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少年期
111、ボクが姫?!
本来ならば姫は「勝った後で、意中の相手の元に行き、膝まづいてその勝利を捧げて許可を得るもの」なのですって。
なのでお兄様がされたように試合前に膝まづき姫とする許可を得るものではないのだぞう。
つまりアレは「勝つのは私だ。そしてその勝利をクリスに捧げる」という宣戦布告。
なんという自信!
穏やかで心優しきお兄様が、勝負となると負けず嫌いを発揮するの、萌えでしかありません!
「普段の優しく穏やかなお兄様とのギャップが!!ギャップが、最高に素敵ですっ!」
キュンキュンする胸を押さえて悶えれば、いつの間にか集まっていたクラスメートとリオが「んん?」と固まっております。
「優しく穏やか……?」
「寡黙な方ではあるけれど、穏やか……ではないような……」
「だよなあ。むしろ苛烈なような……」
「クリスにはそうなんだろうねえ……」
ええ?どうして首を傾げるのですか?苛烈?お兄様のどこが?!
あんなに頑張ってきたのに、まだ皆さんお兄様のことを誤解されているのでしょうか。
まだまだボクの努力は足りなかったようです。
「いつもそうですよ?
表情には出ないから誤解されやすいだけで、とってもお優しくて穏やかなのです。お兄様は」
必死で訴えれば、微妙な笑顔の友人たちに
「クリスはそれでいいんだよ」
「うんうん。仲良し兄弟は見ていて微笑ましいしな。主にクリスが」
「だな。狭量なジルベスター様ってのも親しみやすいし」
「兄上も、今のジルベスター様の方が好きだって言ってたぜ?」
なんて頭を撫でられてしまいました。
えっと……褒められているのですよね?
なのに複雑な気持ちになるのはどうしてなのでしょう……。
するとボクの頭をなでなでしていたクラスメートが突然「ひっ!」と青ざめて慌てて手をどけた。
え?何があったの?
その視線の先を見てみると……
お兄様!お兄様がこっちを向いておられます!
お兄様と目があいました!
試合前だというのに、ボクのことを気にして下さっていたようです。
なんてお優しいお心遣い!
ぶんぶんと手を振れば、ニコッとほほ笑み小さく手を振り返してくださいます。
か、かわいい!
あの「小さく手をふりふり」って、こんなに人を萌えさせるものなのですねっ!!
「ほら、お兄様はお優しいでしょう?しかも小さく手をふりふり!かわいい!すっごく可愛いですよねっ!!」
渾身のドヤァで同意を求めれば、青ざめていたクラスメートが「え?!お前あの顔見てなかったのか?」と驚愕の表情。
何を言っているのかと首を傾げれば、ハッとしたように慌てて「か、かわいいな!かわいい!かもしれない!もしかしたら!!」と同意してくれました。
うんうん。そうなんです。
お兄様ってば、とても素敵でカッコいいのにお可愛らしいところもあるのです。
ご理解いただけたようでなにより。
お兄様の可愛いところを皆様に見て頂けて大満足なボク。
ああ、この場に居合わせることができた幸運を神に感謝致します!
この世界に転生させてくださってありがとうございます!
さあ、最終シード第一試合が始まります。
第一試合は、ティムとアイク様。
ティムはクラスメートで親友ですし、アイク様とはもう何年も仲良くして頂いております。
しかもお兄様の婚約者です(今のところは)
どちらを応援したらよいのでしょうか?
女性陣の声援の大半はアイク様。
「アイク様あーー!頑張ってくださいませ!」「きゃー!アイク様、すてきい!」
キャッキャと華やかな声援が会場に響きます。
そこに一部男性陣の「アイク様、ハイネスも応援しております!」「ゴーズ家も応援しておりますっ!」と忖度丸出しの声援が。
スクラムを組んで「「「ア・イ・ク!ア・イ・ック!」」」と言っているのはクラスメートでしょうか。
一方、いわゆる「万馬券」ならぬ「まさかのティム」はといえば……
「相手は誰?」「一年ですって!」「まあ!将来有望ですわね!」という「唾つけておこう」的な声があちこちにあるのと……。
「くっそおおおう!一年っ頑張れよーーーっ!下剋上を俺に見せてくれっ!!」
「女どもはどうせ王子がいいんだろっ!頼むティム!もてない男に夢を与えてくれっ!」
みたいな野太い違う意味で欲望に満ちた声援が。
ああ……カオス………
1年生は忖度組と女性陣を除いて、もちろんティムの味方です。
「頑張れーっティムーーっ!!アイク様も頑張ってくださーい」
「ティムーっ応援してるぞおお!!アイク様も応援しておりますのでーーっ」
ああ。それでも忖度……。さすがにアイク様には気を使わざるを得ないのですね……。
でも、ここは学園。本来ならば身分など関係ない、はずなのです。
ですからボクは遠慮なくティム側に付くことに致しました。
「ティムーーっ!がんばってーーーっ!ティムなら勝てるかもしれませんよーーっ!
アイク様なんて負かしちゃって下さーーーいっ!」
何故かボクが叫んだタイミングでみなさんの声援が消えてしまったので、会場にボクの「アイク様なんて負かしちゃって」が響き渡ってしまいました。
なんてこと!
ティムが苦笑しながら片手を上げて声援に応えてくれました。
う、うん。ティムに伝わったなら良かったです。
アイク様は……珍しくゲラゲラと笑っていらっしゃいます!
怒ってはいない様子。よ、よかったあ!
試合結果は……アイク様の勝利。
でもティムはどこかほっとしたような清々しい表情を浮かべております。
残念ですが、勝負自体は忖度なしに行われておりました。
ティムだって必死に頑張ったはず。ですよね、ティム?
なので仕方ありません。
ん?
アイク様がティムになにか耳打ちを……?
あ、ティムの顔がみるみる青ざめていきます!
ぶんぶんと必死で首をふり、手まで左右に振っております。
いったい何を言われたんでしょう……。
後で聞いてみよう。
なのでお兄様がされたように試合前に膝まづき姫とする許可を得るものではないのだぞう。
つまりアレは「勝つのは私だ。そしてその勝利をクリスに捧げる」という宣戦布告。
なんという自信!
穏やかで心優しきお兄様が、勝負となると負けず嫌いを発揮するの、萌えでしかありません!
「普段の優しく穏やかなお兄様とのギャップが!!ギャップが、最高に素敵ですっ!」
キュンキュンする胸を押さえて悶えれば、いつの間にか集まっていたクラスメートとリオが「んん?」と固まっております。
「優しく穏やか……?」
「寡黙な方ではあるけれど、穏やか……ではないような……」
「だよなあ。むしろ苛烈なような……」
「クリスにはそうなんだろうねえ……」
ええ?どうして首を傾げるのですか?苛烈?お兄様のどこが?!
あんなに頑張ってきたのに、まだ皆さんお兄様のことを誤解されているのでしょうか。
まだまだボクの努力は足りなかったようです。
「いつもそうですよ?
表情には出ないから誤解されやすいだけで、とってもお優しくて穏やかなのです。お兄様は」
必死で訴えれば、微妙な笑顔の友人たちに
「クリスはそれでいいんだよ」
「うんうん。仲良し兄弟は見ていて微笑ましいしな。主にクリスが」
「だな。狭量なジルベスター様ってのも親しみやすいし」
「兄上も、今のジルベスター様の方が好きだって言ってたぜ?」
なんて頭を撫でられてしまいました。
えっと……褒められているのですよね?
なのに複雑な気持ちになるのはどうしてなのでしょう……。
するとボクの頭をなでなでしていたクラスメートが突然「ひっ!」と青ざめて慌てて手をどけた。
え?何があったの?
その視線の先を見てみると……
お兄様!お兄様がこっちを向いておられます!
お兄様と目があいました!
試合前だというのに、ボクのことを気にして下さっていたようです。
なんてお優しいお心遣い!
ぶんぶんと手を振れば、ニコッとほほ笑み小さく手を振り返してくださいます。
か、かわいい!
あの「小さく手をふりふり」って、こんなに人を萌えさせるものなのですねっ!!
「ほら、お兄様はお優しいでしょう?しかも小さく手をふりふり!かわいい!すっごく可愛いですよねっ!!」
渾身のドヤァで同意を求めれば、青ざめていたクラスメートが「え?!お前あの顔見てなかったのか?」と驚愕の表情。
何を言っているのかと首を傾げれば、ハッとしたように慌てて「か、かわいいな!かわいい!かもしれない!もしかしたら!!」と同意してくれました。
うんうん。そうなんです。
お兄様ってば、とても素敵でカッコいいのにお可愛らしいところもあるのです。
ご理解いただけたようでなにより。
お兄様の可愛いところを皆様に見て頂けて大満足なボク。
ああ、この場に居合わせることができた幸運を神に感謝致します!
この世界に転生させてくださってありがとうございます!
さあ、最終シード第一試合が始まります。
第一試合は、ティムとアイク様。
ティムはクラスメートで親友ですし、アイク様とはもう何年も仲良くして頂いております。
しかもお兄様の婚約者です(今のところは)
どちらを応援したらよいのでしょうか?
女性陣の声援の大半はアイク様。
「アイク様あーー!頑張ってくださいませ!」「きゃー!アイク様、すてきい!」
キャッキャと華やかな声援が会場に響きます。
そこに一部男性陣の「アイク様、ハイネスも応援しております!」「ゴーズ家も応援しておりますっ!」と忖度丸出しの声援が。
スクラムを組んで「「「ア・イ・ク!ア・イ・ック!」」」と言っているのはクラスメートでしょうか。
一方、いわゆる「万馬券」ならぬ「まさかのティム」はといえば……
「相手は誰?」「一年ですって!」「まあ!将来有望ですわね!」という「唾つけておこう」的な声があちこちにあるのと……。
「くっそおおおう!一年っ頑張れよーーーっ!下剋上を俺に見せてくれっ!!」
「女どもはどうせ王子がいいんだろっ!頼むティム!もてない男に夢を与えてくれっ!」
みたいな野太い違う意味で欲望に満ちた声援が。
ああ……カオス………
1年生は忖度組と女性陣を除いて、もちろんティムの味方です。
「頑張れーっティムーーっ!!アイク様も頑張ってくださーい」
「ティムーっ応援してるぞおお!!アイク様も応援しておりますのでーーっ」
ああ。それでも忖度……。さすがにアイク様には気を使わざるを得ないのですね……。
でも、ここは学園。本来ならば身分など関係ない、はずなのです。
ですからボクは遠慮なくティム側に付くことに致しました。
「ティムーーっ!がんばってーーーっ!ティムなら勝てるかもしれませんよーーっ!
アイク様なんて負かしちゃって下さーーーいっ!」
何故かボクが叫んだタイミングでみなさんの声援が消えてしまったので、会場にボクの「アイク様なんて負かしちゃって」が響き渡ってしまいました。
なんてこと!
ティムが苦笑しながら片手を上げて声援に応えてくれました。
う、うん。ティムに伝わったなら良かったです。
アイク様は……珍しくゲラゲラと笑っていらっしゃいます!
怒ってはいない様子。よ、よかったあ!
試合結果は……アイク様の勝利。
でもティムはどこかほっとしたような清々しい表情を浮かべております。
残念ですが、勝負自体は忖度なしに行われておりました。
ティムだって必死に頑張ったはず。ですよね、ティム?
なので仕方ありません。
ん?
アイク様がティムになにか耳打ちを……?
あ、ティムの顔がみるみる青ざめていきます!
ぶんぶんと必死で首をふり、手まで左右に振っております。
いったい何を言われたんでしょう……。
後で聞いてみよう。
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