もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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東の国

俺が行くとゲイルが言うので

更新が遅れて申し訳ございません!
家族の所要でいろいろと立て込んでしまいまして、栄養ドリンクとモンエナでドーピングしながら乗り切っておりました(/ω\)
ようやくひとだんらく…




※※※※※※※※



俺の15歳の誕生日、つまり結婚式まであと数か月。
(レオンのたっての願いにより、結婚式は俺の誕生日当日となっております)

国を挙げての大行事ということで、特例として俺と俺の友人たち(側近候補)の授業は全て持ち帰り課題へと変わった。みんな式の招待客の選定やら、お土産の手配やら、来賓たちの宿の手配やら、街の整備やら警備やら。
とにかく「学生にここまでさせるの?!」ってことにまで巻き込まれ大わらわだ。
もちろんチーム生徒会(元生徒会の先輩たち)も勢ぞろい。
リオを先頭に城に泊まり込む勢いで日に日にボロボロになっていっております。

古参のおっちゃんたちはどうしたんだ?!公爵、あんた宰相でしょ、お仕事しなさいよ!
と思うのだが、これは「次期国王」と「その側近」に課せられた課題のようなものらしい。
最終的はチェックはもちろんパパ&宰相&おっちゃんたちがするんだけども、それまで自分たちでやってみなさい、ということなんだって。

それを聞いたリオとミルくんが凄みのある笑顔で奮起してしまった。

「『次代の側近候補』ってほぼ生徒会メンバーとサフィのお友達じゃん。つまり、僕たちを通じてサフィの力を招待客に示したいっていうことでしょ?だよね?
これで僕たちがミスでもすれば『ほおら、やはりサフィには私たちが居てやらないと!』とかいってデカい顔で居座るつもりなんじゃない?狸親父めっ!
ふっふっふ!生徒会も侮られたものだよねえ!言っておくけど、サフィが居たおかげで僕たちがどれだけ苦労させられたと思うの?!サフィの世話役を舐めないで欲しいよね!」

「ですよねえ!もうおジイゃんたちの時代は終わり!さっさと引っ込んでもらわなきゃ!あんな酷いセンスで式場を飾られるなんて想像だけでゾッとしちゃう!サフィの式は最高のものにしなきゃ!」

ガシっと手を組む二人に物申せるものがいるだろうか?いや、いない。
というわけで生徒会&いつメンたちは闘志漲らせ俺そっちのけであっちに行ったりこっちに行ったりしておりのでありました。




そんなみんなに、「東国にも声をかけたい」と言ったところ……

ミルくんが吠えた。

「はぁ?ダメに決まってるでしょ!頼むから式までは大人しくしてて!
サフィには誘拐された前科もあるんだよ?!忘れたの?
サフィがよその国に首突っ込むと必ず大事になるんだから!!絶対に!ダメ!!
殿下!婚約者に紐付けておいてくださいっ!言い出したら聞かないからこの子!」

リオの目が据わった。

「…………僕ね、サフィの願いはなるべく叶えたいと思ってるよ?家族じゃなくなっても、僕はサフィの兄として絶対にサフィを護るんだって決めてるから。
でもね。今はダメ。悪いけど、それどころじゃないから。
サフィの結婚式なんだよ?どうしても失敗できないの。
ここで余計なものに手を出してる場合じゃないの。分かる?
万が一にもないとは思うけど、サフィ、東国に行こうなんて

押さえた声で淡々と言葉を発しているのが、逆に怖い。
だってリオだよ?
俺の中でリオはどちらかというとい弟属性だったんだけど……
怖っ!言葉に含まれる圧が凄すぎる!

先輩たちもリオと同じ意見。
言葉はもう少し優しいけど、要するに「今は問題を起こすな、大人しくしててくれ」
それをね、目の下にクマ作って「あ、ヒールされると後でキツイからいい」ってボロボロのままでいる人たちに言われたら……もう何も言えませぬ。

俺が悪かった。申し訳ない。





どうしても東国が気になる俺。
レオン、俺、ミカミカ、キース、式に向け俺のサポートに回ってくれてるゲイルといういつものメンバーに、臨時メンバーとして暇しているのか公爵、同じく暇しているお母さま。
なんとかならないものかと、執務室で額突き合わせ、ああでもないこうでもないと相談していたところ……どんな問題も解決「困ったときのゲイル」が妥協案を出してきた。

「あー……しょうがねえなあ。俺が行く!そんならいいだろ?
ルーダに頼んでバースまで転移して、そっからブリードに乗って行くつもりだったんだろ?
ブリードも俺なら乗せてくれるだろうし。俺も一応聖女だからな。向こうでルーダを呼んで転移できるようマークすることも可能だ」

聖獣とドラゴンを駆使する気満々。それができるのは俺かゲイルだけ。
だから俺がダメならゲイルに頼むのが一番ではあるんだけど…………。

素直に「やったあ!お願いっ!」ってできないのは、なんでだろう。

「バースはもう俺の庭みてえなもんだし、それに一応医者としてそれなりに名が通ってるからな。他のヤツよりは歓迎されると思うぜ?」

うん。ゲイルすっごくバースくんたちのお世話してあげてたもんね。向こうの人でゲイル知らない人なんていないってくらいに。俺とゲイルの銅像だってあるくらいだし。バースに行くまでの心配は全くない。

ゲイルが強いのも知ってる。最強ゲイルだもん。
ゲイルといえば、医師としてのヒールとか結界とかが表に出がちだけれど。
実は冒険者としてもかなりのもの。ゲイルの緑魔法は意外と万能。土や木で敵の足止めもできるし、防御にも役立つ。風魔法も使えるからウインドカッターやストームもお手のもの。
魔法王国でもあるこの国でも、ゲイルは攻撃力でも屈指を誇っていたりする。

でも、東国はほとんど親交の無い国。何があるのかわかんないでしょ?
俺もゲイルも聖女だから。害意の在るものは近づけない。
だから大丈夫。何もないって思うけど……
それは分かってるのに……なんだろう、なんだか胸がソワゾワする。

「俺が行く」っていうのに不安はない。なんとなく大丈夫な気がしている。
これは聖女の力なのかわからないけど、これまで俺が何の根拠もなく「大丈夫」だと言ったことは全部本当に「大丈夫」だった。
でも、行くのがゲイルになったとたん、おかしな不安が芽生えて落ち着かない。
大丈夫だっていう根拠はたくさんあるのに。それでも。

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