もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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五年後

なんだかんだの末

なんだかんだすったもんだの大騒ぎの末、公爵は無事にパンツを覇き、ゲイルのゲイルもちゃんと隠された。
うむ、ようやく落ち着きましたな。

ただセイツーの報告をしたかっただけなのに、なぜこんな大騒ぎになったのか謎すぎる。

「あ。ゲイル、首のとこ、虫さされ!」
「は?……!!あ、ああっ!そういや、なんか痒い!痒い気がする!」
「ヒールしたのにね。もっかいしとく?」
「あー………まあ、すぐに治るだろ。このままでいい」

慌ててバシッと首筋を隠し、挙動不審なゲイル。
部屋に虫がいたことがよほど恥ずかしかったのか、ちょっと赤くなっている。
ちゃんと結界しとかないから虫が入るのですよ。綺麗好きのゲイルにしては珍しい失態ですな。
とりあえず掃除代わりに

「クリーン!」
「す、すまん」



とりあえずミカミカが戻るまで、こちらでお茶でも……。

「ゲイルー。喉が渇いた!」

「あ、ああ。そうか。ちょっと待ってろよ……」

水差しから水を注いでもらって「ふう!」ようやくほっと一息つけた。



「こほん!では!改めてご報告いたします!
ぱんぱかぱーん!俺は大人になりました!
ゲイルとミカミカにネヤ教えて貰って、レオンとセイツーしましたので!
これで大人!!」

ドヤア、と拍手を要求すれば、ゲイルと公爵が複雑な顔をしながら拍手してくれた。
親としては、子供の巣立ちは寂しいものなのだろう。
俺もちょっと寂しいけれど、子供はみんないつかは大人になるもの。
なのでここは拍手で送りだして欲しい。

「……確認していいか?」

ゲイルが恐る恐る手を挙げる。

「はい!ゲイルくん!質問でしょうか?」
「………サフィがしたのは、あれだ、精通、でいいんだよな?
あー、その……、ケツには入れられてねえってことでいいか?」

なんてことを聞くのだ、ゲイル!

「ゲイル、ハレンチ!!ハレンチ!!
それは『子作り』でしょっ!!結婚してないのに、ダメでしょおが!」

叱られたのになぜかゲイルは嬉しそうにパチンと手を叩き破顔した。

「だよなあ!さすがはサフィ!レオンの鉄壁の忍耐力、信じてたぜ!!」

隣に座る公爵の背中をパンパンと叩きながら、にこにこである。
セクハラして叱られたのにご機嫌って……。ゲイルってば本当に情緒不安定。
そんなに俺のセイツーが堪えたのだろうか。可哀そうに。

「…………公爵、俺がいないとき、ゲイルに優しくしてあげて。俺のセイツー、かなり堪えてるみたいだから」

俺の言葉に公爵が神妙な顔で頷いた。

「……最大限に優しくしたつもりだ。安心してほしい」

妙に力のこもった言葉である。なにはともあれ、ダメ公爵でも傍にいないよりはいたほうがいいだろう。
リオは忙しそうだし、ライはライで大変そうなので。そしてテンション高めの夫婦、エリアスとビビ女の所に行くのはゲイルがとっても大変そうなので。
暇そうなのは公爵しかいないのだ。頼んだぞ、公爵!!

ゲイルが妙なハイテンションになったところで、俺は続けた。

「あのね、ゲイル。言ったよね?そこは出るところで入るところじゃないの。
ミカミカも入るっていってたけど、嘘だと思う。ミカミカは入っても、俺のおしりは入らないと思う。
だって、俺のは出すところであって入るところじゃないもん。
元気になったレオンのレオン、おっきいし。破れちゃったら怖いし」
「だよなあ!でかいのは怖えよなあ!入っちまえば大したことねえけど、それまでがなあ……なんつーか、腹にぐっとくるってえか……」

俺の言葉になぜかゲイルがものすごく共感を示してきた。
まるで体感したかのような言いっぷりに、思わず首を傾げる。

「ゲイル、入れたことあるの?まさかね。だってゲイル、結婚したことないし」

「「………………」」

ゲイルだけじゃなく公爵までそっと目をそらす。
ま、まさかアンタたち……

「二人とも入れたことあるの?!ウソでしょーーっ!!ゲイルだって公爵だって、お父様なのにいいいい!!」

アンタたち、凹じゃなくて凸でしょおがっ!!

「………あー……、大人にはいろいろあるんだよ」
「はあ?子作りなんだから、そもそも結婚してないのにダメでしょ!公爵はともかく、ゲイルは結婚してないのに、ダメでしょーが!!
あれ?公爵だってダメだよね?お母さまの何を凹したの?まさか、お母さまには……凸付いてた?」

なんてこった!まさか、お母さまにもお母さまが!!!
ガーン、とショックを受けていたら何故かぎゅっとゲイルに抱きしめられた。

「……サフィはそのままでいてくれ。俺の息子、天使!天使だわ!!!精通したのに清らかなまんま!
さすがはサフィだ!!汚れちまった大人でごめんなあ!」
「ゲイルは汚れてなどいない!清らかで美しいままだ!!」
「公爵が汚れてたとしても、ゲイルは綺麗だよ!一回虫が出たくらいでそこまで落ち込まなくても大丈夫!」
「……あーーーー!!!マジで天使!!俺の息子、天使!!」

ゲイルが凹なのかどうなのかはうやむやにされてしもうた。
きっとあれは聞き間違い。カッコよくて最強なお父様がそんなはずない。
うん。
目をそらしたのはきっと、赤裸々な会話が恥ずかしかったからだろう。
俺もちょっと興奮してるからっていいすぎました。ハレンチ。

俺を胸に抱き込んでぐりぐりすりすりと頭や頬をこすりつけてくるゲイルには申し訳ないが、俺はまだゲイルに言わねばならないことがあるのです。
セイツーのご報告と、もうひとつ。大切なご報告が。

「あのね、ゲイル。
情緒が迷子のところ申し訳ないんだけど。
結婚までもう半年だから、結婚までに練習しなきゃなので。ゲイルと毎日寝るのはダメなんだって。
なので、俺は王城にお泊りになります!
ゲイルと寝るのは週末だけだから、週末は絶対に開けておいてね!飲んだくれないようにね!」



あ。ゲイルの目からハイライトが消えた。

「ゲイル?!」

ジョバっとゲイルの瞳から涙が溢れだす。
涙ってあんな風に出ることがあるんだね。滝みたいにドドーっと出たからびっくりした。

「……ゲイル。ちゃんと週末は一緒に寝れるからね。
俺だって寂しいけど、しょうがない。セイツーして大人なので。
俺も我慢するからゲイルも我慢して。そのために公爵を恩赦したんだから」

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