あの子の花に祝福を。

ぽんた

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56.信用されてない。

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 前回の話は、分からなかったと思う人も多いだろう。実を言うと、僕も無意識だったから事の詳細は分かってない。

 覚えてる限り説明すると、過保護な皆が僕に何か隠してると思った僕は、噂の内容や王宮内の雰囲気からただならぬ事があると踏んでゼインに聞こうと思ったんだ。

 だけど、ただ聞くのではきっとはぐらかされてしまう。
 僕を真綿に包むように、外の悪意を遮断するように。
 …ゼインは、僕を頼ってはくれないから。

 それで、彼の執務室に張り込もうと思って自分に透明化の魔法をかけようとしたんだ。
 ただ、いきなりルイスや護衛さんがいる前でするのはあまりにも心臓に悪いだろうから、限定範囲魔法…僕が勝手にそう呼んでるだけだけど…、僕が選んだ人間のみ近場にいれば、その人たちに限定してかけられる魔法のこと。
 これを睡眠魔法と掛け合わせたんだ。

 僕が6歳のときあったあの事件から、僕の護衛やルイスには、魔法を無効化する魔道具が支給された。
 だから本来なら僕の魔法もかからないのだろうけど、何故か僕なら大丈夫、と謎の声が聞こえて。

 それがかかったのを確認してから自身に透明化を施して、あれからたまに会うハチさんから教えてもらった、秘密の通り道を通って執務室へ忍び込んだ。

 ゼインは何かを真剣に考え込んでいるようで、いつもは見たことのない険しい顔をしていたの。
 僕は彼の仕事姿をあまり見てこなかったから、ほんの少しだけわくわくしてたんだ。
 あ、ちゃんと当初の目的は覚えてたよ?!ゼインがどうして僕に今何が起きてるのか教えないかを知るためだから!

 けれど…久しく聞いていない、思い出すのも嫌で、辛くて吐きそうで、苦しくなる人の名前が、ゼインの口から聞こえたんだ…。

「『タジマルイ』…殺すか。」

 僕はあまりの衝撃に、思わず魔法を解いてゼインの前に姿を現した。

「どういうこと…?ゼイン…。」

 僕が急に現れたからか、鋭い目を大きく開いて口をパクパクとさせていた。

「ル…カ…、なぜ、ここに…。」

 何故僕がそこにいるのか、答えられるほどの余裕は僕になくて。どうしてゼインが兄さんの名前を知ってるの、とか。どうして違う世界にいるはずの兄さんを殺そうとしてるの、とか。

 聞きたいことはたくさんあったのに、何も声には出せなかったんだ。

 何を思ったのか、彼は慌てた顔を直ぐに取り繕って、いつも僕に見せるような甘い笑顔を僕に向けた。

「護衛はどうしたんだい?ルイスは?すごいなぁ、私の半身は知らぬ間に高度な魔法を使えるようになったようだ。でもごめんね、今は少し忙しいんだ。」

 だから私たちの部屋で待っててね、と言う彼に得も言われぬ怒りを覚えたのだ。

 何故。

 何故。

 何故お前の半身がここにいると思っている。

 何故お前の半身を頼らずに困難に立ち向かおうとしている。

 僕達は運命だ。

 お互いを愛し、慈しみ、互いの手を取って歩む、それが僕たちのあり方ではないのか。

 これは何だ、ただ守られるだけの半身なんて、僕は聞いたことがない。

 ゼインが僕を守って囲って誰にも見せずに愛でたいのと同じように、僕だってゼインを守りたい。

 守るばかりで守らせてくれないってことは、僕を信用してないってことでしょう?

 まだ子供だからとか、そんなの関係ない。

 僕には力がある。

 魔力量は少ないけど、文字通りなんだってできる魔法がある。

 ここ数ヶ月で、急激にスタンピードが増加し始めたのは、僕の前世の兄が原因なのはもうわかった。証拠が揃いすぎてるもん。

 なんでこの世界にいるのか、とかは今は考えないけれど。

 辺境や僕たちが住んでる王都付近にも魔物が出始めたって聞いてるし、死人や怪我人だって…いるってことも。

 なのに、半身だけが寝る間も惜しんでそれに対応してるのに、僕だけがぬくぬくと幸せを享受するなんて許されないでしょう!?

 どうして貴方の半身を信じてくれないの!

 どうして一人で立ち向かおうとするの!

 そんなことをぐるぐる、ぐるぐる考えている間にも、ゼインは笑顔を崩さないでどうしたの?というふうにこちらを見ている。

 なるほど、僕はそこまで信頼されていないのか。

 そう思うと、我慢なんて出来なかった。

「僕のこと信じてないんだね。」

「…え、どうして…?信じてるよ?」

「っ……!じゃあ、じゃあ…僕の前の兄さんのこと、どうして言わなかったの!!ゼインのバカッ!!」

 バシッ!!

 そこからは前回の通り。

 怒りが抑えきれなくなって、ゼインに手を挙げてしまったのと、目を覚ましてすぐ僕を探しに来てくれたルイスを怒鳴ってしまったことに気づいた僕は、とんでもないことをやらかしてしまったと…パニックになったのだ。

 初めてゼインを叩いてしまって、いくら怒っていたからとは言え、痛かっただろう、ショックだっただろう、どうして叩いてしまったのか、そんな後悔が次々と僕を襲ったのだ。
















 ※※※※※※※※※※








 とてもお久しぶりです。

 本当にチマチマ書いてはいるのですが、自分の納得できる展開にはなかなかならず…。

 こんなにも更新が遅くなってしまいました。

 すみません(´;ω;`)

 大丈夫ですか?急展開すぎませんか?ついてこれてますか?

 なんか思ってたのと違うとか、展開が気に入らないとかおればどんどん言ってください(´;ω;`)

 改善します(´;ω;`)





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