼むよ、部長?」
やっぱり!?
「はっ!? え!? で、でも、あの…っ…!!」
ケタロウ様が土仕事を!?
こんなに綺麗な人が!?
アニキの自称恋人は嫌がったのに!?
めちゃくちゃ慌てる僕に笑いながら、ケタロウ様は眠ってしまった。
うう、酷い。
でも、嬉しい。
こんな風に僕を喜ばせてくれるだなんて、ケタロウ様は何て優しい人なんだろう。
「…好き…」
…今までは…これまでの時間は、全部全部奪われて来た。
…でも…これからの時間は…。
「…全部…僕の…僕とケタロウ様の為の時間…」
そう云う事だよね?
それで、良いんだよね?
「ケタロウ様…」
ケタロウ様の首筋辺りにある顔を上げて、その首筋にそっと唇をあてる。
どくんどくんと、脈を打つのは生きている証拠。
ケタロウ様が、ここに居る証拠。
肘をベッドに押し付けて身体を起こして、今度はケタロウ様の唇に吸い付く。舌を動かして、その唇を開いて指し込めば、熱い息が零れた。
そうなれば、もう止まれる筈が無くて。
でも、怖くて。
こんな事をしておいて、ケタロウ様に嫌われるのが怖いから。
僕は悪い子だから。
だから、僕はまた時間を止めた。
時間を止めて、またケタロウ様の綺麗な身体を汚して行く。
僕以外、誰も知らないケタロウ様の身体を。
嬉しいって、何度言えば良いのかな?
いつも、僕を置いて逝ってしまうケタロウ様。
でも、今の時間は。
これからの時間は、ずっと、ずっと、傍に、一緒に居てくれる。
もう、僕を置いて逝かないでくれる。ずっと傍に居てくれる。
嬉しい、嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい…――――――――。
あんな優しい…解りにくいけど…優しい顔で笑ってくれた…今の生徒会長はケタロウ様に敵意は持っていない、と思う。
…それで、裏切られた事もあったけれど…。
でも、それは女の生徒会長の時で。今の生徒会長は男の人だし。
…あ、れ?
そうだ。
僕の情が欲しいって。
僕の情が欲しいから、ケタロウ様を…。
そうか。
そうだよ。
これまでの皆は、僕を好きになって、僕に振り向いて欲しくて、僕を独り占めしたくて…。皆、皆、ケタロウ様を追い詰めたのは、女の人…。
それなら。
同じ男の生徒会長が、そうなる可能性は無いんじゃない?
…まあ…同じ男でも、僕はケタロウ様が好きだけど。でも、生徒会長もそうだとは限らない。
うん。
好きな言葉じゃないけれど、僕とケタロウ様は『運命』なんだし。
うん、きっと大丈夫だ。今回は、きっと。
でも、ケタロウ様にあんな事を言うなんて、許せない。あれは、ケタロウ様を侮辱してる。
僕の事はどうでも良いけど、あれは許せない。
なんだかんだで結局、ケタロウ様に謝っていないし。
「…あ、の、すみません…」
「何故、君が謝るんだい? 君は何か悪い事をしたのかい?」
隣で仰向けで居るケタロウ様の寝間着を…腕を掴んで小さく謝れば、ケタロウ様が僕の方へと顔を向けて、優しく笑ってくれる。
「…梅の僕が…何かをしたいって言ったから…ケタロウ様に嫌な思いをさせてしまいました…」
これまでの時間では、あんな事言われた事が無かったから、知らなかった。
どうして、あんな事を言ったんだろう?
ケタロウ様が居たから?
うん、きっとそうだ。
…でも…ハラハラしたけど、本当は嬉しかったんだ。
ケタロウ様が僕の為に怒ってくれて。
こんな事言ったら怒られるかな?
「違うよ。私じゃ、ない。あの場で一番嫌な思いをしたのは、君だよ、メゴロウ君。君だけであの場に行ったら、話どころか、会う事も出来なかっただろう。あの人は、そう云う人だ。すまなかったね。けど、君の役に立つ事が出来て良かったよ」
しょぼんとしたら、ケタロウ様が横向きになって、僕の背中に腕を回してゆっくりと撫で始めた。
な、なに、これえぇっ!?
ケタロウ様、僕を殺す気!?
って、生徒会長って、そうだったの?
何時も快く許可をくれたのは、やっぱり情のせいだったって事?
「…ケタロウ様…」
今は…その情を求めていないから、あの生徒会長って事?
他の皆が居ないのも、そのせい?
それなら…。
それなら、本当に今の時間は…僕と…ケタロウ様の為の時間?
「ほら、戻っているよ? 次にそう呼ばれたら、私は悲しくなってしまう」
「…アニキ…」
そう思えば、本当にそんな気がして来て、不安も消えて行く。
ケタロウ様が僕を優しく抱き締めて、頭や背中を撫でてくれるのが嬉しくて擽ったくて、顔が緩んじゃう。
「うん、良い子だね。ほら、もう眠ろう。明日は朝から忙しいから」
ん?
「え? 何かありましたか?」
「園芸部の朝活だよ。まずは雑草を抜く処からかな?」
首を傾げる僕に、ケタロウ様はまるで悪戯が成功したかのような、ちょっと意地の悪い顔で笑った。
「は? え?」
そんな表情も素敵って思ったトコで、え、待って? って、なった。
それって、何か。まるで、その、何か。
「私が園芸部員第一号だ。御手柔らかに頼むよ、部長?」
やっぱり!?
「はっ!? え!? で、でも、あの…っ…!!」
ケタロウ様が土仕事を!?
こんなに綺麗な人が!?
アニキの自称恋人は嫌がったのに!?
めちゃくちゃ慌てる僕に笑いながら、ケタロウ様は眠ってしまった。
うう、酷い。
でも、嬉しい。
こんな風に僕を喜ばせてくれるだなんて、ケタロウ様は何て優しい人なんだろう。
「…好き…」
…今までは…これまでの時間は、全部全部奪われて来た。
…でも…これからの時間は…。
「…全部…僕の…僕とケタロウ様の為の時間…」
そう云う事だよね?
それで、良いんだよね?
「ケタロウ様…」
ケタロウ様の首筋辺りにある顔を上げて、その首筋にそっと唇をあてる。
どくんどくんと、脈を打つのは生きている証拠。
ケタロウ様が、ここに居る証拠。
肘をベッドに押し付けて身体を起こして、今度はケタロウ様の唇に吸い付く。舌を動かして、その唇を開いて指し込めば、熱い息が零れた。
そうなれば、もう止まれる筈が無くて。
でも、怖くて。
こんな事をしておいて、ケタロウ様に嫌われるのが怖いから。
僕は悪い子だから。
だから、僕はまた時間を止めた。
時間を止めて、またケタロウ様の綺麗な身体を汚して行く。
僕以外、誰も知らないケタロウ様の身体を。
嬉しいって、何度言えば良いのかな?
いつも、僕を置いて逝ってしまうケタロウ様。
でも、今の時間は。
これからの時間は、ずっと、ずっと、傍に、一緒に居てくれる。
もう、僕を置いて逝かないでくれる。ずっと傍に居てくれる。
嬉しい、嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい…――――――――。
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