星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

文字の大きさ
14 / 66
1章~石版の伝承~

14.~魔花2~

しおりを挟む
「「!!?」」

ミユカとガイトは目の前の光景に唖然とする。

「ぐッ‥ぅ゛…ッ?!」

体を締め付ける触手とはまた別な、太くて大きなそれがジンの口の中にその身を滑らせていく。
気持ち悪い…。
ギュと目を瞑り耐えようしたが涙がこぼれる。
どんどん探るように奥へと入ってきて、体内までも舐め回される様に侵されていく。体が痺れてきて苦痛と羞恥でおかしくなりそうだ。
唇から零れる、唾液と触手の粘ついた粘液。

『凄い、魔力を感じる。人間じゃないね‥?』

「ふ、…ぅぐッ…」

本体と思われる魔花が姿を現し、触手に絡まれ苦痛に喘いでいるジンを満足そうに見据える。
リアンがジンの体内に入っていく触手に必死に牙を突き立て噛み付く。

『人間ならとうに溶けてなくなっているものね』

「…」

『このままその魔力すべて頂こうかしら?』

やっと此処まで集めたのに…こんなやつに奪われたくなんて無い…。
またあの闇になんて飲まれたくない…。
…こんなやつが俺の魔力すべて取り込んで扱えるとは思えない。
それならいっそ…くれてやろうか‥、その身に刻んでやろう、己の力量以上の力を手に入れようとするとどうなるのか‥。
破滅の道を…。
不適にジンが笑った。

『なに?その余裕そうな顔は!』

静かに閉じていた目を開いた。
深紅の双眸が触手の本体を見据えた。

”そんなに欲しいのならくれてやる…うけとるがいい”

頭に直接響く声…。

『!!?』

一気にあたりを埋め尽くすほどの強大な魔力が触手を通じて本体に流れ込む。魔花は一瞬ビクリと体を震わせた。想定外だった・・・こんなに強大な魔力量だとはおもってもいなかったのだ。

『やめ、ろ!!もう、いらないッ!!』

”何、遠慮はいらない…”

深紅の瞳が狂気を宿して怪しく光った。
漆黒の6枚の羽根が開くと同時にジンを捕らえていた触手はジンを解放した。

『あ、あああ…深紅の瞳に6枚…羽根…あなた…は…魔王…様‥』

あまりの許容量の超えた魔力に耐えられずに魔花は散り、本体も破裂して塵となってきえた。

「……」

気持ち悪い…。
溜め込んでいた魔力ほとんど出すなんて…‥無理しすぎたか…
バタリと地に倒れこんだジンに慌てて2人は駆け寄り抱き起こした。
リアンはあたりを取り巻く膨大な魔力を飲み込んでいく。
あまりに強い魔力は人体に害をなすだけでなく、世界自体を破壊するから。

「ジン!」

「…‥無事か?」

うっすらと瞼をあけ気だるそうに、自分を覗き込んでいる2人を見上げ問いかける。

「それはこっちの台詞よ!」

「大丈夫かよ?」

「…何とか…」

起き上がろうとして苦痛に顔をゆがめた。
ほとんど魔力を放出してしまって、動くどころか意識まで遠のきそうだった。

「ジン?」

何か言いたそうに僅かに震える唇、ミユカは静かに耳を近づけた。

「…体中、き‥も、ちわる…・ぃ‥」

微かに聴き取れるほどの小さな声、さっきの触手を思い出してミユカは静かに頷く。

「確かのこの辺りに、滝あったわよね?」

ミユカの問いにガイトは頷いた。
リアンはまだ辺りの魔力をその小さな体に溜め込んでいた。
2人はジンを抱え滝へ向かう。
滝の水を飲み喉を潤した。

「…うッ…」

途端に思い出して吐き出した。
胃に溜まった粘液と胃液が水と一緒に地面に零れた。
滝に体を着け水で体を洗う、溶けて痛む火傷より、あの触手に触れられ体の中まで弄られたのが…。
意識が薄れていく、必死に水で洗いながら爪で体を傷付け血で清める。

「…ジン?」

「…」

涙が止まらない。

「!」

ガイトが慌てて気を失ったジンの体を抱えた。

「…大丈夫?」

「…多分、ミユカ、さっきの小さいの連れて来てやんな」

「え‥あ、うん」

ガイトはジンを背に担ぎ痛む足を引きづりながら家への道を歩く。
ミユカは戻り、リアンを探した。

「!」
リアンは草に横たわっていて小さな体を震わせていた。
円らな黒い真ん丸い目をミユカに向け力なく小さく鳴いた

「み、みぅぅ‥」

急いで抱きかかえ家へ走って帰った。
熱に魘されるジンがベッドの上で仰向けに寝かされていた。

「父さん!」

リアンはジンの胸の上に飛び降りて、溜め込んだ魔力を少しづつ吐き出した。

「!」

強い光となってそれはジンの中に消えていく。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

処理中です...