171 / 226
高等部
170、クリスガードマン
とはいえ、お兄様が同席すると言って退かなかったため、説得するのに数日かかってしまいました。
その間、クラスメートの皆さんはなぜか「ジェシカからクリスを守ろう!」をスローガンに一丸となってしまい、お兄様やアイク様が離籍する際には必ず誰かがボクに付き添ってくれることに。
イクシス様いわく。
「これまではジルの姫だったけれど、なんだか今はAクラスの姫みたいだね?」
いえいえ。そんな暢気なものではありません。
トイレくらい一人で行けますってば!
過保護です!と言いたいところなのだけれど、確かにジェシーや危ういので、大人しく甘んじております。
最初は遠巻きに様子を伺っていたジェシーですが、翌日にはまたしても懲りずに積極的に関わろうとしてくるようになりました。
かわい子ぶるのは諦めたようで、クラスの皆さんと言い争っております。
「ちょっとお!邪魔しないでよ!アンタたち関係ないじゃん!僕はクリスに用があるの!
クリスだって僕と話がしたいはずなんだから!王子とか兄とかにいいように使われてるだけなんだってば!
僕が一番クリスのことを分かってるの!どいてよ!」
「は?クリスと会ったのは入学式が初めてなんだろ?その後クリスはずっと休んでいたのに、何を言っているんだ?」
「クリスの言動を見て言ってるのか?どう見たってクリスの方が喜んで使われに行ってるだろう」
「だから、それは騙されてるからでしょ!クリスがあんなことを言うはずないんだから!バグなんだってば!」
廊下で言い争うのであっという間にギャラリーができてしまいます。
「おお!」またやってる!懲りないなあ」
「ある意味凄いよ。根性は買う」
「俺、前はあいつのこと『可憐な子だな』って思ってんだよなあ……」
「私もだ。お互い見る目が無かったな……」
ああ。可哀そうに。ボクの居ない間にジェシー信者ができてしまっていたみたい。
でも早めに目が覚めて良かったと思いますよ?今ならまだ傷も浅いですしね。
そして皆さんがガードしてくれている間に、ボクたちはそそくさと教室に。
最初はガードしてくれるクラスの皆さんに申し訳ないと思っていたのですが、カイザー様が意気揚々とこの時間を「ディベートの練習」と呼んで楽しんでいるようなので、気にしないことにしました。
なにしろリョウは「ああいえばこういう」人なので、何を言っても即座に言い返してきますから、確かに討論の練習にはなるのかもしれません。
一方、意外なことにルディも意気揚々と参戦しております。
こちらはこちらで別の思惑が。
「同じピンク頭として一緒にされたくねえの!ピンクの髪はジェシーと俺と二人居るって学園の奴らに理解してもらいたい!俺はアイツとは違う常識的な平民だってことも分かって欲しい!マジで!切実に!」
……とても切実な心の叫びでした。
意外なことに、取り繕うのをやめたジェシーは「ヤバいヤツ」として認知されてはおりますが、最初のかわい子ぶっていた頃よりも受け入れられている気がします。
あの事件当初は避けられていましたが、この数日で学園の「悪い意味での名物」「ある種のイベント」扱いとなってきたのです。
正直ジェシーやリョウには思うところがある、というより思うところしかありませんが、孤立させていじめのような状態にするのはボクの本位ではありません。
ジェシーの言うことを信じる人がいないのならば、それでいいと思っております。
周囲の状況が変わってきたのを見て、お兄様はようやくOKを出してくれました。
渋々ではありますが、それはそれです。
「クリス、アイクと離れぬようにな。必ずジェシーとの間にアイクを立たせるようにしろ。
それと、話をするのならば向こうに公爵家に足を運ばせるように。公爵家なら何があってもすぐに対応できる。
私も隣の部屋で待機するから、何かあればすぐに声を上げるのだぞ。
アイク、クリスに傷ひとつ与えぬように。いざとなれば盾となって必ず守ると誓ってくれ」
いやお兄様、アイク様は王族ですけれど?!
いくらなんでも王族に「盾となれ」はまずいのでは?!
「分かった。誓おう。これでも武術大会上位者だ。信じてくれ。あんな奴に後れを取るつもりはない」
「アイク様?!」
誓っちゃいました!ダメですってばあ!
とにもかくにも、決戦の場は公爵家。
話し合いの結果、お兄様が二階から見守りつつ、かつジェシーとボクとアイク様で秘密の話ができるように、公爵家の庭の四阿で。
ジェシーには、伯爵家にボクの名前で手紙を出してお茶会の招待状を送りました。
きちんと家からの招待という形をとって記録にも残します。
できる手は全て打ったうえで。
「やるよ、ミノくん!」
「了解!ゆうくん!」
その間、クラスメートの皆さんはなぜか「ジェシカからクリスを守ろう!」をスローガンに一丸となってしまい、お兄様やアイク様が離籍する際には必ず誰かがボクに付き添ってくれることに。
イクシス様いわく。
「これまではジルの姫だったけれど、なんだか今はAクラスの姫みたいだね?」
いえいえ。そんな暢気なものではありません。
トイレくらい一人で行けますってば!
過保護です!と言いたいところなのだけれど、確かにジェシーや危ういので、大人しく甘んじております。
最初は遠巻きに様子を伺っていたジェシーですが、翌日にはまたしても懲りずに積極的に関わろうとしてくるようになりました。
かわい子ぶるのは諦めたようで、クラスの皆さんと言い争っております。
「ちょっとお!邪魔しないでよ!アンタたち関係ないじゃん!僕はクリスに用があるの!
クリスだって僕と話がしたいはずなんだから!王子とか兄とかにいいように使われてるだけなんだってば!
僕が一番クリスのことを分かってるの!どいてよ!」
「は?クリスと会ったのは入学式が初めてなんだろ?その後クリスはずっと休んでいたのに、何を言っているんだ?」
「クリスの言動を見て言ってるのか?どう見たってクリスの方が喜んで使われに行ってるだろう」
「だから、それは騙されてるからでしょ!クリスがあんなことを言うはずないんだから!バグなんだってば!」
廊下で言い争うのであっという間にギャラリーができてしまいます。
「おお!」またやってる!懲りないなあ」
「ある意味凄いよ。根性は買う」
「俺、前はあいつのこと『可憐な子だな』って思ってんだよなあ……」
「私もだ。お互い見る目が無かったな……」
ああ。可哀そうに。ボクの居ない間にジェシー信者ができてしまっていたみたい。
でも早めに目が覚めて良かったと思いますよ?今ならまだ傷も浅いですしね。
そして皆さんがガードしてくれている間に、ボクたちはそそくさと教室に。
最初はガードしてくれるクラスの皆さんに申し訳ないと思っていたのですが、カイザー様が意気揚々とこの時間を「ディベートの練習」と呼んで楽しんでいるようなので、気にしないことにしました。
なにしろリョウは「ああいえばこういう」人なので、何を言っても即座に言い返してきますから、確かに討論の練習にはなるのかもしれません。
一方、意外なことにルディも意気揚々と参戦しております。
こちらはこちらで別の思惑が。
「同じピンク頭として一緒にされたくねえの!ピンクの髪はジェシーと俺と二人居るって学園の奴らに理解してもらいたい!俺はアイツとは違う常識的な平民だってことも分かって欲しい!マジで!切実に!」
……とても切実な心の叫びでした。
意外なことに、取り繕うのをやめたジェシーは「ヤバいヤツ」として認知されてはおりますが、最初のかわい子ぶっていた頃よりも受け入れられている気がします。
あの事件当初は避けられていましたが、この数日で学園の「悪い意味での名物」「ある種のイベント」扱いとなってきたのです。
正直ジェシーやリョウには思うところがある、というより思うところしかありませんが、孤立させていじめのような状態にするのはボクの本位ではありません。
ジェシーの言うことを信じる人がいないのならば、それでいいと思っております。
周囲の状況が変わってきたのを見て、お兄様はようやくOKを出してくれました。
渋々ではありますが、それはそれです。
「クリス、アイクと離れぬようにな。必ずジェシーとの間にアイクを立たせるようにしろ。
それと、話をするのならば向こうに公爵家に足を運ばせるように。公爵家なら何があってもすぐに対応できる。
私も隣の部屋で待機するから、何かあればすぐに声を上げるのだぞ。
アイク、クリスに傷ひとつ与えぬように。いざとなれば盾となって必ず守ると誓ってくれ」
いやお兄様、アイク様は王族ですけれど?!
いくらなんでも王族に「盾となれ」はまずいのでは?!
「分かった。誓おう。これでも武術大会上位者だ。信じてくれ。あんな奴に後れを取るつもりはない」
「アイク様?!」
誓っちゃいました!ダメですってばあ!
とにもかくにも、決戦の場は公爵家。
話し合いの結果、お兄様が二階から見守りつつ、かつジェシーとボクとアイク様で秘密の話ができるように、公爵家の庭の四阿で。
ジェシーには、伯爵家にボクの名前で手紙を出してお茶会の招待状を送りました。
きちんと家からの招待という形をとって記録にも残します。
できる手は全て打ったうえで。
「やるよ、ミノくん!」
「了解!ゆうくん!」
あなたにおすすめの小説
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
転生したら最強辺境伯に拾われました
マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。
死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。