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新しい世界の始まり
時間の異なる流れ
しおりを挟むその後無事常闇の森を抜けた頃には日も傾き星空が広がっていた・・。
「あれー?夜・・・?」
体感だと昼間の11時くらいに森に入り、夕方に森の奥でルーシャを見つけ引き返したから、当日の深夜辺りだろうか。
そんなことを考えながら、ゼノンは報告は朝にした方が良いよなと思い、ルーシャをつれて宿り木の葉亭へと足を進めた。
中に入ると、受付のティルがまだ起きていた。
ゼノンの姿を見つけるなり慌てて駆け寄ってきた。
「ゼノンさん、無事だったんですね?全然帰ってこないから心配しましたよ!」
「え?全然帰ってこない?冒険者ギルド登録と依頼を受けに行ったのは今朝だったよね?」
「え?何を言ってるんですか?朝出かけたのは5日も前じゃないですか」
「ふぇ?5日も前?」
(どういう事だろう?)
『ゼノンよ、常闇の森の影響じゃないかの?あの森は時間の流れが歪んでおるでの』
魔術書の少女が言うには、稀に森や大地のような空間で時間の流れが異なる場所があるらしい。ダンジョンと呼ばれる場所では良くあることらしいが。この世界自体が各街は結界で守られているから良いが、他の土地だと草原から突然砂漠にワープしたりという現象も確認されているという。
「常闇の森に行っていたからもしれないです」
ゼノンがそう口にするとティルはギョッとした顔をして口をパクパクさせながら顔面を蒼白させた。
「え・・・・登録したての冒険者なのに・・・あの森に?常闇の森は別名“死の森”ですよ?」
「え・・・」
(確かに敵強かったなぁ・・・)
「何で、・・・無事に帰ってこれたんですか?!怪我は?!」
ティルは慌ててゼノンを足のつま先から頭のてっぺんまでくまなく見つめた。
「・・・大丈夫みたいですね・・・・今日は遅いし、明日の朝ギルドに報告した方が良いですよ、あ、夕飯は?」
「軽く食べてきました」
「・・・・あの森で・・・?」
ティルは小さく呟いた。
そして今頃気付いたようにゼノンの後ろに居る女性に目を向けた。
「ところで、そちらの方は?宿泊です?」
「夜遅くに急に来てごめんなさい、部屋はあいてますか?」
ルーシャが聞くとティルは何か訳あるだろうと察したのか、ソッとカウンターの上に鍵を差し出した。
「料金は大丈夫です、ゆっくり休んで下さい。朝のご飯も食べていきますよね?」
「お願いします」
「分かりましたッ・・お客様は大切に!ですからね、どんな訳ありだろうと大丈夫ですよ!」
にっこり微笑んでティルは言った。
ルーシャは鍵を受け取り、ゼノンと共に階段を上り、用意された部屋へと入った。
もちろんゼノンとは別の部屋である。
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