神が作った異世界でほのぼのする予定。

キツネバレー

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3章 ヴィルナタール メイド編

14話 決着

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巨大な鎌を振り回し暴れるニーナ。

いなしていくナキリ。

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やはり、ニーナは強い。

でも私は負けられないのだ。

次々と振り回してくる鎌の攻撃をいなし隙きを伺う。

そこっ!!

ニーナの手元を狙う。

待ってましたと言わんばかりにニヤリとするニーナ。

しまっ…ぐぅっ…

腹部に蹴りをもらう。

体制の崩れた私に追い討ちをかけるニーナ。



朦朧とする意識の中倒れていることに気づく。

必死に立ち上がる

震える足を叩く


なぜ、こんなにも差がある……

なぜ、こんなにも……

なぜ、こんなにも……………

なぜ、こんなにも…………………………私は…弱い……

奥歯を噛みしめる


ふと、ご主人様と目が合う。


私は…

私は…私は……

ご主人様の一番になりたい……

なりたいではない

どうしてもなる

それ以外はいらない

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-------------------------------------------------------------

なにをしているのだろう。エル様が見ている試合の中で何をボロボロの癖にぼーっと突っ立っているんだろう。

ナキリは強くなった。それは間違いない。

ただ、私から言わせるならただ頑張っている平凡な女だ。

一度はエル様に忠誠心はあるようだったから許してみたが正直言ってガッカリした。

この女にはエル様にとってなにもない。

私より弱い武力はある。

私より弱いエル様の崇拝。

私に対する対抗心。

それがエル様にとって何になる。

こいつはエル様に必要ではない。

ただ、頑張っている女などこの街にはいくらでもいる

それ如きでエル様の1番のメイドなど務まるわけないだろう

「終わりにしましょう」

私は鎌で切りつける。

刃が平凡な女の手で止められる。

「な!?」

止められると思ってなかった私は目の前の女を見る。

全てを捨てる目をしている目だ

ふふ…いいでしょう

私は距離を取る。

あなたの一撃見せてもらいます。

構え直した私はナキリの目を見た


-------------------------------------------------------------

「と…止めた方がいい?」
鎌を左手で止め血をボトボトと垂らしボーと突っ立ているナキリを見て私はマオに聞く。

「もう少し待て」
そう呟くとマオは黙った。


距離が開いた2人を見つめる

すると、ナキリ体から煙が立っていく。

ナキリの黒い髪が少しずつ色を失っていく…

「あ、あれまずくない?」

「黙ってみておれ」

ナキリが消えた

突風が起こる。風で開けにくい目を開けナキリを探す


ニーナの前にナキリが現れた。

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体から煙を出す女を

大事なもの以外全てを捨てる覚悟の彼女を

私を見ながらもエル様しか見てないナキリを

ナキリの一撃を、私は止める



ナキリが消えた。


すると、目の前には鬼がいた。

一角の大きな鬼だ

その大きな鬼は私に刃をトンと当て、崩れ落ちた。



貴女の一撃、しかと受けとりました





「勝者 ニーナ」

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崩れ落ちたナキリに駆け寄る。

髪の毛は真っ白になり、顔色はとても悪い。右腕と両足は明後日の方向に曲がっている。

〈ヒール〉

治療し終わったのに顔色は悪いままだ。

「エル様、ここは私にお任せを」

そうニーナは私に言った後、ナキリを抱えてステージから降りてコロシアムから出ていった。


「大丈夫かな?」

「まぁ、大丈夫じゃろう」


勝者が出て行ったコロシアムはとても静かだった。


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ふと目が覚める。気分はすこぶる悪い。

試合が脳裏に浮かぶ

あれから私は…

負けた…

負けた負けた負けた負けた

涙が溢れる

1番になれなかった

私にはそれしかないのに…


「あら、やっと起きましたか?」

ふと、ニーナの声がする

「なんだ、私を笑いに来たのか」

「そうですよ」
頷きニヤッと笑うニーナ

なんと性格の悪い女だ

「もう笑っただろ。私は忙しいんだ帰ってくれ」

「せっかくここまで私が連れてきてあげたのに失礼な女性ですね」

「そうか、それは悪かったな」

「それはそうと、私落ち込んでる人を見るのって嫌なんですよね」


「私に対する嫌味か?」

「ええ、そうです」

「とことん性悪な女だな」

「貴女の覚悟ってそんなもんなんですか?」

「……」

「私に負けた程度で折れちゃう覚悟ねぇ…」

「まぁ、私はエル様の元に戻ります。それでは」
優雅にお辞儀をして帰っていくニーナ。

ご主人様の1番になれなかった私はいる意味はあるのだろうか

そう思っていると扉が開きご主人様がきた。ニーナも一緒だった。

「ナキリ大丈夫ー?」

「えぇ…あまり気分は良くありませんが」

「髪の毛真っ白だね」

「え!?」
本当だ気づかなかった。

「真っ白で可愛いね」
笑顔で答えるご主人様。


この笑顔が好きだ

この笑顔で頑張れる

1番で無くとも隣で笑って下されば…

ふっと心が軽くなった。

「なんか、体調が良くなってきました」
そう私が答えると

「えー?ほんとー?」とご主人様が笑った

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