星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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1章~石版の伝承~

12.~神秘の秘湯~

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食事を食べ終え、暫くしてベッドに横たわり少しうとうとしていると部屋にロディが入ってきた。

「ジン」

「…ん?」

「秘湯いかない?」

その後にミユカの声がする。

「怪我をしているんだから、無理に誘っちゃだめよ!」

「けど、あそこの秘湯なら、怪我すぐ治るじゃん!」

「…あそこなら…確かに…」

「?」

「でしょ?、行こうジン!」

手を引かれ、2人とリアンは薄暗い森の中にきていた。

「どこまでいくんだ?」

「もう少し!」

左足が痛い…。
痛む足を引きずり必死にロディの後を追う。
ふとロディが森が少し開けた所で立ち止まった。

「着いたよ、此処だよ」

森に囲まれ、ひっそりと存在している其処は僅かに神気が感じられた。
なるほど…此処なら、怪我もすぐに治りそうだ。
ロディは先に服を脱ぎ湯に飛び込んでいた。
ジンは苦笑しロディのあとを追うように服を脱いだ。

「!」

服の下からあらわれた白い肌に無駄な肉が無い美しい体のライン、おまけに夜の闇に際立ち光を放つ絹のような銀髪と翠色の目、同姓なのに見惚れてしまいそうになる。
ロディの視線に気付いてジンがロディをみるとロディの頬が赤く染まっている。

「どうした?」

「な、なんでもないッ!!」

「そうか‥」

湯に浸かり静かに目を瞑る、神気が体に纏わりつくような、そんな不思議な感覚。
リアンも湯に浸かり手足をバタつかせて泳いでいた。

「いい所だな…此処は」

ジンが呟く、ロディは頷きジンを見る。

「…‥」

ジンは湯に濡れた長い前髪をかき上げ空を見上げていた。

「ねぇ、ジン?」

「ん?」

空を見たまま曖昧に返事をする。

「‥何で、あの崖になんていたの?」

その問いにジンはロディに視線を向けた。
何か…変な感じがする。素直に答えたほうがいいのだろうな。

「探し物を探していた」

確かにあの辺りで石版の気配があったのは事実だ、麻衣の捜索のついでに石版の回収をしていこうと思った。

「…探し物?」

石版のことはいわないほうがいいだろうな‥。

「石版?」

「!」

驚いてロディを凝視した。
何で、考えていることが?偶然?

「偶然じゃないよ、ジン」

「!」

これには驚いてロディから後ずさった。

「僕は、心を読めるんだよ、操る事だって…」

「…ッ‥」

ロディはジンに静かに近付いてきた。痛む足が思うように動かない。

「ミユカねーちゃんも、本当の姉じゃないけど…僕を弟だと記憶を植え付けたんだ」

「なッ!」

ロディの手がジンの頬に触れた。

「ジン、美しい君の心の奥を見せて?」

「やめ、ろッ!」

ロディの手が頬を滑り胸に触れると、心臓が大きな鼓動を刻んだ。

ドクンッ…

「僕のものにしてあげる…さぁ‥全て見せて?」

耳元で囁く甘い声、体の力が抜けて立っていられない。
霞む目でリアンに助けを求めるように視線を向けると、リアンもいつのまにかぐったりとして湯にういていた。
ジンはロディの腕の中にその身を預け意識を手放した。

「何で、何故見れない?!」

意識をなくしているから、拒絶できるはずが無いのに…。
奥を見ようとすると何かに弾かれる。

『その辺にしてもらおうか?』

「誰?!」

突然現れた男にロディは慌てた様子で声のほうを振り返った。

『そいつは、我のものだ、勝手な真似は許さぬ』

男が現れてから周囲には激しい魔力が渦巻いている。

「魔、王?」

男はクスっと笑いジンを指差し呟く。”魔王はそっちだ”

「!!」

ロディはジンを凝視してから男を見据えた。

「ならあんたは…ッ」

『もう、感じているんだろう?』

「…魔、神…?」

『‥我のものに手を出したこと、もとが人間だといえ容赦しない』

ロディは少し目を細めて笑った。

「全てお見通しだね、流石だ。…その姿を見れただけでも幸運に感謝すべきなのかな?」

からかう様にクスクス笑いながら男を見据えた。

『…・』

「そう、僕はもとは人間だ、その身に無理矢理石版をいれられ、石版に取り込まれたけどね」

同情など通じる相手ではないことは百も承知だ。
一気に男を取り巻く魔力の渦が流れを変え、爆発したようにロディを取り巻いた。

「うぁ?!」

ロディを強力な魔力が包みこんだ。

「あ、っ…いッ」

燃え盛る炎のように熱くて、触れたところから一瞬で黒い灰になっていく。

『一瞬で灰になるがいい』

男が言うと同時にさらに燃え上がった魔力がロディを完全に飲み込んだ。
男は、ジンの方に近付いていき、しゃがみこんで傷口や足首に触れた。それが終わるとすっと立ち上がり、炎に飲まれたロディを残し男はその場から消えた、それと同時に魔力の渦も消えロディの変わりに1欠片の石版が地に落ちていた。

「…ぅ…ッ」

ジンはぼんやりとする目であたりを確認して、地に無造作に落ちていた石版を拾い上げた。
手を翳し石版の力を吸い、ふらふらとリアンのもとへ急いだ。不思議と足も体の傷もだいぶ痛くない。
ただ羽根だけはまだ治ってないのか、痛みが引かない。

「リアン?」

「…み、みぅ‥」

どうやら生きているようだ、少し水を飲んだだけのようでケホケホと咳き込みつつジンを見上げた。

「…‥もどろう‥」

リアンを湯から出し抱きかかえミユカの待つ家への岐路に着く。
風が冷たい…。容赦なく体の熱を奪っていく。
何故、ロディの姿がなくて、石版が落ちていたのかわからない。誰かあの場にいたのだろうか…。
だとしたら何故石版を持っていかなかったのだろうか…。
きりが無いので考えるのをやめゆっくりと歩き、家の戸を軽く叩くとすぐにミユカが顔を出した。

「遅かったわね?ゆっくり浸かれた?」

「ああ」

ロディの姿が無いことに触れない…先に戻っているのだろうか?

「…ロディは先に戻ってるのか?」

ミユカは不思議そうにジンを見据えた。何かおかしなこと言っただろうか?

「ロディ?誰それ?」

記憶を植えつけたといっていたけど、術が解けている?そしてその姿が消えたとなると…もう…。

「…なんでもない‥」

「そう?」

「休ませもらってもいいか?」

「ええ」

ベッドにその身をゆだね、ふと思う、誰が自分をこの家まで運んだのだろう?
明日聞こう、何だかとても疲れた。静かに目を閉じ夢の中に身を投じた。
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