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第一章
ご令嬢との再会と波乱の予感
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そうこうするうちに、昨日のご令嬢たちがやってきた。
「おはよ……きゃー!ミルリース様!いらしたんですねっ!おはようございますう!」
「おはようございますー!今日も素敵でいらっしゃいますねっ!お可愛らしいですわあ!」
あっという間に目の前にやってきて、矢継ぎ早に話しかけてくる。
あまりの勢いにクラウスとジークがそっと俺から距離を取った。気持ちは理解できる。
「お、おはよう、コンフィ嬢、レベル嬢。
昨日は世話になった」
「うふふふ。私のことはミルフェとお呼びください」
「私はランジェと。
あれからどうなさったんですか?昨日の彼とは?
本はいかがでした?もう読まれました?」
「あ、ああ。シルは俺の従者なのでな。一緒に帰ったぞ?
本はどれも非常に興味深いものだった。
シルにも読ませたのだが、シルは小説は小説だと言っていた。
俺はなかなかに奥深いものだと感じた」
「まあまあまあ!ちなみに、なんのご本を読まれたのですか?」
「全て読んだぞ?」
「ええ?あれを全部?
まあまあまあ!凄いわミルリース様!
どれか気に入ったものはございまして?」
「気に入ったというか……俺に似た人物が出ている本が気になった。
真実の愛とはすばらしいものらしい」
「たとえば……シル様とミルリース様のような?」
「きゃ!ランジェったら!」
「?あ、ああ。愛とは違うが…大切ではあるな?」
横で会話を聞いていたクラウスが、おずおずと会話に割り込んできた。
「なあ、ご令嬢たちとミルの共通点が意味不明なんだが?どこで知り合ったんだ?」
「あら、失礼いたしましたクラウス様。
わたくしたち、本屋でお会いしましたの。オススメの本を紹介させていただきましたのよ?」
「へえ!どんな本?」
「素晴らしい本ですわあ!」
「?だから、どんな本なんだ?」
「…ええと……美しい殿方と殿方の……愛と友情の物語ですの!ね、ミルフェ!」
「え、ええ!そうですわ!儚くも美しい物語ですのよ!!ね、ミルリース様!」
いきなり話をふられて思わずこう口にする。
「あ、ああ、そうだな。
本と違って俺はルディアス殿下をなんとも思っていないが、ミルディアスの殿下を思う気持ちは切なく美しいと感じたぞ?
殿下の真実の愛にも感銘を受けた」
言いかけると、ガバっとジークに口を塞がれた。
「ミ、ミルリース!ちょっと待って!」
「?なんだ?」
「君、今さらっととんでもないことを言わなかった?」
見るとクラウスとご令嬢たちも驚愕の表情でこくこくと頷いている。
いったい何のことだ?
訳も分からず首をかしげれば、ミルフェが小声で教えてくれた。
「あのう……ミルリース様がルディアス殿下を何とも思っていらっしゃらないと……」
「ご婚約者であらせられましたよね?」
ああ、そこか。
もういいだろう。潮時なのだ。
「そうだな。政略結婚だからな。殿下も俺に愛情などないことだし、俺としては本のように殿下とレオの真実の愛を応援したいと思っているのだが……」
「「「「はああああ?」」」」
「ど、ど、ど、どういうことですの?ミルリース様はやはり、あの、シル様を……っ」
「どういうことだ?殿下に愛されるレオリースを妬んでいるという噂がありますよね?」
「シルはともかく、俺は別に殿下を愛してなどいないぞ。繰り返すが、殿下もそうだろう。
妬むもなにも、いっそあの二人が婚約すればいいのにと思っている」
本心を言えば、クラウスがガクリと肩を落とした。
「噂は噂にすぎないってことだな。つくづく……お前、めちゃくちゃ損な役割じゃねえか……」
「ですわねえ……。私たちもミルリース様のことを誤解しておりましたし………」
「まあ、わざわざ否定もしなかったからな。仕方ないだろう」
「お前、なんで言いたい放題言わせてたんだ?誤解だって言えばよかっただろう?」
「一応これでも婚約者だからな。
父と婚約者の意向を汲んでいたまで。下手に事を荒立てるわけにもいかぬだろう?
だが、もういいかと思った。俺も好きに生きることにしたんだ」
そういうことだ。黙って聞こえぬふり、知らぬふりで耐えるのはもうやめた。
悪役に仕立てられたあげく、あのゲームのように断罪されては、割に合わない。
平民にされるというのなら、あらかじめ対策を立て、自ら平民を選んでやろうと思ったのだ。
「どういうことだ?!」
低く押し殺した声が聞こえた。
「お前は俺の婚約者だろう!何を勝手なことを言っている!」
「おはよ……きゃー!ミルリース様!いらしたんですねっ!おはようございますう!」
「おはようございますー!今日も素敵でいらっしゃいますねっ!お可愛らしいですわあ!」
あっという間に目の前にやってきて、矢継ぎ早に話しかけてくる。
あまりの勢いにクラウスとジークがそっと俺から距離を取った。気持ちは理解できる。
「お、おはよう、コンフィ嬢、レベル嬢。
昨日は世話になった」
「うふふふ。私のことはミルフェとお呼びください」
「私はランジェと。
あれからどうなさったんですか?昨日の彼とは?
本はいかがでした?もう読まれました?」
「あ、ああ。シルは俺の従者なのでな。一緒に帰ったぞ?
本はどれも非常に興味深いものだった。
シルにも読ませたのだが、シルは小説は小説だと言っていた。
俺はなかなかに奥深いものだと感じた」
「まあまあまあ!ちなみに、なんのご本を読まれたのですか?」
「全て読んだぞ?」
「ええ?あれを全部?
まあまあまあ!凄いわミルリース様!
どれか気に入ったものはございまして?」
「気に入ったというか……俺に似た人物が出ている本が気になった。
真実の愛とはすばらしいものらしい」
「たとえば……シル様とミルリース様のような?」
「きゃ!ランジェったら!」
「?あ、ああ。愛とは違うが…大切ではあるな?」
横で会話を聞いていたクラウスが、おずおずと会話に割り込んできた。
「なあ、ご令嬢たちとミルの共通点が意味不明なんだが?どこで知り合ったんだ?」
「あら、失礼いたしましたクラウス様。
わたくしたち、本屋でお会いしましたの。オススメの本を紹介させていただきましたのよ?」
「へえ!どんな本?」
「素晴らしい本ですわあ!」
「?だから、どんな本なんだ?」
「…ええと……美しい殿方と殿方の……愛と友情の物語ですの!ね、ミルフェ!」
「え、ええ!そうですわ!儚くも美しい物語ですのよ!!ね、ミルリース様!」
いきなり話をふられて思わずこう口にする。
「あ、ああ、そうだな。
本と違って俺はルディアス殿下をなんとも思っていないが、ミルディアスの殿下を思う気持ちは切なく美しいと感じたぞ?
殿下の真実の愛にも感銘を受けた」
言いかけると、ガバっとジークに口を塞がれた。
「ミ、ミルリース!ちょっと待って!」
「?なんだ?」
「君、今さらっととんでもないことを言わなかった?」
見るとクラウスとご令嬢たちも驚愕の表情でこくこくと頷いている。
いったい何のことだ?
訳も分からず首をかしげれば、ミルフェが小声で教えてくれた。
「あのう……ミルリース様がルディアス殿下を何とも思っていらっしゃらないと……」
「ご婚約者であらせられましたよね?」
ああ、そこか。
もういいだろう。潮時なのだ。
「そうだな。政略結婚だからな。殿下も俺に愛情などないことだし、俺としては本のように殿下とレオの真実の愛を応援したいと思っているのだが……」
「「「「はああああ?」」」」
「ど、ど、ど、どういうことですの?ミルリース様はやはり、あの、シル様を……っ」
「どういうことだ?殿下に愛されるレオリースを妬んでいるという噂がありますよね?」
「シルはともかく、俺は別に殿下を愛してなどいないぞ。繰り返すが、殿下もそうだろう。
妬むもなにも、いっそあの二人が婚約すればいいのにと思っている」
本心を言えば、クラウスがガクリと肩を落とした。
「噂は噂にすぎないってことだな。つくづく……お前、めちゃくちゃ損な役割じゃねえか……」
「ですわねえ……。私たちもミルリース様のことを誤解しておりましたし………」
「まあ、わざわざ否定もしなかったからな。仕方ないだろう」
「お前、なんで言いたい放題言わせてたんだ?誤解だって言えばよかっただろう?」
「一応これでも婚約者だからな。
父と婚約者の意向を汲んでいたまで。下手に事を荒立てるわけにもいかぬだろう?
だが、もういいかと思った。俺も好きに生きることにしたんだ」
そういうことだ。黙って聞こえぬふり、知らぬふりで耐えるのはもうやめた。
悪役に仕立てられたあげく、あのゲームのように断罪されては、割に合わない。
平民にされるというのなら、あらかじめ対策を立て、自ら平民を選んでやろうと思ったのだ。
「どういうことだ?!」
低く押し殺した声が聞こえた。
「お前は俺の婚約者だろう!何を勝手なことを言っている!」
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