75 / 217
幼年期
75、ついにボクのデビューです
しおりを挟む
さて。素晴らしいみんなの装いについてお話してまいりましたが。
そう、本日は「家族のお披露目」である前に口実としての「クリスの五歳のお披露目」!
というわけで、恥ずかしながら、主役となるボクの衣装はとても素晴らしいものなのだ。
ベースとなるのは水色。ボクの瞳の色よりも少しだけ淡く柔らかな水色です。
白のふんわりとしたシャツの上に、水色のダブルボタンの長めのウエストコートをきっちりとベルトで留めている。
上に羽織るのは上着ではなくマント!これまた水色なんだけれど、裏地はお兄さまとお父さまの髪のお色。光沢のあるホワイトシルバーで、ボクが動くたびにキラキラと輝く。しかも肩にはきらびやかな金の肩章付きなの!カッコいい!
襟元に結んだおリボンは濃紺。髪のおリボンと同じ、お兄さまの瞳の色です。ちょっと緊張しているから、お兄さまから力を分けて頂けるような気がして嬉しい。
髪は前から見ると普通なのだけれど、サイドを編み上げて後ろでリボンで留めております。
マーシャ曰く「可愛らしいお顔の周りをふわふわとした金の髪が彩り、とてもお可愛らしいですよ!少し角度を変えるとまた違った趣があるように、サイドは編み込んでおきましょうね。おくれ毛を出すことでふわふわ感マシマシです!」らしい。よく分からないけれど、マーシャがいうのでそうなのです。
お兄さまやセルお父さまはカッコいいのに、ボクだけなんだか可愛い仕様。色合いなのかな?なんだか全体的に小さな王子様のような装い。
今日は朝からみんなに「お可愛らしいですよ!」「まあまあ、小さな天使ですね」と褒められまくりました。
褒めてくださるのは嬉しいのだけれど、実はちょっとだけ不満。
だってボク「カッコいい」が良かったのだ。
お兄さまもお父さまもとてもカッコいいのだもの。ボクだってカッコいいがよいの。
でもお兄さまもお父さまも満足気。
「私の天使はとても可愛いな。いつも可愛いのだけれど、今日は特に可愛い。皆に見せるのが惜しいくらいだ。しかし、皆に私のクリスの可愛さを知ってもらいたい気持ちもある。悩ましい」
「うむ。とても可愛いぞ、クリス。誰が見ても可愛いと思うだろう。我が家の宝だからな。
しかし、皆に見せるのが惜しいというジルの気持ちも分かる。こんなに可愛いのだ、婚約者にと望むものも多いだろう。
クリス、安心しなさい。父はクリスの望まぬことを強いるつもりはないのだからな?
ジルベスター、今日はお前がしっかりとクリスを護るのだぞ?クリスはまだ幼い。おかしな輩は近づけぬように」
「無論です!叔父上も有象無象の輩もクリスに触れさせはいたしません。
さすがに殿下に紹介せぬ訳にはまいりませんが……最低限でよいでしょう。気に入られすぎても困りますから」
「うむ…確かに。
クリス、ジルにしっかりと貼り付いているのだぞ?
万が一逸れたら、知らない人が話しかけても黙っていなさい。何も言わずに微笑んでいればよい。すぐにジルが駆け付けるから。よいか?
勿論ついていくのもダメだ。無理に連れていかれそうになったら大声を出しなさい。
家のもの以外からは、おやつや飲み物も受け取らないようにするのだぞ?」
「はい!知らない人についていかない、食べ物ももらわない、ですね!分かりました!大丈夫です!」
「人のいない場所には近寄らないようにするのだぞ?
私が付いているが、万が一ということもある。
どうしてもという時には大人の女性に声をかけるのだ。男性はダメだ。必ず女性に。いいか?」
「はい!女の方ですね?分かりました!」
ふたりの心配は延々と続いた。
なんと呆れたお母さまが
「いいかげんになさいな。二人とも。
使用人もマーシャや護衛も目を光らせているのよ?大丈夫よ」
と言ってくれるまで続いたのでした。
ちなみにブリードさんですが、小さくなってボクのポケットに。
大きくなるのは魔力消費がかさむのでしたくないそうですが、小さくなる分には簡単なのだそうです。
なにそれチート!
ブリードさんは、親指くらいの大きさになって、ボクの胸ポケットに入ってくれた。
「いざというときには魔法でなんとかしてやろう。結界で弾くくらいのことは簡単にできるぞ?」
そう言って胸を張るブリードさんに、お父さまもお兄さまもお母様も、ブリードさんの正体を知るみんなが力強く頭を下げる。
「お願いしますね、ブリード様!」
「あとでなんでも好きなものを作らせよう。甘味も沢山用意させて頂きますゆえ、クリスを頼みます」
こんなことを言ったら怒られそなのだけれど、小さなトカゲさん(にしかみえないミニブリードさん)の前で大人が真面目な顔で頭を下げているのはちょっとシュールだな、と思ってしまったのでした。
1,380
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
男前受け
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
悪役の僕 何故か愛される
いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ
王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。
悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。
そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて…
ファンタジーラブコメBL
シリアスはほとんどないです
不定期更新
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
【第1部完結しました。第2部更新予定です!】
処刑された記憶とともに、BLゲームの悪役会計に転生したことに気付いた主人公・カイル。
処刑されないために、チャラ男の仮面を被り、生徒会長に媚びを売り、能力を駆使して必死に立ち回る。
だが、愛された経験がない彼は、正しい人との距離感を知らない。
無意識の危うい言動は、生徒会長や攻略対象、さらには本来関わらないはずの人物たちまで惹きつけ、過剰な心配と執着、独占欲を向けられていく。
——ただ生き残りたいだけなのに。
気づけば彼は、逃げ場を失うほど深く、甘く囲われていた。
*カクヨム様でも同時掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる