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第六章
シルのお迎え
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帰りはみんな持てるだけ紙袋を持ち俺を馬車まで送ってくれた。
クッキーの缶は日持ちするので学校において置き、おやつタイムにみんなで食すことにした。なのでそれ以外を持ってきたのだ。
それでも結構な量になってしまった。本当に申し訳ない。
シルが紙袋に埋もれた俺たちに気付き慌てて走ってきてくれた。
「ど、どうした、ミル?!なんだこれは?!」
「こんにちはシルさん。これはね、ミルへの貢ぎ物なの」
「貢ぎ物?」
そうだよな。そうなるよな。
学校に行って貢ぎ物を持ち帰るとは思わないだろう。
神様でもあるまいし。
一瞬でいろいろなことを察してくれたようで、シルが労うように俺の肩を抱いた。
「……初日は大変だったみたいだな。お疲れさん」
またキスをされそうになったのでさりげなく避けた。
すると近くで歓声があがる。
「ああああん、おしいっ!あ、婚約おめでとうございますっ!私たち、お二人と応援しておりますのでっ!これからもたくさんいちゃい……こほん、仲良くしてくださいましねっ!!
目の前であの、朝のようにしてくださっても全然かまいませんわっ。むしろ眼福と申しますか……」
「ええ!私たち、お二人のご婚約をとてもうれしく思っているのです!まるで私たちが読んでいる小説の……げふんげふん、いえ、あの、とにかくお似合いだなあっって!!」
「あ、ああ。ありがとう」
すごい。シルが引いている。
ご令嬢の勢いはすごいものな。わかるぞ。
まごまごしている間に、クラウスとジークがせっせと馬車に紙袋を積み込んでくれた。
「これが雑貨。で、こっちは食品。食品は早いところ荷解きしろよ?」
「ありがとう。助かった」
ここでクラウスがひときわ大きな袋を指さす。
「で、この袋は俺たちから!後で開けてみてくれ。みんなで用意したんだ」
「え?クラウスたちから?」
思わずみんなの顔を見回せば、にこにこと頷いてくれた。
朝いっていたものだろうか。こんなに大きなものだとは。いったい何だろう。
「いいのか?なんだか申し訳ないんだが……」
「うふふふふ!いいの!」
「気に入ってくれるといいんだが」
「シルさんと一緒に見てね?」
「うん。そうさせてもらう。わざわざありがとう」
開けるのが楽しみだ。俺はそっと袋を指で撫でた。
帰りの馬車の中。俺とシルはぎゅうぎゅうにくっついていた。
別に甘い理由ではない。物理的に場所がないのだ。
足元には紙袋だらけ、床に置ききれなかった分が向かいの席も占領している。
あやうく「二人で並ぶには狭いよな」と俺がシルの膝に乗せられそうになったので必死で回避した結果がこのぎゅうぎゅうだ。膝に乗せるなら俺じゃなくて荷物の方にしせてくれ。
「まさか復帰初日にこんな大荷物で帰ってくるとは思わなかった!」
シルが笑う。
「俺だって思わなかった。
治療薬のお陰で無事だったと感謝されてな。みなが俺に礼だと言っていろいろ届けてくれていたんだ。
不在の間、俺の机はまるで祭壇のようになっていたらしいぞ?」
いっているうちにあの埋もれた席を思い出してクスクス笑ってしまった。
「なんというか……感謝してほしかったわけじゃないが、ありがとうと言われるのは嬉しいものだな?
これは俺だけの手柄ではない。アルやマージェス家、ルディたちにも届けてやろう。
シルも好きなものを選んでくれ」
「俺は欲しいものはもう貰ったからなあ」
言いながらぎゅっと抱き寄せられた。
俺のことか。シルはぶれないな。
それで思い出した。貢ぎ物事件のインパクトですっかり忘れてしまっていたが、俺は朝の件で怒っていたのだ。
シルにはしっかりと釘をさしておかねば!
「もう!シルが朝あんなことをするから大変だったんだぞ?みんなに見られて恥ずかしかったんだからな!
人前で、しかも学校であのようなことはするなんて!」
「ええ?まさか、あんなことってキスのことか?頬にしただけじゃないか。あんなの挨拶だろう?」
「どうでもいい相手なら挨拶だが、お前は違うだろう!シルにされると恥ずかしいんだ!」
だからやめろよ、と頬を膨らませて抗議すれば、反省するどころか喜色満面。
ぎゅっと俺を抱きしめて甘さの滲む声でささやく。
「俺相手だと挨拶じゃない?」
「?そりゃそうだろう。好きな相手なんだから」
当たり前のことなのに分からないらしいシルの情緒が不安だ。
少し声をやわらげ、諭すようにシルに教えてやった。
「もう少し心の機微というものを学んだ方がいいと思うぞ?
まあ俺も人のことは言えないのだが」
真面目に話をしたのにシルのテンションがいきなりマックスになった。
「………だめだ!ミルが可愛すぎる!!」
どうした?!やはり情緒が不安定なのではないか?
忙しくしすぎたか。少し休みでもとろうか。
「今の会話のどこに可愛い要素があった?
とにかく、何かする前に深呼吸だ。それとキスは人前ではするなよ!分かったか?」
「じゃあ、人前じゃなきゃいいんだよな?おかえりミル」
いうやいなや顎を掴まれ唇にキスを落とされた。
「シル!そういうことではない!」
完全に俺の話を理解できていない。これはかなり深刻だ。
週末は仕事は休みにして二人でゴロゴロして過ごすことにしよう。
クッキーの缶は日持ちするので学校において置き、おやつタイムにみんなで食すことにした。なのでそれ以外を持ってきたのだ。
それでも結構な量になってしまった。本当に申し訳ない。
シルが紙袋に埋もれた俺たちに気付き慌てて走ってきてくれた。
「ど、どうした、ミル?!なんだこれは?!」
「こんにちはシルさん。これはね、ミルへの貢ぎ物なの」
「貢ぎ物?」
そうだよな。そうなるよな。
学校に行って貢ぎ物を持ち帰るとは思わないだろう。
神様でもあるまいし。
一瞬でいろいろなことを察してくれたようで、シルが労うように俺の肩を抱いた。
「……初日は大変だったみたいだな。お疲れさん」
またキスをされそうになったのでさりげなく避けた。
すると近くで歓声があがる。
「ああああん、おしいっ!あ、婚約おめでとうございますっ!私たち、お二人と応援しておりますのでっ!これからもたくさんいちゃい……こほん、仲良くしてくださいましねっ!!
目の前であの、朝のようにしてくださっても全然かまいませんわっ。むしろ眼福と申しますか……」
「ええ!私たち、お二人のご婚約をとてもうれしく思っているのです!まるで私たちが読んでいる小説の……げふんげふん、いえ、あの、とにかくお似合いだなあっって!!」
「あ、ああ。ありがとう」
すごい。シルが引いている。
ご令嬢の勢いはすごいものな。わかるぞ。
まごまごしている間に、クラウスとジークがせっせと馬車に紙袋を積み込んでくれた。
「これが雑貨。で、こっちは食品。食品は早いところ荷解きしろよ?」
「ありがとう。助かった」
ここでクラウスがひときわ大きな袋を指さす。
「で、この袋は俺たちから!後で開けてみてくれ。みんなで用意したんだ」
「え?クラウスたちから?」
思わずみんなの顔を見回せば、にこにこと頷いてくれた。
朝いっていたものだろうか。こんなに大きなものだとは。いったい何だろう。
「いいのか?なんだか申し訳ないんだが……」
「うふふふふ!いいの!」
「気に入ってくれるといいんだが」
「シルさんと一緒に見てね?」
「うん。そうさせてもらう。わざわざありがとう」
開けるのが楽しみだ。俺はそっと袋を指で撫でた。
帰りの馬車の中。俺とシルはぎゅうぎゅうにくっついていた。
別に甘い理由ではない。物理的に場所がないのだ。
足元には紙袋だらけ、床に置ききれなかった分が向かいの席も占領している。
あやうく「二人で並ぶには狭いよな」と俺がシルの膝に乗せられそうになったので必死で回避した結果がこのぎゅうぎゅうだ。膝に乗せるなら俺じゃなくて荷物の方にしせてくれ。
「まさか復帰初日にこんな大荷物で帰ってくるとは思わなかった!」
シルが笑う。
「俺だって思わなかった。
治療薬のお陰で無事だったと感謝されてな。みなが俺に礼だと言っていろいろ届けてくれていたんだ。
不在の間、俺の机はまるで祭壇のようになっていたらしいぞ?」
いっているうちにあの埋もれた席を思い出してクスクス笑ってしまった。
「なんというか……感謝してほしかったわけじゃないが、ありがとうと言われるのは嬉しいものだな?
これは俺だけの手柄ではない。アルやマージェス家、ルディたちにも届けてやろう。
シルも好きなものを選んでくれ」
「俺は欲しいものはもう貰ったからなあ」
言いながらぎゅっと抱き寄せられた。
俺のことか。シルはぶれないな。
それで思い出した。貢ぎ物事件のインパクトですっかり忘れてしまっていたが、俺は朝の件で怒っていたのだ。
シルにはしっかりと釘をさしておかねば!
「もう!シルが朝あんなことをするから大変だったんだぞ?みんなに見られて恥ずかしかったんだからな!
人前で、しかも学校であのようなことはするなんて!」
「ええ?まさか、あんなことってキスのことか?頬にしただけじゃないか。あんなの挨拶だろう?」
「どうでもいい相手なら挨拶だが、お前は違うだろう!シルにされると恥ずかしいんだ!」
だからやめろよ、と頬を膨らませて抗議すれば、反省するどころか喜色満面。
ぎゅっと俺を抱きしめて甘さの滲む声でささやく。
「俺相手だと挨拶じゃない?」
「?そりゃそうだろう。好きな相手なんだから」
当たり前のことなのに分からないらしいシルの情緒が不安だ。
少し声をやわらげ、諭すようにシルに教えてやった。
「もう少し心の機微というものを学んだ方がいいと思うぞ?
まあ俺も人のことは言えないのだが」
真面目に話をしたのにシルのテンションがいきなりマックスになった。
「………だめだ!ミルが可愛すぎる!!」
どうした?!やはり情緒が不安定なのではないか?
忙しくしすぎたか。少し休みでもとろうか。
「今の会話のどこに可愛い要素があった?
とにかく、何かする前に深呼吸だ。それとキスは人前ではするなよ!分かったか?」
「じゃあ、人前じゃなきゃいいんだよな?おかえりミル」
いうやいなや顎を掴まれ唇にキスを落とされた。
「シル!そういうことではない!」
完全に俺の話を理解できていない。これはかなり深刻だ。
週末は仕事は休みにして二人でゴロゴロして過ごすことにしよう。
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