427 / 538
五年後
本当の練習
「……っ!」
しまった!びっくりしてレオンの指を噛んじゃった!
「ひ、ひーる!」
急いでヒールして「ごめんね、レオン」と誤れば、優しくキュッとその胸に抱き込まれた。
「サフィ、私こそごめん。怖がらせた?」
「ちょっとだけ。てゆーか、辱められた!恥ずかしいこと言わせたくせに呆れるなんて酷い!」
「……ごめん。本当にごめんね?」
「……レオン、重い。どいて」
どいてって言ったら、俺を抱きしめたままでごろりと横に転がり向きを変えたレオン。
今度は俺のほうがレオンのお腹に乗せられてしまいました。
「こういうことじゃない。放してっていう意味!そもそ……むうっ!」
抗議の声はぎゅむっと押し付けられたレオンの胸に消えてしまった。
必死で胸を押して脱出を試みるも、微動だにしません。
レオンってば細マッチョ。意外と力が強い!
「ごめん。ちょっとだけ聞いて欲しい。
今しか言えないと思うから。お願い、サフィ」
レオンのオネダリ!
俺はこれに弱いのです。俺にとってレオンの「お願い」は伝家の宝刀に等しい。
これを抜かれたら終わりってやつ。
悔しいと思ながらも俺はそっと身体の力を抜いた。
いいよ、なんて言ってやらない。勝手にお話するがよい。
ふん、と鼻を鳴らした俺にようやくレオンの腕の力が緩んだ。
「ありがとう。
あまりこういう話をする機会がないから……思い切って言ってしまおうと思う。
結婚まであと1年を切ったしね。もう隠しておくのをやめることにする」
なに?!俺に隠し事?!
「ああ、違うよ、サフィ。そういうことじゃない。
いいから、聞いて欲しい。私の気持ちの問題なんだ」
……いいよ。話して。
「顔を上げないでそのままで聞いて欲しい。
あのね、サフィ。さっきサフィが恥ずかしいって言ったけど、私はそれを聞いて嬉しいと思ったんだ。
サフィは覚えてないかな?私はもうとっくにサフィの…こほん、サフィのサフィもかわいいお尻も見たことがある」
「はぁ?!いつ?なんで?!」
とっさに上げかけた顔をぎゅむっとまた胸に押し付けられた。
クスクスという笑い声と共に告げられたのは考えてみたら当たり前のことだった。
「サフィの魔力を測定した時。他にも何度もあるよ。
サフィをお風呂に入れてあげていたの、誰だと思っているの?」
そういえばそうだった!
俺ってば当たり前みたいにレオンとお風呂にはいってたじゃん!
「ふふふ。思い出した?ね?何度も見ているでしょう?」
「でもその時は恥ずかしくなかったもん。今は恥ずかしいからダメ」
「うん。それ。それが嬉しいんだ」
「……どうして?」
「だってね、私は少し恥ずかしかった。すでにサフィのことが気になっていたんだと思う。
サフィはそのとき私のことを全然意識していなかったでしょう?だから恥ずかしくなかったのだと思う。子供だったしね。
サフィが恥ずかしいのは、つまり私をそういう相手として見てくれているから?そう思っていいのかな?ね?」
言われてみればその通りだ。
前は恥ずかしくなかったのに、いったいいつから恥ずかしくなったんだろう。
ここで俺は由々しきことに気が付いた。
「あのときって、俺まだ5才だったよね?レオンはもう15歳とかだったでしょ?子供の俺に、あの……えっと……」
「そういう趣味はないからね⁈
でも……少し意識はしてしまっていた。それは相手がサフィだからだよ?
最初は可愛いだけだったのに、すぐに特別になった」
「あー……ありがとう?」
なんだかいいことのような気がしてきてお礼をいえば、レオンがニコッとほほ笑んだ。
あ。
これ、いけないやつだ!
「だからね。
恥ずかしくて当たり前なんだ。
逆に、恥ずかしくないほうが問題。だって私はサフィの婚約者なんだから。サフィに私を意識して欲しい。
……これでサフィの『恥ずかしい』問題は解決した?」
またしてもニコッ。
キラキラエフェクトがこの状態で見えるくらい笑顔なのが余計に怖い……。
「し、したような、しないような……?」
「うん。あのね、先に謝っておく。ごめんね。可愛いことを言われて、もう限界なんだ」
くるん。
え?なな、な、何でひっくりかえしたの?
「そろそろ本当の練習を始めてもいいかな?少しづつ進めていくから……」
しまった!びっくりしてレオンの指を噛んじゃった!
「ひ、ひーる!」
急いでヒールして「ごめんね、レオン」と誤れば、優しくキュッとその胸に抱き込まれた。
「サフィ、私こそごめん。怖がらせた?」
「ちょっとだけ。てゆーか、辱められた!恥ずかしいこと言わせたくせに呆れるなんて酷い!」
「……ごめん。本当にごめんね?」
「……レオン、重い。どいて」
どいてって言ったら、俺を抱きしめたままでごろりと横に転がり向きを変えたレオン。
今度は俺のほうがレオンのお腹に乗せられてしまいました。
「こういうことじゃない。放してっていう意味!そもそ……むうっ!」
抗議の声はぎゅむっと押し付けられたレオンの胸に消えてしまった。
必死で胸を押して脱出を試みるも、微動だにしません。
レオンってば細マッチョ。意外と力が強い!
「ごめん。ちょっとだけ聞いて欲しい。
今しか言えないと思うから。お願い、サフィ」
レオンのオネダリ!
俺はこれに弱いのです。俺にとってレオンの「お願い」は伝家の宝刀に等しい。
これを抜かれたら終わりってやつ。
悔しいと思ながらも俺はそっと身体の力を抜いた。
いいよ、なんて言ってやらない。勝手にお話するがよい。
ふん、と鼻を鳴らした俺にようやくレオンの腕の力が緩んだ。
「ありがとう。
あまりこういう話をする機会がないから……思い切って言ってしまおうと思う。
結婚まであと1年を切ったしね。もう隠しておくのをやめることにする」
なに?!俺に隠し事?!
「ああ、違うよ、サフィ。そういうことじゃない。
いいから、聞いて欲しい。私の気持ちの問題なんだ」
……いいよ。話して。
「顔を上げないでそのままで聞いて欲しい。
あのね、サフィ。さっきサフィが恥ずかしいって言ったけど、私はそれを聞いて嬉しいと思ったんだ。
サフィは覚えてないかな?私はもうとっくにサフィの…こほん、サフィのサフィもかわいいお尻も見たことがある」
「はぁ?!いつ?なんで?!」
とっさに上げかけた顔をぎゅむっとまた胸に押し付けられた。
クスクスという笑い声と共に告げられたのは考えてみたら当たり前のことだった。
「サフィの魔力を測定した時。他にも何度もあるよ。
サフィをお風呂に入れてあげていたの、誰だと思っているの?」
そういえばそうだった!
俺ってば当たり前みたいにレオンとお風呂にはいってたじゃん!
「ふふふ。思い出した?ね?何度も見ているでしょう?」
「でもその時は恥ずかしくなかったもん。今は恥ずかしいからダメ」
「うん。それ。それが嬉しいんだ」
「……どうして?」
「だってね、私は少し恥ずかしかった。すでにサフィのことが気になっていたんだと思う。
サフィはそのとき私のことを全然意識していなかったでしょう?だから恥ずかしくなかったのだと思う。子供だったしね。
サフィが恥ずかしいのは、つまり私をそういう相手として見てくれているから?そう思っていいのかな?ね?」
言われてみればその通りだ。
前は恥ずかしくなかったのに、いったいいつから恥ずかしくなったんだろう。
ここで俺は由々しきことに気が付いた。
「あのときって、俺まだ5才だったよね?レオンはもう15歳とかだったでしょ?子供の俺に、あの……えっと……」
「そういう趣味はないからね⁈
でも……少し意識はしてしまっていた。それは相手がサフィだからだよ?
最初は可愛いだけだったのに、すぐに特別になった」
「あー……ありがとう?」
なんだかいいことのような気がしてきてお礼をいえば、レオンがニコッとほほ笑んだ。
あ。
これ、いけないやつだ!
「だからね。
恥ずかしくて当たり前なんだ。
逆に、恥ずかしくないほうが問題。だって私はサフィの婚約者なんだから。サフィに私を意識して欲しい。
……これでサフィの『恥ずかしい』問題は解決した?」
またしてもニコッ。
キラキラエフェクトがこの状態で見えるくらい笑顔なのが余計に怖い……。
「し、したような、しないような……?」
「うん。あのね、先に謝っておく。ごめんね。可愛いことを言われて、もう限界なんだ」
くるん。
え?なな、な、何でひっくりかえしたの?
「そろそろ本当の練習を始めてもいいかな?少しづつ進めていくから……」
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。