もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
433 / 538
五年後

大人になった俺

こうして俺は大人になった。




翌朝、たっぷりと寝てシャキンと目覚めた俺。
う、う、動けない………!
これは……どういう技?
俺の腰にはしっかりとレオンの腕が回され、足の間にはレオンの足。
全身をさりげなく(ないけど)絶妙に絡めとられており、全く動けませぬ!

もしかしてレオン、俺にあんなハレンチしておきながら、闇落ち?闇落ちしたの?
これ、拘束されてるやつ?!

なんとか身をよじって目の前にあったレオンの鎖骨あたりをガジッ!

「うわあっ!な、なんだ?
サフィ?!……………おはよう?」

文句を言ってやろうと思ったのに、そんなに幸せそうな顔されたら言えないじゃん。
急に早くなった鼓動を宥めながら、唇を不満を込めてツンと尖らせて「おはよう」と返せば、「あは!」と笑ったレオンにその唇を「はむっ」とされて朝からにゅるりされてしまった。
なんてこったい!あまーい!





これってばいわゆる「ジゴ」っていうやつなのだろうか。
前世の曖昧な記憶から何故かいきなり「ジゴ」という言葉が浮かんだ。
セイツーの後がたぶん「ジゴ」
抱っこしてちゅっちゅしてぎゅぎゅっとするのだったか?

なので俺も、セイツージゴのお約束としてレオンを抱っこしてお鼻とまぶたにチュッとしてギュギュっと抱き着いた。

するとでろでろに溶けていたレオンの表情が急に焦ったものに変わる。

「サ、サフィ?私は嬉しいけど、どうしたの?あと、あの、なんというか……大人になったら、あまり朝のスキンシップは精神衛生上よろしくないからね?とても嬉しいのだけれど」

二回も嬉しいと言いました。つまり、嬉しいのだな。ヨシ!

「ジゴの約束なので!セイツージゴは抱っこしてチュッチュしてぎゅぎゅっと!
精神衛生上は知らないけど、レオンが嬉しいんなら良き!
もっかいする?」

「な、何を?!……していいの?!」

急に挙動不審になった。

「何をって……ジゴを?」

言葉通りに、抱っこしてチュッチュしてギュギュっとをもうワンターン。

「……うん。そうだと思った。……ありがとうサフィ。嬉しい」

嬉しいと言いながらも、二回目の嬉しいがさっきよりもトーンダウンしているのは何故だろうか。
やはり一度で良かったのかもしれない。







無事にセイツーで大人の階段上ったので。ちょっと恥ずかしいけれど、先生してくれたミカミカにご報告せねば!ゲイルにも!

ミカミカはかなり心配してくれていたようで、ミカミカを呼びに行こうと扉を開いたとたん、なんと目の前に居た。
どうやら早朝から待機していたらしい。
いつもキチンと爽やかなミカミカに珍しく、襟元がくたっとしているし目の下にはクマがあった。
そして立ちすぎたのか腰が痛むようで片手で腰を押さえている。

「キースは?」と聞けば、「団長んとこにやった。アイツめ……せいぜいしごかれやがれ!ちきしょう!一晩中ここで見張りたかったのに!」とプンスカ。

「サフィ、大丈夫だったか?嫌なことはされてねえよな?レオンだもんな、そこんとこサフィに甘いから大丈夫だとは思うが……」

全身をパタパタとはたかれ、くるくると回転チェック。

「う、うん。大丈夫!」

とりあえず「ヒール」してあげつつミカミカにご報告。

「あのね、セイツーした!要相談したら出たけど、味見したらちゃんとしたセイツーじゃなくてまだ薄いヤツだった!」


しーーん。

「………はぁ?!なんつった?!」

え?今の声、誰?
ものすごいロートーンボイス!地獄の底から湧き出るような声!

「サフィ?俺に教えてくれるか?あのさあ、味見ってどういうことかな?まさか……!」

まさかの大天使のお口から放たれておった!
これはアカン!怒れる大魔神がご降臨!

「ご、ごかいだからっ!おしっこじゃないから!セイツーだったし!
おしっこ舐めるヘンタイさんじゃなくってセイツーか確かめる献身的行為でしたのでっ!!」

「レオンか!まさか、あのケダモノ、いきなり初心者のサフィのちんこを舐めやがったのか!!」

「はああああ?!違いますし!そんなヘンタイしてないしっ!おしっこペロリ……じゃなかった、セイツーでたからペロリしただけですしっ!!」

慌てて修正したけれど時遅し。
俺は般若の形相となったミカミカに襟首をひっつかまえられ、怒涛の勢いで王城に泊まり込んでいたゲイルの部屋にぽーいと放り込まれた。


「わあああああっ!!な、なんだなんだ?!って、サフィイイイイイイ!!!」

がっしーんとゲイルに抱き込まれる。
って、ええええ?なんでゲイルはだかんぼう?!

「ゲイル!こいつ確保しとけっ!俺が話をつけてきてやる!
てか、おい、宰相、ゲイル、服を着ろ!サフィの教育に悪いだろうが!!」

来た時と同じ勢いで走り去っていったミカミカ。

大魔神の余りの恐怖に心臓ドッキドキの俺と、俺と抱え込んで放さないはだかんぼゲイル。
と、あの、アンタなにしてるのここで?

「……公爵、どうしてゲイルといるの?どうして二人ともはだかんぼ?」

真っ青になって乙女のようにシーツを身体に巻き付けた公爵。
なんたるカオス!


ああ、レオンのいるぬくぬくお布団が恋しい!
どうしてこうなった!

感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。