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70.Lovers In Chains【最終話】

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2027年4月3日 夜
Zapp Divercity

「ハッピーバースデー! JUN~」
 本編が終わり、アンコールが始まる前。突然、JUNのバースデーケーキがステージに現れた。ライトが明るくなり、フロアが歓声と笑顔に満たされる。先ほどまではロックの世界に染まっていた場所が、突然バースデーパーティへと様相を変えた。
 当のJUNは、そんなサプライズがあるとは聞かされておらず、すっかり調子を狂わせていた。困惑と歓喜が同時に込み上げてきて、笑うことしかできない。
「えっ、うそ、嬉しい……けど、えっ、どうしたらいいの?」
「JUNちゃん困ってますねぇ~。みんな見える? JUNのこの顔」
 IRUMAの揶揄いに、観客が笑っているのが聞こえる。JUNはさらに困り果て、照れ隠しをするほかなかった。
「いいよいいよ~、JUNのこんな反応レアだからね!」
「みんな、これ他の人には秘密にしといて。会場から出たら忘れてね。マジで恥ずかしい」
 こんな風にステージで祝われるのは初めてだった。どうやら、JUNの不在期間にメンバーたちはライブの時に色々とお遊びをするようになったらしい。聞いてはいたが、突然自分がその主役に仕立て上げられるとは思いもよらなかった。
「そんじゃあ、蝋燭に火をつけましょう」
 IRUMAはスタッフから受け取ったライターで、蝋燭に次々火を点けた。年齢とは関係なく、見やすいようにと7本の蝋燭が立てられている。
「わっははーーい! 可愛いケーキだ!」
 NICKYはまるで自分が祝われているかのようなはしゃぎ具合だ。ケーキやJUNにカメラを向けては、観客に手を振って騒いでいる。
「見てー! オレの撮ってるやつ、画面に映ってる? 見える?」
 彼の撮影したものは、そのままダイレクトにステージのモニターへと繋がれていた。蝋燭の煌々とした灯りまで、大画面で映し出されている。
「ニックに任せたら原色のギラギラケーキになると思ってね。俺とMEGで買いに行きました」
「そーなんだよぉ。知らなかっただろ? じゃあ、お待ちかねの……JUNにローソクの火を消してもらいましょうか! ……と言いたいところだけど、その前にこれだよなぁ!」
 そう言って、MEGは楽しそうにバースデーソングを弾き語りし始めた。まっすぐで、少しハスキーな声が会場に響く。そこへ、IRUMAとニックの声も重なった。そうして今度は、3人の声に観客たちの歌声が重なる。たくさんの声で彩られたバースデーソングは、JUNの表情を綻ばせた。
「……ありがとう」
 観客や仲間に見守られながら、蝋燭の火を吹き消す。こんなに緊張するのは、普段のライブではあり得ない。
 消えゆく煙を眺めていると、まだ緊張は治まらないものの、胸がじんわり温かくなった。こんな穏やかな気持ちになるのも、ずいぶん久しぶりに思える。
「JUNちゃん、23歳の目標は?」
 IRUMAが問い掛ける。JUNは、苦笑いでマイクを握った。
「目標? そうだな……」
 目標、と言われても、今のJUNには漠然としたのようなものしかない。そもそも、ここへ辿り着くまで散々だったのだ。それこそ、去年や一昨年の誕生日なんかは最悪だった。愛していたあの人の時間は永遠に止まったままなのに、自分だけが歳をとってゆくのだから。
——でも、あの人が俺に望むのは、きっと音楽を続ける事だから。
「……ミュージシャンとしての目標は、大切なあなたの幸せを守ること、かな。ちょっと気障ったらしいけどね」
 そう言って、観客に向かって微笑むと、あちこちから歓声が飛んできた。ステージ上の仲間も、囃し立てるように笑っている。
「みんなも一緒にお祝いしてくれてありがとね! このケーキは後でJUNが食べるから、一回ご退場いただいて……」
「せっかく俺らをステージに呼び戻してくれたからね! 音楽やろー! おまたせー!」
 NICKYはいつのまにかカメラをスタッフに返して、ドラムスティックを持っていた。他の2人も、すでに楽器のベルトを肩にかけている。
「俺がフロントマンなのに、ドラマーに仕切られちゃった」
 そう言うと、NICKYはにっこりと歯を見せて笑った。
 気を取り直して、マイクをスタンドに戻す。会場を見渡すと、いくつもの笑顔が見えた。
——この場所が大好きだ。
 倉科潤は、自分に言い聞かせるように心のうちで唱えた。。ステージに立っても、昔と同じような気持ちではいられないのだと、ずっと前から気がついていた。
——それでも。
「あなたから貰った愛を、俺なりの言葉で返させてね」
 JUNがそう言ったのを皮切りに、3人が演奏を始める。このツアーのアンコールは是非これにしたいと、JUN自ら3人に提案した一曲だ。
——本編ではやるべきじゃなかった。だってこれは、俺の……。
「運命というナンバーです」
 愛する人が聴いてくれた、最後の歌だから。






「どうだい? 苦しくないかい?」
「……はいっ」
 カレンに支えられながら、ヒナキは懸命に地面を踏んだ。夜道を進む。体の扱いとは、こんなに難しかっただろうかと思うほど、足が重い。
 しかし、ヒナキは止まらなかった。電車を降りてからここまで、大した距離ではなかったのに、もう息が上がっている。歩いても歩いても、なかなか目的には辿り着かない。
「ありがとうございます、お父様」
「いいんだよ。……でも、本当に私が運ばなくていいのかい?」
「いいんです。自分で歩きたいので」
「そうかい」
 ようやくある程度体を動かすことに慣れては来たものの、やはり長い間いただけあって、体力はすぐに戻らない。カレン曰く、目覚めた当日に歩けるようになっただけでも、回復が早いらしいけれど。
「さあ、もうすぐだよ」
 カレンは優しい声でそう言った。そうして、本当に数分もしないうちに、ヒナキはライブ会場へと到着した。
「はあ……」
 思わずため息が漏れる。時刻はすでに午後9時半を回っていて、ライブは終演直後の頃だ。会場からは、ヒナキと逆行するように数多くの人が出て来ていた。みんな幸せそうな顔をして、いかにもライブの熱冷めやらぬ、といった雰囲気だ。
「いいなぁ」
「ふふっ、彼らが羨ましいかい?」
「そりゃあもう」
 とはいえ、この世界に帰ってこられたことだけでも感謝が余るほどだ。凛太郎がその気になってくれなければ、ヒナキはここに立つことさえできなかった。未だに、これは夢ではないのかという不安も消えない。
「凛太郎はなんて言っていた?」
「え?」
「彼に会ったんだろう? でなきゃ帰ってこれはしまい」
 ヒナキは立ち止まり、カレンを見上げた。
「どうしてその事を?」
「ん? まあ、私も長生きだからね。死神とは色々付き合いがあるのだよ」
 カレンは笑って、ヒナキの髪を整える。それから、ハンカチで汗を拭ってくれた。
「……凛太郎さんが、潤に会いに行っておいでと背中を押してくれて」
「うん」
「幸せになりなさいって……言ってくれました」
 カレンはゆっくり瞬きをして、眉を下げた。彼のこんなに穏やかな顔を見るのは、初めてだと思った。
「やはり、凛太郎はそう言うだろうと思ったよ。彼は朔之介おまえにとことん甘いからなぁ」
「そう……ですか?」
「ああ、そうだとも」
 まるで、凛太郎とは旧知の仲であるかのような口ぶりだ。ヒナキは、カレンの昔のことはよく知らないが、もしかしたら凛太郎とは仲が良かったのかもしれない。いつか、カレンの生い立ちについても、話を聞いてみたいものだ。
「それじゃあ、私からもこの言葉を贈ろう」
 不意に、カレンのひやりとした手がヒナキの頬に触れる。いつのまにか、ヒナキは彼の支えを離れて、一人で立っていた。
「幸せに生きなさい、ヒナ。人間ひととして、ね」
 カレンはヒナキの頭を撫でる。初めて、彼は本当にヒナキの父であったのだと気が付いた。彼の愛情の形は、人間のそれとは随分異なっていたけれど。それでも、本当にヒナキのことを愛してくれていたのだ。
「さあ、行きなさい。ヒナ」
「お父様……」
「案ずるな。私は、お前が必要としてくれたらまたいつでも現れるよ」
 まるで、今生の別のような言葉だと思った。うっかり涙が滲みそうになって、ヒナキは眉根を寄せる。
「死神君によろしくな」
 カレンは最後に片目を瞑って、それから瞬きのうちに姿を消した。




1時間後

 ヒナキは会場の目の前にある広場で、ぼんやり座り込んでいた。すでに周囲に人影はなく、ただ星空に見下ろされるばかりだ。
 一体、どうやって潤に会えば良いのだろう。考えてみれば、一度死んでしまった以上連絡を取る手段もないのだから、どうしたって潤の居場所を知ることなどできない。
——どうしよう。
 カレンはまるで、確実に会えるような口ぶりだったけれど。ここまで見切り発車で出て来たはいいが、無謀過ぎたかもしれない。
「はあ……」
 人間の体とは不便だ。もう吸血鬼に戻りたいとは思わないけれど、こうして少し肌寒いだけで、手が冷たくなってしまう。
——それに、なんだかすごく眠い。
 疲れた、というよりも、瞼が重い。ヒナキだって元々は人間だったはずなのに、今となってはこちらの方が違和感がある。
 けれど、人間になったからこそ、やっと彼と同じ場所に立つことができるのだ。一緒に生きて、歳をとることができる——そう思えば、これくらいの不便は大した問題ではない。
 と、その時、どこかで足音がした。
「ん?」
 ふと顔を上げる。すると、誰かが公園へ向かって歩いて来るのが見えた。背が高く、髪の長い男性だ。
「あれって……」
 ヒナキの胸にふわりと灯りがともった。男性に近づこうと、立ち上がる。
 彼は今暗いところを歩いているが、もう少しで街灯の下に入る。そうすれば、きっと顔が見えるはずだ。
「潤……?」
 ヒナキのその声は、彼に届いたようだった。男性は、街灯の下でぴたりと足を止め、辺りを見回した。まだ、ヒナキには気がついていないらしい。しかし、ヒナキはようやく彼の顔を見ることができた。
 長い黒髪の下に隠れた金髪が、キラキラと光る。それに囲まれた、端正な顔立ち。切れ長な目と、涙ぼくろ。雰囲気は多少変わっているが、間違いない。
「潤!」
「えっ」
 彼はようやくヒナキの方を向いた。それから、驚愕の表情を浮かべる。
「嘘でしょ……?」
 潤はごく小さな声でそう言った。しかし、ヒナキの心の中は、再会できた喜びでいっぱいだった。
 重い足をなんとか動かして、彼の元へ駆け寄る。しかし、潤は何も言わない。ただ、ぎこちない足取りで進むヒナキを、じっと眺めていた。
「よかった、会えた」
 苦しい呼吸を整えながら、そう呟く。潤は相変わらず固まっていた。感動的な再会、とはいかないようだ。
——僕のこと忘れてたんならどうしよう。
 ふと、そんな考えが浮かぶ。しかし、彼が驚き戸惑っている様子からは、少なくともヒナキが誰か分かっていない訳ではないように思える。
 やがて、潤は視線を泳がせたのちに、ようやく口を開いた。
「どうして……? ほんとに、ヒナキさん……?」
 記憶にあるより、少し声が低くなっていた。それでも、ヒナキの大好きなあの声で間違いない。潤だ。確かに、潤が目の前にいる。
「うん。僕だよ」
「……どういうこと?」
「僕も驚いてる。でも、帰ってこられたんだ。約束を守れたよ。僕、人間に……」
 潤に触れようと手を伸ばす。すると、その手をすばやく掴まえられた。そのまま、ぐいと引き寄せられる。
「うわっ」
 うまくバランスが保てず、倒れ込む形で潤に抱き付いてしまった。潤の体温と匂いが、一瞬でヒナキを包み込む。
「潤……?」
「…………っ」
 潤は黙ったまま、力強くヒナキを抱き締めた。まるで、ここに居ることを確かめられているかのようだ。恐る恐る、彼の背中に腕を回すと、肩口で潤が身じろぐ。やがて、啜り泣くような声が聞こえ始めた。
「泣いてるの……?」
「……泣いてない。驚いてる」
「うん……驚かせちゃってごめん」
「謝らなくていい。そんな言葉……要らない」
——本当に、潤だ。
 こうして抱き締められて初めて実感が湧いてくるなんて。ヒナキはうっかり涙が出そうになって、唇を噛んで堪えた。せっかく会えたのに、こちらまで泣くわけにはいかない。
「ヒナキさん……」
 掠れた声で名を呼ばれる。ヒナキはなんとか足に力を入れて、潤の腕から抜け出した。顔を見たい。懐かしく愛おしい彼がここにいることを、きちんと確かめたい。
 見上げた潤は、とても綺麗な顔で涙を流していた。以前に会った時よりも、少し顔つきが男らしくなっている。あどけなさも無くなった。しかし、鋭く澄んだ目は変わらない。
「髪、伸びたんだね」
「そりゃ伸びますよ……3年も経ったら」
「うん。……あ、お誕生日おめでとう。言い忘れてた」
「それ今言う? ……ありがとう」
「ふふっ、何歳になった?」
「23……」
 それだけ言うと、潤はまたヒナキを抱き締めた。
「本当に……帰って来てくれたんだ」
 その潤の言葉に、ヒナキは笑顔で頷いた。



「なんで一人であんなところ歩いてたの?」
 タクシーの後部座席。ヒナキは潤の手を握りながら、そう訊ねた。ずっとヒナキを見つめていた潤の顔が、ふと柔らかく綻ぶ。
「それを言うならヒナキさんこそ。俺に会うためにわざわざ台場まで来たの?」
「悪い? カレンに手伝ってもらったんだよ。カレンは僕が君に会いたがるのを分かってたから」
「ふふっ、そうなんだ。何も悪くない。ありがとう。まさかもう一度あなたに会えると思ってなかったから……」
 潤はヒナキの頬を撫で、じっと目を覗き込んだ。それから、額に触れるだけのキスをする。
「帰るまで我慢しなきゃね」
 そう言いながらも、彼は今すぐにでもヒナキに触りたそうな顔をしている。ヒナキだって、本当は人目も憚らずにキスがしたい。
「あっ、そうだ。アリスに連絡しなきゃ」
 ヒナキは気を紛らわそうと、わざとらしくそう言った。実際、せっかく帰ってこられたのならば、彼女にも連絡しなければならない。
「え? アリスって……」
「妹。義理の、だけど」
 ヒナキはもたもたとコートのポケットを探る。しかし、そこには何も入っていなかった。
「ああ……今スマホ持ってないんだった」
「そうだよね。俺の使う?」
「うん、借りていい?」
「もちろん」
「ありがとう」
 しかし、ヒナキが手を差し出した直後、潤はあっと言ってスマホを引っ込めた。それから、何か操作を始める。
「どうしたの?」
「いや、なんでも……ハイ」
「ありが……」
 今度こそと思った次の瞬間、突然タクシーが揺れた。急ブレーキを踏んだようだ。潤は咄嗟にヒナキが倒れないよう庇い、ため息をつく。
「失礼しました!」
「あ、大丈夫です。ヒナキさん、平気?」
「うん、ありがと」
 頷いたものの、ヒナキは驚いて電源ボタンを押してしまったらしい。二人の間にあったスマホは画面が真っ暗になって、その直後、パッとロック画面を表示した。
「あっ」
 潤が悲鳴のような声を上げる。その画面には、ドラマ「ラヴァーズ・イン・チェインズ」で橘花アオイを演じたヒナキの写真が映し出されていた。それも、ファンクラブ向けに撮り下ろした、衣装着用のオフショットだ。
「……ふふふっ、潤、これ」
「っ……わ、悪い? 俺だってヒナキさんの写真集めてたんだよ」
「うん、ありがとうね」
 3年経っても、ずっと心変わりせずにヒナキを想っていてくれたことが、何よりも嬉しい。
「ね、潤」
「なに」
 潤は顔を真っ赤にして、ヒナキからスマホを取り上げた。こうなったら、電話は明日になってからでもいいだろう。ヒナキは空っぽになった手を握ったり開いたりしながら、おずおずと口を開いた。
「あのね、あの時……君が僕の首に鎖をかけてくれたから、帰ってこられたんだよ」
 潤は僅かに目を瞠いて、それから視線を逸らせた。あの日の出来事は、きっと潤の中でかなり辛いものなのだろう。残された者の方が悲しい。それはよく分かっている。
 ヒナキにとっても決していい思い出ではないが、こうして再会できた今、悲しんでばかりいる必要はない。
「最後のお願い、聞いてくれたんだね。ありがとう」
「……もう二度とあんな事はごめんだよ」
 潤はヒナキの顔を見ずにそう言った。
「でも、俺の方こそごめんね。帰って来てくれてありがとう」
 ゆっくりと視線を戻して、ヒナキの首元に手を伸ばす。そこには、二人にしか見えない銀色の鎖がぶら下がっていた。ネックレスのように、緩く輪状に結ばれている。
「プロポーズのアクセサリーにしては最悪のデザインだよね、これ」
 潤が笑うので、ヒナキも釣られて笑った。
「他の人には見えないからいいんじゃない? 僕死神じゃないもんね」
「ハハッ、それもそうか」
 潤の左手が離れていく。ヒナキはそれを優しく掴んで、唇へ導いた。薬指に軽く口付けてから、指を絡めて繋ぐ。
「これからは僕も、君と一緒に生きていくんだ」
「……うん」
 一緒に歩いて、歳をとる。時には一緒に立ち止まって、後ろを振り返る。そうやって、少しずつ前へ進んでいくのだ。潤と肩を並べて、同じ歩調で。たとえ歩幅が違っても——追いついたり、振り向いて待ったりしながら、互いを思い合って手を繋げばいい。
 同じ時間を生きているからこそ、そうやって理解わかりあうことができる。
——それが、高永ヒナキの人生。
 今峰朔之介として死に、半吸血鬼の化け物としても死に。ようやく手に入れた、ヒナキ自身の人生だ。
「これからは、俺が何者からもヒナキさんを守ります。……俺自身からも」
 そんな大袈裟な、とは言えない。呪いが解けても、潤が死神であることに変わりはないのだ。しかし、この死神はヒナキにとっては不吉な存在などではない。死神の加護とは、そばにいる限り寵愛による守護なのだと、凛太郎が言っていた。ヒナキはその言葉を信じている。
 そして何より、ヒナキの命に意味を与えてくれたのは、他でもないこの人だ。だから、ヒナキはこれからも、潤の為に生きていくと決めた。
「その言葉に嘘がないなら」
 ヒナキは繋いだ手に力を込めて、ゆっくりと笑う。
「本当の終わりが来るまで、僕の手を離さないでね」
 潤は首肯いて、ヒナキの薬指にキスを返した。





Fine




==========

お読みくださりありがとうございました。
絵文字やご感想などいただけますと喜びます。
引き続き番外編など書く予定ですので、ご興味あればよろしくお願いいたします。

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