キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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高等部

183、クリス、怒る

「……は?ねえ、何言ってんの?ボクだよ?リョウなんだよ?」

いっそ幼いと言ってもいい口調。
本当に分かっていないようです。

ですよ。
前世の今も、一度たりともボクがあなたのものだったことなどありません。勘違いも甚だしい。
ボクがリョウのもの?妄想するのはやめてください。迷惑です。
ボクが誰かのものであるというのなら、お兄様のものです。リョウじゃない。
これはお兄様が昨晩ボクに付けてくださいました」

とたん唖然としていたリョウが目を見開いて必死に食い下がってきました。

「!アイツ、弟に手を出したの?クソじゃん!」

いきなり身を起こそうと動いたので、アイク様が慌ててまた押さえつけます。

「やっぱりアイツってば悪役!
あのね、いくら好きだってメインキャラはモブとはくっつかないの!目を覚ましなよ!」

ボクの大切なお兄様を、なんて?
この自分のことしか考えていない最低なクズが、一等星のごとく輝く至高の存在たるお兄様を、なんて?

「……なんて言いました?悪役とか聞こえた気がしますが気のせいですよね?」

ボクの口調に何を感じたのか、リョウの顔がさあっと青ざめました。
そんなリョウの様子などものともせずに、ボクはゆっくりとリョウに近づきます。

「ねえ、お兄様のことをクソだとか悪役だのと言っているように聞こえたのですが?
悪役?あの大天使のどこが悪役だというのです?
面白いですね。今の状況、分かってます?悪役ってどう考えてもあなたでしょうに。
ボクやお兄様、アイク様に付き纏ったあげく、暴言を吐いたのですよ?
この社会は身分社会。あなたの家は伯爵家。アイク様は王族、ボクとお兄様は筆頭公爵家です。
この意味が理解できますか?」

ジロリと高圧的に貴族の笑みで上から睥睨。
ふう、と息をついて口調を変えます。

「前世でも今世でも、人に冤罪をかけるのが好きだよね」

「!!ゆ、ゆう!!」

あれ?なんで期待したような顔になってるの?意味が分かんないんだけど。

「リョウってさ、ビックリするくらい人の話を聞かないし、自分のことしか考えてない。
人の気持ちが理解できないし、する気もない。
それってむしろ悪役以外の何物でもないでしょ」

「な、何言って…!ゆうのためにやってあげてたんじゃん!!」

「誰が頼んだ?そういうところだよ?
ねえ、人のことをどうこう言う前に自分のことを振り返ってみたら?
ほら、今だってアイク様に押さえつけられて地べたを這いずっている。
まるでゲームの断罪のシーンだよね。
ちがうのは、冤罪じゃないってところ。
言いたい放題、やりたい放題してくれたもんね。
そもそも、リョウみたいなクズがジル様のことを口にすること自体が間違いなの。
おこがましいにも程があるでしょ。
ねえ、リョウのどこにジル様より勝ってるところがあるの?
一等星の輝きを持つ方に、まがい物のリョウが叶うとでも思ってる?
おこがましいにも程があるでしょ」

ゆうとしての気持ちを言ってやりました!
前世からずーっと言ってやりたかったの。
わあ、スッキリ!

リョウの表情が怒りから屈辱へと変わりました。

「な……!!な………!!」

何か言おうとするのに感情が大きすぎて言葉になっておりません。

「なに?犬か何かの真似?へたくそすぎ」

冷たく吐き捨ててやれば、黙って聞いていたアイク様が小さく震えました。

「うわ……。今のクリス、俺夢に見てうなされそう……」

「我の出る幕はなさそうじゃのう……」

【私絶対にクリスは怒らせないようにするわ】

【ぼくも……】

煩いですよ、外野!いや、この場合はボクの応援団ですね。
ボクのためにここに居てくれるんだから、ありがとうと言うべき?

さあ、最後の仕上げです。
戦うときには完膚なきまでに叩きのめす!中途半端はいけません。
相手に希望を残さないのが大事。
これが戦いの鉄則。

ボクはジェシーの顔を覗き込むようにその前にしゃがみこみました。

「ボクはお兄様のためにこの世界にきたのです。
それに、ボクはお兄様と結婚の約束もしております。
モブだとかそういうのは、もうどうでもいいんです。
だから、ボクがリョウのものだなんておかしな妄想はやめてください。ハッキリ言って迷惑なんです。
リョウがここの世界に居ると知ったときのボクの気持ちが分かりますか?
最悪。その一言です。
ねえ、リョウは何がしたいの?嫌がらせ?ボクをどうしたいの?
ボクはね、あなたにこう言うためにここに呼んだんです。
ボクはあなたのことが大嫌いなので顔も見たくありませんし、その声を聞くだけでゾッとします。
あなたが怖いと言いましたが、訂正します。ハッキリ言って気持ち悪いんです」

「……え?今なんて?」

「気持ち悪いって言ったの。
ゆうの根も葉もない悪い噂をばら撒いて僕が一人になるのを見て面白かった?
みんなから僕が嫌われていくのを見て楽しかった?
僕はね、最低の気分だった。最悪の気分だった。
昔は確かにリョウのことを親友だとおもってたよ?
でもね、裏切られて嫌がらせをされたら普通に嫌いになるでしょ。
だから僕、リョウを出禁にしたんだよ。
リョウに会いたくなくて引き籠ったの。人のこと信じられなくなっちゃったの。
全部リョウのせいだよ。
なのになんで自分が好かれるとおもってるの?あり得ないし。
その自己中心的な考え方と、思い込みの強さが気持ち悪いって言ってるの。
自分が同じことされたらどう思うの?嫌でしょう?
僕にもね、心があるの。気持ちがあるの。そんなこと考えたことなかったでしょう?」

リョウの目がハッと見開かれました。
嘘でしょ?本当に考えたことなかったの?クズすぎません?

「ね。だからボクはリョウが嫌いなのです。
ジェシーにも近寄りたくないと思っているのですよ。
ご理解いただけました?」

「…………な……なに……いって……」

「ぶっちゃけた!いや、正論パンチスゲエな。
言われたのが俺なら再起不能になるレベルだわ……」

怖い怖い、と震えるふりをしたアイク様。
いきなりボクに続いてぶっちゃけました。

「てか、リョウだっけ?あー、俺も転生者なんだ。
前世ではゆうの親友になった。
ゆうと同じく『ラブ☆レボ』マニアだったんだ。
だから言わせてもらうぜ?
ここはゲームの世界じゃない。俺たちにとっては現実の世界なんだ。
だから俺たちがゲームと違う行動をすれば当然展開もゲームとは違うものになる。
そのあたりを考えたことあるか?」




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