66 / 211
幼年期
65、クリスくんの独白
しおりを挟む
本当のところ、お兄さまと出会う前のボクは、何も考えずに楽しく幸せに毎日を過ごしていた。
本当のお父さまが亡くなったことで「可哀想な子」と言われることもあったのだけれど、実際のボクはサイラス叔父様やお母さま、優しい使用人さんたちに囲まれて幸せだったし、満たされていたのです。
お友達にお兄さまがいるのを羨ましいとは思っていたのだけれど、それはお兄さまやお姉さまのいない子はみんなそうでしょう?
それが変わったのは、お母さまの結婚が決まってから。
お母さまとお義父さまとでご縁ができて、それをきっかけにボクはお兄さまと出会うことができた。
そして前世の記憶を取り戻して、お兄さまが大好きになったのです。
それまでのボクは与えられたものをただ受け入れて幸せに浸っていただけ。
ある意味、受動的なもので満足していたのですけれど、でもお兄さまと出会ったときから、ボクは変わったのです。
どういったらいいのかな。
ボクの全ての細胞が満たされた気がしたの。
大好きで、嬉しくて。その人にはいつも笑っていて欲しくて。
「ボクが護らなきゃ」って思った。
ボクは生まれて初めて「運命」だとか「使命」というものを信じた。
この出会いも、前世のボクすら全てこのためにあったのかも。
前世ですべての気力ややる気を失っていたボクに生きる希望を与えてくれた推し、ジルベスターさま。
そんなジルベスターさまが悲しむ未来なんて、見たくない。そんな未来はボクが許しません。
そう、きっと、お兄さまを断罪させないためにボクはここに導かれた。
主人公がお兄さまを貶めるのなら、ボクがそうならぬよう別ルートを開けばいいのです。
王子さまがジルベスターさまをいじめるのなら、ボクがお兄さまを護ります!
だって、お兄さまへの愛なら誰にも負けない自信がありますから!
あのゲームではボクとお兄さまの縁は薄かった。
でも、今は違う。
ボクはお兄さまが大好きですし、お兄さまもボクを大切にしてくださっている。
それに、お兄さまがピクニックに誘ってくださったことがきっかけで、ゲームに無いはずの伝説の存在、ブリードさん、アクア、グエンという頼もしい仲間までできました。
これってとてもすごいことですよね?
なんだか「冒険者が旅をしながら仲間を増やしていき、最終的にみんなで協力して魔王をやっつける」という物語のよう。
もう元の乙女ゲームとは違うルートが開いているということじゃないのかな?
そうだとすれば、この後もゲームとは違う展開が待っているのかもしれません。
そもそも、もう今のお兄さまなら断罪ルートには入らずにすむのでは?
それともまさか「主人公の中の人が転生者と入れ替わっている」というラノベ設定なのかなあ?
ゲームと同じ展開なら、ボクが前世記憶チートでなんとかできるのだけれど、もし転生主人公なら、お兄さまの表情筋が元気になっても無理やりに断罪ルートに引きずられるパターン!
まだまだ何があるか分からない。油断しちゃダメです。
ああ。ミノくんがここにいたら相談できるのに!
でも前世のボクの相方ミノくんはここにはいない。
だからボクは何があってもお兄さまをお護りできるように、ボクの力を伸ばしておきます!
これまで以上に頑張って、強くなってムキムキになって賢くならねばなりません!
幸いたくさんの知恵と知識を持っているブリードさんがボクの先生になって色々教えて下さるそうです。
飛び級をしてお兄さまとなんとか同じ学校に通うつもりなのですが、家庭教師の先生はお時間が過ぎれば帰ってしまう。
ブリードさんが先生になって下されば、先生がいらっしゃらない時もお勉強できますね!
「これからのボクはブリード先生によって一味違うNEWクリスになります!
待っていてください、お兄さま!」
黙って考え込んでいたと思ったらいきなり決意表明をしたボクに、お兄さまが目を丸くした。
「いきなりどうしたのだ?クリス。NEWクリス?クリスは今のままでも十分可愛いが、味が違うのか?味は……」
不思議そうに首をひねると後ろから身をかがめ、ペロッ。
「……この味で良いと思うが?」
ど、ど、ど、どんな味ですか?!
てゆうか、ボクの頬を舐めました?ペロッて!舐めたのですかっ?
ボクちょこっと汗をかいていたのですが、しょっぱくありませんでしたか?
そもそもキレイじゃないので、せめてお風呂に入った後で………!!
頭の中でぐるぐるしながら、ボクは真っ赤になったお顔で俯いた。
「……そ、その味ではありません……。えっと、お勉強をしてもっと…賢くカッコよく強くなります、という意味なのです」
「?そうなのか?クリスはもう十分賢いと思うが……。クリスがそうしたいのであれば応援しよう。私もクリスに負けぬよう精進せねばな?」
推しの笑顔、尊さ200%です!
「……………」
ブ、ブリードさん?どうしました?
ただでさえ小さなお目目が更に細くなっておりますよ?
「いや……なんというか…………お主もなかなか難儀よのう……。退屈せずにすみそうだ」
本当のお父さまが亡くなったことで「可哀想な子」と言われることもあったのだけれど、実際のボクはサイラス叔父様やお母さま、優しい使用人さんたちに囲まれて幸せだったし、満たされていたのです。
お友達にお兄さまがいるのを羨ましいとは思っていたのだけれど、それはお兄さまやお姉さまのいない子はみんなそうでしょう?
それが変わったのは、お母さまの結婚が決まってから。
お母さまとお義父さまとでご縁ができて、それをきっかけにボクはお兄さまと出会うことができた。
そして前世の記憶を取り戻して、お兄さまが大好きになったのです。
それまでのボクは与えられたものをただ受け入れて幸せに浸っていただけ。
ある意味、受動的なもので満足していたのですけれど、でもお兄さまと出会ったときから、ボクは変わったのです。
どういったらいいのかな。
ボクの全ての細胞が満たされた気がしたの。
大好きで、嬉しくて。その人にはいつも笑っていて欲しくて。
「ボクが護らなきゃ」って思った。
ボクは生まれて初めて「運命」だとか「使命」というものを信じた。
この出会いも、前世のボクすら全てこのためにあったのかも。
前世ですべての気力ややる気を失っていたボクに生きる希望を与えてくれた推し、ジルベスターさま。
そんなジルベスターさまが悲しむ未来なんて、見たくない。そんな未来はボクが許しません。
そう、きっと、お兄さまを断罪させないためにボクはここに導かれた。
主人公がお兄さまを貶めるのなら、ボクがそうならぬよう別ルートを開けばいいのです。
王子さまがジルベスターさまをいじめるのなら、ボクがお兄さまを護ります!
だって、お兄さまへの愛なら誰にも負けない自信がありますから!
あのゲームではボクとお兄さまの縁は薄かった。
でも、今は違う。
ボクはお兄さまが大好きですし、お兄さまもボクを大切にしてくださっている。
それに、お兄さまがピクニックに誘ってくださったことがきっかけで、ゲームに無いはずの伝説の存在、ブリードさん、アクア、グエンという頼もしい仲間までできました。
これってとてもすごいことですよね?
なんだか「冒険者が旅をしながら仲間を増やしていき、最終的にみんなで協力して魔王をやっつける」という物語のよう。
もう元の乙女ゲームとは違うルートが開いているということじゃないのかな?
そうだとすれば、この後もゲームとは違う展開が待っているのかもしれません。
そもそも、もう今のお兄さまなら断罪ルートには入らずにすむのでは?
それともまさか「主人公の中の人が転生者と入れ替わっている」というラノベ設定なのかなあ?
ゲームと同じ展開なら、ボクが前世記憶チートでなんとかできるのだけれど、もし転生主人公なら、お兄さまの表情筋が元気になっても無理やりに断罪ルートに引きずられるパターン!
まだまだ何があるか分からない。油断しちゃダメです。
ああ。ミノくんがここにいたら相談できるのに!
でも前世のボクの相方ミノくんはここにはいない。
だからボクは何があってもお兄さまをお護りできるように、ボクの力を伸ばしておきます!
これまで以上に頑張って、強くなってムキムキになって賢くならねばなりません!
幸いたくさんの知恵と知識を持っているブリードさんがボクの先生になって色々教えて下さるそうです。
飛び級をしてお兄さまとなんとか同じ学校に通うつもりなのですが、家庭教師の先生はお時間が過ぎれば帰ってしまう。
ブリードさんが先生になって下されば、先生がいらっしゃらない時もお勉強できますね!
「これからのボクはブリード先生によって一味違うNEWクリスになります!
待っていてください、お兄さま!」
黙って考え込んでいたと思ったらいきなり決意表明をしたボクに、お兄さまが目を丸くした。
「いきなりどうしたのだ?クリス。NEWクリス?クリスは今のままでも十分可愛いが、味が違うのか?味は……」
不思議そうに首をひねると後ろから身をかがめ、ペロッ。
「……この味で良いと思うが?」
ど、ど、ど、どんな味ですか?!
てゆうか、ボクの頬を舐めました?ペロッて!舐めたのですかっ?
ボクちょこっと汗をかいていたのですが、しょっぱくありませんでしたか?
そもそもキレイじゃないので、せめてお風呂に入った後で………!!
頭の中でぐるぐるしながら、ボクは真っ赤になったお顔で俯いた。
「……そ、その味ではありません……。えっと、お勉強をしてもっと…賢くカッコよく強くなります、という意味なのです」
「?そうなのか?クリスはもう十分賢いと思うが……。クリスがそうしたいのであれば応援しよう。私もクリスに負けぬよう精進せねばな?」
推しの笑顔、尊さ200%です!
「……………」
ブ、ブリードさん?どうしました?
ただでさえ小さなお目目が更に細くなっておりますよ?
「いや……なんというか…………お主もなかなか難儀よのう……。退屈せずにすみそうだ」
1,386
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
異世界転生した俺の婚約相手が、王太子殿下(♂)なんて嘘だろう?! 〜全力で婚約破棄を目指した結果。
みこと。
BL
気づいたら、知らないイケメンから心配されていた──。
事故から目覚めた俺は、なんと侯爵家の次男に異世界転生していた。
婚約者がいると聞き喜んだら、相手は王太子殿下だという。
いくら同性婚ありの国とはいえ、なんでどうしてそうなってんの? このままじゃ俺が嫁入りすることに?
速やかな婚約解消を目指し、可愛い女の子を求めたのに、ご令嬢から貰ったクッキーは仕込みありで、とんでも案件を引き起こす!
てんやわんやな未来や、いかに!?
明るく仕上げた短編です。気軽に楽しんで貰えたら嬉しいです♪
※同タイトルを「小説家になろう」様でも掲載しています。
異世界転生した双子は今世でも双子で勇者側と悪魔側にわかれました
陽花紫
BL
異世界転生をした双子の兄弟は、今世でも双子であった。
しかし運命は二人を引き離し、一人は教会、もう一人は森へと捨てられた。
それぞれの場所で育った男たちは、やがて知ることとなる。
ここはBLゲームの中の世界であるのだということを。再会した双子は、どのようなエンディングを迎えるのであろうか。
小説家になろうにも掲載中です。
ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています
黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。
失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった!
この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。
一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。
「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」
底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
姉の聖女召喚に巻き込まれた無能で不要な弟ですが、ほんものの聖女はどうやら僕らしいです。気付いた時には二人の皇子に完全包囲されていました
彩矢
BL
20年ほど昔に書いたお話しです。いろいろと拙いですが、あたたかく見守っていただければ幸いです。
姉の聖女召喚に巻き込まれたサク。無実の罪を着せられ処刑される寸前第4王子、アルドリック殿下に助け出さる。臣籍降下したアルドリック殿下とともに不毛の辺境の地へと旅立つサク。奇跡をおこし、隣国の第2皇子、セドリック殿下から突然プロポーズされる。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる