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第七話4
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「ヒヒーん!」
驚いた馬が上半身をのけぞらせながら急停止した。
弓に気を取られていた私はその勢いのままに、馬の首部へと頭をぶつける。
痛い。
「ヒヒーーん!!」
馬が再度いななく。
先程より声のトーンんは数段低く、迷惑だと言うように半分後ろを向き、「ブヒ・・」と溜息まで吐く始末。
――悪かったわね、運動音痴で。
私は左手で馬の首をなで機嫌を取ると。
そのまま右手で頭を抑えながら、件の弓矢を見た。
弓は私達から一メートルほど離れた場所の地面に突き刺さっていた。
いや、”突き刺さっていた”は少し語弊がある・・・
ドリルのように回転しながら、地面を突き進んでいた、。
(あれ?あれあれあれ?・・・・弓ってこういう武器だったっけ?・・・んん?ちょっと待って。)
私は目をこすって凝視する。
やはり依然矢は高速に回転していた。周りの地面に小さいクレーターまで出来ていた。
これは当たっていたら怪我じゃ済まないレベルである。
不思議は消えないが、今は弓兵を探すのが先決。
そう思い出し、
私は弓から目を離し、前後左右、ついでに上下にも目線を動かした。
「いないわね。」
弓兵どころか、人の気配すらない。
弓の飛距離を考えるとそう遠くない場所にいるはずなんだが・・・
「誰か、どこにいるか分かる人いる?」
一応聞いてみると、
「分からん。」「気配すら感じませんね。」「・・・」「全然分かりません。」
などと皆一様に首を振った。
困惑顔を見る限り、私に気を使って言っていないと言うことでもないだろう。
このまま考えていても埒があきそうにないので、私は魔法で索敵することにした。
疲れるし、無防備になるから使いたくなかったんだけど・・・
このまま見えない敵に怯えているよりマシだ。
私はパンパンと手を叩き、後ろを振り返る。
「レインハルト、『サーチ』を使うから、少しの間私の体を預けるわ。」
サーチを使っている間、半分意識が飛んでるような感じになるのだ。
正確には目をつぶって意識を統一しないと、ガクンと『サーチ』の精度が下がるだけだが・・・
この世界の魔法は(ポーションもそうだが・・・)欠陥品が多すぎる。
私がレインハルトに寄り掛かると、レインハルトはぎゅっと私を抱きしめた。
「馬は一応止めておきます。何かあった場合はすぐに出しますので、それだけはご容赦ください。」
「分かってるわ。」
ランスロット、アルフォンス、長官が私達を囲むように左右と後ろに付き。
私はそれを見たのを最後にすっと目を閉じた。
『サーチ』・・・・
10m・・・
30m・・・
50m・・・
誰もいない。
100m・・・誰もいない。
200m・・・誰もいない。
300m・・・誰もいない。
この世界で、弓の限界飛距離はだいたい500m・・・
人を殺せるほどの殺傷力を持ったと条件を付ければ200mが妥当なところだ。
でも、どれだけ探しても見当たらない。
仕方ないので、さらに範囲を広げる。
500m・・・誰もいない。
700m・・・誰もいない。
900m・・・誰もいない。
1km・・・・誰もいない。
(マ、マジですか・・・)
2km・・・誰もいない。
3km・・・誰もいない。
4km・・・誰もいない。
5km・・・誰もいない。
息が上がってきた。
ちょーしんどい。
ここまで伸ばす必要なかったんじゃない・・・
隠遁の術極めた弓士なのかもしれないし。
とは思うものの、今更止めることは出来ない。
最早半ヤケである。
6km・・・誰もいない。
7km・・・誰もいない。
8km・・・誰もいない。
くっそー
マジでいない。
そろそろ限界近いんですけど・・・
まあ、私の限界探索範囲は25kmですけど・・・。
でも、あの時は鼻血出してぶっ倒れたのよね~。正直今そうなるのは避けたいわけで・・・。
そんな葛藤をしながらも、ずいずい範囲を伸ばしていき、初めてサーチに反応があった。
それは探索範囲外から唐突に現れて、魔球も斯くやと言うほどにグニャグニャとした軌道をたどりながら、
しかし確実に此方に近づいている。
え?・・ええ?・・・・何々なに・・・
一瞬何が起こっているのか理解できず、パニック状態に陥る。
あっ!もしかして第二射ですか!
そう気づいた時には既に矢は私の目と鼻の先にまで来ていた。
私は咄嗟に『サーチ』をOFFにし、体を丸め、手で顔を隠す。
そして、その直後・・・
「フン、来ると分かっていれば、止められるんですよ。」
パキンと言う金属の割れる音とともに、そんな言葉が聞こえた。
驚いた馬が上半身をのけぞらせながら急停止した。
弓に気を取られていた私はその勢いのままに、馬の首部へと頭をぶつける。
痛い。
「ヒヒーーん!!」
馬が再度いななく。
先程より声のトーンんは数段低く、迷惑だと言うように半分後ろを向き、「ブヒ・・」と溜息まで吐く始末。
――悪かったわね、運動音痴で。
私は左手で馬の首をなで機嫌を取ると。
そのまま右手で頭を抑えながら、件の弓矢を見た。
弓は私達から一メートルほど離れた場所の地面に突き刺さっていた。
いや、”突き刺さっていた”は少し語弊がある・・・
ドリルのように回転しながら、地面を突き進んでいた、。
(あれ?あれあれあれ?・・・・弓ってこういう武器だったっけ?・・・んん?ちょっと待って。)
私は目をこすって凝視する。
やはり依然矢は高速に回転していた。周りの地面に小さいクレーターまで出来ていた。
これは当たっていたら怪我じゃ済まないレベルである。
不思議は消えないが、今は弓兵を探すのが先決。
そう思い出し、
私は弓から目を離し、前後左右、ついでに上下にも目線を動かした。
「いないわね。」
弓兵どころか、人の気配すらない。
弓の飛距離を考えるとそう遠くない場所にいるはずなんだが・・・
「誰か、どこにいるか分かる人いる?」
一応聞いてみると、
「分からん。」「気配すら感じませんね。」「・・・」「全然分かりません。」
などと皆一様に首を振った。
困惑顔を見る限り、私に気を使って言っていないと言うことでもないだろう。
このまま考えていても埒があきそうにないので、私は魔法で索敵することにした。
疲れるし、無防備になるから使いたくなかったんだけど・・・
このまま見えない敵に怯えているよりマシだ。
私はパンパンと手を叩き、後ろを振り返る。
「レインハルト、『サーチ』を使うから、少しの間私の体を預けるわ。」
サーチを使っている間、半分意識が飛んでるような感じになるのだ。
正確には目をつぶって意識を統一しないと、ガクンと『サーチ』の精度が下がるだけだが・・・
この世界の魔法は(ポーションもそうだが・・・)欠陥品が多すぎる。
私がレインハルトに寄り掛かると、レインハルトはぎゅっと私を抱きしめた。
「馬は一応止めておきます。何かあった場合はすぐに出しますので、それだけはご容赦ください。」
「分かってるわ。」
ランスロット、アルフォンス、長官が私達を囲むように左右と後ろに付き。
私はそれを見たのを最後にすっと目を閉じた。
『サーチ』・・・・
10m・・・
30m・・・
50m・・・
誰もいない。
100m・・・誰もいない。
200m・・・誰もいない。
300m・・・誰もいない。
この世界で、弓の限界飛距離はだいたい500m・・・
人を殺せるほどの殺傷力を持ったと条件を付ければ200mが妥当なところだ。
でも、どれだけ探しても見当たらない。
仕方ないので、さらに範囲を広げる。
500m・・・誰もいない。
700m・・・誰もいない。
900m・・・誰もいない。
1km・・・・誰もいない。
(マ、マジですか・・・)
2km・・・誰もいない。
3km・・・誰もいない。
4km・・・誰もいない。
5km・・・誰もいない。
息が上がってきた。
ちょーしんどい。
ここまで伸ばす必要なかったんじゃない・・・
隠遁の術極めた弓士なのかもしれないし。
とは思うものの、今更止めることは出来ない。
最早半ヤケである。
6km・・・誰もいない。
7km・・・誰もいない。
8km・・・誰もいない。
くっそー
マジでいない。
そろそろ限界近いんですけど・・・
まあ、私の限界探索範囲は25kmですけど・・・。
でも、あの時は鼻血出してぶっ倒れたのよね~。正直今そうなるのは避けたいわけで・・・。
そんな葛藤をしながらも、ずいずい範囲を伸ばしていき、初めてサーチに反応があった。
それは探索範囲外から唐突に現れて、魔球も斯くやと言うほどにグニャグニャとした軌道をたどりながら、
しかし確実に此方に近づいている。
え?・・ええ?・・・・何々なに・・・
一瞬何が起こっているのか理解できず、パニック状態に陥る。
あっ!もしかして第二射ですか!
そう気づいた時には既に矢は私の目と鼻の先にまで来ていた。
私は咄嗟に『サーチ』をOFFにし、体を丸め、手で顔を隠す。
そして、その直後・・・
「フン、来ると分かっていれば、止められるんですよ。」
パキンと言う金属の割れる音とともに、そんな言葉が聞こえた。
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