神様お願い

三冬月マヨ

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本編

神様教えて

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 酷く静かな夜だった。
 決戦前の、最後の休息だ。
 その日は、それぞれ一人になりたいだろうからと、各々部屋を取って休んだ。
 今日を最後に後は野宿となるだろう。
 いや、休める時があるのかすら解らない。
 だから、飯を食った後、さっさと風呂に入ってベッドへと潜り込んだ。
 けど、眠れずにゴロゴロとしていた俺の耳に、小さく控えめなノックの音が届いた。
 こんな夜に誰だと思うも、仲間の剣士だろうとあたりを付けて俺はベッドから下りて、部屋の入口へと歩いて行く。
 あいつも眠れずに居るのなら、眠くなるまで話をするのも悪くは無い。
 前世での憧れだったんだよな、女子会ならぬ男子会。
 まあ、二人しか居ないけどさ。
 しかし、ドアを開けた先に居たのは。

「…こんな夜に無礼を申し訳ありません…」

 胸の前で手を組んで、不安そうに青い瞳を揺らせて俺を見上げる聖女だった。

「…こんな夜に男の部屋を訪れるのは感心しませんね。部屋へお戻り下さい、聖女マリエル様」

 おい!
 追い返すなよ、俺の口ぃっ!!

 俺の言葉に聖女はその小さな肩を震わせた。

「それも、その様な夜着で。他の者に見られたらどうされるおつもりですか? 部屋の前までお送りします」

 据え膳!
 この状況って間違いなく据え膳だと思うんですけどおっ!?
 肩が見えて、ちらりと胸元が見える真っ白なワンピースの上に、軽くストールを巻いていますよ!?
 俺、喉から手が出そうなんですけど!?
 何なら、俺のマグナムが火を噴くぜ! とか言いたいんですけどおっ!?
 なのに、この口は、この口はああああああっ!!

 そう俺が口にして部屋の外へ出ようとした時、聖女が俺の胸に飛び込んで来た。

「…はしたないと思われるでしょう…それで構いません…。ですが…私は…私は…勇者ライザー様…いいえ、ライザー様、貴方をずっとお慕いして…」

 うおおおおお…む、胸が…聖女の柔らかな豊満な胸が…ヤバい…マジでマグナムがマグナムしそう…。
 だと、云うのに。

「…いけません。貴女は、勇者と云うものに夢を、幻想を抱いているだけです」

 うををををををををををををををいっ!!

 手が勝手に聖女の肩に手を置いて、俺からべりっと聖女を引き剥がしやがった!!
 何してくれてんの!?
 ねえ!? 聖女様、泣きそうですよ!?
 いや、何なら、全俺が泣く!

「決戦前で落ち着かない気持ちは俺も同じです。ですが、お間違えのなきよう、貴女を真に想う者が直ぐ側に居ます。貴女も、本当は解っている筈です。貴女が、本当は誰に想いを寄せているのか」

 吐く。
 もう、吐く。
 吐きたい。
 何言っているの、俺ぇ…。

 そう言いながら、俺は聖女の手を引いて彼女の部屋の前まで送り。

「さあ、明日からは何時休めるのか解りませんから…」

 ああああああああ…。
 口から魂が出て行く…。
 何なら、白目も剥いていると思いたい…。

 そんな俺に気付かずに、聖女は一筋の涙を流して部屋の中へと、一人消えて行った。

 泣きたいのは俺の方だ――――――――――っ!!

 ◆

「…っ、あ…う…!」

「…熱い、な…そなたの中は…」

 で、啼かされているって云うね、もうね。
 本当、どうしてこうなった…。

「あ、熱いのは貴様の方だろう! それともあれか? 貴様には屍を抱く趣味があるのか? 余計な事を言ってないで、さっさと果てろっ!!」

 だーかーらーっ!!
 何で、そんな事を言うんだよ、この口はああああっ!!

「…ふ…。ならば、恣意のままに」

「…っあ、あ、あっ!!」

 俺の言葉に、それまでゆっくりと動いていたオニキスの動きが早くなる。
 もう、こいつに何度イかされたのか解らない。
 背中にあたる柔らかなシーツは、それはもう、悲惨な事になっているだろう。
 宿屋の人、ごめんなさい。
 俺が悪い訳じゃないんです。
 この、底無しの元魔王が悪いんです。
 もう出ないって、もう無理って言いたいのに、口から出る言葉はこいつを煽る様な言葉ばかりで。
 本当に、もうあれだろ?
 これ、あれだろ?
 ラノベでよくある、エロゲーの世界に転生しました。ってヤツだろ?
 エロゲーはそれなりにプレイしたけどさ、こんなの俺は知らない。
 だから、ビーとエルが付くヤツだろ?
 腐女子さんとか、貴腐人さんとかが喜ぶヤツ!
 きっとパッケージの煽りには『即堕ち勇者』とか、書かれていたりするんだろ!?
 でなきゃおかしいだろ、こんなの!
 男にヤられてよがってるなんてさあ!
 何で、こんな気持ち良いんだよお!?
 何で、もっと奥にって、オニキスの腰に脚絡めてんだよお、俺ぇ!?
 嫌だ、嫌だ、こんなの俺じゃない!!
 そのうち『らめえ~』とか、語尾にハートマーク付けて言い出しそうで怖い!!
 女の子ならともかく、男の俺がそんなの言えない! 自分がそんなの言うの想像したらキモ過ぎる!!
 同じエロゲーなら、男性向け!
 デ〇ンベインみたいな、かっこいいメカに乗りたかったよ!!
 ギャーンって、ギター鳴らしたかったよおおおおっ!!
 本っ当に、どうしてこうなった!?
 神様教えて!!

 ――――――――今から二ヶ月前の事です。
 光に愛された勇者ライザーは、仲間の剣士レン、聖女マリエルと共に魔王が住む居城へと向かいました。
 彼等は襲い来る魔物や魔族を次々と薙ぎ払い、ついには魔王と対峙する事になりました。
 しかし、魔王の力は絶大でした。
 剣士レンが倒され、聖女マリエルも倒れました。
 しかし勇者ライザーは、絶望の中でも希望を失いませんでした。
 一人でも果敢に魔王へと立ち向かって行ったのです。
 その長い金色の髪を靡かせ、血に塗れても怯む事無く、諦める事無く。
 そうして、勇者ライザーは魔王を斃したのです。
 しかし、勇者ライザーは一人姿を消しました。
 剣士レン、聖女マリエルに、聖剣を託して。
 ここから先に勇者は必要無い。
 幻想はもう必要無い。
 後は、人々の力を合わせて生きて行くのだと。
 そう言い残して。
 剣士レンと聖女マリエルは、勇者ライザーの言葉を人々に語りながら、今も残った魔物を討伐し続けています。
 時には、村や街の復興に手を貸しながら。
 勇者ライザーの帰還を待ちながら。
 聖剣は、聖女マリエルが所属する国の中枢にある大神殿に納められました。
 何時か、勇者ライザーへと返す為に。
 今は、その大聖堂の中で静かな眠りについています…――――――――。

 何処の誰だよ、それぇ…。
 とある街の食堂で、語り部が語る内容に、俺は頭を抱えてテーブルに突っ伏していた。
 俺が知らない間にエライ事になってませんか? ねえ、神様?
 てか、どーりで魔物の数が少ない訳だよ。
 村や街の復興に手を貸そうとしても、その気持ちだけで十分ですって断られる訳だよ!!
 何やってんの、あいつら!?
 国へとっとと帰って結婚しちまえよおおお!!

 そんな俺の気持ちなど知らぬ様に、俺の対面に座る元魔王のオニキスは、涼しい顔をして優雅な手付きで、肉を切り分けている。
 魔王の城から出る前に、ヤツのクソ長い髪はバッサリと切ってやった。
 今は肩に掛かるぐらいの長さで、後ろで一つに結んでいる。
 金色の瞳は、今は魔法によって薄い茶色に見えている。
 残った角の痕も、ゴッリゴリに削って、今は髪に隠れて見えない。
 俺も、背中まで伸ばしていた髪を切った。いや、オニキスに切られた。
 首が見えるぐらいまで切られた。首がスースーする。
 髪の色は金髪から、黒髪へとオニキスの魔法で変えられた。瞳の色も、黒く。
 これなら、聖剣を持たない俺が勇者ライザーだと気付く者は居ないだろう。
 それに。
 俺は隣の椅子に立て掛けた剣を見る。
 今は、こいつが俺の相棒だ。
 聖剣を手放した俺に、オニキスが自分が使っている物だが、と、俺に渡して来たのだ。
 そこらに転がっている剣を拾って、それに何らかの魔法を乗せて使おうと思っていたのだが。

『そなたの力に、なまくらの剣では耐えられぬだろうよ』

 と、言われて、それもそうかと頂戴したのだが。
 何これ、怖い。
 ぶっちゃけ、聖剣より手に馴染む。
 重さを全然感じさせない。
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 やべえだろ、これ。
 こんなん貰えねえよ。
 てか、魔王が使ってたんだ。
 そんじゃそこらの剣な訳が無かったんだ。
 魔王の魔力と共に成長した剣…これは、魔剣だ…。
 これは、俺が持つ物じゃない。
 だから、返そうとした。
 したら。

『それは、もうそなたの物だ。解るであろう? そら、そなたの魔力を嬉しそうに吸い上げておる』

 どぅええええええ…って、聖剣にも、魔力あげてたわ、そいや。
 俺の魔力で上書きされた…俺の魔剣か…。

『…元々…そなたの為に用意した物だしな…』

 その呟きは小さくて、新しい玩具を手に入れた子供の様に心を弾ませていた俺には、良く聞き取れなかった。

『…こんな物を易々と手放すとはな、流石余裕だな。対価に何を望む?』

 ごふっ。
 素直に受け取れよ、口ぃ!

『要らぬ。そなたが持っているだけで良い』

 止めて。
 そんな優しく目を細めないで。
 そんな小さく口元を緩めないで。
 何か、胸が痛くなるからさ。

『…ふん…。それだけな筈がなかろう? これだけの物を、何の対価も無く受け取れるか。…ああ、そうか…貴様は俺に執着していたな? そうか、身体が欲しいならくれてやる。どうやら貴様と俺は相性が良い様だしな?』

 のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?
 口ぃいいいいいいいいいいいいいっ!!
 金!
 金払うって!!
 何年、何十年掛かっても、金払うって言いたかったのにぃーっ!!

 内心では、あうあう慌てているのに、実際の俺はオニキスに魔剣を突き付けて、目を細めて口角を上げていた。

『…そなたがそう言うのなら…是非も無いな…』

 そう瞳を伏せて笑うオニキスの顔は、何故か傷付いて居る様に見えた。

 食事を終えて外へと出たら、もう辺りは暗かった。
 空を見れば、そこにある星々は街の灯りに飲み込まれずに瞬いていた。
 宿を取り、久しぶりの風呂にほっと息を吐く。

 …今日は…するのかな…。

 オニキスは、ああ言ったのにも関わらず、何の手出しもして来ない。
 いきなり人のケツ奪ったくせに。
 あの強引さは何処へ消えたんだ?
 何か、気持ち悪い。
 胸ん中がムズムズする。
 何だよ、これぇ?
 らしくない。
 らしくないだろ、俺も、オニキスも。

「…クソ…っ…!!」

 俺は両手でお湯を掬って顔に掛けた。

「貴様、何を考えている!? 何時まで俺に対価を払わせない気だ? ツケにツケられて後で纏めて等と、こちらは堪った物ではない。払わせろ」

 風呂から上がるなり、腰にタオルを巻いただけの姿で、俺はベッドに腰掛けていたオニキスの胸倉を掴んでそう言っていた。

 だあからあ、口ぃいいいいいいいいいいいいっ!!
 そうじゃあないだろおおおおおっ!?
 俺が言いたかったのは…言いたかったのは…何だっけ…?

 今は二人だけだからか、オニキスの瞳の色は金色に戻っていた。
 その瞳が、静かに俺を見ている。
 何かを探る様に。
 俺の心を覗く様に。
 止めろよ。
 そんな目で見るなよ。
 頼むよ。
 何か、心臓がバクバクして来るだろ。
 何か…泣きたくなって来るだろ…。
 何だよ、これ…。
 何なんだよ…神様教えてくれ…頼むよ…。

「…泣くな…」

 困った様に、オニキスが小さく笑って俺の頬に触れて来た。

 …泣く? 俺が? 俺は泣いてなんかいないぞ?
 涙なんか流していない。
 その証拠に、オニキスの顔が涙で滲んで見えないなんて事は無い。
 泣いてなんかいないのに。
 俺は、人前で泣いた事なんかないのに。
 人前だなんて、前世で、小っちゃい頃に泣いたきりだ。
 親に、泣けば構って貰えると思うのかと、冷たく言われてそれっきりだ。
 って、こいつストーカーだから、俺が泣いているのを見た事があるって言ってたな…。
 そんな俺と、今、こうしている俺を重ねているのか?
 俺は、今、泣きそうな顔をしているのか?

「…それが貴様の手管か。そうやって、幾人の者を堕として来たのか」

 うあああああああんっ!
 そうじゃあないだろおおおおおおおっ!!
 もう、本当に嫌だ。
 そうやって、気にして貰えた事が何だか知らないけど嬉しいのに。
 こうやって、涙は流れていないけど、その拭う仕草が堪らなく嬉しいのに。
 この口は、この口はああああああっ!!

「…そなたから、そう可愛く求められては、な」

「な…っ!?」

 そんな風に心の中で葛藤する俺の両腕を掴んで、オニキスは俺を抱き寄せた。
 軽く開かれたオニキスの脚の間に膝を付けば、軽くそれがそこに触れてしまう。

 …か…かわい、い?
 求め…?
 え…?
 てか…何か…硬いんですけど…。
 あの…これまでの遣り取りで、そんな勃起させるような事がありました?
 …あった…よ、な…?
 風呂上がりに…まあ…ヤろうぜ…って…言った様なもんだし…。
 あ、やべ…何か…顔が熱くなって来た…。
 いや、落ち着け、俺。
 心臓がバクバク言ってるけど、落ち着け。

 何て思っていたら、顎に指を掛けられ上を向かされた。
 熱を孕んだ金色の瞳と視線が絡み合う。
 目を逸らしたら、閉じたら負けだ。
 何故かそう思って、視線を合わせたまま、オニキスの顔が、唇が近付いて来るのをじっと待った。

 …てか…何でキスして来るんだよ…。
 恋人同士じゃあるまいし…。
 俺は…ただ、魔剣の支払いがしたいだけで…。
 そうだよ…それだけなんだよ…。
 こんなにドキドキしてるのは、こいつが焦らしてるからで…。
 さっさと突っ込んで終わりにしてくれ…心臓が持たない…。

「…意味のない事を…」

 軽く合わされた唇を、顔を動かす事で跳ね除けた。

「そうかな?」

 俺の態度と言葉に、オニキスは気分を害した風でも無く、ただ静かに熱を持った瞳で俺を見て来る。

 …何で…こいつはこうなんだ…。
 何で…俺の言葉に…態度に、嫌悪を抱かないんだよ…?
 …ストーカーだから…?
 俺のやる事成す事、全部許せると、嬉しいとでも言うのか?
 それとも…俺が…勇者だから…?
 お前は魔王で…闇だから…光に惹かれるって言ってた…。
 それだけ…?
 ただ、それだけで?
 …本当に…それだけ…なのか…?
 …それだけしか…ない…のか…?
 …何か…嫌だな…。
 …何で、こんな事思うのか…本当に…教えてくれよ…なあ、神様…。

 なんて、柄にもなくおセンチになった処で、それが解る筈も無く。

「…ふ…っ…! ぅあ…っ!」

 ぴちゃぴちゃと聞こえて来る音に、頭がおかしくなる。
 それが、俺の股間から聞こえて来るとか。
 ベッドへと押し倒された俺は、オニキスにちんこをしゃぶられていた。
 舌でねっとりと絡められ、吸い上げられ、我慢汁がどんどん溢れているのが、その音で解る。
 それだけでなく、腰の下に枕を差し込まれていて、浮かされて同時にケツの穴も指で弄られていた。

「…っ…こんなのは良いから…っ…! 早く…終わらせろ…っ!!」

「…どう受け取るかは、私の自由だろう?」

 そんなとこで喋るなよおっ!!
 何で、そんな零れる息で感じてんだよ、俺ぇっ!?
 嫌だ嫌だ嫌だ。
 気持ち良くて嫌だ。
 痛くて良いから、早く終わらせて欲しい。
 これからも、こんなんされたら、俺、本当におかしくなる。
 一人じゃ居られなくなる。
 嫌だ嫌だ嫌だ。
 寄り掛かりたくなる。
 嫌だ嫌だ嫌だ。
 嫌われるのが怖くなる。
 嫌だ嫌だ嫌だ。そんなのは嫌だ。
 前世では、ずっとそうだったから。
 そんなのは、前世で慣れっこだったから。
 甘えたくない。
 一度それを許されたら、もう駄目だ。
 だから、甘やかさないでくれ。
 だから、優しくしないでくれ。
 俺は、ずっと一人で立って歩いて行くんだから。
 俺は、こいつが変な事を仕出かさない様に、監視しなければならないんだから。
 だから…酷くしてくれ…。

「…も、う…頃合いだろう? …何時、までも、気取ってないで…早く来るが良い…っ…! そんな見栄…打ち砕いてや、る…っ…!!」

 うっははあああん。
 本当に、本っ当に、この口ぃいいいっ!!

「…良かろう…」

「…うぁ…っ」

 ぺろりと先端を舐められて、身体が震えた。
 オニキスは俺から身体を離して、首元がゆったりとしたボタンのないシャツに手を掛けて、それを脱ぎ捨て、次にズボンのベルトに手を掛けて外して行く。

 …いや…あの…バッキバキですね…。
 何か、ドクドク脈打ってるのが聞こえて来そうだ。

 下着を取り払って、露わになったそれに俺は目を瞠った。
 あれ…あのサイズが、俺の中に挿入はいるのか…いや…挿入ってたよな…うん…。

「…ゆくぞ…」

「…ああ」

 短い俺の返事にオニキスは俺の脚を広げて持ち上げ、それをその腰に抱える様にして身体を進めて来た。

「…っ…」

 亀頭があてがわれて、思わず息が詰まる。
 最初の時みたいに、後ろからの方が良かったかも…何か…怖い…。
 アレが挿入される瞬間とか、見るのが怖い…。
 …怖いけど…自分からそうしろって言って置いて、目を閉じるとかしたくない…。
 いや…言ったのは、言う事を利かない口だけどさ…。

「…ライザー…」

「…え?」

 …名前…呼ばれた…?
 あれ…?
 初めて…?
 何時もは…そなた…って…?
 え…?

 多分、その瞬間に身体の強張りが解けたのだろう。
 ぐっと押し付けられた、オニキスのキングなちんこが俺の中に侵入して来た。

「…っ、あ…っ…!!」

 ず、るい…っ…!
 そんな熱の籠った甘い声で、囁く様に名前を呼ぶなんて。
 人が油断したその隙に挿入って来るなんて…っ…!

 ゆっくりと。
 ゆっくりと、オニキスは腰を進める。
 熱い息を吐きながら、額に汗を浮かべながら。
 俺の肌にだって、とっくに汗は浮かび上がってるし、何ならしゃぶられてる時にイッたから、その残骸が腹についていたりする。
 何で残骸かって?
 オニキスが飲んだり、俺のケツ穴に塗りたくったりしたからだよ!
 何で、そんなイカ臭いもん飲めるんだよ! おかしいだろ!?
 なのに『…甘いな…』とか、ぬかしやがったんだよ、こいつはあああああっ!!

 もう、本当に嫌だ。
 どうしてこうなったって…俺だよな!?
 ああ、そうさ、全部、ずぇええんぶ、この馬鹿な口が悪い!!
 もう、本当に。
 神様教えて。
 もし、本当にビーとエルの付くエロゲーの世界なのだとしたら…。
 俺…この先、オニキス以外のヤツにヤられる未来があるのかどうか…。
 出来たら、俺、オニキス以外とはヤりたくない…。
 夢の中で、そっと教えて下さい…。
 何で夢って?
 だって、いいだろ?
 …こうして…後ろからオニキスに抱き締められるのが…気持ち良いんだから…。
 …これは…夢だから…だから…少しくらい…甘えても…良い…んだ…――――――――。
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