星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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2章~時の契約~

7.~危険な接触~

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いつもと何も変わらない日常、結衣は後ろを歩くジンを何度も振り返りながら心配そうな表情でジンを見ていた。
まだ体調が悪いのだろうか、顔色が悪くてフラフラしている様に見えるし、言葉も少ない。

「・・・・」

「・・無理してついて来なくても・・・」

「・・・俺のことは、気にしなくていい」

「大丈夫さ、ジンのことは!今日は僕もいるから!」

リアンが嬉しそうに結衣とジンの間をパタパタと羽ばたきながら言った。

「魔石を食べてゆっくり休めばすぐ良くなるんだから!」

おかしいな・・・リアンがとても頼もしく見える。

「リアンも人の目に触れないように出来るの?」

「んー・・・僕は、ジンのそばに居れば・・・見えなく出来るよ?」

それは・・・離れたら、他の人にも見えるってことではないだろうか・・・?
あえてそこには突っ込まなかった。
真紀も結衣の後ろのジンを見るなり、心配そうに駆け寄ってきた。

「何か、具合悪そうだけど・・・平気なの?」

「・・・心配要らない」

というジンはまだ本調子ではないのだろう・・・。

「・・・・・ジン・・」

結衣は溜息混じりに呟いた。

「・・・?」

だるそうに左の翠の瞳だけを結衣に向ける。

「屋上に、ゆっくり休めて人目に付かない秘密のところがあるわ」

結衣が落ち込んだときによく隠れていた自分の秘密の場所だ。

「・・・・」

素直に結衣の提案にのり、案内された所は日当たりが良く人目につかない場所だった。

「放課後くらいに迎えに来るから・・・ゆっくり寝てて」

「・・・・しかし・・・」

「学校でそうそう事件なんて起きないから平気よ」

にっこり微笑む結衣にジンはそれ以上何もいえなかった。

「僕が結衣についていようか?」

「離れると人目に付くんじゃないの?」

結衣が突っ込むとリアンは、”そっか・・”とおとなしくジンの横に座った。
結衣が屋上から姿を消すと、ジンは静かに横になった。
流れる雲、青い空、たまに優しく吹き抜けていく心地のいい風。

「・・・・・少しだけ・・・」

ぼそりと呟いて、静かに目を閉じた。


遠くのほうで声が聞こえる・・・。
なんて言ってるのか聞き取れない。
目を開けて声の主を確認しなければ、と考えるが体がいうことを聞かないのか瞼が重くて目が開かない。それだけ体に負担がたまっていたのだろう。やがて再び深い眠りに落ちていく。


「何、僕たちに用?!」

「・・・君は、・・・はじめましてかな・・・?」

「誰・・・」

「この学院の理事長をしているものです」

青い双眸がリアンと横で寝ているジンを見据えた。

「2、3質問よろしいですか?」

「・・・・・」

いいという前に理事長は質問を口にした。沈黙を肯定だと思ったのだろう。

「その魔者は、元魔王だったというのは本当ですか?」

「!」

その問いにリアンは驚いて大きな黒い目をさらにまん丸にした。何故知っているのだろう・・・。魔界の住人でさえ知らないことだ・・・。失われた次元の未来・・。未来への干渉の代価で、ガディとリアン以外からジンに関わった者全てから”ジン”との記憶は消滅したときいた。

「その様子だと、本当なんですね・・・もと魔王なら、魔神のように魔石を作り出せるのですか?」

「・・・・魔王にはそんな力は無いよ、魔神の恩恵があってこそだから」

「もう用がすんだなら、帰って・・・ジンがおきてしまう!」

「ほぅ・・・”ジン”というのですか、その綺麗な魔者は」

「!」

青い双眸が怪しく光ったのを見たリアンは、体の毛が逆立つのを感じた。
この人間危険だ・・・・。本能でそう感じていた。

「私は、魔神も神木も、そしてその・・”ジン”も手に入れたいと思っている・・・」

「!!」

これにはリアンは言葉をなくした。

人間が、生きて目にする事も叶わない様な高位な存在を手に入れたいといった。
愚かにも程がある。
ましてや・・ジンを手に入れたいだなんて・・・世界を創造した幻龍の力・・・。

「無謀・・・というか、不可能だとおもうけどね」

「何故です!」

こんな欲望の塊のような人間に、素直にすべて話す必要も無い。

「世界全てを・・・敵に回すようなものだから・・・」

ジンと同じ神龍の力を持つリアンでさえ、荒ぶるあの幻龍は止められない。彼が唯一心を許し、共に永久を生きたいと望んだのが器となっている”ジン”だ・・・命への危機的危害を与えれば彼は黙っては居ないだろう。

「・・ぅ・・」

ジンが僅かに身動ぎした。まだ気持ちよさそうにぐっすりと熟睡しているようだ。

「・・・よくわかりませんが、また後で出直しましょう」

そんなジンの様子を見てから理事長は屋上を後にした。

「・・・・・あんな状況でも目を覚まさないって・・・凄いね」

欲望というか、悪意の無い邪気・・・。嫌な感じだ。

「ジン・・・」

「ん・・・」

僅かに瞼を開け声のしたほうに目を向けた。

「食べれる?」

差し出された青い空のような魔石を素直に受け取り口の中へ放り込んだ。
飴でも舐める様に舌で弄んだあと静かに噛み砕いて飲み込む。
体が一気に温かくなったような感じがする。

「もう大丈夫なの?」

体を起こし、空を見上げたジン。

「ああ・・」

ここであった事は口にしないほうがいいのだろう・・・。余計な心配をかけてしまいそうだ。

「俺が寝ている間何か変わったことがあったか?」

リアンは静かに首を横に振った。
日も傾いてもう夕方だった。

「・・・声が・・・」

ジンが何かを言いかけたところにタイミングよく聞きなれた声が飛び込んできた。

「おまたせー」

元気良く結衣がジンたちの前に現れた。
何事もなく結衣のほうも無事すごせたらしい。

「さー帰ろう」

ジンとリアンは静かに頷いた。
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