50 / 74
39.ちゅーして。
しおりを挟む
ある日の昼下がり。
滑舌がもとに戻った僕は、公爵家のガゼボで話し合いをしていた。
「あのね…あのとき、ゼインを突き飛ばしたのは…その……は、恥ずかしくて…!」
向かい合って座っているのではなく、ゼインが僕を抱きかかえるようにして、膝に乗っていた。
「恥ずかしい…?」
「うん…そ…その、ね?今まで…ぎゅってしたり、ちゅーしたりするの、嬉しいばっかりで、何ともなかったんだけどね?
お兄様に指摘されたときから…、ゼインの顔、ドキドキして、見られなくなっちゃって…!
ぼ、僕、ずっと好きだったのに……、なんか、もっと…?好きに、なったっていうか…。そ…その…あわっ!」
説明していると、ゼインは急に全力で抱きしめてきて、僕の頭は混乱で一杯だった。
「ごめんね……私が……ルカを信じなかったから……」
「だって…僕が悪いでしょ…?あのときのは、誤解を生んでもおかしくなかったもん…。こっちこそ、ごめんね…。」
「違う…違うんだよ…。あのときね、私は…ルカが私のことを愛していることを知ってたのに、イードル殿に惚れたんだと勘違いしてしまったんだ。」
ゼインは当時の心境をぽつりぽつりと語り始めた。
なんでも、僕がイードル様を助けたから彼に惚れたんだと勘違いしたらしい。
そのあとも、お兄様の前でイチャイチャしないでおこう!と僕が決心したものだから、余計その勘違いに拍車をかけてしまって。
イードル様に嫉妬したんだって言ってた。ゼインが隣にいるのに、イードル様とばかり話すのが辛かったと。
その前も、ぎゅってしたり、手を繋いだりしてなかったから………。
僕が悪い。ゼインは悪くないよこれ。
圧倒的に僕だ…。
ちゃんと僕の心の内を話せばよかった。
だって、ゼインと話すのがドキドキして出来るかわからなかった、なんて言ったら笑われそうだったから…。
そう言ったら、ゼインはそれでも、だ。と譲らなかった。
「やっぱり、お医者さんはわかってたんだね。」
「ふふ、そうだね。私達は話し合いが足りなかったみたいだ。
ルカ……愛してる。世界で一番。もう二度とあんな酷いことはしないから…。私から、離れないで…。」
ちゅ、ちゅ、と首筋にキスを落とされる。彼の髪の毛が耳に当たって、くすぐったい。
「ぼ、僕も……!あ、愛してる!あっ……くすぐったいよ、ゼイン…。あぅっ……、ちょ…ほんとに……うふっ……やだ、あはっ、いやっ、ちょっと!あはっ、あはははっ!!きゃー!くすぐったいよぉっ!!」
キスだけだったのが、いつの間にか脇腹をこちょこちょされていて、笑い転げてしまった。
ゼインも僕も、最終的には大笑いして謝り合うのはもう終わりね、そう言って再び抱き合う。
「ねぇゼイン…。」
「なぁに?」
「ちゅーして。」
「どこにしてほしいの?」
「んふふ、おくち。」
一瞬驚いたように目を見開き、すぐにドロリと瞳を蕩けさせて微笑んだ。
「仰せのままに。」
頬に手を添えられ、ゼインの顔が近づいてくる。
瞼を閉じて唇を待つと、ふに…と軽い口づけが。
そのあとも角度を変えてキスが続き、僕の心臓は破裂してしまいそうなほど高鳴っていた。
「はふ……ぜいん……も……げんかい…」
目を開いてそう訴えると、ゼインはまるで獣のようなギラギラした目で僕のことを見ていた。だけど、どうしてか怖くなくて、むしろ、もっと見てほしい、なんて。
「本当に……君は……。敵わないよ、ルカ。可愛すぎてどうにかなりそう。……ねぇルカ?成人したら、覚悟してね?」
その声音が、お腹にズクン、と響くような甘さを持っていて、さらに脳をも麻痺させる毒のようなものがあった。
「うん……。」
「ふふ、わかってるの…?」
「わかんない、けど…ゼインにされることなら、なんでも許したくなるの。」
「ああ……もう……私の半身はなんでこんなにも愛しいんだろうね…。」
そして再びじっくり味わうような口づけをして、甘い時間は終わった。
「さあ、そろそろ部屋に戻ろうか。まだ体は万全じゃないんでしょう?」
「えへへ…でもあともうちょっとだってお医者さんも言ってた!」
「あとちょっとのところで無理してたら駄目じゃない。また熱が出るかもしれないんだから。」
「はーい、わかった!」
「ふふ、良い子。」
膝の上に乗ったままゼインに抱えられて、12歳にもなったのに、部屋に向かう途中でウトウト。僕はそのまま眠ってしまったのだ。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
~ゼインSide~
ルカの突発性難聴と、魔力妨害症が治って本当に良かった。
だが、あのとき……なぜ魔道具を持っていなかったのに姿を消すことができたんだ?
いや、本人が魔法を使ったことは確認済みなんだ。
部屋の外にルカのものである魔力痕がほんの少し残っていたから。
でも、この子は当時魔法を使えなかったはずなんだ。
まさかその時だけ治っていた、とか?
だがそんな馬鹿げた話はあるまい。
ではなぜ?
ベッドで眠るこの子の髪を梳きながら頭を働かせる。
気持ちよさそうに寝ていて、こちらがしていることには気づいていなさそうだ。
そういえば…フレディ王妃が『神に愛されているようだ』と仰っていたらしいが…。
意外と、的を射ているのやもしれぬ。
「ねぇルカ。私達はね…君がどんな存在でも、愛しているから…。君が嫌だって言っても、逃さないからね…。」
そう言って、そっと唇にキスを落とした。
「ふふ、今日は一段と可愛くて、抑えるのが大変だったよ…。でも、もうあんな酷いことはしないからね。」
滑舌がもとに戻った僕は、公爵家のガゼボで話し合いをしていた。
「あのね…あのとき、ゼインを突き飛ばしたのは…その……は、恥ずかしくて…!」
向かい合って座っているのではなく、ゼインが僕を抱きかかえるようにして、膝に乗っていた。
「恥ずかしい…?」
「うん…そ…その、ね?今まで…ぎゅってしたり、ちゅーしたりするの、嬉しいばっかりで、何ともなかったんだけどね?
お兄様に指摘されたときから…、ゼインの顔、ドキドキして、見られなくなっちゃって…!
ぼ、僕、ずっと好きだったのに……、なんか、もっと…?好きに、なったっていうか…。そ…その…あわっ!」
説明していると、ゼインは急に全力で抱きしめてきて、僕の頭は混乱で一杯だった。
「ごめんね……私が……ルカを信じなかったから……」
「だって…僕が悪いでしょ…?あのときのは、誤解を生んでもおかしくなかったもん…。こっちこそ、ごめんね…。」
「違う…違うんだよ…。あのときね、私は…ルカが私のことを愛していることを知ってたのに、イードル殿に惚れたんだと勘違いしてしまったんだ。」
ゼインは当時の心境をぽつりぽつりと語り始めた。
なんでも、僕がイードル様を助けたから彼に惚れたんだと勘違いしたらしい。
そのあとも、お兄様の前でイチャイチャしないでおこう!と僕が決心したものだから、余計その勘違いに拍車をかけてしまって。
イードル様に嫉妬したんだって言ってた。ゼインが隣にいるのに、イードル様とばかり話すのが辛かったと。
その前も、ぎゅってしたり、手を繋いだりしてなかったから………。
僕が悪い。ゼインは悪くないよこれ。
圧倒的に僕だ…。
ちゃんと僕の心の内を話せばよかった。
だって、ゼインと話すのがドキドキして出来るかわからなかった、なんて言ったら笑われそうだったから…。
そう言ったら、ゼインはそれでも、だ。と譲らなかった。
「やっぱり、お医者さんはわかってたんだね。」
「ふふ、そうだね。私達は話し合いが足りなかったみたいだ。
ルカ……愛してる。世界で一番。もう二度とあんな酷いことはしないから…。私から、離れないで…。」
ちゅ、ちゅ、と首筋にキスを落とされる。彼の髪の毛が耳に当たって、くすぐったい。
「ぼ、僕も……!あ、愛してる!あっ……くすぐったいよ、ゼイン…。あぅっ……、ちょ…ほんとに……うふっ……やだ、あはっ、いやっ、ちょっと!あはっ、あはははっ!!きゃー!くすぐったいよぉっ!!」
キスだけだったのが、いつの間にか脇腹をこちょこちょされていて、笑い転げてしまった。
ゼインも僕も、最終的には大笑いして謝り合うのはもう終わりね、そう言って再び抱き合う。
「ねぇゼイン…。」
「なぁに?」
「ちゅーして。」
「どこにしてほしいの?」
「んふふ、おくち。」
一瞬驚いたように目を見開き、すぐにドロリと瞳を蕩けさせて微笑んだ。
「仰せのままに。」
頬に手を添えられ、ゼインの顔が近づいてくる。
瞼を閉じて唇を待つと、ふに…と軽い口づけが。
そのあとも角度を変えてキスが続き、僕の心臓は破裂してしまいそうなほど高鳴っていた。
「はふ……ぜいん……も……げんかい…」
目を開いてそう訴えると、ゼインはまるで獣のようなギラギラした目で僕のことを見ていた。だけど、どうしてか怖くなくて、むしろ、もっと見てほしい、なんて。
「本当に……君は……。敵わないよ、ルカ。可愛すぎてどうにかなりそう。……ねぇルカ?成人したら、覚悟してね?」
その声音が、お腹にズクン、と響くような甘さを持っていて、さらに脳をも麻痺させる毒のようなものがあった。
「うん……。」
「ふふ、わかってるの…?」
「わかんない、けど…ゼインにされることなら、なんでも許したくなるの。」
「ああ……もう……私の半身はなんでこんなにも愛しいんだろうね…。」
そして再びじっくり味わうような口づけをして、甘い時間は終わった。
「さあ、そろそろ部屋に戻ろうか。まだ体は万全じゃないんでしょう?」
「えへへ…でもあともうちょっとだってお医者さんも言ってた!」
「あとちょっとのところで無理してたら駄目じゃない。また熱が出るかもしれないんだから。」
「はーい、わかった!」
「ふふ、良い子。」
膝の上に乗ったままゼインに抱えられて、12歳にもなったのに、部屋に向かう途中でウトウト。僕はそのまま眠ってしまったのだ。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
~ゼインSide~
ルカの突発性難聴と、魔力妨害症が治って本当に良かった。
だが、あのとき……なぜ魔道具を持っていなかったのに姿を消すことができたんだ?
いや、本人が魔法を使ったことは確認済みなんだ。
部屋の外にルカのものである魔力痕がほんの少し残っていたから。
でも、この子は当時魔法を使えなかったはずなんだ。
まさかその時だけ治っていた、とか?
だがそんな馬鹿げた話はあるまい。
ではなぜ?
ベッドで眠るこの子の髪を梳きながら頭を働かせる。
気持ちよさそうに寝ていて、こちらがしていることには気づいていなさそうだ。
そういえば…フレディ王妃が『神に愛されているようだ』と仰っていたらしいが…。
意外と、的を射ているのやもしれぬ。
「ねぇルカ。私達はね…君がどんな存在でも、愛しているから…。君が嫌だって言っても、逃さないからね…。」
そう言って、そっと唇にキスを落とした。
「ふふ、今日は一段と可愛くて、抑えるのが大変だったよ…。でも、もうあんな酷いことはしないからね。」
219
あなたにおすすめの小説
異世界転移しましたが、私は当て馬聖女でした 〜本来のヒロイン(美少年)が隣国にやってきたので、物理で更地を作ります〜
南條ゆりか
BL
女子大生の天音は、ゼミ室に向かうエレベーターを降りた瞬間、異世界に転移した。
眩い光が消えたあと、目の前に広がるのは、煌びやかな広間と、イケメンたち。
異世界転生、転移ものを読み漁っている天音は、瞬時に自分に与えられた「聖女」の役割を察するのだが……。
どうやら、この世界はそう一筋縄ではいかないようだ。
作中、ウザイほど()書で注釈が入ります。
コメディとして、流していただけると幸いです。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)
聖獣のお気に召し!〜追放された最弱治癒師はもふもふの聖域で冷徹騎士団長に全力で甘やかされる〜
たら昆布
BL
最強騎士団長×お人好しな努力家
それと沢山のもふもふ動物たちに愛されるお話
後日談を追加予定
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる