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第八話
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べちゃっ――――――――
夕暮れに赤く燃える森の中に、肉の押しつぶされる異音が響いた。
それは緑の怪物が強烈な圧力により磨り潰される音。
頭をトマトのように破裂されたその怪物・・・アーク・ゴブリンは、酔ったように二三歩歩くと、
糸が切れた様に崩れ落ちた。
(み、見事な一撃ですわね…・・・・。 )
身の丈ほどの鉄棍棒を持った二人の男を見て、今日何度目かとなる同じ感想を抱く。
彼らの名は『梅丸』と『牛頭丸』。
山の王ーー王箭から送られた、(山の町までの、)案内人だ。
二人の本名は『梅若丸』と『牛若丸』と言って、一卵性双生児のとても似た双子だった。年は私より1歳年下で、今年で16になる。
幼少期に親に捨てられ、獣に育てられた二人は、手が付けられないほどの暴れん坊で、言葉もろくに話せず、山の民からも”妖怪”と恐れられていたそうだ。でも、6年前王箭に拾われて、学を学び、更生したのだと後で知ることになる。
王箭からは腕が立つとだけ言われ、寄越されたので、今は、外見以外の情報はさっぱりだった。
身長は共に170cm。髪は片目が隠された茶色い短髪で、顔形は乙女ゲームに出てきそうなそっくりなイケメン。
二人は着ている服も同じで、時代劇に出てきそうなダークブルーの浴衣・ちょっとおしゃれなサンダル。腰に巻いた紺の帯………
それでも私が二人を区別できるのは分かりやすい違いがあるからだった。
牛頭は右目が隠れており、右頭に牛の頭蓋を付けている。
一方、梅は左目が隠れており、左頭に牛の頭蓋を付けている。
二人並ぶと鏡みたいで可愛いってレベルじゃない。現代日本に居れば間違いなくネットに勝手に上げられるくらいだ。
まあ、だから…
と言う訳では無いが、私はこの二人ともっと仲良くしたいと思っていた。
この後の交渉の事を考えても、一人でも多く仲間が欲しいから。
でも、実際のところ関係は進展しておらず。
私が平地の民だと言うことで、口すら聞いてくれないのが今の状況だった。
(はあ………。せめて王箭の人となりくらいは聞き出しておきたいのに………。びっくりするほど無反応ですわ。)
だからと言って泣き寝入りすることなど出来るはずもなく、私は数メートル先でゴブリンから魔石を取り出している二人に近づいた。
「おつかれ、牛頭、梅!今回もすごかったわ!」
「「・・・・・・・・・・」」
私は、体を血で濡らしながら解体を続ける二人を何時ものように労った。
しかし、
当然のように二人からの返事は無い…、
むしろ、不愛想に体に付いた血を拭きながら、”話しかけるな”、と無言に訴えている。
「私も手伝いましょうか?」
「必要ない。」
「あ、付いた血を拭きましょう!」
「どうせまた汚れる。」
「それならまた拭けばいいだけです。」
「邪魔だ。」
じゃ、邪魔って………。
私だって傷ついたりするんですよ。
内心ぶー垂れながら、しかしこれ以上しつこいと逆に嫌われるかなと思い、大人しく引き下がることにした。
その時、元来の運動音痴がたたってか、浮き上がった木の根に足を引っかけ、よろけて尻もちを付き。
(痛っ!)
初めてそれに気づく。
牛頭の後ろ首、丁度髪に隠されている部分に怪我があったのだ。
それは私の目線が下に下がり、牛頭が解体で下を向いていたのでようやっと気付けたほどの、際どい場所にある傷。
私はあれこれ考える前に、魔法を使っていた。
「『低位治癒魔法』」
だって、これはたぶん私を庇って出来た傷だ。
それがたとえ王箭の命令があったからだとしても、自分のせいで傷ついた人を放ってはおけない。
そんな当然の思いでやった行動だったのだが、
瞬間牛頭が鋭い目でにらんできた。
「何のつもりだ?」
「な、なんのって、傷を治しただけですよ。」
若干瞳を狭め、威嚇するように聞いてくる牛頭に足が半歩下がる。
凄い威圧感だ。
もしかしなくても地雷を踏んでしまったのかもしれない。
しかし、何とか年上の威厳を保ち、顔だけは下げなかった。
「そういう意味じゃない。…どうして傷を治したって聞いてるんだ。」
「どうしてって、あ、あなたは怪我人で、私はそれを治す力がある。それだけですわ?そ、それにその傷は私を庇って受けた傷です。だ、だったら私が治すのが筋ではないですか。」
「俺は山の民でお前は平地の民だ。」
「で、でも、私はもう自分のせいで傷つく人を見たくないです。もし次同じことが起こっても私は治しますから!」
牛頭丸がゆらりと立ち上がった。
そして、カツカツと私の前に歩いて来ると冷たい目線で睨み下ろす。
「偽善者ぶるなよ。平地の人間が。」
怖いってものじゃない。
言葉で人を殺すって聞いたことあるけど、多分この事だ。
「ご、ごめんな―――」
思わずそう謝りそうになるが、両手を握り締め勇気を振り絞り、恐怖を払しょくするように大きな声で言い切った。
「――――兎に角、私に治されたくなかったら、もう怪我をしないことですわ。
もし次怪我したら、私は勝手に治しますから。」
「何を勝手な!」
「とにかくそう言うことです!」
私はそれでけ言うと足早にゴブリンの死体まで行き、無言で解体を始めた。
後ろから牛頭の冷たい視線を感じたが、そ知らぬふりをして手を動かし続けた。
夕暮れに赤く燃える森の中に、肉の押しつぶされる異音が響いた。
それは緑の怪物が強烈な圧力により磨り潰される音。
頭をトマトのように破裂されたその怪物・・・アーク・ゴブリンは、酔ったように二三歩歩くと、
糸が切れた様に崩れ落ちた。
(み、見事な一撃ですわね…・・・・。 )
身の丈ほどの鉄棍棒を持った二人の男を見て、今日何度目かとなる同じ感想を抱く。
彼らの名は『梅丸』と『牛頭丸』。
山の王ーー王箭から送られた、(山の町までの、)案内人だ。
二人の本名は『梅若丸』と『牛若丸』と言って、一卵性双生児のとても似た双子だった。年は私より1歳年下で、今年で16になる。
幼少期に親に捨てられ、獣に育てられた二人は、手が付けられないほどの暴れん坊で、言葉もろくに話せず、山の民からも”妖怪”と恐れられていたそうだ。でも、6年前王箭に拾われて、学を学び、更生したのだと後で知ることになる。
王箭からは腕が立つとだけ言われ、寄越されたので、今は、外見以外の情報はさっぱりだった。
身長は共に170cm。髪は片目が隠された茶色い短髪で、顔形は乙女ゲームに出てきそうなそっくりなイケメン。
二人は着ている服も同じで、時代劇に出てきそうなダークブルーの浴衣・ちょっとおしゃれなサンダル。腰に巻いた紺の帯………
それでも私が二人を区別できるのは分かりやすい違いがあるからだった。
牛頭は右目が隠れており、右頭に牛の頭蓋を付けている。
一方、梅は左目が隠れており、左頭に牛の頭蓋を付けている。
二人並ぶと鏡みたいで可愛いってレベルじゃない。現代日本に居れば間違いなくネットに勝手に上げられるくらいだ。
まあ、だから…
と言う訳では無いが、私はこの二人ともっと仲良くしたいと思っていた。
この後の交渉の事を考えても、一人でも多く仲間が欲しいから。
でも、実際のところ関係は進展しておらず。
私が平地の民だと言うことで、口すら聞いてくれないのが今の状況だった。
(はあ………。せめて王箭の人となりくらいは聞き出しておきたいのに………。びっくりするほど無反応ですわ。)
だからと言って泣き寝入りすることなど出来るはずもなく、私は数メートル先でゴブリンから魔石を取り出している二人に近づいた。
「おつかれ、牛頭、梅!今回もすごかったわ!」
「「・・・・・・・・・・」」
私は、体を血で濡らしながら解体を続ける二人を何時ものように労った。
しかし、
当然のように二人からの返事は無い…、
むしろ、不愛想に体に付いた血を拭きながら、”話しかけるな”、と無言に訴えている。
「私も手伝いましょうか?」
「必要ない。」
「あ、付いた血を拭きましょう!」
「どうせまた汚れる。」
「それならまた拭けばいいだけです。」
「邪魔だ。」
じゃ、邪魔って………。
私だって傷ついたりするんですよ。
内心ぶー垂れながら、しかしこれ以上しつこいと逆に嫌われるかなと思い、大人しく引き下がることにした。
その時、元来の運動音痴がたたってか、浮き上がった木の根に足を引っかけ、よろけて尻もちを付き。
(痛っ!)
初めてそれに気づく。
牛頭の後ろ首、丁度髪に隠されている部分に怪我があったのだ。
それは私の目線が下に下がり、牛頭が解体で下を向いていたのでようやっと気付けたほどの、際どい場所にある傷。
私はあれこれ考える前に、魔法を使っていた。
「『低位治癒魔法』」
だって、これはたぶん私を庇って出来た傷だ。
それがたとえ王箭の命令があったからだとしても、自分のせいで傷ついた人を放ってはおけない。
そんな当然の思いでやった行動だったのだが、
瞬間牛頭が鋭い目でにらんできた。
「何のつもりだ?」
「な、なんのって、傷を治しただけですよ。」
若干瞳を狭め、威嚇するように聞いてくる牛頭に足が半歩下がる。
凄い威圧感だ。
もしかしなくても地雷を踏んでしまったのかもしれない。
しかし、何とか年上の威厳を保ち、顔だけは下げなかった。
「そういう意味じゃない。…どうして傷を治したって聞いてるんだ。」
「どうしてって、あ、あなたは怪我人で、私はそれを治す力がある。それだけですわ?そ、それにその傷は私を庇って受けた傷です。だ、だったら私が治すのが筋ではないですか。」
「俺は山の民でお前は平地の民だ。」
「で、でも、私はもう自分のせいで傷つく人を見たくないです。もし次同じことが起こっても私は治しますから!」
牛頭丸がゆらりと立ち上がった。
そして、カツカツと私の前に歩いて来ると冷たい目線で睨み下ろす。
「偽善者ぶるなよ。平地の人間が。」
怖いってものじゃない。
言葉で人を殺すって聞いたことあるけど、多分この事だ。
「ご、ごめんな―――」
思わずそう謝りそうになるが、両手を握り締め勇気を振り絞り、恐怖を払しょくするように大きな声で言い切った。
「――――兎に角、私に治されたくなかったら、もう怪我をしないことですわ。
もし次怪我したら、私は勝手に治しますから。」
「何を勝手な!」
「とにかくそう言うことです!」
私はそれでけ言うと足早にゴブリンの死体まで行き、無言で解体を始めた。
後ろから牛頭の冷たい視線を感じたが、そ知らぬふりをして手を動かし続けた。
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能力高い?かは分かりませんが、前世持ちなので知識はあります。
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