星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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2章~時の契約~

19.~その出会いもまた必然~

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「また・・・」

ジンが空を仰いだまま小さく呟いた。

「どうしたの?」

その僅かな呟きにリアンが反応した。

「・・・・別次元で何か、歪みのような物が・・」

「別次元で歪み?僕たちのほかに次元を移動してる者がいるってこと?」

リアンが真剣な表情でジンを見据える。

「分からない・・・」

「有り得ない事ではないかも知れないけど、移動できる存在が居るのって極めて低い可能性だと思うよ?」

「何の話?」

真紀がリアンとジンの間に入ってリアンの顔を覗き込んだ。

「・・・何でもない」

ジンが答えた。
そこでその話は打ち切られた。
どうにも胸騒ぎが止まない。
結衣は無事だとガディは言っていたけど、何かあった訳ではないだろうか・・・。
傍に居ないというだけでこんなにも不安になる。


▲結衣サイド▲

「おい、結衣・・・お前何してる・・・」

ジェロが眉間にしわを寄せたまま信じられないものでも見るように結衣に視線を向けていた。

「え?何って」

「・・・・・」

ジンは黙ったままだ。

「どうして、その肉を焼いてんだと聞いてる!」

「生でなんて食べれないじゃない!」

結衣が口を開くと、ジェロがすぐに反論する。

「何で、全部焼くんだよ!!?」

「皆の分もまとめて焼いてたんだけど・・?」

「おいおい、肉っていったら生だろ?人間ってのは焼いて食うのかよ?」

「そうよ、ちゃんとしっかり火を通してから食べるんだから、生なんて食べたらお腹壊すじゃん」

火力の強い薪に肉を刺した木の枝ごと投げ入れていた。

「俺様の分は今度から焼くな!いいな?」

「わかった・・・」

どうやら話はまとまったようだ。

「・・・・結衣・・」

ジンが口を開いた。

「何?」

「それ、・・・焦げてる・・・」

「え!!!」

慌てて火から肉を出そうとした。

「あ、っつうぃッ!!」

思わず手を振り上げた。

肉だったそれが結衣の手を離れ地面に落ちる。

「あ・・・・」

「うわぁ・・・・真っ黒だな」

ジェロが地面に落ちた焼く前は肉だっただろう黒い炭を凝視した。

「・・・・・・・」

ジンは視線をそむけている様だ。

「えっと・・・落としちゃったけど、食べる?」

「俺様は要らない・・・肉は生がいい・・!」

ジェロが答えると結衣は視線をジンに向け答えを待った。

「・・・・・俺のことは気にしなくていい」

遠まわしに断られた。

「むう・・・・どうしょうこれ、中なら食べれるかなぁ?」

「止めておいたほうがいいと思うぞ・・・俺様が何か別なの探してきてやる」

そう言ってジェロはその場を離れた。

「どうして焦げるんだろう・・・」

しゃがみ込んだまま小さく呟きながらかつては肉だった炭を木の枝で突いた。皮もかちかちの炭で元の原型が肉だったとはとても思えない程哀れな姿になっていた。

「こんなのしかなかった!」

暫くして戻ってきたジェロが腕に抱えてたのは色取り取りの果物。

「わぁ、おいしそう!」

ジェロは半分を結衣に渡してからふとジンに視線を投げかけた。

「・・・・・」

「お前は、いらないんだよな」

素っ気無くそう言ってジンに背を向けると取ってきた果物に噛り付いた。
結衣も貰った果実の1つに噛り付いた。甘い香りと少しの酸味が口の中に広がりとても美味しい。

「ジン、はい美味しいよ」

果実を差し出した。
結衣に視線を向けた後差し出している果物に視線を落とし、手を伸ばし受け取ろうとしたときジェロが口を出した。

「何だよ、結衣気にするなって言ってんだから、ほっとけばいいだろ」

「・・・・・」

伸ばしかかってた手をぴたりと止めジンはジェロを見据えた。

「何で仲良くなれないの?!喧嘩して欲しくないんだけど?」

「何か、馬が合わないんだ、傍に居るだけでどうも毛が逆立って、気持ち悪いし・・・兎に角気に入らない!」

ジェロが清清しいほどはっきりと口にした。

「・・・・・どうやら、俺は余程嫌われているらしいな」

やれやれと言わんばかりにため息混じりに立ち上がった。

「ジン?」

「城まではまだまだ先もあるが、別行動にしよう・・・」

「え?!」

「約束は守る、安心しろ」

「あ、待って・・・とりあえずこれ・・・」

差し出された果物。

「・・・・・」

今度は素直に受け取った。

「ほんとに、1人で行くの?」

「その方が都合が良さそうだからな・・?」

同意を求めるようにジェロに視線を投げかける。

「そうだ、護衛は俺様だけで十分だったんだ!さっさと行けばいい!」

しっしと動物か虫でも追い出すように手を振るジェロに結衣はじとーと恨めしい視線を投げかけている。

「また後で会おう」

翼を広げて空へと飛びやがて姿が見えなくなった。

「・・・・ジェロの馬鹿」

「は?何でだよ・・・気が合わない者同士一緒にいるより気が楽だろ・・・」

本当に悪気もなく口にしている。
もうジンも行ってしまったし何を言っても状況を悪化させるだけなのだろうと結衣はもうそれ以上何も言わなかった。

「そういえば、この先に使われてない建物があった」

ジェロが思い出したように口にした。

「建物?」

「野宿のがいいか?」

結衣は勢い良く首を横に振った。
2人は鬱蒼とした林を抜けジェロがいっていた建物へと足を運ぶ。

「・・・お城・・・?!」

結衣は驚きの表情で目の前に佇む大きな城を見上げた。
長い間使われていないのか、所々に蔦が蔓延り薄暗い中も蜘蛛の巣が沢山張り巡らされていた。

「位の高い奴が住んでいたのかもな」

「どうして分かるの?」

「家具も、中もそこら中の装飾のどれをとっても高価なものばっかりだろ?」

「たしかに・・・」

辺りを見回しながら結衣は納得した。
埃が積もっているが、形はどれをみても高価そうだ。

「俺様中探索してくる!」

「え?!私は?」

「結衣は其処で大人しくしていろ」

こんな薄気味悪いところに女の子を1人にするというジェロの台詞に思わず自分の耳を疑ってしまった。

「ぇッ・・・あ、わ、わかった・・・」

薄暗い部屋を見回してからしどろもどろに頷いた。
ひゅーーッと隙間から風が吹き抜ける音だろうか・・・そんな雰囲気作り的な効果音なんて要らない!と内心思いつつ近くにあったソファーの埃を払ってから腰をつけた。
一瞬で体の重みを吸収するかのようなふかふかの座り心地。

-弱き者よ、我が眷属に迎えてやろう-

「え?」

耳元で囁くようなそんな甘い声が聞こえた気がした。
振り向くが誰もいない。

ちくッ・・

「誰?!」

首筋に一瞬の熱と痺れを感じた。
後ろには誰もいないし、何の気配もない。
刺された左側の首筋を右手でさすりながら何度も警戒するように辺りを見回す。

「結衣!此処には誰も住んでないみたいだ」

2階の吹抜けの階段の上からジェロが下の結衣を見下ろしながら叫んだ。
本当に誰も住んでいないのだろうか・・・。
あの声は何だったのだろう・・・。

「ジェロ・・・あのね・・・」

「ん?疲れてんだろ?寝ろよ、誰もいないんだ心配ない」

案内されるまま沢山ある部屋の1つに入りソファーと同じくらいふわふわのベットに体を預けたままジェロを見上げた。

「ぅ・・ん」

そして静かに目を瞑った。
それを見届けてからジェロは部屋を出て隣の部屋のソファーに丸まった。
変な夢を見た・・・。
夢なのか現なのか区別がつかなかったけれどきっと夢だ。
金色の長い髪の男の人、見たこともないのに・・・。ジンのようにとても綺麗で目が離せなくなる程の魅力のある者。
これほど美しいものは魔族だと理解はしているのに・・。

-弱き者・・・その命を差し出せ-

吸い込まれるような金色の双眸。
見つめられるだけで体が動かない。

「・・・・誰・・・」

やっとで口を開く。
男は少しだけ驚いたような表情を見せたが直ぐに獲物を前にした獣のような表情に戻る。

-我はフェルヴァ、始祖の純血の吸血鬼-

「・・・・」

-永い間眠りについていた、起きた所に丁度餌が飛び込んできた-

くすくすと妖しい笑みを浮かべた。

「餌・・・?」

-我が眷属となり、その血肉を永久に我に差し出せ-

「え・・・・」

-我が眷属は不老不死、尽きることのない我だけの餌というわけだ光栄だろう・・?-

結衣の頬に手をかけ嘗め回すように滑らせていく。フェルヴァは左手で結衣の襟元の服をはだけさせ白い肌を露にさせた。

「そんな・・・・ゃ、め・・・」

フェルヴァは動けない結衣の顎をくいと少し上げるとその白く細い首筋にその牙を突きたてた。
体の力が一気に抜けていくような感覚に襲われた。
寒い・・・。牙が突き立てられたはずなのに痛みもない。
体中の力が抜け瞼さえ重くて静かに閉じた。



-すぐにはその命奪わん、つまらないだろう?-

-少しずつゆっくりと、けれど確実に最後の一滴まで・・・全て終わったなら、餌の印として俺の血を与えてやろう-

牙を抜き傷口を優しく舐める。

-いつでも傍で見ている、逃げられるとは思うな-

ぐったりと力が抜けその場に崩れ、その夢はそこで終わった。

「!」

ぱちりと目を開け辺りを見回した。
誰もいない。
夢だったのだろうか・・?体は少しだるくて重い気がするけれど・・。
恐る恐るフェルヴァに噛まれた左の首筋に触れてみた。
噛まれた痕は何処にもなかった、ただ昨日刺された箇所がほんのりと赤く腫れていただけ。
やはりおかしな夢だったのだろう。
いつしかその夢のことも忘れていた。

「起きてるか?」

ノックもせずに部屋の中にズカズカとジェロが入ってきた。

「ジェロ、おはよう」

「ん、何か倉庫に食えそうなものあったから貰って来た」

そういって小さなテーブルの上に食料を置いた。
加工して日持ちするようなハムやチーズといった物が多いようだ。あとは果物がいくつかと果物のジャム。

「あと、こんなのもあった!」

そう言って何処からか取り出したのは赤い血のようなワインボトル。

「ワイン?」

「おう、すげー年代物!美味そうだろ?」

「私、飲めないよ?」

「何で?」

「未成年だもの」

「何それ?」

素直に首を傾げられた。
この世界にはそういう年の決まり事のようなものが無いのだろう。

「私たちの世界での決まりごとみたいなもの」

「この世界では関係ないんじゃ・・・?」

「・・・・・」

確かに一理ある。

「ほんとに飲まねぇの?もう味わえない代物だぜ?」

ジェロが誘惑する。

「・・・じゃあ・・・1口だけ・・・」

「ん、グラス持ってくる」

我が物顔のジェロにもう何も突っ込めない。
グラスに注がれたワイン。
結衣はごくりと喉に流し込む。
甘い香りがふわりと鼻から抜けた。

「美味しい」

苦味も渋味もなくてとても飲みやすい。吃驚したように空になったグラスを見つめた。

「まだまだあるじぇ」

空になった結衣のグラスに今度はたっぷりと注ぎ、果物も差し出した。

「ありがと」

「腹ごしらえしたら、さっさと行こうぜ」

口に一杯頬張りながら結衣は頷いた。

*************************************
名前長いので行動するジェロルドはジェロで書いていきます、途中からあれ?っていう気付いた鋭い方もいるかもですが。自分が楽するために(ぁ)・・・・途中まぜこぜになってる可能性もあるかもしれない(@@;
読みづらいかもしれないです、もうしわけないです><
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