4 / 4
1章
敗北と次の朝Ⅱ
しおりを挟む
「(俺がいるのは大体西側の深緑か、あいつはおそらく北側か、東側のどちらか……)」
と、頭の中で素早く状況の整理と、相手位置の予測をした昊は、首にかけている望遠鏡を手に取り、まずは北側の森を覗いてみることにした。
覗いてみるものの、北側も深緑が広がっているためこの中から小さな人を探すのはとても困難なのである。
「ん?あそこでなにか動いたな」
北側11時の方角で今確かになにかが動いた。総司はおそらくあそこの付近にいるはず。
そう確信した昊は肩にかけてあるスナイパー銃を構え、体勢に入ろうとした、その時……
ドスッ、グキッ!!
グロテスクな音と共に昊の左肩に強い衝撃が走った。一瞬何が起こったか分からなかったが自分の左側を見ると左についているはずの腕が一本消し飛んでいた。
「クッ!!ンっ!!」
(痛い。普通のゲームなら、痛みは感じないはずなのに……凄い完成度だな)
叫びたくて転がり回りたくなるほどの、痛みを耐えながら昊は木にかかっている蔓を腕のちぎれている少し上に巻き付けた。
「これで、これ以上血が出る恐れはないだろうな。あいつは一体どこから撃ってきたんだ」
昊が困惑している。その同時刻、一方総司の方はというと…
「まだまだ青いな、選択が甘すぎる」
言われてみれば確かにそうとも言える、あそこで近接戦に持ち込むという選択もあったはずなのに、近接戦は遠距離戦よりも相手がよく見えるため近接戦を好む人が多いのだ。
「さて次はきっちりヘッドショット決めますかね」
と、思ったが総司の頭の中で新しい案が浮かんできた。
「いや……あえて中央荒野に出てみるか、死角は増えるが出てくる所を狙うならそれが手っ取り早いか」
このゲームでスナイパーが狙うのは主に3つある。
1:おでこの中心
2:右目
3:心臓
心臓は比較的楽に撃ち抜くことが出来るが、右目やおでこは少し撃ち抜くのが難しいため倒した時のポイントが高くなるのだ。
総司が中央荒野に向かうと決めた時、昊はというと……
「もうこうなったら中央荒野での直接対決にかけるか……」
なんと二人共が荒野での直接対決を選択したのだ。
この選択によりお互いに負ける確率は50%つまり、より勝ちたい意思が強い方が勝つ!!
行動が先、昊が中央荒野に向かっていると反対側から総司らしき人影が見えてきた、そしてお互いに話せる距離まで近づいた。
「へぇ、そっちも中央での対決を選択したわけね、そこは褒めてやるよ」
「さすがにね、あんたに勝つにはこれ以外の方法がないと思ったからさ」
ワクワクした興奮を抑えきれていないのだろう。正面に立っている総司の顔は笑っている。
「残り時間が後5分か……この5分間、弾1発のみの精神戦ってのはどうだ??」
「1発のみか……いいぜ!乗った」
「そう来なくちゃな、お互い目を瞑って10歩進んだとこから始めようか」
昊は素直に頷き、言われた通り目を瞑って10歩進み出した。
ちょうど10歩進んだところで……
「3秒カウントの後振り向いたら即初めだ、いいな?」
「もちろん、それで構わないさ」
「じゃあいくぞ! 3」
(まず、振り向いて速攻ダッシュして相手の懐に入る)
「2」
(そして相手の額に銃を突き付けてフィニッシュだ)
「1、スタート!」
昊は『スタート』の合図と同時に振り向き総司の元へ走っていった。しかし……
1発の銃声と共に、昊の視界には青い空が写っていた。目の前がだんだんぼやけてきて、朦朧とする意識の中ある一言だけ聞き取れた。
『お前はまだ淡いよ』
この言葉を最後に、昊はここから先の記憶はない……
と、頭の中で素早く状況の整理と、相手位置の予測をした昊は、首にかけている望遠鏡を手に取り、まずは北側の森を覗いてみることにした。
覗いてみるものの、北側も深緑が広がっているためこの中から小さな人を探すのはとても困難なのである。
「ん?あそこでなにか動いたな」
北側11時の方角で今確かになにかが動いた。総司はおそらくあそこの付近にいるはず。
そう確信した昊は肩にかけてあるスナイパー銃を構え、体勢に入ろうとした、その時……
ドスッ、グキッ!!
グロテスクな音と共に昊の左肩に強い衝撃が走った。一瞬何が起こったか分からなかったが自分の左側を見ると左についているはずの腕が一本消し飛んでいた。
「クッ!!ンっ!!」
(痛い。普通のゲームなら、痛みは感じないはずなのに……凄い完成度だな)
叫びたくて転がり回りたくなるほどの、痛みを耐えながら昊は木にかかっている蔓を腕のちぎれている少し上に巻き付けた。
「これで、これ以上血が出る恐れはないだろうな。あいつは一体どこから撃ってきたんだ」
昊が困惑している。その同時刻、一方総司の方はというと…
「まだまだ青いな、選択が甘すぎる」
言われてみれば確かにそうとも言える、あそこで近接戦に持ち込むという選択もあったはずなのに、近接戦は遠距離戦よりも相手がよく見えるため近接戦を好む人が多いのだ。
「さて次はきっちりヘッドショット決めますかね」
と、思ったが総司の頭の中で新しい案が浮かんできた。
「いや……あえて中央荒野に出てみるか、死角は増えるが出てくる所を狙うならそれが手っ取り早いか」
このゲームでスナイパーが狙うのは主に3つある。
1:おでこの中心
2:右目
3:心臓
心臓は比較的楽に撃ち抜くことが出来るが、右目やおでこは少し撃ち抜くのが難しいため倒した時のポイントが高くなるのだ。
総司が中央荒野に向かうと決めた時、昊はというと……
「もうこうなったら中央荒野での直接対決にかけるか……」
なんと二人共が荒野での直接対決を選択したのだ。
この選択によりお互いに負ける確率は50%つまり、より勝ちたい意思が強い方が勝つ!!
行動が先、昊が中央荒野に向かっていると反対側から総司らしき人影が見えてきた、そしてお互いに話せる距離まで近づいた。
「へぇ、そっちも中央での対決を選択したわけね、そこは褒めてやるよ」
「さすがにね、あんたに勝つにはこれ以外の方法がないと思ったからさ」
ワクワクした興奮を抑えきれていないのだろう。正面に立っている総司の顔は笑っている。
「残り時間が後5分か……この5分間、弾1発のみの精神戦ってのはどうだ??」
「1発のみか……いいぜ!乗った」
「そう来なくちゃな、お互い目を瞑って10歩進んだとこから始めようか」
昊は素直に頷き、言われた通り目を瞑って10歩進み出した。
ちょうど10歩進んだところで……
「3秒カウントの後振り向いたら即初めだ、いいな?」
「もちろん、それで構わないさ」
「じゃあいくぞ! 3」
(まず、振り向いて速攻ダッシュして相手の懐に入る)
「2」
(そして相手の額に銃を突き付けてフィニッシュだ)
「1、スタート!」
昊は『スタート』の合図と同時に振り向き総司の元へ走っていった。しかし……
1発の銃声と共に、昊の視界には青い空が写っていた。目の前がだんだんぼやけてきて、朦朧とする意識の中ある一言だけ聞き取れた。
『お前はまだ淡いよ』
この言葉を最後に、昊はここから先の記憶はない……
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる