キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

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幼年期

67、お披露目が決まりました

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さて。お母様の再婚から半年。
ボクもお母様も公爵家での生活にすっかり馴染みました。

ブリードさんも「クリス坊ちゃまの可愛いペット」として邸のみんなから可愛がられております。
基本的にはボクのお部屋で一緒に過ごしているのですが、ボクが体術を学んだり家庭教師の先生に教わっている間は自由にお屋敷をうろうろ。のそのそと一人で廊下を歩いているのを温かく見守られていたり、「噴水に行くのですか?お連れしますね」とひょいっとお庭の噴水まで運んで貰ったり。幸せペット生活を満喫されている模様。
こっそりオヤツまで与えられているみたいで、出会った時よりこころなしかふっくらふかふかに。
抱っこするときはちょこっと重いのですが、幸せそうなのでよしと致します。


お勉強も順調に進み、ついに家庭教師のカール先生に「この調子で頑張れば、飛び級は問題なかろう。歴代初となる3年飛び級入学も可能かもしれませんぞ」と言わしめた。
苦手な語学と歴史を補完して下さるシアン先生も「大丈夫です。まだ間に合いますよ。このスピードで進めていけば、お兄さまと一緒に学校に通えるかもしれません」と太鼓判を押してくださいました。
ブリードさんを相手に予習復習をかかしませんから!
お時間があるときにはお兄さまも自習に付き合ってくださいますしね!

お兄さまは再来年には初等学校に入学される。
ボクはお兄さまが3年生の時には飛び級で1年早く1年に、そして中等部の2年生になられるときに飛び級して中等部の1年に入学するつもり。
つまり、1年早く入学したら、1年ごとに飛び級を繰り返し、お兄さまが高等部に入学される際には一緒に入学するつもりなのです。

できれば一気に飛び級できてしまえばいうことはないのですが、お兄さまご本人が「クリス、無理はいけない。クリスと共に通うのは楽しそうだが、私に兄でいる時間をくれないか?」と仰られたので、一年おきにという無理のない計画となりました。
カール先生とシアン先生は「飛び級するだけでも十分凄いことなのだぞ?」「当たり前のように3年飛び級するつもりでいるのが凄いですねえ」と驚かれてしまいましたが、ボクはやると言ったらやるのです!
だってお兄さまの未来がかかっているのですから。妥協など致しません!




そんなある日、セルお父さま(「ジルベスターが「ジル兄さま」なら私は「セブ父さま」なのではないか?」とお義父さまがおっしゃったのですが、セブお父さまは発音しにくかったのでセルお父さまとお呼びすることにしました)が爆弾発言。

「ティーナもクリスもここの暮らしに慣れたようだ。そろそろお披露目をしようと思うのだがどうだろうか?」

お披露目?!
ビックリして、あーんと開けかけたお口をパクリと閉じてしまいました。

実はお父さまとお母さまは入籍はしましたが、式は挙げていません。
これは再婚同士の場合は式は挙げずに済ませることも多く、派手なことをしたくないというお母さまの御意見を尊重した結果なのです。

でもお父さまとしましては「大切な家族ティーナとクリスを皆に紹介したい」のだそう。
自分のわがままで、と仰っておられますが、本当のところは社交界でお母さまとボクが侮られないように配慮して下さっているのだと思います。
特にボク。ボクとセルお父さまとの間には血の繋がりがありませんから。連れ子としてではなく「大切な息子」だというアピールなのでしょう。

実は、貴族の子供は5歳でお披露目を行ってそこから社交を始めるのですが、お母さまの再婚で家格が変わることもあり、ボクのお披露目はまだしていなかったのです。
そういうわけで、公爵家の息子としてボクの5歳のお披露目会を大々的に開催し、その場でお母さまとの再婚、ボクの養子縁組についてもお披露目されることとなりました。
責任重大です!

でも、高位貴族の子は、急に人前に出て失敗しないようにと、幼い頃から母親の茶会に同行したりして徐々に社交を学んでいます。なので、5歳のお披露目会の時には既にお友達や側近候補も決まっていることが多いのです。

ですが、ボクはお茶会に参加したことはありません。お母さまは叔父様といっしょに当主としてのお仕事もありましたし、ことあるごとに再婚を進められるのも嫌だったようで、お茶会を開いていなかったのです。
公爵家や侯爵家なら許されなかったのでしょうが、ボクのおうちは伯爵家。もちろんお茶会はした方がいいのだけれど、お母さまの場合は開かなくてもギリギリ許される状況だったのです。

なのでボクのお友達は、お隣の領地、いわゆるご近所さんのラファエルとミカ兄さま、そして庭師さんの息子のジオルドくらい。
社交というよりも、一緒に野原を駆けまわったり、お庭で楽しくお茶をしたり。そんな感じのお付き合いだったのです。それなりのマナーはわきまえて遊んではいたのですが、あくまでもそれなりだったのでした。

そんなボクがいきなり高位貴族のみなさんにお披露目なんて、大丈夫なのでしょうか?
きっとそこでボクのお友達候補も紹介されるのでしょうが、会ったばかりで「お友達」になんてなれるのでしょうか?嫌がられたりしませんか?

「えっと、ボクお茶会にも出たことが無いのですが、大丈夫でしょうか?
伯爵家にもお友達はおりましたが、お互いにあまりマナーは重視していなかったので………。
ボク、上手に社交できるでしょうか?お友達が出来なかったらどうしましょう?
ボクはいいのですが、ボクのせいでお父さまはお兄さまが侮られることになるのは嫌なのです」

ボクの言葉に、お母さまが申し訳なさそうに眉を下げた。

「ごめんなさいね、クリス。私がお茶会をもっと開けばよかったのだけれど……」
「ううん、お母さま。ボクもお茶会とかしたいとは思わなかったので大丈夫です!毎日楽しくしておりましたし!
でも、公爵家では社交はきちんとしなきゃですよね……。ボク、お父さまとお兄さまの自慢の子になりたいのです。
公爵家にふさわしいと思って頂けるように、ちゃんと完璧にしたいのです」








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