66 / 226
幼年期
66.お義父さまに紹介します
さて。
ブリードさんを連れて帰ったボクたち。
お義父さまとお母さま、そしてジェームズさんには事情をお話し、他の使用人さんたちには「クリスのペットの珍しい水トカゲさん」ということで話を通した。
お義父さまも守神さまについては伝承として話を聞いたことがあったようで、「ほう!このトカ……ごほん、この方が守神さまか」と驚いていらした。
「ジルベスターとクリスは会話ができるのだな?守神さまの守護を得たか」
「え?守護?ガジっとされたのですが……」
「?契約を交わしたのだろう?だから会話ができておるのではないか?」
ええ?あれ、契約だったの?
ボクたちを守護してくれたの?
ボク、守神さまにお兄さまが噛まれたとき「こらっ!ダメでしょ!」て教育的指導《ガジッと》しちゃいました!
あわてて守神さまを見ると、ふむふむくるしうないぞ、とちょこっと胸を張ってドヤしていらした。
「あわわわ!今さらですが、勘違いしてごめんなさい!
単純に言葉が分かるようにしてくれただけだと思っていました。
守護ということは、ボクたちを護って下さるということですよね?
なのに噛みついちゃうだなんて、ボク、なんてことを……!」
本当に今さらなのですが、ボクが噛みついたところをナデナデ。
噛み跡はついていないみたいです。よかったあ!
「噛みついた?誰が誰に?」
「えと、守神さま、あ、ブリードさんというお名前なのですが、ブリードさんがボクをガジっとして、そのあとお兄さまにまでガジっとしたので。ボクが『お兄さまを噛むなんてダメでしょっ!』てブリードさんを噛みました……」
お兄さまが噛まれたと思って我を忘れてしまったのです。反省してます……。
しょんぼりと告げたボクに、お義父さまのお顔がクシャりと歪んだ。
「……お義父さま?」
「……くっ………ふは……ふははははは!わっはっはっはっは!クリスが、噛んだ?!この水トカゲをか!わっはっはっはっは!」
端正な容貌をゆがめて大笑いされております。
するとその笑いが伝染したのか、お母さまとジェームズさんまで笑い出した。
「うふふふふふ!クリスったら!」
「ふ、ふふふっ、し、失礼いたしました……っ……ふふっ………」
「もう!笑わないでくださいっ!!反省しておりますってばあ!!」
「い、いや、す、すまぬ……っ!ま、まさか水トカゲに噛みつくものがおろうとは……っ。ふ……ふはっ……!」
「水トカゲではありません。いえ、水トカゲですけど、ブリザードドラゴンのブリードさんですし!
噛まれたのがボクだけならボクだって噛みません。でも、お兄さまに噛みついたのですよ?!
お兄さまの素敵なお耳に!!」
拳突き上げて力説するボクをお兄さまがぎゅうっと抱っこ。
「うん。私は分かっているからな。クリスは私の為を思って噛んでくれたのだ。守神さまには申し訳ないが、私はクリスのその気持ちを嬉しくおもうぞ?」
「お兄さまあ!!」
ぎゅうう!!
「そ、そうだな。クリス、ジルベスターを思ってくれてありがとう。ジルよ、良い弟を得たな。得難い宝だ。大切にするように」
「無論です。我が宝クリスを手放すつもりはありません。私が大切に慈しみ守ります」
「うむ。まだお前たちは子供なのだ。そのことを忘れぬようにな?
いつか成長しその時が来るまでは良き兄としてクリスを護るのだぞ?」
「はい。心得ております」
お義父さまとお兄さまがなにやら決意表明していらっしゃいます。
「良い兄になる」ですって?
ボクは「はい!」と手を挙げた。
「あ、あの!あの!お兄さまはもう十分よきお兄さまです!とってもカッコよくてお優しくて最高のお兄さまだと思います!」
お兄さまとお義父さまが無言で顔を見合わせる。
と、おふたりともそっくりな笑顔を見せてくれました。
「そうか、それは良かった。まあ、そういう話ではないのだが、クリスがよいのならば良い」
「私のクリスは可愛いな?ありがとう、クリス」
最後にお義父さまはブリードさんに向かって神妙な表情で頭を下げた。
公爵であるお義父さまが頭を下げるようなことはあまりない。
つまりそれだけブリードさんに敬意を払ってくださったのです。
「ブリード様、でよろしいですかな?
我が息子たちに祝福を与えて下さり感謝致します。なにかご不自由あらば仰ってください。良いように計らいましょう。どうか息子たちをよろしくお願いいたします」
お母さまも同じように横で頭を下げてくれた。
「私からもご挨拶をさせてください。
ブリード様、感謝致しますわ。どうか、ふたりのことをよろしくお願いいたします」
ブリードさんにもお義父さまたちの気持ちはちゃんと伝わったみたい。
まあるい頭を大きく前に振って「うむ!」
後から「よい両親だ。家の空気もよい」と褒められました。
そうなのです。分かってくださいましたか?
こうしてブリードさんが新たな家族に加わったのでした。
ブリードさんを連れて帰ったボクたち。
お義父さまとお母さま、そしてジェームズさんには事情をお話し、他の使用人さんたちには「クリスのペットの珍しい水トカゲさん」ということで話を通した。
お義父さまも守神さまについては伝承として話を聞いたことがあったようで、「ほう!このトカ……ごほん、この方が守神さまか」と驚いていらした。
「ジルベスターとクリスは会話ができるのだな?守神さまの守護を得たか」
「え?守護?ガジっとされたのですが……」
「?契約を交わしたのだろう?だから会話ができておるのではないか?」
ええ?あれ、契約だったの?
ボクたちを守護してくれたの?
ボク、守神さまにお兄さまが噛まれたとき「こらっ!ダメでしょ!」て教育的指導《ガジッと》しちゃいました!
あわてて守神さまを見ると、ふむふむくるしうないぞ、とちょこっと胸を張ってドヤしていらした。
「あわわわ!今さらですが、勘違いしてごめんなさい!
単純に言葉が分かるようにしてくれただけだと思っていました。
守護ということは、ボクたちを護って下さるということですよね?
なのに噛みついちゃうだなんて、ボク、なんてことを……!」
本当に今さらなのですが、ボクが噛みついたところをナデナデ。
噛み跡はついていないみたいです。よかったあ!
「噛みついた?誰が誰に?」
「えと、守神さま、あ、ブリードさんというお名前なのですが、ブリードさんがボクをガジっとして、そのあとお兄さまにまでガジっとしたので。ボクが『お兄さまを噛むなんてダメでしょっ!』てブリードさんを噛みました……」
お兄さまが噛まれたと思って我を忘れてしまったのです。反省してます……。
しょんぼりと告げたボクに、お義父さまのお顔がクシャりと歪んだ。
「……お義父さま?」
「……くっ………ふは……ふははははは!わっはっはっはっは!クリスが、噛んだ?!この水トカゲをか!わっはっはっはっは!」
端正な容貌をゆがめて大笑いされております。
するとその笑いが伝染したのか、お母さまとジェームズさんまで笑い出した。
「うふふふふふ!クリスったら!」
「ふ、ふふふっ、し、失礼いたしました……っ……ふふっ………」
「もう!笑わないでくださいっ!!反省しておりますってばあ!!」
「い、いや、す、すまぬ……っ!ま、まさか水トカゲに噛みつくものがおろうとは……っ。ふ……ふはっ……!」
「水トカゲではありません。いえ、水トカゲですけど、ブリザードドラゴンのブリードさんですし!
噛まれたのがボクだけならボクだって噛みません。でも、お兄さまに噛みついたのですよ?!
お兄さまの素敵なお耳に!!」
拳突き上げて力説するボクをお兄さまがぎゅうっと抱っこ。
「うん。私は分かっているからな。クリスは私の為を思って噛んでくれたのだ。守神さまには申し訳ないが、私はクリスのその気持ちを嬉しくおもうぞ?」
「お兄さまあ!!」
ぎゅうう!!
「そ、そうだな。クリス、ジルベスターを思ってくれてありがとう。ジルよ、良い弟を得たな。得難い宝だ。大切にするように」
「無論です。我が宝クリスを手放すつもりはありません。私が大切に慈しみ守ります」
「うむ。まだお前たちは子供なのだ。そのことを忘れぬようにな?
いつか成長しその時が来るまでは良き兄としてクリスを護るのだぞ?」
「はい。心得ております」
お義父さまとお兄さまがなにやら決意表明していらっしゃいます。
「良い兄になる」ですって?
ボクは「はい!」と手を挙げた。
「あ、あの!あの!お兄さまはもう十分よきお兄さまです!とってもカッコよくてお優しくて最高のお兄さまだと思います!」
お兄さまとお義父さまが無言で顔を見合わせる。
と、おふたりともそっくりな笑顔を見せてくれました。
「そうか、それは良かった。まあ、そういう話ではないのだが、クリスがよいのならば良い」
「私のクリスは可愛いな?ありがとう、クリス」
最後にお義父さまはブリードさんに向かって神妙な表情で頭を下げた。
公爵であるお義父さまが頭を下げるようなことはあまりない。
つまりそれだけブリードさんに敬意を払ってくださったのです。
「ブリード様、でよろしいですかな?
我が息子たちに祝福を与えて下さり感謝致します。なにかご不自由あらば仰ってください。良いように計らいましょう。どうか息子たちをよろしくお願いいたします」
お母さまも同じように横で頭を下げてくれた。
「私からもご挨拶をさせてください。
ブリード様、感謝致しますわ。どうか、ふたりのことをよろしくお願いいたします」
ブリードさんにもお義父さまたちの気持ちはちゃんと伝わったみたい。
まあるい頭を大きく前に振って「うむ!」
後から「よい両親だ。家の空気もよい」と褒められました。
そうなのです。分かってくださいましたか?
こうしてブリードさんが新たな家族に加わったのでした。
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
転生したら最強辺境伯に拾われました
マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。
死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―
猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。
穏やかで包容力のある長男・千隼。
明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。
家事万能でツンデレ気味な三男・凪。
素直になれないクールな末っ子・琉生。
そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。
自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。