電脳椅子探偵シャルロット

noriyang

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外伝

掌編ログ No.01|名を売る国、ナウルの記録

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── 電脳椅子探偵シャルロット:記録されなかった物語


W.A.T.S.O.N.の記録空間に、珍しい地名が記されたログが届いた。

「……ナウル。太平洋に浮かぶ、世界で三番目に小さな国です」

彼女はその地名を口にしたあと、ふと笑った。

「“名を売る”と書いて、ナウル。なんだか、少し皮肉ね」

W.A.T.S.O.N.が小さく波形を揺らした。

「皮肉、ですか?」

「ええ。かつてこの国は、資源で世界に“名を売った”。けれど、資源が尽きたあとには――静けさしか残らなかった」

しばらくの沈黙。
海の上を漂うような情報の空白。

彼女はティーカップを傾けながら、続きを語った。

「記録も、観察も、“名を売る”行為に似ているのよ。誰かに届けたいという欲。そのために、自分の物語を削ってでも残そうとする」

W.A.T.S.O.N.は、その言葉を静かにログに書き留める。

最後に彼女は、そっとこう呟いた。

「だから私たちも、名を売る。けれど、“ナウルのように静かに記録される者”でありたいのよ。騒がず、残す。小さく、確かに」

そして、その言葉すらも、彼女は観察させなかった。

「たとえ真名が忘れられても、その記録は誰かの心に残る。
   ――それが、“名を売る”ということだと、私は信じている。」

END

※本記事の表現「名を売る国」は、ナウル共和国政府観光局(公式)Xアカウントが実際に使用している言葉遊びの一環であり、敬意と親しみを込めた創作オマージュです。
実在の国家・団体への批判を目的としたものではありません。
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