キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

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高等部

170、クリスガードマン

とはいえ、お兄様が同席すると言って退かなかったため、説得するのに数日かかってしまいました。

その間、クラスメートの皆さんはなぜか「ジェシカからクリスを守ろう!」をスローガンに一丸となってしまい、お兄様やアイク様が離籍する際には必ず誰かがボクに付き添ってくれることに。
イクシス様いわく。

「これまではジルの姫だったけれど、なんだか今はAクラスの姫みたいだね?」

いえいえ。そんな暢気なものではありません。
トイレくらい一人で行けますってば!
過保護です!と言いたいところなのだけれど、確かにジェシーや危ういので、大人しく甘んじております。



最初は遠巻きに様子を伺っていたジェシーですが、翌日にはまたしても懲りずに積極的に関わろうとしてくるようになりました。
かわい子ぶるのは諦めたようで、クラスの皆さんと言い争っております。

「ちょっとお!邪魔しないでよ!アンタたち関係ないじゃん!僕はクリスに用があるの!
クリスだって僕と話がしたいはずなんだから!王子とか兄とかにいいように使われてるだけなんだってば!
僕が一番クリスのことを分かってるの!どいてよ!」

「は?クリスと会ったのは入学式が初めてなんだろ?その後クリスはずっと休んでいたのに、何を言っているんだ?」
「クリスの言動を見て言ってるのか?どう見たってクリスの方が喜んで使われに行ってるだろう」

「だから、それは騙されてるからでしょ!クリスがあんなことを言うはずないんだから!バグなんだってば!」

廊下で言い争うのであっという間にギャラリーができてしまいます。

「おお!」またやってる!懲りないなあ」
「ある意味凄いよ。根性は買う」
「俺、前はあいつのこと『可憐な子だな』って思ってんだよなあ……」
「私もだ。お互い見る目が無かったな……」

ああ。可哀そうに。ボクの居ない間にジェシー信者ができてしまっていたみたい。
でも早めに目が覚めて良かったと思いますよ?今ならまだ傷も浅いですしね。

そして皆さんがガードしてくれている間に、ボクたちはそそくさと教室に。


最初はガードしてくれるクラスの皆さんに申し訳ないと思っていたのですが、カイザー様が意気揚々とこの時間を「ディベートの練習」と呼んで楽しんでいるようなので、気にしないことにしました。
なにしろリョウは「ああいえばこういう」人なので、何を言っても即座に言い返してきますから、確かに討論の練習にはなるのかもしれません。

一方、意外なことにルディも意気揚々と参戦しております。
こちらはこちらで別の思惑が。

「同じピンク頭として一緒にされたくねえの!ピンクの髪はジェシーと俺と二人居るって学園の奴らに理解してもらいたい!俺はアイツとは違う常識的な平民だってことも分かって欲しい!マジで!切実に!」

……とても切実な心の叫びでした。

意外なことに、取り繕うのをやめたジェシーは「ヤバいヤツ」として認知されてはおりますが、最初のかわい子ぶっていた頃よりも受け入れられている気がします。
あの事件当初は避けられていましたが、この数日で学園の「悪い意味での名物」「ある種のイベント」扱いとなってきたのです。
正直ジェシーやリョウには思うところがある、というより思うところしかありませんが、孤立させていじめのような状態にするのはボクの本位ではありません。
ジェシーの言うことを信じる人がいないのならば、それでいいと思っております。




周囲の状況が変わってきたのを見て、お兄様はようやくOKを出してくれました。
渋々ではありますが、それはそれです。

「クリス、アイクと離れぬようにな。必ずジェシーとの間にアイクを立たせるようにしろ。
それと、話をするのならば向こうに公爵家に足を運ばせるように。公爵家なら何があってもすぐに対応できる。
私も隣の部屋で待機するから、何かあればすぐに声を上げるのだぞ。
アイク、クリスに傷ひとつ与えぬように。いざとなれば盾となって必ず守ると誓ってくれ」

いやお兄様、アイク様は王族ですけれど?!
いくらなんでも王族に「盾となれ」はまずいのでは?!

「分かった。誓おう。これでも武術大会上位者だ。信じてくれ。あんな奴に後れを取るつもりはない」
「アイク様?!」

誓っちゃいました!ダメですってばあ!


とにもかくにも、決戦の場は公爵家。
話し合いの結果、お兄様が二階から見守りつつ、かつジェシーとボクとアイク様で秘密の話ができるように、公爵家の庭の四阿で。
ジェシーには、伯爵家にボクの名前で手紙を出してお茶会の招待状を送りました。
きちんと家からの招待という形をとって記録にも残します。
できる手は全て打ったうえで。

「やるよ、ミノくん!」
「了解!ゆうくん!」

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