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幼年期
64、ブリードさんとサフィラスさま
ちなみにブリードさんがボクとお兄さまに妖精さんが見えるようにしてくれたのは、妖精さんが不憫だったからですって。
特にグエンはいわゆる「イケメン好き」で前々からお兄さまが森に来るたびにお兄さまの周りをウロチョロしていたみたい。今日もボクたちには聞こえてないのに「うふふ。あなた素敵ねえ!お友達になってあげてもいいわよ?」だの「あーあ。今日もダメか。お話できたらいいのにね」とボクたちの周りを飛び回っていたのだそう。
「我が居合わせたのも縁だと思ってな」
その小さな目元をゆるりと緩ませて穏やかな口調で語る。
「サフィがのう、言うておったのよ。
我はもとは守護獣のようなものであったが、いつしか聖獣にまでなっておった。サフィや皆がおらぬようになっても、我は生きながらえてしまう。
もう十分生きたし、サフィのお陰で楽しい生となった。平和となった世で他の聖獣と同じように役目を終え、天上界に行くよりも、最後の友と共に消えても良いかと思っっておったのよ。
だが、アレはこう言った。一言一句たがわず覚えておる。
『ええー?俺と会うまでだって一人で生きてきたんでしょ。だったら、大丈夫。生きてよ。またきっと誰かと出会えるから。俺の時は終わるけど、ブリードの時はまだ終わらない。それはね、ブリードにはまだやるべきことがあるからだと思う。未来に賭けてみてよ。
俺にいろいろ教えてくれたみたいに、未来で出会う誰かにまた色々教えてあげて?一緒に笑ってあげて?友達になってあげて?力を貸してあげて?それがね、ブリードの役目なんだと思う。
何年後に出会えるかなんてわかんないけど、ドラゴンなんだし、200年や300年くらいすぐでしょ?いけるいける!
それを俺は空で見てるから。ブリードが『生きててよかった』って笑うのを見てるから。で、ブリードの時が終わったら、また空で逢おう。みんなで笑い合おうよ』」
「ドラゴンなんだし100年や300年くらいすぐでしょ」ってあたり。適当でなんの根拠もないのになぜだかすごく説得力あります。ある種、力業に近い説得の仕方。
「な、なんというか……サフィラスさまって意外と子供っぽ……豪快なお方だったんですね。ポジティブ?適当?……うーん……なんていうか……すごいです」
絵本とか物語のサフィ様はとてもお美しくまるで妖精様のように繊細なお姿なのですが、冒険者だし、ドラゴンに乗ってた(今思えばブリードさんですね、これ。間違いない)とか色々な逸話が残っているのだもの。そんな繊細な中身なわけありませんでした。
「ははは!あ奴はいつまでも子供のようだったぞ?『面白そう』『やってみたい』であちこちに首を突っ込み、それがまた上手くいく。恐ろしい行動力と運を持っておった。
そんなサフィが言うのだ。信じてみようと思ってな。我はサフィの愛したこの地に留まることにしたのだ」
ここでブリードさんは少し遠い目になった。
「だが……200年、300年どころではなかった……」
そうでしたー!500年と仰っておりましたものね。
200年どころじゃありません。二倍以上です!500年はさすがにドラゴンさんでも長かったですよねえ!
「いつかを信じてはおったのだが、このままこの地で消えてゆくもありかと思っておったところだ。
だが、お主とお主の兄に会えた。
懐かしい気配に『サフィが言うておったのはこのことか』と思うたのだ。
オマケにお主らに付いて来てみれば、たまに池にあらわれる妖精共がお主らの周りに寄ってきておるではないか。
ならばこれも縁であろう、とな」
「……ボクがブリードさんと出会えたのは、サフィラスさまのお陰なのですね。アクアとグエンとお話ができるようになったのも。
ボクね、昔からサフィラス様の物語が大好きなのです。絵本も何度も読みました。それも縁なのでしょうか?」
「それを言うのならば、我が家には彼にまつわる遺物とされるものが残されている。クリスが我が家に来てくれたこと、それもまた縁なのだろう」
お兄さまとボクのご縁。
なんだかとても素敵だなと思って、そっとお兄さまの胸にもたれ…
「こ、こら!クリス!よさぬか!我の尻尾がつぶれるではないか!」
ようとしてブリードさんに叱られたのでした。
特にグエンはいわゆる「イケメン好き」で前々からお兄さまが森に来るたびにお兄さまの周りをウロチョロしていたみたい。今日もボクたちには聞こえてないのに「うふふ。あなた素敵ねえ!お友達になってあげてもいいわよ?」だの「あーあ。今日もダメか。お話できたらいいのにね」とボクたちの周りを飛び回っていたのだそう。
「我が居合わせたのも縁だと思ってな」
その小さな目元をゆるりと緩ませて穏やかな口調で語る。
「サフィがのう、言うておったのよ。
我はもとは守護獣のようなものであったが、いつしか聖獣にまでなっておった。サフィや皆がおらぬようになっても、我は生きながらえてしまう。
もう十分生きたし、サフィのお陰で楽しい生となった。平和となった世で他の聖獣と同じように役目を終え、天上界に行くよりも、最後の友と共に消えても良いかと思っっておったのよ。
だが、アレはこう言った。一言一句たがわず覚えておる。
『ええー?俺と会うまでだって一人で生きてきたんでしょ。だったら、大丈夫。生きてよ。またきっと誰かと出会えるから。俺の時は終わるけど、ブリードの時はまだ終わらない。それはね、ブリードにはまだやるべきことがあるからだと思う。未来に賭けてみてよ。
俺にいろいろ教えてくれたみたいに、未来で出会う誰かにまた色々教えてあげて?一緒に笑ってあげて?友達になってあげて?力を貸してあげて?それがね、ブリードの役目なんだと思う。
何年後に出会えるかなんてわかんないけど、ドラゴンなんだし、200年や300年くらいすぐでしょ?いけるいける!
それを俺は空で見てるから。ブリードが『生きててよかった』って笑うのを見てるから。で、ブリードの時が終わったら、また空で逢おう。みんなで笑い合おうよ』」
「ドラゴンなんだし100年や300年くらいすぐでしょ」ってあたり。適当でなんの根拠もないのになぜだかすごく説得力あります。ある種、力業に近い説得の仕方。
「な、なんというか……サフィラスさまって意外と子供っぽ……豪快なお方だったんですね。ポジティブ?適当?……うーん……なんていうか……すごいです」
絵本とか物語のサフィ様はとてもお美しくまるで妖精様のように繊細なお姿なのですが、冒険者だし、ドラゴンに乗ってた(今思えばブリードさんですね、これ。間違いない)とか色々な逸話が残っているのだもの。そんな繊細な中身なわけありませんでした。
「ははは!あ奴はいつまでも子供のようだったぞ?『面白そう』『やってみたい』であちこちに首を突っ込み、それがまた上手くいく。恐ろしい行動力と運を持っておった。
そんなサフィが言うのだ。信じてみようと思ってな。我はサフィの愛したこの地に留まることにしたのだ」
ここでブリードさんは少し遠い目になった。
「だが……200年、300年どころではなかった……」
そうでしたー!500年と仰っておりましたものね。
200年どころじゃありません。二倍以上です!500年はさすがにドラゴンさんでも長かったですよねえ!
「いつかを信じてはおったのだが、このままこの地で消えてゆくもありかと思っておったところだ。
だが、お主とお主の兄に会えた。
懐かしい気配に『サフィが言うておったのはこのことか』と思うたのだ。
オマケにお主らに付いて来てみれば、たまに池にあらわれる妖精共がお主らの周りに寄ってきておるではないか。
ならばこれも縁であろう、とな」
「……ボクがブリードさんと出会えたのは、サフィラスさまのお陰なのですね。アクアとグエンとお話ができるようになったのも。
ボクね、昔からサフィラス様の物語が大好きなのです。絵本も何度も読みました。それも縁なのでしょうか?」
「それを言うのならば、我が家には彼にまつわる遺物とされるものが残されている。クリスが我が家に来てくれたこと、それもまた縁なのだろう」
お兄さまとボクのご縁。
なんだかとても素敵だなと思って、そっとお兄さまの胸にもたれ…
「こ、こら!クリス!よさぬか!我の尻尾がつぶれるではないか!」
ようとしてブリードさんに叱られたのでした。
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