星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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2章~時の契約~

20.~次元の破壊者~

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結衣とジェロと別れたジンは1人城付近の森の中にいた。
次元の扉を開くのに他者の目に見つかりづらく、それなりの広さのある都合のいい場所を探し歩いていた。
空を飛べればあっという間の距離をこれからあの2人は只管歩いてくるのだろう。
ふとジンは足を止めた。
近くで次元の歪みを感じたのだ。
扉を開けれる者なんてそうそう居ない。

「・・・・・何者だろう・・」

小さく呟き歪みの方へ足を運んだ。

「はずれが多くて困るねぇ、さぁて此処は当たりかなぁ?」

そう言いながら黒いフードを被った全身黒を纏った男がふいに初めから其処にいるのを知っていたようにジンに視線を向けた。

「?!」

深い漆黒色の瞳。
目が合っただけで全身に冷や汗が出た。

何だ・・・?

この威圧感。
恐れているのだろうか・・・。
体が強張る。

「そろそろ当たりだといいのだがねぇ・・・」

ゆっくりとジンに歩み寄る男。

何者だ・・・こいつ・・・?
次元を渡り、これだけの力を持つ・・・・。

「・・・ッ誰だ?」

震える体を制し、声を必死に振り絞る。

「毎回毎回同じ質問を繰り返すんだなぁ?またはずれかなぁ?」

「何のことだ?!」

訳がわからない。
言っている事もこの男の存在も。

「何も知らなくていいんだよ、君はおとなしく・・・」

言いかけた男の手には圧縮された魔法の塊。
早い・・・。
ぎりぎりのところでその攻撃をかわした。
押し付けられた魔法の塊は地面を深く抉りその絶大な威力を物語っていた。
あんなものを一撃でもまともに食らったら一溜まりもないだろう。

「あららぁ・・・?」

「・・・・・化け物かお前・・・?!」

「一撃で楽に殺してやろうと思ったのに、苦痛を味わうほうがお好みなのかい?」

何の感情も読み取れない表情の男。

「!」

男が手にしているものに視線がいった。

光を吸い煌く結晶の欠片。

「何故、お前がそれを?!」

「毎回同じ質問に答えるのも嫌なんだけどねぇ?」

「毎回同じ質問?」

ジンは眉を潜めた、この男・・・・まさか・・。

「・・・・君は前のと比べると少しは賢いようだねぇ?」

「やはり・・・・そういうことか・・」

じりと後退りをする。
この男は危険だ、戦っては駄目だと本能がそう叫んでいる。
この男が移動し行動するほど次元の歪みが起こり、波紋として大きく広がる。

「・・・・・俺は大切な約束がある!お前に殺されるわけにはいかない」

「約束?僕にはそんなの関係ないよ、さっさと大人しく死んでくれないかなぁ?」

一瞬で周囲の魔力を圧縮し魔法を打ち込んでくる。
何て速さだ・・・。

「めんどくさいなぁ」

ジンは翼を広げその場から立ち去ろうとした。

「!!!」

「逃がすはずないじゃん」

2枚広げた翼左半分が男の手から放たれた魔法で引き千切れ辺りを鮮血で染めた。切り離された羽根は光の粒子となって空に散った。バランスを崩した体は地に落下した。

「ぐ・・・ぁああッ・・・」

右手で左肩を爪が食い込むほど握り、必死に痛みに耐えながら男から少しでも離れようと男に背を向け足を動かす。

「ねぇ、聞いてた?大人しくしててくれれば一撃で楽にしてあげるっていってるんだからさぁ・・・」

僅かに苛立ちを見せながら男がまた周囲の魔力を瞬時に圧縮させ無数の風の刃としてジン目掛けて投げた。

「う゛ぁぁッ・・あ、ああッ・・・」

切り離された左足は光となってすぐに消えてしまった。

「ほらぁ、その足じゃもう動けないでしょ?いい加減潔くさ、死ねよ?まじでうざいよ」

辛うじて繋がっている右足を引きずりまだ逃げようとする姿に男の口調に苛立ちが露になってきた。

「・・・・・ッぅう・・・」

魔力の濃い城付近でないと駄目だとか言っている場合ではない、一刻も早く結衣を安全な次元に飛ばさないと・・・。
この男は俺に6枚羽根があることなんてきっと知らないだろう・・・。
結衣から貰った魔石の欠片を口の中へ放り込み、一気に残りの羽根を広げて空へと舞い上がった。

「!!・・・あーあ・・・はずれだろうけど、始末しとかないといけないよねぇ・・・めんどくさ・・」

辺りに散らばった血を人差し指で掬い口元に運びペロリと舐めた。
相手の血から追跡できる。何処にいようとも・・・。

上から急に落ちてきた見覚えのある姿に結衣は息をのんだ。

「え・・・ジン?!」

結衣は慌ててジンに駆け寄った。
辺りには酷く血が飛び散り怪我の具合を一目で認識させた。

「その酷い怪我どうしたの?!」

血に塗れた服と顔と手、片方しかない右足に左羽根も千切れていて見る影もない姿になっている。

「おいおい、何だその様は?」

ジェロが上から覗き込むようにして言った。

「時間がない・・・」

お前に構っていられないとでも言うようにジンが口にする。

「ジン?」

「此処で、扉を開く・・・あいつが来る前に・・・」

必死に呼吸をしながら掠れた声を絞り出した。

「扉って、此処では魔力が足らないんじゃ?」

結衣が問う。

「状況が変わった・・・」

悠長にそんな事も言ってられる状況じゃなくなった。
力を使い果たしてこの身が消えたとしても、この次元と共に大切な結衣まで消滅させるわけにはいかない。
それに、どのみちこのままでは長くは保たない。

「おい・・・何があったんだ?」

ジェロが何時になく真剣な眼差しをジンに向けていた。

「・・・・次元を破壊して回ってるやつがいる・・・」

「何だそれ・・・そいつ強いのか?」

ジンは静かに頷いた。

「次元の破壊って何?何の話?」

結衣も会話に混じった。

「いくつも次元が存在するのは、・・・・俺が次元の核だから・・」

苦痛に顔を顰めながら口にした。

「核?」

「中枢、要、存在するために必要不可欠な物だな・・器と精神を繋ぐ物として皆持っている・・」

ジェロが口を挟んだ。

「俺が消えたら、この次元も消滅するその前に別の次元へ・・・・」

ごほッと咳き込み、口から鮮血が溢れる。

「大丈夫なのか?」

「奴が来る前に俺が消えたらこの次元毎消し去れるんだが・・・」

言いかけたときに別の声が響いた。


「そんな無駄な考えは止めておいた方がいいねぇ、心中なんてするわけないじゃない?」

結衣とジェロが声の方を振り返った。

「く、開くから・・・早く行ってくれ」

魔力を振り絞り右手を前に出したまま片膝で体を支えて別次元への扉を作り出した。
ゆらゆらと揺れて景色はそのままに歪み、遠くに白い光だけが見える。

「結衣、早く・・」

「ジンも!」

扉の前に立ち結衣は手をジンに差し出した。

「さっき言っただろう・・・・俺は行けない」

「・・・・・けど・・・」

「ジェロ!」

初めてジンに名を呼ばれジェロは驚きを隠しきれずにジンを凝視した。

「結衣を、たのむ」

「あ、ああ、俺様に任せろ!」

結衣の手を引き扉に足をかけた。

「お別れはすんだのかなぁ?」

口元に笑みを浮かべたままジンのすぐ背後に立った男が言う。
結衣たちが渡りきるまでは消えるわけにはいかない。

「行くぞ、結衣!!」

半ば引きずられるように移動しながらも結衣は扉の向こうのジンから視線を外さない。

「ぐぅッ・・ぁぁ・・・ッ」

大きく見開いた目。口から溢れた鮮血。

「ジン!!!!」

真っ赤に塗れた手が後ろから胸を突き抜けてそこにあった。
結衣が目に涙を一杯にためて叫ぶ。
真っ赤に染まった男に手には小さな欠片が1つ。
乱暴にズボッと腕を引き抜きその欠片をうっとりと眺める。
男は地に崩れたジンにはもう見向きもしてない。

「ジェロォォ・・・ジンがぁッジンが!!」

結衣の震える声。
大体の察しはついた。
あの男とんでもない力を持っている、一目でその力量の差が分かるほどに。

「・・・・・あいつの意思を無駄にする気か?!今は逃げることだけ考えろ!!」

次元を渡りきってから2人は扉の向こうに視線を向けた。

「・・・・道連れにしてやろうと思ったのに・・・」

苦笑しながら男を見据えた。

「残念でした、時空核の欠片は今は僕の手の中だ」

「・・・・1度しか飛べないだろう・・・」

「知っているさ、だから探しているんだオリジナルを、それまではほかのコピーで代用するしかないけどねぇ」

地に這いつくばるように倒れているジンに冷たい視線を向けたまま男は言った。
偽物の存在でも命があるのに、まるで物のように語る、この男はやはり危険だ・・・。

「ジン・・・・」

声は聞こえない、けど何か話しているのは何となく分かる。

「!」

青白い光に包まれてジンの体が徐々に消え始めた。

「・・・・・さて僕も移動しないとねぇ」

男は結衣たちが行った扉とは別に手にしていた欠片で扉を作りその中へと消えた。
ジンの姿が跡形もなく消えると繋がっていた次元が黒い闇の中へと吸い込まれるように消えた。



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投稿に少し時間が空いてしまって申し訳ないです
風邪気味がずっと2週間くらい続いて@@;
血液検査の結果は異常なかったんですけど・・・謎ですorz
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