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番外編
告白【7】
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メゴロウの謝罪と言って良いのか悪いのか解らない言葉に、先輩は『謝る必要は無い。君達の時間を奪ったのは俺だ。それよりも、冷めたら美味しくないだろう』と言って、食べかけのミートボールスパゲティを指差した。
…これ、三人前はある筈なんだよなぁ…。
メゴロウの胃袋は本当にどうなっているんだろう…。
「まあ、これは俺の自己満足だから、君が気にする必要はない」
そして、メゴロウにミートボールスパゲティを食べさせ終わった処で、先輩が口を開いた。
「…自己満足…?」
メゴロウの口周りをナプキンで拭きながら、俺は聞き返す。
自己満足って何だ?
俺に告白する事が?
「俺が、何時までも引き摺っているのは、きっぱりと君に振られていないからだと、告白してバッサリ振られて来いと言われたのでな。恋人が居る相手に告白して、二人の間に何かあったらどうすると聞けば、そんなのは知らない、と。ただ、俺が振られる事に意味があると言われた」
おい、誰だよ?
先輩にそんな事を吹き込む命知らずは?
あれか? 元生徒会役員か? 大学部に来てから、全然顔を見ないが、まさかこっちでも暗躍してたりするのか? 今も、何処かに忍んでいるのか?
「告白と言えば、二人きりで雰囲気のある処でと言われたが、生憎とそんな場所は知らないし、とうもろこしに塗れての告白は駄目かと聞いたら、良い笑顔でバッサリと切り捨てられたから、君が良く利用する、馴染みのあるここにした。緊張せずに、素のままの君で居られるかと思ってな。しかし、やはり緊張をしていたみたいだな。今、彼と居る君はとても生き生きとしている。そんな訳で、俺の告白の返事を聞かせてくれないか?」
うん、息継ぎしてくれ。
そして、瞬きもしてくれ。
ドライアイになるぞ。
何か、ツッコミたい部分もあったが、スルーで良いか?
俺の目を真っ直ぐ見たまま、一瞬たりとも視線を逸らさずに話すのは凄いと思うが、はっきり言って怖い。真顔でそんな事を言うから、カツアゲもとい、断罪されてる様な気分になったんだよ。少しでも笑顔を浮かべれば可愛げがあるのに…いや、もっと怖いな。先輩が破顔するイメージが湧かない。口の端だけで笑うイメージしかない。
けど、まあ…俺が緊張しない様にとか、そんな気を使ってくれていたのか…何だかんだで、優しいんだよな、先輩は。巻き戻る前の時間程ではないが、園芸部でそれなりに楽しく活動してたし、根っこが変わる訳じゃないもんな…。
って…あれ?
「…先輩の気持ちは嬉しく思います。しかし、私にはメゴロウが居ますから、その気持ちに応える事は出来ません。あ、メゴロウが居なくても、それは変わりありません。先輩は、私にとって、信頼のおける尊敬すべき人であり、そこに恋愛感情が混じる事はありません」
うん。
俺の先輩に対する気持ちは、これだ。
先輩には色々と助けて貰ったし、気を遣わせてしまった。好きか嫌いかと言われれば、好きだと言える。が、そこにやはり恋愛感情は無い。巻き戻る前の時間で言った様に、俺は先輩のちんこを触りたいとは思わないし、抱かれたいとかも思わない。俺は、メゴロウだからそうしたいと思ったんだ。メゴロウと色々とえろえろな事をしているが、俺は、自分はノンケだと思っている。が、だからと言って、先輩の気持ちを否定する気は無い。それは、人の抱いた純粋な気持ちだから。それを否定するのは、人として駄目だと思うから。
「…本当に手厳しいな。だが、ありがとう。そこまで言ってくれて感謝する」
俺の言葉に、先輩は暫く目を閉じていたが、やがて眩しそうに目を細めて、小さく口の端で笑ってみせた。
「…私からお聞きしても良いですか? 先輩は何時から私の事を…?」
うん。
巻き戻る前の時間なら、色々と世話を焼いてくれたから、それが恋心に変わっても不思議じゃないかな、と思った。けど、今の時間では、あれ程に密だった訳じゃない。だから、先輩は…メゴロウが来る前から俺の事を…と思って訊いてみた。
「…ああ。何時からと言われれば、君が高等部に入って来た時からだな」
「…え…」
そんな、前から…?
「有り体に言えば、一目惚れだ。…詳しく語れば、君の隣に居る彼の視線に殺されそうだから言わないが。まあ、振られたからと言って、直ぐに誰かを好きになる事はないからな。背中を押してくれた事は感謝するが、棚ボタはないぞ、ゴンベ」
「は?」
「え?」
俺とメゴロウがいきなり出て来た名前に驚くより早く、先輩の後ろ…テラスを囲う植え込みの中から、ズボッとゴンベ王子が顔を出した。
「あ。バレてた?」
頭や身体に葉っぱを付けながら、ゴンベ王子が悪びれの無い笑顔を浮かべながら歩いて来る。
何時からそこに居たんだと言いたいし、先輩も何時から気が付いていたんだと聞きたい。
聞きたいが、何でゴンベ王子もアカデミックガウンを着ているんだ!? 更に裾から覗いて見えているのは、もんぺに黒い長靴!! 何で、王子様がそんな格好で外出しているんだよ!?
…これ、三人前はある筈なんだよなぁ…。
メゴロウの胃袋は本当にどうなっているんだろう…。
「まあ、これは俺の自己満足だから、君が気にする必要はない」
そして、メゴロウにミートボールスパゲティを食べさせ終わった処で、先輩が口を開いた。
「…自己満足…?」
メゴロウの口周りをナプキンで拭きながら、俺は聞き返す。
自己満足って何だ?
俺に告白する事が?
「俺が、何時までも引き摺っているのは、きっぱりと君に振られていないからだと、告白してバッサリ振られて来いと言われたのでな。恋人が居る相手に告白して、二人の間に何かあったらどうすると聞けば、そんなのは知らない、と。ただ、俺が振られる事に意味があると言われた」
おい、誰だよ?
先輩にそんな事を吹き込む命知らずは?
あれか? 元生徒会役員か? 大学部に来てから、全然顔を見ないが、まさかこっちでも暗躍してたりするのか? 今も、何処かに忍んでいるのか?
「告白と言えば、二人きりで雰囲気のある処でと言われたが、生憎とそんな場所は知らないし、とうもろこしに塗れての告白は駄目かと聞いたら、良い笑顔でバッサリと切り捨てられたから、君が良く利用する、馴染みのあるここにした。緊張せずに、素のままの君で居られるかと思ってな。しかし、やはり緊張をしていたみたいだな。今、彼と居る君はとても生き生きとしている。そんな訳で、俺の告白の返事を聞かせてくれないか?」
うん、息継ぎしてくれ。
そして、瞬きもしてくれ。
ドライアイになるぞ。
何か、ツッコミたい部分もあったが、スルーで良いか?
俺の目を真っ直ぐ見たまま、一瞬たりとも視線を逸らさずに話すのは凄いと思うが、はっきり言って怖い。真顔でそんな事を言うから、カツアゲもとい、断罪されてる様な気分になったんだよ。少しでも笑顔を浮かべれば可愛げがあるのに…いや、もっと怖いな。先輩が破顔するイメージが湧かない。口の端だけで笑うイメージしかない。
けど、まあ…俺が緊張しない様にとか、そんな気を使ってくれていたのか…何だかんだで、優しいんだよな、先輩は。巻き戻る前の時間程ではないが、園芸部でそれなりに楽しく活動してたし、根っこが変わる訳じゃないもんな…。
って…あれ?
「…先輩の気持ちは嬉しく思います。しかし、私にはメゴロウが居ますから、その気持ちに応える事は出来ません。あ、メゴロウが居なくても、それは変わりありません。先輩は、私にとって、信頼のおける尊敬すべき人であり、そこに恋愛感情が混じる事はありません」
うん。
俺の先輩に対する気持ちは、これだ。
先輩には色々と助けて貰ったし、気を遣わせてしまった。好きか嫌いかと言われれば、好きだと言える。が、そこにやはり恋愛感情は無い。巻き戻る前の時間で言った様に、俺は先輩のちんこを触りたいとは思わないし、抱かれたいとかも思わない。俺は、メゴロウだからそうしたいと思ったんだ。メゴロウと色々とえろえろな事をしているが、俺は、自分はノンケだと思っている。が、だからと言って、先輩の気持ちを否定する気は無い。それは、人の抱いた純粋な気持ちだから。それを否定するのは、人として駄目だと思うから。
「…本当に手厳しいな。だが、ありがとう。そこまで言ってくれて感謝する」
俺の言葉に、先輩は暫く目を閉じていたが、やがて眩しそうに目を細めて、小さく口の端で笑ってみせた。
「…私からお聞きしても良いですか? 先輩は何時から私の事を…?」
うん。
巻き戻る前の時間なら、色々と世話を焼いてくれたから、それが恋心に変わっても不思議じゃないかな、と思った。けど、今の時間では、あれ程に密だった訳じゃない。だから、先輩は…メゴロウが来る前から俺の事を…と思って訊いてみた。
「…ああ。何時からと言われれば、君が高等部に入って来た時からだな」
「…え…」
そんな、前から…?
「有り体に言えば、一目惚れだ。…詳しく語れば、君の隣に居る彼の視線に殺されそうだから言わないが。まあ、振られたからと言って、直ぐに誰かを好きになる事はないからな。背中を押してくれた事は感謝するが、棚ボタはないぞ、ゴンベ」
「は?」
「え?」
俺とメゴロウがいきなり出て来た名前に驚くより早く、先輩の後ろ…テラスを囲う植え込みの中から、ズボッとゴンベ王子が顔を出した。
「あ。バレてた?」
頭や身体に葉っぱを付けながら、ゴンベ王子が悪びれの無い笑顔を浮かべながら歩いて来る。
何時からそこに居たんだと言いたいし、先輩も何時から気が付いていたんだと聞きたい。
聞きたいが、何でゴンベ王子もアカデミックガウンを着ているんだ!? 更に裾から覗いて見えているのは、もんぺに黒い長靴!! 何で、王子様がそんな格好で外出しているんだよ!?
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