キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
64 / 226
幼年期

64、ブリードさんとサフィラスさま

ちなみにブリードさんがボクとお兄さまに妖精さんが見えるようにしてくれたのは、妖精さんが不憫だったからですって。
特にグエンはいわゆる「イケメン好き」で前々からお兄さまが森に来るたびにお兄さまの周りをウロチョロしていたみたい。今日もボクたちには聞こえてないのに「うふふ。あなた素敵ねえ!お友達になってあげてもいいわよ?」だの「あーあ。今日もダメか。お話できたらいいのにね」とボクたちの周りを飛び回っていたのだそう。

「我が居合わせたのも縁だと思ってな」

その小さな目元をゆるりと緩ませて穏やかな口調で語る。

「サフィがのう、言うておったのよ。
我はもとは守護獣のようなものであったが、いつしか聖獣にまでなっておった。サフィや皆がおらぬようになっても、我は生きながらえてしまう。
もう十分生きたし、サフィのお陰で楽しい生となった。平和となった世で他の聖獣と同じように役目を終え、天上界に行くよりも、最後の友と共に消えても良いかと思っっておったのよ。
だが、アレはこう言った。一言一句たがわず覚えておる。
『ええー?俺と会うまでだって一人で生きてきたんでしょ。だったら、大丈夫。生きてよ。またきっと誰かと出会えるから。俺の時は終わるけど、ブリードの時はまだ終わらない。それはね、ブリードにはまだやるべきことがあるからだと思う。未来に賭けてみてよ。
俺にいろいろ教えてくれたみたいに、未来で出会う誰かにまた色々教えてあげて?一緒に笑ってあげて?友達になってあげて?力を貸してあげて?それがね、ブリードの役目なんだと思う。
何年後に出会えるかなんてわかんないけど、ドラゴンなんだし、200年や300年くらいすぐでしょ?いけるいける!
それを俺は空で見てるから。ブリードが『生きててよかった』って笑うのを見てるから。で、ブリードの時が終わったら、また空で逢おう。みんなで笑い合おうよ』」


「ドラゴンなんだし100年や300年くらいすぐでしょ」ってあたり。適当でなんの根拠もないのになぜだかすごく説得力あります。ある種、力業に近い説得の仕方。

「な、なんというか……サフィラスさまって意外と子供っぽ……豪快なお方だったんですね。ポジティブ?適当?……うーん……なんていうか……すごいです」

絵本とか物語のサフィ様はとてもお美しくまるで妖精様のように繊細なお姿なのですが、冒険者だし、ドラゴンに乗ってた(今思えばブリードさんですね、これ。間違いない)とか色々な逸話が残っているのだもの。そんな繊細な中身なわけありませんでした。

「ははは!あ奴はいつまでも子供のようだったぞ?『面白そう』『やってみたい』であちこちに首を突っ込み、それがまた上手くいく。恐ろしい行動力と運を持っておった。
そんなサフィが言うのだ。信じてみようと思ってな。我はサフィの愛したこの地に留まることにしたのだ」

ここでブリードさんは少し遠い目になった。

「だが……200年、300年どころではなかった……」

そうでしたー!500年と仰っておりましたものね。
200年どころじゃありません。二倍以上です!500年はさすがにドラゴンさんでも長かったですよねえ!

「いつかを信じてはおったのだが、このままこの地で消えてゆくもありかと思っておったところだ。
だが、お主とお主の兄に会えた。
懐かしい気配に『サフィが言うておったのはこのことか』と思うたのだ。
オマケにお主らに付いて来てみれば、たまに池にあらわれる妖精共がお主らの周りに寄ってきておるではないか。
ならばこれも縁であろう、とな」

「……ボクがブリードさんと出会えたのは、サフィラスさまのお陰なのですね。アクアとグエンとお話ができるようになったのも。
ボクね、昔からサフィラス様の物語が大好きなのです。絵本も何度も読みました。それも縁なのでしょうか?」

「それを言うのならば、我が家には彼にまつわる遺物とされるものが残されている。クリスが我が家に来てくれたこと、それもまた縁なのだろう」

お兄さまとボクのご縁。
なんだかとても素敵だなと思って、そっとお兄さまの胸にもたれ…
「こ、こら!クリス!よさぬか!我の尻尾がつぶれるではないか!」
ようとしてブリードさんに叱られたのでした。

感想 262

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

​転生したら最強辺境伯に拾われました

マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。 ​死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜

ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。 真面目に生きてきた魔法使いモーネ。 ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。 しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。 回復魔法を使えば何かが増え、 補助魔法を使えば騎士団が浮き、 気づけば庭はプリンになります。 ——本人はちゃんとやっています。 巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。 さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。 これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。

春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―

猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。 穏やかで包容力のある長男・千隼。 明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。 家事万能でツンデレ気味な三男・凪。 素直になれないクールな末っ子・琉生。 そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。 自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。