キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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幼年期

69、三馬鹿攻略に向けて情報収集、のはずが……

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こうしてボクは、お披露目会でのアイウ三馬鹿攻略に向けて怒涛の訓練を行うことにした。
まずは、お兄さまから情報収集です。

「お兄さま、お聞きしてもよろしいですか?
お披露目にはお兄さまの婚約者のアイク様もいらっしゃるのですよね?
どんな方なのですか?」

「え?クリスはアイク様に興味があるのかい?……どうして?」

キラリとお兄さまの目が不穏に光る。
え?なんだか不機嫌?
アイク様とは仲が悪くないと聞いていたのだけれど、何か嫌なことでもされたのでしょうか?
なんてこと!

「お兄さま、まさかもうアイク様に何かされたのですか?意地悪されましたか?それとも、ぶたれたとか?
ボク、絶対に許しません!何をされたのか教えてください!ボクがやっつけてやりますから!!」

お兄さまの両手をしっかりと掴み、訴える。
安心してください!これからはボクがおりますので!
お兄さまはひとりではありません!
ブリードさんだってついておりますよ!

キリリと眉をあげた怒りの形相のボクに、お兄さまは息を呑んだ。

「は?え?……クリスの興味というのはそっちなのか?」
「え?は?ボクの興味?お兄さま以外にですか?
……お兄さまの味方かどうか?それ以外になにかありますか?」

こてり、と首を傾げれば、お兄さまのお顔がみるみる晴れ晴れとしたものに。

「?お兄さま?」
「ふふふ。い、いや、すまない。私の勘違いだったようだ。
大丈夫。アイク様はそのような方ではないよ?私との仲も悪くない。意地悪などされたこともないから安心してほしい」
「よ、よかったああ!
え?じゃあどうして先ほど不機嫌になられたのですか?」

てっきりアイク様が嫌いだからだと思ったのだけれど。違うのでしょうか?

するとお兄さまは珍しくも狼狽しお口を一旦開けかけてまた閉じた。

「??」

じいいっと見つめて返事を待つと、諦めたように理由を教えて下さったのですが……
それはなんと「ヤキモチ」でした。ヤキモチ!!
え?ヤキモチって、焼餅ではなく嫉妬のほうだと解釈してよろしいですか?
お兄さまが嫉妬!
えええ?!ボクの言葉のどこにそんな要素があったのでしょうか?

「…………クリスもいわゆる『王子様』への憧れがあるのかと思ったのだ」
「王子さまに憧れ?アイク王子に対してですか?」

思わずボクは大きく手と首を振って振って振りまくってしまった。

「ないですっ!ないないっ!ありえませんっ!!
だってボクの憧れはお兄さまですし!
お兄さま以上にカッコよくって最高で優しくて素敵で素晴らしい方はいません!
ヤキモチを妬く必要など全くありませんからっ!」

「うん。理解した。だから『勘違いだった』と言っただろう?
私のクリスには私しか見えていないということがはっきりと分かった。ありがとう、クリス。」

本当かなあ?よりにもよってボクがあのアイウに憧れだなんて!まったくもってあり得ません。
思わずブスウっとむくれてしまうボク。

「今度はクリスの方が不機嫌ではないか。ほら、笑ってくれないか?」

うって変わってご機嫌になったお兄さまが、ボクの膨らんだ頬をツンツンとつつく。

「だって、よりにもよってボクがアレなんかに!」

じとー、と上目遣いで抗議すれば、クスリと笑ったお兄さまが

「じゃあ、これで機嫌を直して欲しい」

とボクの前髪を掻き上げ、むき出しになった額に顔を近づけた。
冷たくて柔らかなものが、そっとボクの額に触れ、離れる。

え?
えええ?
今の、何?!
も、も、も、もしや!!!

ボクは額を押さえて真っ赤になった。

「い、い、い、いま、いま、もしかしてキ、キスとかされましたか?」
「ふふふ。可愛いな、クリスは。さあ、機嫌は直ったか?
まだ直らないようならもう一度しよう」

ひゃあ!!
ひゃあああ!!

「な、な、な、な、なおしましたあああっ!
ご機嫌ですっもうご機嫌になりましたのでえええっ!!」

あわてて額をしっかりとガードして涙目でお兄さまから距離をとる。
推しの!推しのちゅうを頂いてしまいましたっ!なんてことっ!
いきなりこんなご褒美を頂いてもよいものなのでしょうか?

「ほ、包帯をっ包帯をくださいっ!」
「は?どうした?!怪我でもしていたのか?!」
「キスを保存しますっ!!」
「………え?」
「早く早くっ!お兄さまのキスが消えてしまわないよう保護致しますのでっ!!」




爆笑したお兄さまにしっかりと捕まえられ「消えてしまわないように」とたくさんのキスを頂戴したボクは久しぶりに意識を失い、お兄さまにはお父さまから「キスは一度に1回まで」という制限がかけられたのでした。

情報収集はまた改めて。
もうすこし聞き方を工夫しなければなりません。
これ以上の供給をされてはボクの心臓がもちませんから。












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