星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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1章~石版の伝承~

11.~ロディとミユカ~

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次に目を開けると天井が見えた。
…あれ?たしか俺は、崖から落ちて・・・

「…此処は?」

「僕の家だよ」

すぐに声が返ってきてジンは声のするほうに視線を向けた。
まだ幼い15歳くらいの茶色の髪と蒼い目を持つ少年が立っていた。

「…君は?」

「僕は、ロディ」

「みゅう」

ジンの寝ていたベッドの中からリアンが顔出した。

「…俺はジン、こいつはリアンだ」

「よろしくジン、リアン」

にっこり笑ってロディがリアンの頭を撫でていると奥の扉が開いて女の人が中に入ってきた。

「あら、気がついたようね」

「ミユカねーちゃん!」

ミユカと呼ばれた女性は手に救急箱を持ち、ジンの方に近付いてきた。

「ロディ、傷の手当をするから部屋を出ててもらえる?」

「…‥うん…」

渋々ロディは部屋を出て行った、それを見計らったようにミユカはジンの横たわるベッドに座り救急箱を開けた。

「体起こせるかしら?」

「…ん‥」

肘を突き体を重そうに動かす。
足には薬草と包帯が丁寧に巻かれてあった。

「少ししみるけど我慢してね」

此処は人間の町だから、魔族だとばれるのは不味いだろうな…。そんなことを考え素直に手当てを受ける。
ミユカは擦り傷などの傷口に消毒とすり潰した薬草をつけていく。

「ああ、ありがとう…」

羽根以外の手当てを受け、薄い質素な布で体を包むと、ミユカは静かに”まだ終わってないわ”と告げた。

「え?」

「あなた、魔族でしょう?」

「!」

一瞬驚いてミユカを凝視してから、警戒するように翠色の瞳を細めた。

「大丈夫、危害を加えようってわけではないの」

「…・」

「崖の下に羽根がたくさん散らばっていたの…あの様子だと…みせてもらえない?」

「…・何をする気だ?」

「手当てをするわ」

「…」

ミユカはジンの後ろに回りこんで背中にそっと触れた。

「羽根を…」

ジンは渋々翼を広げた、完全にひろげるにはこの部屋は少し狭い…。
漆黒を纏った美しい羽根がその姿を現した。左の羽根がおかしな方に僅かに曲がっているのが目に付いた。

「…左の羽根…折れているわね…」

そういって、左の羽根に触れてみると柔らかい手触りで黒が際立っていて美しい。

「ッ…ぅッ…!」

激痛に襲われ顔を歪めながらミユカを見上げた。

「ごめんなさい、あまりに綺麗で…」

「…」

ミユカから視線をはなし俯いて目の前にいたリアンを抱きかかえて、気分を紛らわせるように頭を撫でた。
ミユカは羽根に丁寧に薬草をすり込ませた包帯を巻いていく。
きつく縛るたびにジンは”うッ‥”と呻き声を上げてミユカを見た。

「次はこっちね」

右の羽根にミユカが触れると、ジンは広げていた羽根を動かし閉じ、”こっちはなんともない‥”と呟いた。
敏感な羽根をあまり知らない他人に触らせるのは嫌だ、変な気分になる。

「そうね、けど、手入れをしないと使えなくなるわ」

それもそうだけど…

「…」

「背中、手が届かないでしょ?」

ミユカの手にはブラシが握られていた。
この女なかなかやる…人間なのに魔族を怖がらないどころか…手玉に取ってる…。
渋々従い、羽根を再び広げた。
ミユカが嬉しそうにそっと優しく羽根にふれた途端、ジンはビクッと体を縮めて目を瞑った。
体が小刻みに震え熱くなる、だから他人に触られるのは嫌なんだ…・。
火照った顔をリアンに埋めて膝を抱え丸まった。

「随分敏感なのね、魔族の羽根って?」

「…鍛えれない上に、常に裸のようなものだからな‥」

リアンに顔を埋めたまま、片方の目だけを上目遣いにミユカに向けていった。

「…もういいだろう?」

「そうね…だけど羽根は2枚だけじゃないでしょう?」

これには驚きを隠せずにリアンから顔を離してミユカを暫く凝視し、観察するように見つめた。

「あんた、何者だ?」

「普通の人間よ、ただ…」

「ただ?」

眉を顰めてミユカを見据えた。

「少し目がいいだけよ」

そういう彼女の片目は黄色い異質な色を放っていた。人間でこの色は通常ありえない…。さっきまでは両方茶色だったのに。

「…魔族の目か?…では全て見えているのだな」

苦笑してミユカを見据えた。
どういう経緯で手に入れたかは知らないが…。普通の人間が使うには危険な代物だ。

「さぁ、残りの羽根をだして、手入れをしてあげるわ」

ミユカには最初ジンが大きな6枚の虹色の翼を持った白銀の龍の姿に見えていた、それは合えて口にしないけど。

「……」

おとなしく従い残りの4枚の漆黒の羽根を広げた。

「‥ま、てッ‥そんなとこまで、やめ…ぅあ‥ッ…」

全て終わるころにはミユカは満足そうな表情をしていて、ジンはぐったりベッドにうつ伏せに埋もれていた。
「…~~~ッ」

羽根は艶々になってさらに美しさをかもし出していた。羽根を仕舞い疲れたような表情でミユカを見上げた。

「もう少し待っていてね、食事を持ってくるわ」

ミユカが部屋を出るとロディが換わりに入ってきた。

「ジン?」

「…何だ?」

気だるそうに顔を埋めたまま口を開く。

「…大丈夫?」

「…ああ、何とか」

ロディに視線を向けると、心配そうに顔を曇らせているロディが見えた。
ジンは苦笑して手を伸ばしロディの頭を撫でた。

「?!」

「…なんて顔してる、お前の方が大丈夫か?」

からかわれたと思ったロディはジンの手から逃れ、”子ども扱いするなよ!”と叫んだ。

「ああ、それはすまなかったな」

「もうッ!ミユカねーちゃんにいいつけてやるッ!」

「悪かったって‥機嫌を直してくれ」

苦笑交じりにどうにかロディを宥めたところにミユカが部屋に入ってきた。
手にはいくつかの果物とスープ、そしてパンがのったおぼんをもっていた。

「すっかり仲良しね?ロディ」

ロディは蒼い瞳をミユカに向け嬉しそうに頷いた。
おぼんを手渡されて小さく呟く。

「すまない‥」

「気にしないで、さぁ食べて、ゆっくり休んで」

ミユカはそういい、ロディを連れ部屋を出て行った。
1人残されたジンは渡された食事に手をつけた。
久々に口にしたような感じがする。
スープを喉に流し込むと一気に体が熱を帯びたように温かくなった。

「みぅ‥」

「リアン、お前も食うか?」

「みぅ?」

リアンの鼻先に果実を差し出す、リアンはクンクン匂いを嗅いでから一口カプリと齧った。

「み‥!」

吃驚したように目をさらにまん丸にしてジンを見上げた。
これにはジンも吃驚して”どうした?!”とリアンを覗き込んだ。

「みッみみッ!」

小さな手をバタつかせてジンの持つ果実を見つめている。

「何だ、うまかったのか?」

安心したように溜息を吐きリアンに果実を差し出すと、うまそうに目を細めてかじりついた。

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