37 / 65
第二章 僕が彼女を『護』る理由
第36話 以心伝心!? 『心』を通じ合わせるためのメソッド
しおりを挟む
「そ、それは?」
「それはね……ヒミツ、よ」
悪戯っぽく微笑み、グディーラさんは勿体ぶって結局教えてくれなかった。
「そんなぁ~」
突然バチっと視界の端に火花が飛できて背筋が凍る。
「えっと……アルナさん?」
「~~~~~……………ッ!!!」
恐る恐る振り返ると、何故か分からないけど、アルナお嬢様は僕の手を握ったまま、頬を膨らませいる。
それはもう大層ご立腹であらせられて……。
そして白くて可愛い尻尾から雷の象気が漏れ――あっ……マズい。
「ミナトのぉ……ミナトのバカぁっ!!」
「ギャァァァァァーーーーーっ!!」
僕の身体を静霊気の何倍もの衝撃が貫いた。
そういえば師匠が言っていたっけ? 一人と決めたら他の女に目移りするな、さもないと痛い目見るぞって。
多分あれってこういうことだったのかも……。
雷撃を喰らってほどなくして、ハウアさんが目を覚まし、今後について話し合った。
正直あまり時間がない。
ヴェンツェルが姿を消した当日から儀式を始めているとなると残り今日合わせて6日しかない。
それに加えて《黒蠍獅》の強さは圧倒的だ。
「アルナの嬢ちゃん。良い判断だった。お陰で助かったぜ」
「は、はい、ありがとうございます……」
起き上がって早々、突然ハウアさんがアルナをしっかりと褒めだした。
いったいどうしたんだ? 槍でも降るの? それとも天変地異の前触れ?
あの理不尽大王のハウアさんが、だ。ありえない。僕は開いた口が塞がらなかった。
「ミナトっ! 貴様っ! なんだその顔はぁっ!?」
なんて思っていたら、ハウアさんに胸倉を掴まれた。
「だ、だってハウアさんが急に人を褒めるからっ!」
「んだと!? じゃあお望み通りのことをいってやる!! この――」
スパンっとハウアさんの頭がいい音する。
グディーラさんが丸めた紙でひっぱたいて止めてくれて助かった。
「やめなさい馬鹿。話が進まないでしょうがっ!」
気を取り直して再び話始める僕達。
ハウアさんの予想だと《黒蠍獅》もヴェンツェルが作り出した吸血種で、儀式の間の守護が目的。
故に必要以上に追ってこなかったんじゃないかという結論だった。
それについては皆も同意見。恐らく接近しなければ攻撃はしてこない。
けどこのままだと儀式は止められないから、結局《黒蠍獅》をなんとかしなきゃいけない。
問題はどうやって倒すかだ。
「とりあえず、そうなぁ……お前等二人〈接吻〉するか」
「「はぁっ!?」」
二人ほぼ同時に声を上げた。この人はなんの脈絡もなく何を言い出すんだ?
「な、なんなのさっ! いきなりっ!」
「楽しみなのは分かるけどよ、興奮すんなって、ちゃんと意味があんだよ」
興奮とか、楽しみとか、別にそんなこと思っているわけじゃ……。
それはきっとアルナも同じ筈。やば……目が合った。
そんな……俯き加減で顔を逸らして、恥ずかしそうにされたら、僕だってまともに見られないじゃないか。
「まず、お前等の象気はよく似た性質をしている」
それなら先週の〈大喧嘩〉のときに気付いている。考えてみれば【光】と【雷】なのだから当然だ。
「そんで、二人とも【共震】って知っているか?」
共震? 初耳だ。師匠からそんなこと聞いたことがない。
アルナも知らないみたい。二人して首をかしげる。
「その様子じゃ知らねぇようだな。あの師匠教えなかったのか……まぁ、伝えられなかったというのもあるかもな。師匠と【共震】が出来る奴なんてそういねぇし」
ハウアさんの話だと、【共震】とは両者の象気が自乗化される現象だという。
ただし【共震】が起こるのは二人の象気の性質が非常に近い時だけ。
それが本当なら凄いことだ。
「共震には単に呼吸を合わせるだけじゃ駄目だ。互いの心が通わせねぇといけねぇ、そこでっ! 接吻ってわけだ」
うん、よく分かった。
【共震】と接吻になんも関係性も無いことに。
「その話だと全く関係ないよね? 互いの心が通じ合っていればいいわけだし、僕達なら心配ないんじゃないかな。ねぇアルナ?」
わざわざそんなことしなくたって。きっとアルナだって同じことを思っている筈。
「う……うん……」
え? 何? アルナの今の反応? 苦笑いされた。
仲良いって思っているの自分だけ?
「嬢ちゃんはそうは思ってねぇみてぇだぞ? これはもうするしかねぇなぁ? 本当はベッドの上で身も心も繋がっちまったほうが手っ取り早ぇんだけどよぉ。まぁヘタレミナトに期待したところで無理だしなぁ~」
悪魔のような下卑た笑みを浮かべ、ハウアさんが迫ってくる。
嘘? するしかないのかっ!?
いくら必要だからって、そんな簡単に唇を奪ってしまっていいのっ!?
そもそも僕のことを本気で好いてくれているかどうか!?
だとしたら、好きでもない人とするなんて、アルナが可哀想じゃないかっ!?
「いい加減にしなさい!」
スパンっ! と再びハウアさんの頭がいい音が鳴る。
さっきまで静かに話を聴いていたグディーラさんが丸めた紙で、ハウアさんの後頭部をひっぱたいた。
「それはね……ヒミツ、よ」
悪戯っぽく微笑み、グディーラさんは勿体ぶって結局教えてくれなかった。
「そんなぁ~」
突然バチっと視界の端に火花が飛できて背筋が凍る。
「えっと……アルナさん?」
「~~~~~……………ッ!!!」
恐る恐る振り返ると、何故か分からないけど、アルナお嬢様は僕の手を握ったまま、頬を膨らませいる。
それはもう大層ご立腹であらせられて……。
そして白くて可愛い尻尾から雷の象気が漏れ――あっ……マズい。
「ミナトのぉ……ミナトのバカぁっ!!」
「ギャァァァァァーーーーーっ!!」
僕の身体を静霊気の何倍もの衝撃が貫いた。
そういえば師匠が言っていたっけ? 一人と決めたら他の女に目移りするな、さもないと痛い目見るぞって。
多分あれってこういうことだったのかも……。
雷撃を喰らってほどなくして、ハウアさんが目を覚まし、今後について話し合った。
正直あまり時間がない。
ヴェンツェルが姿を消した当日から儀式を始めているとなると残り今日合わせて6日しかない。
それに加えて《黒蠍獅》の強さは圧倒的だ。
「アルナの嬢ちゃん。良い判断だった。お陰で助かったぜ」
「は、はい、ありがとうございます……」
起き上がって早々、突然ハウアさんがアルナをしっかりと褒めだした。
いったいどうしたんだ? 槍でも降るの? それとも天変地異の前触れ?
あの理不尽大王のハウアさんが、だ。ありえない。僕は開いた口が塞がらなかった。
「ミナトっ! 貴様っ! なんだその顔はぁっ!?」
なんて思っていたら、ハウアさんに胸倉を掴まれた。
「だ、だってハウアさんが急に人を褒めるからっ!」
「んだと!? じゃあお望み通りのことをいってやる!! この――」
スパンっとハウアさんの頭がいい音する。
グディーラさんが丸めた紙でひっぱたいて止めてくれて助かった。
「やめなさい馬鹿。話が進まないでしょうがっ!」
気を取り直して再び話始める僕達。
ハウアさんの予想だと《黒蠍獅》もヴェンツェルが作り出した吸血種で、儀式の間の守護が目的。
故に必要以上に追ってこなかったんじゃないかという結論だった。
それについては皆も同意見。恐らく接近しなければ攻撃はしてこない。
けどこのままだと儀式は止められないから、結局《黒蠍獅》をなんとかしなきゃいけない。
問題はどうやって倒すかだ。
「とりあえず、そうなぁ……お前等二人〈接吻〉するか」
「「はぁっ!?」」
二人ほぼ同時に声を上げた。この人はなんの脈絡もなく何を言い出すんだ?
「な、なんなのさっ! いきなりっ!」
「楽しみなのは分かるけどよ、興奮すんなって、ちゃんと意味があんだよ」
興奮とか、楽しみとか、別にそんなこと思っているわけじゃ……。
それはきっとアルナも同じ筈。やば……目が合った。
そんな……俯き加減で顔を逸らして、恥ずかしそうにされたら、僕だってまともに見られないじゃないか。
「まず、お前等の象気はよく似た性質をしている」
それなら先週の〈大喧嘩〉のときに気付いている。考えてみれば【光】と【雷】なのだから当然だ。
「そんで、二人とも【共震】って知っているか?」
共震? 初耳だ。師匠からそんなこと聞いたことがない。
アルナも知らないみたい。二人して首をかしげる。
「その様子じゃ知らねぇようだな。あの師匠教えなかったのか……まぁ、伝えられなかったというのもあるかもな。師匠と【共震】が出来る奴なんてそういねぇし」
ハウアさんの話だと、【共震】とは両者の象気が自乗化される現象だという。
ただし【共震】が起こるのは二人の象気の性質が非常に近い時だけ。
それが本当なら凄いことだ。
「共震には単に呼吸を合わせるだけじゃ駄目だ。互いの心が通わせねぇといけねぇ、そこでっ! 接吻ってわけだ」
うん、よく分かった。
【共震】と接吻になんも関係性も無いことに。
「その話だと全く関係ないよね? 互いの心が通じ合っていればいいわけだし、僕達なら心配ないんじゃないかな。ねぇアルナ?」
わざわざそんなことしなくたって。きっとアルナだって同じことを思っている筈。
「う……うん……」
え? 何? アルナの今の反応? 苦笑いされた。
仲良いって思っているの自分だけ?
「嬢ちゃんはそうは思ってねぇみてぇだぞ? これはもうするしかねぇなぁ? 本当はベッドの上で身も心も繋がっちまったほうが手っ取り早ぇんだけどよぉ。まぁヘタレミナトに期待したところで無理だしなぁ~」
悪魔のような下卑た笑みを浮かべ、ハウアさんが迫ってくる。
嘘? するしかないのかっ!?
いくら必要だからって、そんな簡単に唇を奪ってしまっていいのっ!?
そもそも僕のことを本気で好いてくれているかどうか!?
だとしたら、好きでもない人とするなんて、アルナが可哀想じゃないかっ!?
「いい加減にしなさい!」
スパンっ! と再びハウアさんの頭がいい音が鳴る。
さっきまで静かに話を聴いていたグディーラさんが丸めた紙で、ハウアさんの後頭部をひっぱたいた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる