神が作った異世界でほのぼのする予定。

キツネバレー

文字の大きさ
12 / 58
1章 よくある異世界転生

11話 続・獣人と騎士と魔王

しおりを挟む
1…2…3…4…5…

あれ一人足りない。
振り返るとマオの方へと駆け出している獣人の子が。

「おい、あぶn…マオ!」
マオの左腕がない…
呆然と立ち尽くす

「おい、しっかりしろ!」
サーシャに背中を叩かれる。
そ、そうだ。私がなんとかしないと
急いでマオの方へと向かう。

騎士が光を放つ

〈セイクリッドブレード〉

光の刃がマオ達を襲った。



「あいつは無事かの…」

「マオが…守ったおかげで無事だよ…」

「あいついっつも…儂の角を触ってくるのじゃ…鬱陶しいこと鬱陶しいこと…」
二ヤと笑うマオ。
体が上半身と下半身に分かれている。
どうしたら治るんだ…。どうしたらいい。
一生懸命考える。



「今日は…カレーがいいのう…しゅーくりーむもじゃ…」


「作ってやるからもう喋るな!」

「いや、もういいんじゃ。なんとなくわかる。」
キラキラと白い粒子がマオの傷ついた箇所から出ていく。


「「マオ死んじゃやだよ!!」」
子分共が慌てて駆け寄ってくる。

「ふん、ここまで好かれるとはな…」

「お前らよ、エルについて行けば大丈夫じゃ。こやつは…」
血を吐くマオ。
震える右手で子分達を撫でた。

「まぁええわい。ありがとなエル。また機会があれば会おうぞ…」


マオが真っ白になり光の粒子となって消えた。


許さない…許さない…許さない…許さない…許さない…許さない…許さない…許さない…

どす黒い感情が私を埋め尽くす。
立ち上がりどす黒い感情に身を任せ騎士へと魔力の塊をぶつける。

騎士は盾で防ぐも魔力の塊は盾を破壊し騎士を吹き飛ばす。
木に叩きつけられた騎士は兜が壊れ顔が見える。

へーお前そんな顔してるんだ

なにか喋っているが聞こえない

何を喋っていても関係ないけど

右手に魔力を込める

これで終わり



ふと背中に温かいものを感じる

振り返ると涙をボロボロと溢すサーシャが目の前にいた

後ろにも涙をこぼしこちらへと歩いてくる子分達

やめたいけどマオは帰ってこない

マオは帰ってこない


ふと、頭に声が響く

《《持ち物》を開いてください》

そんなことはどうでもいい

《《持ち物》を開いてください》

うるさい

《《持ち物》を開いてください》

うるさい

《《持ち物》を開いてください》

観念して開く。

持ち物の中には《UR 異世界魔王》があった。




禍々しい地獄の門?が目の前に

ギギギと扉が開くと恥ずかしそうに頬を掻きながら歩いてくるマオ。

「えーっと、よ…よろしくじゃ…」

マオに飛びつく。

「復活できるなら言えや!!」

「儂だって知らんわい!!!」

獣人達も飛んでくる。

「心配させた罪でくすぐりの刑だ!いけ!お前たち!」

獣人達を指揮して攻撃する。

「がはは…やめろ!!がはははは!!やめろっていってるじゃろgははははは」

10分ぐらいやった。
よだれまみれで顔はぐちゃぐちゃ髪もぼさぼさ服ははだけ肩で息をするマオの姿があった。

ふー、ちょっとやりすぎたけど落ち着いた。
辺りを見渡すと倒れた騎士がこちらを見ていた。

「これが世界を平和を壊す魔王に見える?」

「いや、まったく見えんな…先程のお前のほうがよっぽど魔王だ…」
失礼だなこいつ。

「どうやら俺の勘違いだったようだ」
そういうと騎士は立ち上がりこちらへ向かってくる。

「いつの時代も子供は素直だ」
そういうと獣人の頭を撫でた。

ペシン

「「お前嫌い!!さわんな!!」」
シャーと獣人達が一斉に騒ぐ。
そりゃそうだろう。お前今のところ敵だからな、いい話に持っていこうとすんな。

落ち込んだ騎士を置いてきながら獣人達はマオを連れて家に入っていった。

残ったのは騎士と私とサーシャ。

「んで、お前はどうすんの?」
騎士に問いかける。

「俺の勘違いでお前の仲間を傷つけてしまった、すまない」
綺麗なお辞儀をする騎士。

「まぁ助かったからそこはいいや、まぁよくないけど、まぁいいや」
まだ心の整理がついてないかも知れない。

「まぁ、勝手に呼び出したのは私だし許す」

「そう言ってもらえると助かるよ、だが、俺自身が俺を許すことができなくてだな。よければだが償いをさせて欲しい」

「んー、もともとこの森って魔物が多いから子供達を守ってもらおうと思ってたんだよね。嫌われてるから無理そうだけど」
そのようだと苦笑いをする騎士。

「じゃあ、俺に剣を教えて欲しい」
サーシャが答える。

「俺はそんなに頭が良くないし、あいつらも頭が良くないやつがいる。女で力もないから生きていけない。だから、俺が強くなってあいつらと冒険者をやりたいんだ」
騎士を見つめるサーシャ。


「どれくらいで一人前にできんの?」
騎士に問いかける私。

「そうだな、平均で5年だ。やる気と根性があるやつなら3年だな」
騎士はそう答える。


「サーシャ、なんでもするって言ったよな?」
サーシャに問いかける。


「うん、言った」
真っ直ぐな目でサーシャは答えた。





「サーシャの3年を私に寄越せ」

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...