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新しい世界の始まり
精霊王と白紙の魔術書
しおりを挟む今日もいつも通り各地の観光へ行こうとしていたゼノンにジンから連絡が入った。
『ゼノン、君に会わせたい者が居る』
(会わせたい者?誰だろう?)
フレンド一覧からジンが現在居るマップを確認するも居る場所が・・・。
“名前のない森。”
(何処だろう?どうやって行けば・・・?)
そして前に貰ったアクセサリーの能力を思い出した。
指定した者の側に転移、というチート的な能力があったはずだ。
(・・・・・大丈夫・・・だよね?・・装備したら・・・いきなりモンスターの大群とか襲ってこないよね?!)
ドキドキしながらゼノンは星色のネックレスを装備した。
転移指定、“ジン“
瞬間目の前がグニャリと歪んで、画面越しだったのにちょっと気持ち悪くなった。
「お久しぶりです、ジンさん元気でしたか?」
「ああ、・・・ゼノンも元気そうだな」
深い森の中、日の光は届くようで燦々と輝き、木々の間から漏れる木漏れ日がとても美しかった。
大きめの岩に座っていたジンもまた光を受けて銀色の髪がキラキラと煌めき一瞬息をするのも忘れて魅入ってしまった。
左の翠色の瞳がゼノンを静かに捉えていた。
(綺麗なんだけどあの目は・・・、何か全て見透かされてそうな・・・ちょっと苦手だなぁ)
自分には出来ないから、人の目をじっと見据えるなんて。
何かを悟ったのかジンは小さく微笑み立ち上がると視線を外してから口を開いた。
「前にあったときに、魔法を使いたいと言っていたな?」
「え、・・・・はい」
「・・・・ならば会っていて損はないだろう」
「?」
先を行くジンの後ろをゼノンはついて歩き出した。
暫く歩くと森が少し開けた場所に出た。
そこには湖があり、その中に樹が生えていて幻想的な空間だった。
樹の根に腰かけている者が居た。
「・・・綺麗・・・」
「魔法を使いたいなら“彼”に認められないとな?」
「??」
困惑したようにゼノンがジンを見つめていると樹の根にいた“彼”が2人に気付いて近付いてきた。
よくよく見ると宙に浮いている・・・。
足首程まである長い髪は毛先の方が赤味がかり、全体的には青緑色で、瞳の色は金色のようだけど、光や見る角度によって虹色にも見える。
『久しいですね、ジン様』
「ああ・・・急に呼び出してすまなかったな」
『いいえ、貴方のお役に立てるなら何時でもお呼び下さい』
(ジンさんもの凄い人なのかもしれない・・・)
『ところで、そちらの方は?』
窺うようにジンの後ろに居たゼノンに視線を向けてきた。
「彼は、ゼノン。俺のお気に入りで、友だ」
(!!!ッお気に入りで、友達!!やばい・・・嬉しい・・・)
ピコン。
称号を獲得しました。
“幻龍の友”
この様に紹介されるとは思っておらずゼノンは固まっていた。
『ジン様の、お気に入りで、・・・友・・・ですか』
“彼”はゼノンの周りを浮遊し足元から上まで値踏みするかのようにじっくりと見据えていた。
「・・・・」
『・・・なるほど、・・・実体ではないようですね・・・』
(・・・実体?)
『本来ならば、その力を戦って試させてもらいたいところですが・・・ジン様の友ならば・・・良いでしょう』
(・・・話が見えない・・・どういう事だろう?戦って勝たなければならないクエストだった?)
『ゼノン、貴方に私の加護を与えます』
白い光がゼノンの体の中に入ってきた。
ピコン。
称号を獲得しました。
“精霊王の加護をうけし者”
(え・・・・精霊王?!)
「あ、ありがとうございます」
『・・・それとこれも・・・』
精霊王はゼノンに1冊の本を差し出した。表紙も裏表紙も装飾がとても綺麗な本だった。
タイトルは書かれていない。
本を受け取りゼノンは中を開いてみた。
「・・・白紙?」
どのページも何も書かれておらず白紙だった。取り敢えず鑑定、アイテムをアイテムバックに仕舞いクリックした。
アイテムを獲得。
白紙の魔術書。
ランク:幻想級
様々な物を書き込める。
記憶とリンクしており、想像しただけでその魔法を創造し書き込むことが出来る。
空間に仕舞うことが可能で持ち歩かなくても効果を発揮する。
書き込まれた魔法は“使いたいという意思”により自動で発動する。
(・・・・凄い高ランクのチートアイテム!!想像しただけで魔法使えるとかヤバい!テンション上がってきた・・・)
『使い方の説明は、・・・不要なようですね・・・』
嬉しそうなゼノンの表情を見て精霊王は苦笑した。
「すまない、助かる・・・これからどうなるか不明だったから」
ジンが口を開くと精霊王も戸惑ったような表情を浮かべた。
『私はジン様の采配には従いますが、他の精霊達までは・・・』
「ああ、分かっている・・・今は少しでも俺にやれることをしよう・・・」
精霊王が去った後ジンはゼノンを連れ、強化育成の旅にでた。
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