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先生の大きな手
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「………」
「………」
灯りを落とした部屋で、浴衣を着て二人ベッドに並んで座ってもじもじしている。
いや、結婚してるし、初めてって訳じゃないし、何を今更って感じだけど。
でも。
でも。
でも!
今日は、訳が違うんだよぉ~。
「…瑠璃子ちゃん…」
「ふぉいっ!」
あ、変な声出たし、裏返った。
うう、変に意識してるって思われたかな?
くすっと、息を吐く様な笑い声が聞こえたと思ったら、膝の上で握り締めていた手の上に、先生の大きな手が置かれた。
大きい手だけど。男の人の手だけど、でも、私の手より、柔らかな指の腹が、私の拳を擽る。
「…怖い?」
少し身体を屈めて先生が私の顔を覗き込んで来る。
心配そうな顔してる。
でも、決めたのは二人だし、後悔したくないし、させたくもない。
「…怖くない…って言ったら嘘になる…けど…」
そっと、空いている方の手で、私はお腹を押さえる。
「…けど…天野副隊長の事があって…私…先生を一人にするのは嫌だから…」
…うん…。
天野副隊長が、任務中に亡くなったのは、つい先日の事。
葬儀も終わって、荼毘にもふされた。
空に昇って行く煙を、隊の皆で見上げた。
その時に、何だか肩を叩かれた気がしたんだよね。
ぽんって、軽くだけど。
けど、その手の感触が。その叩き方が、天野副隊長みたいだった。亜矢ちゃんに話したら『私も…』って、赤い目をして言ってた。他の皆も、頭や肩を叩かれたとか言ってて、天野副隊長がお別れに来たのかもって話になったっけ…うん、きっと、たぶん…。賑やかな人だったから『しんみりしてるなよ』って言いに来たのかも知れない。
天野副隊長の奥さんのみくさんは、それでも、遺影を持って俯いていた。いつも元気な人だから、そんな姿が切なくて苦しくて。でも、それ以上に、ずっと下を向いていた星君が気になった。星君は、本当に元気の塊で。猪突猛進なんて言葉は、星君の為にあるんだと思う。二人、仲が良かったし、天野副隊長は、きっと星君を弟の様に思っていた筈。…星君の方は…解らないけど…。
天野副隊長とみくさんの間に、子供は居なかった。これから先、みくさんは一人なんだと思ったら、やっぱり悲しくなって。私も朱雀である以上、いつ何時、命を落とすか解らない。絶対に無事だなんて保証は無い。
だから。
少しだけ下を向いていた顔を上げて、先生の目をじっと見る。
優しい目だ。
頼りないなんて言う子も居たけど、そんな事、全然無い。先生は、強い人だ。
だから、はっきり言うんだ。
先生の子が欲しいって。
頑張れ、私。
「…先生のこ、こ、こ…っ…、濃い精子がっ、欲しいですっ!!」
うん! 間違えていないけど、間違えたあっ!!
◇
大好きな人。
学生の頃から好きで好きで追い掛けて、やっと捕まえた人。
先生との出会いは学び舎でだ。今は学校って名称に変わったけれど、当時はそうだった。勉強は必須じゃ無かったから、お金に余裕のある家の子しか、そこには行かなかった。だから、年齢もまちまちだった。私の家はそこそこに裕福だったし、お祖母ちゃんに私は薙刀を教えて貰っていたんだけど…このままじゃ、嫁の貰い手が無くなると、無理矢理に学び舎に放り込まれた。酷い。
そこで出逢ったのが、先生だ。
その第一印象は、皆と同じく『頼りなさそう』だった。ぼさぼさ頭で、ちゃんと櫛を通しているのかしら? と、心配した。垂れ目だし、眉も申し訳無さそうに下がっているし、お昼は何時もおにぎりと玉子焼きだけだし、それで大丈夫なの? って、思った。
でも、勉強を教えている時の先生は、とても真剣な顔をしていて、薙刀のお稽古の時間が減るから、学び舎なんて…って、思ったけど、勉強が終わって帰る頃には、そんな思いは消えていた。
流石、専門職。お祖母ちゃんやお父さん、お母さんに聞くより、ずっと丁寧に解りやすく、根気良く教えてくれる。どんな事でも、投げ出さないで教えてくれる。それが嬉しくて楽しくて、学び舎に行かせてくれた父さんに感謝した。
それから暫くして、新しい仲間が来た。
『…高梨雪緖です…雪の緖と書いて雪緖です。不束者ですが、宜しくお願い致します』
胸に風呂敷包みを抱えて、深々と頭を下げる雪緖君に、なんて丁寧な子なんだろうって、私は目を丸くした。
私より小さい! 可愛い!
…まあ、本当はこっちの感情の方が大きかったのかも知れないけど。
雪緖君は何をするのにも、本当に丁寧だった。『相葉様』って呼ばれたから、瑠璃子で良いよって言ったら『瑠璃子様』になった。なんでだ…。他の子達も『様』で呼ばれて戸惑って、で、先生に相談した。
『…うん。慣れないだろうけど、でも、高梨は、それが"普通"なんだ。だから、高梨の呼びやすい様に、ね?』
やっぱり眉を下げて、そんな風に言われたら『はい』としか言えなくて。何か、事情があるんだなって、思った。その事情は後から知ったけど。
雪緖君と仲良くなって、暫く経った頃、どう見てもカタギじゃない人が学び舎に来た。
凄く背の高い男の人。細いけど、鍛えられているのが解る、そんな立ち姿だった。格好良いと思ったけど、近付きなくないなとも思った。
『父上様!』
って、雪緖君が、そのヤク…男の人に駆け寄って行った。
戸惑う私達に、雪緖君はその人が養父だと紹介してくれた。二人の背中を見送って、倫太郎君と『…雪緖が大人になったら、ああなるのかと思った…』、『うん、良かった…』って、話をした。
…いや、本当に怖かったんだよ?
長く伸ばした前髪から覗く細い目が鋭くて、それこそ、その眼力で殺されるんじゃないかって思った。あの長い前髪は、鋭い目を隠す為? いや、あんな風に威圧していたら、意味無いし…。
でも、雪緖君、嬉しそうだった? 頭触られて、ちょっと顔を赤くしていた…よね? 雪緖君って、落ち着いていて、あまり表情とか動かない感じだったけど、そうでもないのかな?
それから、また、仲間が増えた。
杜川星君。
いきなり倫太郎君を突き飛ばして、雪緖君の隣に座ってびっくりした。
雪緖君も驚いていたけど、先生に自己紹介をって言われて、真面目に名乗っていた。
星君は、本当に賑やかで猪突猛進な子だった。あっと云う間に、私達と仲良くなって、お昼を食べたり一緒に帰るようになった。
楽しい毎日だった。
でも。
そんな楽しい毎日に突然影が差した。
ううん、それが来る事は知っていた。
でも、あんな事が起こるなんて知らなかった。思いもしなかった。
…皆既日蝕…。
あの日を私は忘れない。
先生の左脚が失くなった日を。
先生のお見舞いに行って、私は泣きじゃくった。そんな私に先生は言ったんだ。
『脚一本で高梨と杜川が助かったんだから、安いものだよ』
って。
泣く私を慰める為か、先生は色々と話してくれた。入院費とか諸々のお金は朱雀から出るって。足も義足になるって。雪緖君のお義父さんが助けに来てくれて格好良かったって。朱雀で隊長をやっていると聞いて、私はびっくりして涙が止まった。
ヤクザじゃ無かったんだ…。
更に、星君のお義父さんは、朱雀の司令だって聞いて、白目を剥くかと思った。
『話には聞いていたけど、実際に仕事をしているのを見るとやっぱり違うよね。高梨のお義父さんは、前髪を上げて帽子を被っていて…杜川のお義父さんは、どっしりしていて…』
って、先生は話していたけど、何でそんな風に笑って話せるんだろうって、思った。脚、無くなったのに。生えて来たりはしないのに。
『ほら、先生は平凡で特に目立った取柄も無いし、ちょっと特徴が出来たって思えば、ね?』
そんな風に言って、得意気に笑う先生に私は何も言えなくて、やっぱりボロボロ涙が出て来て、そんな私の頭を先生は『困ったなあ』って、困った様に笑いながら撫でてくれた。優しくゆっくりと。
その時に、私は気が付いた。
誰よりも早くに病院に駆け付けたのは…。
先生の姿を見てボロボロ泣いたのは…。
そんな先生の傍に、片脚になりたいと思ったのは…。
…先生が好きだから…。
でも、先生はやっぱり先生だし、大人で。
まだ十五歳だった私の告白を本気とは取ってくれなくて。
まあ…二十も離れているんだから仕方が無いんだけど。
でも、諦め切れなくて。
他に好きな人なんて出来る筈も無くて。
先生みたいに傷付く人を少しでも減らしたくて、私は妖と戦う為に朱雀に入った。
…なんて本当は、もう二度と先生を傷付けたくないから。
先生のどの部分だって、妖にはあげない。髪の毛一本だって、私の物だ。
雪緒君のお義父さん…高梨隊長の下に付けられたのは、星君のお義父さん…杜川司令の計らいなんだろうな。と云うか、初めて会った時は、こんな事になるなんて思わなかったよ。高梨隊長の隊の人達は皆、良い人ばかりで、女のくせにとか、そんな事を言う人は居なかった。お蔭で、私は私らしく居る事が出来たし、動けたと思う。まあ、星君も居たのが大きいんだろうな。
そして、二十歳になって、私はまた先生に告白した。
『私と結婚して下さいっ!!』
…うん…間違えたよね…何で色々すっ飛ばして結婚なんだ…。
思わず涙目になる私の頭を先生は、やっぱり優しく撫でてくれた。
『…本当に、僕で良いの? 歳が離れてるし、親御さんも心配するよ?』
これは、了承って事で良いんだよね!?
『大丈夫! 親にはずっと先生の事が好きって言って来て、その度に色々言われて来たから慣れてます!』
笑って言ったのに、先生は片手で頭を押さえて空を仰いでしまった。
『…こんな僕だけど…宜しくね』
でも、そう言って笑ってくれたんだ。
お付き合いすっ飛ばしてのいきなりの結婚宣言に親は、泡を吹いたけど。
ずっと私が好きだと言って来たせいか、それとも、先生の土下座が効いたのかは謎だけど…私と先生は無事に夫婦になった。皆からお祝いもされて、二人で喜んだ。これからもずっと、二人で笑って行こうねって、先生が言って、うんって頷いた。
子供は授かりものだけど、私はまだまだ朱雀として戦いたいからと、我儘言って待って貰っていた。
…でも…。
天野副隊長が任務中に妖に食べられて怖くなった。
一人残されたみくさんを見て悲しくなった。
先生を一人にしたくない。
…私も…先生が亡くなった後に…一人になりたくない…。
我儘だと思うけど…でも…先生に何も残さないで死にたくない…。
そんな私に、先生はやっぱり笑って『うん。僕も瑠璃子ちゃんの子供が欲しい』って、頭を撫でてくれた。
◇
「うう…」
そして、今。
私は両手で顔を押さえて唸っていた。
なんでっ、何処から精子が出て来たのっ!?
いや、確かにそれは必要なんだけどっ!!
でも、でも、でもーっ!!
「…うん…まあ…瑠璃子ちゃんらしいって言うか…緊張しないで…って無理かも知れないけど…」
苦笑したのかな? そんな感じがした。呆れられていないよね?
って、思ったら、ぽふって、頭に先生の手が乗せられて、やっぱり優しく撫でてくれる。
うう、この手が好きだぁ。
「うう…や、やっぱり…い、命を授かるんだと思ったら…こ、怖くて…わ、私、ちゃんとお母さんになれるのか…不安で…あ、先生は立派なお父さんになると思うけど…っ…!」
そろそろと顔から手を離して先生を見上げたら、頭にある手と同じ様に優しく笑っていて、私は緊張と怖さと不安を打ち明けた。
「何で、僕だけ。僕だって怖いよ? 最初からちゃんとした親なんていない。子供と一緒に育って、親になるんだよ。だから、二人で親になって行こう。ね?」
そうしたら先生は、ふはって噴き出して。
でも、やっぱり、頭を優しく撫でながら、そう言ってくれた。
「…うう…先生、すきぃ…」
「う~ん…いい加減、義之って呼んで欲しいんだけど…」
「よ、よ、しゆ…き…さん…」
「うん。呼び捨てでも良いんだけどね?」
「むむむむむむむむりっ!! って、先生だって、瑠璃子ちゃんだし…っ…!」
「だって、可愛いから。呼び捨てになんて出来ないよ?」
「あうあう~…」
恥ずかしくて、両手でまた顔を押さえたら、その手を取られた。
「…僕の精子、貰って?」
私の恥ずかしさを軽減させようとしてくれたのかな…でも…先生がそう言うと、すっごいドキドキする。物凄く顔が熱い。真っ直ぐ優しく見詰められて、私は顔を赤くしながら頷いた。
「…はい…」
先生の大きくて柔らかい手が、私の頬に触れる。
私の手は刀を握るから、だいぶ固くなったと思う。
何時だったかそれを言ったら『一生懸命な瑠璃子ちゃんの手だよ。僕は好きだよ』って、先生は壊れ物を扱う様に、私の手を両手で包んでくれた。
本当に、どれだけ私を好きにさせれば気が済むんだろう。
優しく口付けされて、それだけじゃ足りなくて薄く唇を開けば、ぬるりと先生の舌が入って来る。ちょんと触れれば、悪戯するなって言う様に絡め捕られてしまう。
頼りないって、おっとりしてるって言われる事が多い先生だけど、でも、この時ばかりは違う。
先生は、やっぱり大人で男の人なんだって思う。
「…ん…っ…」
「…我慢しないで声を聞かせて?」
恥ずかしいから、つい声を抑えてしまう私に、先生がそう耳元で囁く。
口付けから流れる様にベッドへと押し倒されて、浴衣は開けられて何度も胸に口付けされて。それだけで、もう下のお口は濡れて来ちゃう。
「んゃ…っ…」
くちゅくちゅとした音が部屋に響く。
この音だって恥ずかしいんだけど、先生が『僕を迎えてくれる準備をしているんだよ? 嬉しいから、もっと聞かせて?』って、言ってくれたから、ちょっとは恥ずかしくなくなった…かも知れない。
先生の指が動く度に、その音は大きくなって行って、私は段々声を抑えられなくなっていく。
「…っ…あ、も、や…っ…! せ、んせぇ…っ…!」
早く来て?
もっと奥に。
指じゃ届かない処がもどかしくて切なくて。
私一人だけ、こんなになっているのは嫌。
先生も一緒に。
だって、これは二人でするものだよね?
「…義之って呼んで?」
それなのに、先生は意地悪だっ!!
普段は、ぼんやりおっとり頼りない情けないって言われてるくせに、そんな余裕たっぷりに意地悪そうに笑うなんて、ずるい卑怯反則!!
「よっ、しゆきさんの馬鹿あっ! そんな余裕見せてないで、早く精子を頂戴っ!!」
ああああああああ――――――――っ!!
馬鹿馬鹿馬鹿ああああぁああああぁぁぁぁっぁっ!!
だから、何でこうなるのおぉおぉおぉぉぉおっ!?
もう、もう、私の馬鹿あああああぁぁっぁっぁっ!!
「うん…覚悟してね、瑠璃子?」
ぐううっと悶える私の額に口付けをして、先生はとっても良い顔で笑った。
「へ?」
名前…ちゃん付けじゃない…。
って…覚悟って…その覚悟があるから、先生の精子を貰おうとしているんだけど? それなのに、何でそんな事を言うの?
ぱちぱちと目を瞬かせる私の唇に口付けてから、先生は私の脚を大きく広げた…――――――――。
◇
…うん…。
今まで…先生は…とっても…とおっても! 我慢してくれていたんだなって、解る夜だった…。
「ご、ごめんね、大丈夫? 水飲む?」
朝から、わたわたと動き回る先生が可愛い。
ベッドの上で動けない私が心配なのは解るけど。
「先生、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」
私はお休みだから良いんだけど。
先生が遅刻したら、皆に示しがつかないよ?
倫太郎君、何だかんだで目敏いから、からかわれちゃうよ?
「で、でも…その…瑠璃子ちゃんが…」
「だいじょーぶ。半日も寝てれば回復するから」
…多分…。
休みの前の日で良かった…。
「う、うん…終わったら、直ぐに帰って来るから…家の事は何もしなくて良いからね? 夕飯も僕が作るから…」
「はーいはい。もう、先生は心配性だなあ。伊達に日々、刀を振り回してませーん」
「"はい"は、一回で良いから。…本当に大人しくしててね?」
そう言いながら、先生は眉を下げて笑って私の頭を撫でてくれる。
その手の優しさが嬉しくて幸せで、私は目を細めて笑う。
「行ってらっしゃい」
「うん、行って来ます」
私の前髪を掻き上げて、額に口付けをしてから先生が寝室から出て行く。
その背中を見送ってから、私はそっとお腹に手をあてる。
裸だった筈なのに、何時の間にか浴衣を着ていた。
う~ん…全然記憶にない…。
だって、本当に昨夜の先生は凄かった。
今まで、本当に本っ当に先生に我慢させて来たんだな…。
義足での日常生活に支障は無いって言っていたけれど、大丈夫なのかな?
いつか…もっと先生を甘やかせられる様になりたいな…。
私じゃなく、先生に我儘を言って欲しい。
昨夜のあれで、このお腹に命が宿ったのかは解らないけど。
でも。
いつか。
いつか生まれて来る子と、三人で。
笑って、甘えて、甘やかされて…そうやって過ごして行けたら良いな…世間から見て良い親じゃなくて良い。子供にとって、良い親になりたい…。
そう思いながら、私は朝の光の中で、まだ重い瞼をそっと閉じた。
「………」
灯りを落とした部屋で、浴衣を着て二人ベッドに並んで座ってもじもじしている。
いや、結婚してるし、初めてって訳じゃないし、何を今更って感じだけど。
でも。
でも。
でも!
今日は、訳が違うんだよぉ~。
「…瑠璃子ちゃん…」
「ふぉいっ!」
あ、変な声出たし、裏返った。
うう、変に意識してるって思われたかな?
くすっと、息を吐く様な笑い声が聞こえたと思ったら、膝の上で握り締めていた手の上に、先生の大きな手が置かれた。
大きい手だけど。男の人の手だけど、でも、私の手より、柔らかな指の腹が、私の拳を擽る。
「…怖い?」
少し身体を屈めて先生が私の顔を覗き込んで来る。
心配そうな顔してる。
でも、決めたのは二人だし、後悔したくないし、させたくもない。
「…怖くない…って言ったら嘘になる…けど…」
そっと、空いている方の手で、私はお腹を押さえる。
「…けど…天野副隊長の事があって…私…先生を一人にするのは嫌だから…」
…うん…。
天野副隊長が、任務中に亡くなったのは、つい先日の事。
葬儀も終わって、荼毘にもふされた。
空に昇って行く煙を、隊の皆で見上げた。
その時に、何だか肩を叩かれた気がしたんだよね。
ぽんって、軽くだけど。
けど、その手の感触が。その叩き方が、天野副隊長みたいだった。亜矢ちゃんに話したら『私も…』って、赤い目をして言ってた。他の皆も、頭や肩を叩かれたとか言ってて、天野副隊長がお別れに来たのかもって話になったっけ…うん、きっと、たぶん…。賑やかな人だったから『しんみりしてるなよ』って言いに来たのかも知れない。
天野副隊長の奥さんのみくさんは、それでも、遺影を持って俯いていた。いつも元気な人だから、そんな姿が切なくて苦しくて。でも、それ以上に、ずっと下を向いていた星君が気になった。星君は、本当に元気の塊で。猪突猛進なんて言葉は、星君の為にあるんだと思う。二人、仲が良かったし、天野副隊長は、きっと星君を弟の様に思っていた筈。…星君の方は…解らないけど…。
天野副隊長とみくさんの間に、子供は居なかった。これから先、みくさんは一人なんだと思ったら、やっぱり悲しくなって。私も朱雀である以上、いつ何時、命を落とすか解らない。絶対に無事だなんて保証は無い。
だから。
少しだけ下を向いていた顔を上げて、先生の目をじっと見る。
優しい目だ。
頼りないなんて言う子も居たけど、そんな事、全然無い。先生は、強い人だ。
だから、はっきり言うんだ。
先生の子が欲しいって。
頑張れ、私。
「…先生のこ、こ、こ…っ…、濃い精子がっ、欲しいですっ!!」
うん! 間違えていないけど、間違えたあっ!!
◇
大好きな人。
学生の頃から好きで好きで追い掛けて、やっと捕まえた人。
先生との出会いは学び舎でだ。今は学校って名称に変わったけれど、当時はそうだった。勉強は必須じゃ無かったから、お金に余裕のある家の子しか、そこには行かなかった。だから、年齢もまちまちだった。私の家はそこそこに裕福だったし、お祖母ちゃんに私は薙刀を教えて貰っていたんだけど…このままじゃ、嫁の貰い手が無くなると、無理矢理に学び舎に放り込まれた。酷い。
そこで出逢ったのが、先生だ。
その第一印象は、皆と同じく『頼りなさそう』だった。ぼさぼさ頭で、ちゃんと櫛を通しているのかしら? と、心配した。垂れ目だし、眉も申し訳無さそうに下がっているし、お昼は何時もおにぎりと玉子焼きだけだし、それで大丈夫なの? って、思った。
でも、勉強を教えている時の先生は、とても真剣な顔をしていて、薙刀のお稽古の時間が減るから、学び舎なんて…って、思ったけど、勉強が終わって帰る頃には、そんな思いは消えていた。
流石、専門職。お祖母ちゃんやお父さん、お母さんに聞くより、ずっと丁寧に解りやすく、根気良く教えてくれる。どんな事でも、投げ出さないで教えてくれる。それが嬉しくて楽しくて、学び舎に行かせてくれた父さんに感謝した。
それから暫くして、新しい仲間が来た。
『…高梨雪緖です…雪の緖と書いて雪緖です。不束者ですが、宜しくお願い致します』
胸に風呂敷包みを抱えて、深々と頭を下げる雪緖君に、なんて丁寧な子なんだろうって、私は目を丸くした。
私より小さい! 可愛い!
…まあ、本当はこっちの感情の方が大きかったのかも知れないけど。
雪緖君は何をするのにも、本当に丁寧だった。『相葉様』って呼ばれたから、瑠璃子で良いよって言ったら『瑠璃子様』になった。なんでだ…。他の子達も『様』で呼ばれて戸惑って、で、先生に相談した。
『…うん。慣れないだろうけど、でも、高梨は、それが"普通"なんだ。だから、高梨の呼びやすい様に、ね?』
やっぱり眉を下げて、そんな風に言われたら『はい』としか言えなくて。何か、事情があるんだなって、思った。その事情は後から知ったけど。
雪緖君と仲良くなって、暫く経った頃、どう見てもカタギじゃない人が学び舎に来た。
凄く背の高い男の人。細いけど、鍛えられているのが解る、そんな立ち姿だった。格好良いと思ったけど、近付きなくないなとも思った。
『父上様!』
って、雪緖君が、そのヤク…男の人に駆け寄って行った。
戸惑う私達に、雪緖君はその人が養父だと紹介してくれた。二人の背中を見送って、倫太郎君と『…雪緖が大人になったら、ああなるのかと思った…』、『うん、良かった…』って、話をした。
…いや、本当に怖かったんだよ?
長く伸ばした前髪から覗く細い目が鋭くて、それこそ、その眼力で殺されるんじゃないかって思った。あの長い前髪は、鋭い目を隠す為? いや、あんな風に威圧していたら、意味無いし…。
でも、雪緖君、嬉しそうだった? 頭触られて、ちょっと顔を赤くしていた…よね? 雪緖君って、落ち着いていて、あまり表情とか動かない感じだったけど、そうでもないのかな?
それから、また、仲間が増えた。
杜川星君。
いきなり倫太郎君を突き飛ばして、雪緖君の隣に座ってびっくりした。
雪緖君も驚いていたけど、先生に自己紹介をって言われて、真面目に名乗っていた。
星君は、本当に賑やかで猪突猛進な子だった。あっと云う間に、私達と仲良くなって、お昼を食べたり一緒に帰るようになった。
楽しい毎日だった。
でも。
そんな楽しい毎日に突然影が差した。
ううん、それが来る事は知っていた。
でも、あんな事が起こるなんて知らなかった。思いもしなかった。
…皆既日蝕…。
あの日を私は忘れない。
先生の左脚が失くなった日を。
先生のお見舞いに行って、私は泣きじゃくった。そんな私に先生は言ったんだ。
『脚一本で高梨と杜川が助かったんだから、安いものだよ』
って。
泣く私を慰める為か、先生は色々と話してくれた。入院費とか諸々のお金は朱雀から出るって。足も義足になるって。雪緖君のお義父さんが助けに来てくれて格好良かったって。朱雀で隊長をやっていると聞いて、私はびっくりして涙が止まった。
ヤクザじゃ無かったんだ…。
更に、星君のお義父さんは、朱雀の司令だって聞いて、白目を剥くかと思った。
『話には聞いていたけど、実際に仕事をしているのを見るとやっぱり違うよね。高梨のお義父さんは、前髪を上げて帽子を被っていて…杜川のお義父さんは、どっしりしていて…』
って、先生は話していたけど、何でそんな風に笑って話せるんだろうって、思った。脚、無くなったのに。生えて来たりはしないのに。
『ほら、先生は平凡で特に目立った取柄も無いし、ちょっと特徴が出来たって思えば、ね?』
そんな風に言って、得意気に笑う先生に私は何も言えなくて、やっぱりボロボロ涙が出て来て、そんな私の頭を先生は『困ったなあ』って、困った様に笑いながら撫でてくれた。優しくゆっくりと。
その時に、私は気が付いた。
誰よりも早くに病院に駆け付けたのは…。
先生の姿を見てボロボロ泣いたのは…。
そんな先生の傍に、片脚になりたいと思ったのは…。
…先生が好きだから…。
でも、先生はやっぱり先生だし、大人で。
まだ十五歳だった私の告白を本気とは取ってくれなくて。
まあ…二十も離れているんだから仕方が無いんだけど。
でも、諦め切れなくて。
他に好きな人なんて出来る筈も無くて。
先生みたいに傷付く人を少しでも減らしたくて、私は妖と戦う為に朱雀に入った。
…なんて本当は、もう二度と先生を傷付けたくないから。
先生のどの部分だって、妖にはあげない。髪の毛一本だって、私の物だ。
雪緒君のお義父さん…高梨隊長の下に付けられたのは、星君のお義父さん…杜川司令の計らいなんだろうな。と云うか、初めて会った時は、こんな事になるなんて思わなかったよ。高梨隊長の隊の人達は皆、良い人ばかりで、女のくせにとか、そんな事を言う人は居なかった。お蔭で、私は私らしく居る事が出来たし、動けたと思う。まあ、星君も居たのが大きいんだろうな。
そして、二十歳になって、私はまた先生に告白した。
『私と結婚して下さいっ!!』
…うん…間違えたよね…何で色々すっ飛ばして結婚なんだ…。
思わず涙目になる私の頭を先生は、やっぱり優しく撫でてくれた。
『…本当に、僕で良いの? 歳が離れてるし、親御さんも心配するよ?』
これは、了承って事で良いんだよね!?
『大丈夫! 親にはずっと先生の事が好きって言って来て、その度に色々言われて来たから慣れてます!』
笑って言ったのに、先生は片手で頭を押さえて空を仰いでしまった。
『…こんな僕だけど…宜しくね』
でも、そう言って笑ってくれたんだ。
お付き合いすっ飛ばしてのいきなりの結婚宣言に親は、泡を吹いたけど。
ずっと私が好きだと言って来たせいか、それとも、先生の土下座が効いたのかは謎だけど…私と先生は無事に夫婦になった。皆からお祝いもされて、二人で喜んだ。これからもずっと、二人で笑って行こうねって、先生が言って、うんって頷いた。
子供は授かりものだけど、私はまだまだ朱雀として戦いたいからと、我儘言って待って貰っていた。
…でも…。
天野副隊長が任務中に妖に食べられて怖くなった。
一人残されたみくさんを見て悲しくなった。
先生を一人にしたくない。
…私も…先生が亡くなった後に…一人になりたくない…。
我儘だと思うけど…でも…先生に何も残さないで死にたくない…。
そんな私に、先生はやっぱり笑って『うん。僕も瑠璃子ちゃんの子供が欲しい』って、頭を撫でてくれた。
◇
「うう…」
そして、今。
私は両手で顔を押さえて唸っていた。
なんでっ、何処から精子が出て来たのっ!?
いや、確かにそれは必要なんだけどっ!!
でも、でも、でもーっ!!
「…うん…まあ…瑠璃子ちゃんらしいって言うか…緊張しないで…って無理かも知れないけど…」
苦笑したのかな? そんな感じがした。呆れられていないよね?
って、思ったら、ぽふって、頭に先生の手が乗せられて、やっぱり優しく撫でてくれる。
うう、この手が好きだぁ。
「うう…や、やっぱり…い、命を授かるんだと思ったら…こ、怖くて…わ、私、ちゃんとお母さんになれるのか…不安で…あ、先生は立派なお父さんになると思うけど…っ…!」
そろそろと顔から手を離して先生を見上げたら、頭にある手と同じ様に優しく笑っていて、私は緊張と怖さと不安を打ち明けた。
「何で、僕だけ。僕だって怖いよ? 最初からちゃんとした親なんていない。子供と一緒に育って、親になるんだよ。だから、二人で親になって行こう。ね?」
そうしたら先生は、ふはって噴き出して。
でも、やっぱり、頭を優しく撫でながら、そう言ってくれた。
「…うう…先生、すきぃ…」
「う~ん…いい加減、義之って呼んで欲しいんだけど…」
「よ、よ、しゆ…き…さん…」
「うん。呼び捨てでも良いんだけどね?」
「むむむむむむむむりっ!! って、先生だって、瑠璃子ちゃんだし…っ…!」
「だって、可愛いから。呼び捨てになんて出来ないよ?」
「あうあう~…」
恥ずかしくて、両手でまた顔を押さえたら、その手を取られた。
「…僕の精子、貰って?」
私の恥ずかしさを軽減させようとしてくれたのかな…でも…先生がそう言うと、すっごいドキドキする。物凄く顔が熱い。真っ直ぐ優しく見詰められて、私は顔を赤くしながら頷いた。
「…はい…」
先生の大きくて柔らかい手が、私の頬に触れる。
私の手は刀を握るから、だいぶ固くなったと思う。
何時だったかそれを言ったら『一生懸命な瑠璃子ちゃんの手だよ。僕は好きだよ』って、先生は壊れ物を扱う様に、私の手を両手で包んでくれた。
本当に、どれだけ私を好きにさせれば気が済むんだろう。
優しく口付けされて、それだけじゃ足りなくて薄く唇を開けば、ぬるりと先生の舌が入って来る。ちょんと触れれば、悪戯するなって言う様に絡め捕られてしまう。
頼りないって、おっとりしてるって言われる事が多い先生だけど、でも、この時ばかりは違う。
先生は、やっぱり大人で男の人なんだって思う。
「…ん…っ…」
「…我慢しないで声を聞かせて?」
恥ずかしいから、つい声を抑えてしまう私に、先生がそう耳元で囁く。
口付けから流れる様にベッドへと押し倒されて、浴衣は開けられて何度も胸に口付けされて。それだけで、もう下のお口は濡れて来ちゃう。
「んゃ…っ…」
くちゅくちゅとした音が部屋に響く。
この音だって恥ずかしいんだけど、先生が『僕を迎えてくれる準備をしているんだよ? 嬉しいから、もっと聞かせて?』って、言ってくれたから、ちょっとは恥ずかしくなくなった…かも知れない。
先生の指が動く度に、その音は大きくなって行って、私は段々声を抑えられなくなっていく。
「…っ…あ、も、や…っ…! せ、んせぇ…っ…!」
早く来て?
もっと奥に。
指じゃ届かない処がもどかしくて切なくて。
私一人だけ、こんなになっているのは嫌。
先生も一緒に。
だって、これは二人でするものだよね?
「…義之って呼んで?」
それなのに、先生は意地悪だっ!!
普段は、ぼんやりおっとり頼りない情けないって言われてるくせに、そんな余裕たっぷりに意地悪そうに笑うなんて、ずるい卑怯反則!!
「よっ、しゆきさんの馬鹿あっ! そんな余裕見せてないで、早く精子を頂戴っ!!」
ああああああああ――――――――っ!!
馬鹿馬鹿馬鹿ああああぁああああぁぁぁぁっぁっ!!
だから、何でこうなるのおぉおぉおぉぉぉおっ!?
もう、もう、私の馬鹿あああああぁぁっぁっぁっ!!
「うん…覚悟してね、瑠璃子?」
ぐううっと悶える私の額に口付けをして、先生はとっても良い顔で笑った。
「へ?」
名前…ちゃん付けじゃない…。
って…覚悟って…その覚悟があるから、先生の精子を貰おうとしているんだけど? それなのに、何でそんな事を言うの?
ぱちぱちと目を瞬かせる私の唇に口付けてから、先生は私の脚を大きく広げた…――――――――。
◇
…うん…。
今まで…先生は…とっても…とおっても! 我慢してくれていたんだなって、解る夜だった…。
「ご、ごめんね、大丈夫? 水飲む?」
朝から、わたわたと動き回る先生が可愛い。
ベッドの上で動けない私が心配なのは解るけど。
「先生、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」
私はお休みだから良いんだけど。
先生が遅刻したら、皆に示しがつかないよ?
倫太郎君、何だかんだで目敏いから、からかわれちゃうよ?
「で、でも…その…瑠璃子ちゃんが…」
「だいじょーぶ。半日も寝てれば回復するから」
…多分…。
休みの前の日で良かった…。
「う、うん…終わったら、直ぐに帰って来るから…家の事は何もしなくて良いからね? 夕飯も僕が作るから…」
「はーいはい。もう、先生は心配性だなあ。伊達に日々、刀を振り回してませーん」
「"はい"は、一回で良いから。…本当に大人しくしててね?」
そう言いながら、先生は眉を下げて笑って私の頭を撫でてくれる。
その手の優しさが嬉しくて幸せで、私は目を細めて笑う。
「行ってらっしゃい」
「うん、行って来ます」
私の前髪を掻き上げて、額に口付けをしてから先生が寝室から出て行く。
その背中を見送ってから、私はそっとお腹に手をあてる。
裸だった筈なのに、何時の間にか浴衣を着ていた。
う~ん…全然記憶にない…。
だって、本当に昨夜の先生は凄かった。
今まで、本当に本っ当に先生に我慢させて来たんだな…。
義足での日常生活に支障は無いって言っていたけれど、大丈夫なのかな?
いつか…もっと先生を甘やかせられる様になりたいな…。
私じゃなく、先生に我儘を言って欲しい。
昨夜のあれで、このお腹に命が宿ったのかは解らないけど。
でも。
いつか。
いつか生まれて来る子と、三人で。
笑って、甘えて、甘やかされて…そうやって過ごして行けたら良いな…世間から見て良い親じゃなくて良い。子供にとって、良い親になりたい…。
そう思いながら、私は朝の光の中で、まだ重い瞼をそっと閉じた。
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